著者
中村 拓己 浅田 絵美 永田 佳子 金澤 秀子
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.52, no.9, pp.769-773, 2003 (Released:2004-01-30)
参考文献数
12
被引用文献数
6 5

市販品の緑茶中の主要成分であるカテキン類は,その製茶工程あるいは殺菌工程で熱異性化が起こることが知られており,緑茶カテキン類のうち含有量の最も多いとされているエピガロカテキンガレート(EGCG)は,ペットボトル飲料においては,その熱異性化体であるガロカテキンガレート(GCG)とほぼ1 : 1の割合で存在していた.また,抽出温度を変化させた実験から,緑茶はおよそ80℃ 付近から,熱異性化が起こり,抽出温度が98℃ となるとEGCGの熱異性化は更に進むことが確認された.更に,これらカテキン類のシトクロームP450(CYP)3A4代謝系に対する活性について検討した結果,構造中にガレートを有するカテキン類であるEGCG,GCG,エピカテキンガレート(ECG)のほうがガレート構造を持たないカテキン類と比較して阻害効果が大きいことが明らかとなった.したがって,CYP3A4代謝系に対するカテキン類の阻害効果は,ガレート構造の有無により大きく影響されることが示唆された.
著者
金 允姫 橋爪 真弘 本田 靖
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

気温は自殺との関連が高い気象因子として考えられ、気温の上昇と自殺リスクの増加に関する多くのエビデンスが報告されてきた。しかし、正確な気温-自殺の非線形関係を推定する研究は不足していた。本研究は、12カ国341都市・地域の自殺死亡者数と気象データを収集し、同一の統計解析法を用いて気温-自殺の非線形関係について包括的な研究を試みた。結果、気温-自殺の非線形関係は全体的に気温上昇に応じて自殺リスクの増加が観察されたが、非常に高い気温では、自殺リスクがもはや増加せず、水平状態に達したり、わずかに減少することが明らかになった。また、非線形推定曲線を介して自殺リスクが最大となる臨界温度範囲を確認した。
著者
金井 純平 川口 健一
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.69, no.6, pp.341-344, 2017-11-01 (Released:2017-11-30)
参考文献数
13

津波からの避難の際,高所への移動が困難な場合に対し,最後の手段として,ごく小さな空間を確保し避難する「津波用パーソナルシェルター」が様々に考案されている.本報では,現在製造されている津波用パーソナルシェルターや,搭乗者の人体傷害基準を調査し,シェルター内における生存時間を内部の酸素量に基づいた人体耐性的な見地から考察した.津波用パーソナルシェルターの製品はその規模によって大きく2種類に区別でき,うち小型のものは,搭乗者の安全性評価や,酸素量から見た生存時間に関して検討が必要であることがわかった.
著者
金 哲樹 内田 徹郎 外山 秀司 前川 慶之 宮崎 良太 貞弘 光章
出版者
特定非営利活動法人 日本血管外科学会
雑誌
日本血管外科学会雑誌 (ISSN:09186778)
巻号頁・発行日
vol.22, no.7, pp.973-975, 2013 (Released:2013-12-26)
参考文献数
6

要 旨:症例は80歳男性,バイク事故にて受傷.右肩から頸部にかけて増悪する腫脹あり,右上腕動脈の拍動は消失.CTにて右鎖骨下に広範囲血腫形成と右鎖骨下動脈よりの造影剤漏出を認め,外傷性右鎖骨下動脈損傷の診断で当科搬送.来院時全身状態は安定,橈骨動脈・上腕動脈とも拍動は触知せず.緊急修復術の方針となり,整形外科と合同で手術開始.まず出血コントロールのため胸骨正中切開より腕頭動脈・右鎖骨下動脈をテーピング.右鎖骨下から右腋窩動脈もテーピング.その後整形外科にて鎖骨直上より骨折骨片を除去しながら損傷部位を展開.鎖骨下動脈はほぼ完全に断裂していた.椎骨動脈を介した出血があり,断裂部を明らかにしたところでその近傍で血管遮断し直し無血視野を確保.断裂部をトリミング後,直接吻合を行い修復.鎖骨骨折部を整形外科で修復,手術終了とした.経過は良好で,CTで鎖骨下動脈修復部の開存と末梢の良好な造影を認めた.
著者
金子 尚樹 西澤 英雄 藤本 潤一 七尾 大観 木村 康宏 大和田 玄 森村 太一
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.271-274, 2022-07-01 (Released:2022-07-01)
参考文献数
8

