著者
金沢 吉展 岩壁 茂
出版者
明治学院大学心理学会
雑誌
明治学院大学心理学紀要 = Meiji Gakuin University bulletin of psychology (ISSN:18802494)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.137-147, 2013-03-30

日本の心理臨床家が臨床家を志した当初の動機および現在臨床業務に取り組む動機について,日本語版「心理臨床家の成長に関する調査票」(DPCCQ-J)の自由記述回答を基に検討した。「臨床家になる元来の動機や理由とその動機をもった時期」に対する116名の回答と「現在心理臨床業務を行う動機」に対する115名の回答を,グラウンデッド・セオリー法と合議的質的研究法に基づく質的分析法により分析した。当初の動機としては,他者貢献への意欲が最も多く,次いで,心理学,心理療法,あるいは心の働きに対する知的・職業的好奇心が挙げられた。現在の動機にも他者を援助することへの意欲が最も多く挙げられたが,32.1%の回答は回答者自身にとっての臨床業務の意義について述べたものであった。業務上あるいは経済的な必要性も当初の動機・現在の動機ともに少なからずみられた。臨床家の教育訓練にどのような課題が示唆されるかについて論じた。
著者
孫 起和 金岡 祐次 前田 敦行 高山 祐一 高橋 崇真 宇治 誠人
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.81, no.1, pp.48-53, 2020 (Released:2020-07-31)
参考文献数
21
被引用文献数
1 1

症例は72歳の男性で,直腸癌同時性肝転移に対して,術前化学療法としてmFOLFOX6+Panitumumab療法を行った後に腹会陰式直腸切断術,肝拡大左葉切除術および肝後上区域部分切除術を施行した.術後7日目に骨盤死腔内への小腸嵌頓による腸閉塞のため回盲部切除術を施行した.術後6カ月目のCTでは右下腹部に20mm大の単発結節を認め,FDG-PETでも同部位に集積を認めた.腹膜播種再発を疑い手術を行ったところ,回腸結腸吻合部の間膜内に腫瘤を認めたため,吻合部を含めた腸管切除術を施行した.病理組織所見では悪性像は認めず,瘢痕組織に囲まれた膿瘍を伴う,縫合糸を取り囲む多核巨細胞を認め,異物肉芽腫と診断した.回盲部切除術を行った際に間膜を閉鎖した縫合糸による異物反応と考えられた.悪性腫瘍術後に再発との鑑別が困難であった縫合糸による腹腔内異物肉芽腫を経験したため報告する.
著者
新井 俊文 高崎 健 大原 敏哉 金井 信雄 吾妻 司 原田 徹
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.415-421, 2011-04-01 (Released:2011-04-23)
参考文献数
19

現在,腹腔鏡下胆嚢摘出術(Laparoscopic Cholecystectomy;以下,LCと略記)は胆石症の標準術式となっているが,症例の集積に伴い胆石腹腔内落下による膿瘍形成の報告も散見される.今回,腹腔内落下胆石が原因で胃壁内に炎症性肉芽腫を形成し手術的に除去した非常にまれな1例を経験したので報告する.症例は53歳の男性で,前医にて胆石胆嚢炎に対しLCが施行されたが,術中膿性胆汁と結石が腹腔内に流出し可及的に結石の除去がなされた.6か月後のCTにて腹腔内と胃壁内に腫瘤を指摘され当院へ紹介された.開腹所見は肝S6に接する肝外膿瘍と内部に結石を認め,胃前庭部の小腫瘤を部分切除にて摘出した.結石分析はビリルビンカルシウム結石であった.高度炎症胆嚢では壁損傷もまれではなく,それに伴う腹腔内落下胆石の回収は困難な場合も少なくない.胆石腹腔内落下が必ず膿瘍に結びつくわけではないが散石時には厳重な経過観察が必要と考えられた.
著者
金 鉉佑
出版者
The Vacuum Society of Japan
雑誌
真空 (ISSN:05598516)
巻号頁・発行日
vol.5, no.11, pp.435-449, 1962-11-20 (Released:2010-01-28)
参考文献数
57
著者
桑山 健次 辻川 健治 宮口 一 金森 達之 岩田 祐子 井上 博之 岸 徹 角田 紀子
出版者
日本法科学技術学会
雑誌
日本法科学技術学会誌 (ISSN:18801323)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.127-133, 2005 (Released:2007-07-03)
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

The effects of the various preparation procedures of the Dragendorff reagent on sensitivity for thin layer chromatography (TLC) were examined. The sensitivity to various compounds was different depending on the preparation procedures of the Dragendorff reagent.   The reagent with the highest sensitivity to most of the compounds tested was the one prepared with bismuth subnitrate and concentrated hydrochloric acid. However, color spots were disappeared relatively in a short time after the reagent was sprayed on the compounds. The reagent with the second highest sensitivity was the one prepared with precipitation of Bi(OH)3 from bismuth subnitrate, although the procedure was complicated and time-consuming.   Consequently, to simplify the preparation procedure of the reagent, we modified it to the procedure without precipitation of Bi(OH)3 from bismuth subnitrate. The reagent was also prepared from commercially-manufactured Bi(OH)3 or BiI3. The modified Dragendorff reagents showed almost the same sensitivity to most of the compounds tested as the one prepared with precipitation of Bi(OH)3 from bismuth subnitrate, and would be useful for practical TLC analysis.
著者
宮下 寿哉 中村 由行 比嘉 紘士 田中 陽二 伊藤 比伽留 池津 拓哉 金谷 一憲 鈴木 崇之
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.I_1213-I_1218, 2017 (Released:2017-10-17)
参考文献数
9