低カリウム血症では近位尿細管でのアンモニア産生が増加するため,肝性脳症患者では高アンモニア血症の増悪因子となり得る。ただし,肝不全や門脈体循環シャントがないにもかかわらず低カリウム血症により高アンモニア血症をきたした報告例は非常にまれである。本症例は77歳の脂肪肝患者で,常用薬であった芍薬甘草湯の偽性アルドステロン症による低カリウム血症と,意識障害を伴う高アンモニア血症を認めたが,血清カリウム値の上昇に伴い高アンモニア血症と意識障害も改善した。①低カリウム血症による近位尿細管でのアンモニア産生増加や,②アルカローシスによるアンモニアの血中への移行増加,③慢性低カリウム血症による尿素合成能低下や④脂肪肝による尿素合成能低下によって高アンモニア血症をきたしたと考えられた。したがって,肝機能障害の程度にかかわらず,低カリウム血症と意識障害を認めた際は高アンモニア血症を鑑別する必要がある。
著者
金子 猛
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.109, no.10, pp.2132-2136, 2020-10-10 (Released:2021-10-10)
参考文献数
11

副鼻腔気管支症候群は「慢性・反復性の好中球性気道炎症を上気道と下気道に合併した病態」と定義されており,慢性副鼻腔炎に下気道の炎症性疾患である慢性気管支炎,気管支拡張症あるいはびまん性汎細気管支炎が合併した病態である.長引く咳嗽の鑑別診断として重要であり,特に容易に原因が特定できない湿性咳嗽の場合は,第一に考慮すべき病態である.治療の基本は,マクロライド系抗菌薬少量長期療法である.
著者
矢澤 美香子 金築 優 根建 金男
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.243-253, 2008-09-30 (Released:2019-04-06)

本研究は、女子学生のダイエット行動における完全主義認知、感情、自己評価の特徴を実験的に検討することを目的とした。ダイエット行動尺度(松本ら,1997)に回答した女子学生326名のうち、非構造的ダイエット得点が高い群(H)に21名、低い群(L)に20名を配置し、さらにダイエットの成功想定状況群(S)と失敗想定状況群(U)に割り当てた。参加者は、3週間のダイエットに取り組むことを想定してダイエットプランを作成した。そして、成功想定状況群(H-S,L-S)と失敗想定状況群(H-U,L-U)は、それぞれそのダイエットが成功、あるいは失敗する状況について8分間考えた。その結果、H-S、L-Sで高目標設定の認知が増加した。一方、H-Uではミスにとらわれる認知と不安感が増加した。さらに、H-S、H-Uはダイエット状況によって自己評価に影響を受けていた。これらの結果から、過度なダイエットにおいて、完全主義認知はネガティブな感情や自己評価と関連することが示唆された。
著者
杢谷 友香子 長谷川 順一 三方 彰喜 金 鏞国 川野 潔 根津 理一郎
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.72, no.9, pp.2379-2383, 2011 (Released:2012-03-25)
参考文献数
20

膵十二指腸動脈瘤は稀な疾患であるが,近年の画像診断の進歩とともに発見される機会が増加している.われわれは膵十二指腸動脈瘤に対し腹腔鏡下手術を施行し,良好な経過を得た症例を経験したので報告する.症例は67歳,男性.腎嚢胞および高血圧症にて内科通院中にスクリーニングCTを施行したところ十二指腸近傍に径30mm大の動脈瘤が発見された.3D-CT血管撮影像にて胃十二指腸動脈の末梢側に動脈瘤が確認され,膵十二指腸動脈領域に発生した真性動脈瘤と診断した.治療は低侵襲性と長期成績とを考慮して腹腔鏡下動脈瘤切除術を行った.周術期合併症は認めなかった.術後2年5カ月現在,腹部症状を認めることなく外来で経過観察中である.仮性動脈瘤や破裂例を除く膵十二指腸動脈瘤に対して腹腔鏡下動脈瘤切除術は,安全で効果的な治療法の一選択肢として考えられた.
著者
金 廷恩 廣木 奈津 松本 仲子
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.261-270, 2014 (Released:2014-04-28)
参考文献数
5

韓国と日本は地域的な関係から, 気候風土が近似しているだけでなく, 食文化面についても, 両国は中国からの影響を受けるなど, 歴史的にも多くの関わりをもってきた。著者は, 韓国と日本の食事について, 食材, 調理法, 食嗜好, 各国の料理に対するイメージなどの点から比較してきた。本研究は, キムチ以外の料理について, 嗜好面からの検討を加えるもので, 韓国料理を日本人が試食し, 日本料理を韓国人が試食してそれぞれの受容度を官能評価によって測定した。日本人が試食した韓国料理はぜんまいのナムル, ズッキーニのジョン, プルコギ, ジャプチェなど8品目で, それぞれ韓国醤油と日本醤油で調味した。汁物は, こんぶ・かつお節, 煮干, 干しだらのだし汁を用い, それぞれ韓国味噌と日本味噌等で調味した4品目の計12品目である。韓国人が試食した日本料理は肉じゃが, すき焼, 鯛のあら煮, きんぴらごぼうなど7品目と牛丼, 親子丼などのご飯物3品目の計10品目で, いずれも韓国醤油と日本醤油で調味した。使用した醤油および味噌については, アミノ酸を分析した。官能評価は香り, 味, 旨味, 総合評価の4項目について, 5段階の評点法により評価した。パネルは, 韓国, 日本ともに女子学生の各50人である。結果は次のように要約された。日本人の韓国料理に対する評価は, 汁を除き「普通」から「良い」の間に評価され, ほぼ受容されると理解された。韓国醤油に比べて日本醤油で調味したものが高い評価であった。韓国汁に対する評価は, 食べ慣れない干しだらのだし汁を用いた汁は好まれず, 「普通」以下の評価であった。味噌については, 本味噌にくらべて韓国味噌の評価が低く, 香りが好まれなかった。日本料理に対する韓国人の評価は, 「普通」から「良い」の間に評価され, ほぼ受容されることがわかった。ご飯物は「良い」と評価され, 嗜好度が高かった。調味に使用した醤油については, ほぼ同等の評価であったが, 7品目中2品目については, 日本醤油の評価が有意に高かった。
著者
伊藤 大輔 中澤 佳奈子 加茂 登志子 氏家 由里 鈴木 伸一 金 吉晴
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.19-29, 2015-01-31 (Released:2019-04-06)
被引用文献数
1

本研究の目的は、PTSD症状と生活支障度の関連を検討し、認知行動的要因がそれぞれに及ぼす影響を明らかにすることであった。主にDVをきっかけに医療機関を受診した女性のPTSD患者41名を対象に、出来事チェックリスト(ECL)、PTSD症状(IES-R)、生活支障度(SDISS)、認知的評価(CARS)、PTSD症状に対する否定的解釈(NAP)、対処方略(TAC)を実施した。IES-RとSDISSに弱い相関が見られたため、階層的重回帰分析を行った結果、PTSD症状には、トラウマの脅威性の認知、症状に対する否定的予測と意味づけ、回避的思考の有意な正の影響性が見られた。一方、生活支障度には、トラウマの脅威性の認知、放棄・諦めの有意な正の影響がみられ、肯定的解釈、責任転嫁の有意な負の影響が見られた。これらのことから、DVに起因したPTSD患者には、生活支障度の改善に焦点を当てた介入を積極的に行う必要性が示唆された。
著者
金澤 慧 野里 洵子 佐藤 信吾 髙橋 萌々子 入山 哲次 三宅 智
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.29, no.6, pp.119-122, 2022-06-25 (Released:2022-06-25)
参考文献数
13

II型呼吸不全を合併した下咽頭がんの患者に,ヒドロモルフォンを投与したところ重大な呼吸抑制を認めた症例を経験したため報告する.症例は,下咽頭がんによる左頚部リンパ節転移,左肩甲骨転移,肺転移,肝転移を認める77歳男性.痛みと呼吸困難の症状緩和目的で緩和ケア病棟へ入棟した.ヒドロモルフォン経口徐放性製剤4 mg/日導入後,重大な呼吸抑制が生じた.ナロキソン投与にて呼吸状態は改善し,以降オピオイドの使用を控えることで呼吸抑制は認めなかった.呼吸不全や肝腎機能等の臓器障害の合併症のある終末期の患者では,全身状態をより慎重に評価し,薬物代謝能力の低下による生体内利用率の増加等を考慮して,投与量や投与方法を注意深く検討する必要があると考える.
著者
藤巻 洋 中澤 明尋 竹内 剛 門脇 絢弘 草山 喜洋 井出 学 金井 研三 金 由梨 松原 譲二 稲葉 裕
出版者
日本関節病学会
雑誌
日本関節病学会誌 (ISSN:18832873)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.14-21, 2021 (Released:2021-03-31)
参考文献数
12

目的 : 人工膝関節全置換術 (TKA) 前後の立位下肢アライメント左右差が脚長差に及ぼす影響を調査すること。方法 : 調査対象は初回片側TKAを施行した74例で手術時年齢は平均73歳。TKA術前および術後3週に両側の下肢全長立位2方向単純X線像を撮影し, 正面像で下肢機能軸 (大腿骨頭中心と足関節中心を結ぶ線) の長さ (MA長) および下肢機能軸の膝関節面通過点の膝関節中央からの偏移 (MAD) を, 側面像でknee flexion angle (KFA) を計測した。術前後での各計測値の左右差を調査し, さらに術前後それぞれでMADおよびKFA左右差がMA長左右差に及ぼす影響を単変量および多変量で解析した。結果 : 術前にMA長左右差と有意に関連したのは単回帰分析でMAD左右差 (R=−0.31, P=0.003) およびKFA左右差 (R=−0.51, P<0.001), 重回帰分析でもMAD左右差 (P<0.001) およびKFA左右差 (P<0.001) であった (修正R2=0.43)。術後にMA長左右差と有意に関連したのは単回帰分析でMAD左右差 (R=−0.39, P<0.001) およびKFA左右差 (R=−0.58, P<0.001) で, 重回帰分析でもMAD左右差 (P<0.001) およびKFA左右差 (P<0.001) であった (修正R2=0.50)。考察 : TKA前後で冠状面および矢状面の立位下肢アライメントが脚長差に影響しており, 片側TKA後には脚長差が生じる可能性を認識する必要がある。
著者
津金 昌一郎
出版者
特定非営利活動法人 日本乳癌検診学会
雑誌
日本乳癌検診学会誌 (ISSN:09180729)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.4-15, 2010-03-30 (Released:2011-04-15)
参考文献数
17
被引用文献数
1 1

米国では乳がん死亡の減少が見られ,乳がん検診の重要性が示唆されているが,最近の統計データでは,罹患率の減少も観察されている。これは,乳がんリスクとなるホルモン補充療法の利用減少の影響と考えられている。日本では乳がん罹患,死亡ともに増加している。欧米との違いは,閉経後の乳がんが比較的少ないことだが,米国に移住した日本人の間では閉経後も増加が見られる。初潮・閉経・出産など女性の生殖要因が大きいが,疫学データからは生活習慣との関わりも考えられる。国際的な評価では,閉経前後にかかわらず飲酒は乳がんのリスク要因であり,授乳は予防要因である。肥満に関しては,閉経後の確実な乳がんのリスクだが逆に閉経前の乳がんをほぼ確実に予防する。また,運動が閉経後の乳がんの予防をするのはほぼ確実であるが,閉経前に関しては可能性を示唆するにとどまる。肥満の乳がんへの影響は,極端な肥満の少ない日本人では小さいと考えられる。飲酒については,ほとんど毎日飲む女性の割合は少ないものの,やはりリスクであるということが示されつつある。身体活動の乳がん予防効果を示す日本人の研究はほとんどないが,全般的な健康には良いと言えよう。イソフラボン摂取については,大豆製品をよくとる日本人では,特に閉経後の乳がんを予防してきた可能性が示される。また,受動喫煙と乳がんとの関連を示す研究があるが,特に閉経前では,受動喫煙だけでなく喫煙もやはりリスクである可能性がある。
著者
金田 真実 伊藤 秀明 堀江 直世 多賀 峰克 渡邉 望 大越 忠和 今村 好章 横山 修
出版者
一般社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.104, no.6, pp.712-715, 2013-11-20 (Released:2014-12-11)
参考文献数
9

症例1は62歳,女性.腹部CT検査にて左腎腫瘍を指摘され受診した.腎細胞癌を疑い腹腔鏡下左腎部分切除術を施行した.腫瘍は類上皮細胞からなり,類上皮型腎血管筋脂肪腫と診断された.症例2は35歳,女性.背部痛精査のCT検査にて右腎腫瘍を指摘された.腎細胞癌の術前診断のもと,腹腔鏡下右腎摘除術を施行した.免疫組織化学検査にてHMB-45, MelanAなどが陽性で類上皮型腎血管筋脂肪腫と診断された.類上皮型腎血管筋脂肪腫は腎血管筋脂肪腫の一亜型であり,腎細胞癌や他の悪性疾患との鑑別が困難な,比較的稀な疾患である.悪性の経過を辿る例が報告されており,悪性腫瘍と捉えて腎細胞癌と同様の経過観察が必要と考える.