2016年8月~9月に連続的な岸壁調査および計4回にわたる船上調査を実施し,東京湾湾奥部における複数の湧昇イベントを捉えた.4回の船上調査のうち一度は青潮発生の直前に対応し,残りのうち2回は青潮に至らない弱い湧昇の直前とそのピーク時に対応していた.各湧昇イベント時の水塊の起源推定を行ったところ,青潮発生時には千葉本航路内でも湾央側の航路底層から硫黄を含む水塊が岸壁まで湧昇し青潮に至ったものと推定された.一方,弱い湧昇時では比較的浅い層の湧昇にとどまり,水面の着色や濁度の上昇はなく青潮として確認されなかったが,その期間には航路内で硫化物や硫黄が活発に生成していたことが示唆された.
著者
保坂 正人 中土 幸男 斎藤 覚 北側 恵史 松田 智 土金 彰
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.238-243, 1991-09-01 (Released:2012-11-20)
参考文献数
11
被引用文献数
2

Seventeen cases ( 8 males and 9 females ) of peripheral nerve paralyses associated with fractures or fracture-dislocations of the proximal humerus and dislocations of the shoulder joint were studied. The patients' ages ranged from 17 to 85 years with an average of 56.9 years. The lesions of paralyses consisted of 7 brachial plexuses,7 axillary nerves, one with both axillary nerve and suprascapular nerve and 2 median nerves.Open reductions were performed in 10, and closed reductions were made in the remaining 7. Two cases underwent surgical explorations of the nerves secondarily after reduction. One had a complete tear of the axillary nerve which was repaired using nerve grafting, and the other had an incomplete tear of the axillary nerve on whom neurolysis was performed.Thirteen cases were followed electromyographically after reduction. Nine of the 13 had denervations, and 4 of the 13 had polyphasic waves. Among 9 cases, which showed a denervation at the first examination, nascent units were observed within 2 to 4 months after the injury.Most cases of paralyses associated with fractures or fracture-dislocations of the proximal humerus and dislocations of the shoulder joint recovered spontaneously. However, surgical intervention should be considered for the nerves in those cases without regenerating findings in the EMG within the 4 months after injury.
著者
金 京欄
出版者
早稲田大学
巻号頁・発行日
2005

制度:新 ; 文部省報告番号:乙1965号 ; 学位の種類:博士(文学) ; 授与年月日:2005/4/19 ; 早大学位記番号:新4048
著者
後藤 亮平 田中 直樹 渡邉 大貴 金森 毅繁 柳 久子
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.29, no.5, pp.751-758, 2014 (Released:2014-10-30)
参考文献数
26

〔目的〕廃用症候群入院患者の特性,またADLの回復に影響する要因を検討した.〔対象〕廃用症候群のためリハビリテーションの指示が出された患者とした.〔方法〕退院時のFIM運動項目の得点から初期評価時FIM運動項目の得点を引いた値(FIM利得)を,中央値で2群に分類した.多重ロジスティック回帰分析を用いて,ADL向上に影響する要因を検討した.〔結果〕入院前FIM運動項目,膝伸展筋力,股関節屈曲可動域,肺炎の有無の4因子に,FIM利得との有意な関連が認められた.〔結語〕廃用症候群入院患者においては,入院前FIM運動項目,膝伸展筋力・股関節屈曲可動域といった身体機能,また肺炎の有無が,入院期間中のADL向上に影響する事が示唆された.
著者
土屋 貴志 佐金 武 野末 紀之 新ヶ江 章友 石川 優 濱野 千尋
出版者
大阪公立大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2022-06-30

性行動の実証的調査および文献テクスト分析を踏まえ「性愛および『性的倒錯』とはそもそも何なのか」という問題について考察する。「性的倒錯」とは (i)「本来の性愛」からの逸脱、(ii)性愛に関する社会・文化的規範に対する違反、を含むが、両者は必ずしも重ならない。また、「本来の性愛」なるものを疑う立場もあれば、「本来の性愛」の普遍性から社会・文化的規範の恣意性を批判する立場もある。本研究では、従来のセクシュアリティ/ジェンダー研究の成果も踏まえつつ、性愛をとりまく社会・文化的背景について深く考察すると同時に、性愛および「性的倒錯」それ自体を問題とする根柢的な探究を行う。
著者
小林 尚 佐藤 孝史 菊川 浩史 小林 政人 金子 聡
出版者
科学・技術研究会
雑誌
科学・技術研究 (ISSN:21864942)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.139-146, 2021 (Released:2022-01-14)
被引用文献数
1

ヒスタミンは、主に赤身魚において、不適切な管理が行われた結果、ヒスタミン生成菌が生成するヒスチジン脱炭酸酵素により、遊離ヒスチジンから生成される食中毒の原因物質である。本研究では、市販の魚介類について、魚介類中のヒスタミンおよび遊離ヒスチジン含量を調べるためのモデル試料を調製し、それぞれ5 ℃、10 ℃または25 ℃の温度で、1日、2日、4日または7日間保存する保存試験を行った後、各モデル試料中のヒスタミン含量と遊離ヒスチジン含量を分析した。その結果から、生成したヒスタミン量と遊離ヒスチジン量の変化について研究を行った。保存試験の結果、赤身魚の他、白身魚やその他魚介類において、ヒスタミンの生成と遊離ヒスチジン量の減少が確認された。また保存後に生成されたヒスタミン量は、遊離ヒスチジン量に近い量であることが確認され、保存試験におけるヒスタミン量と遊離ヒスチジン量の変化に相関性が確認された。このことから、魚介類の遊離ヒスチジン量を調べることで、その魚介類を保存した時に生成されるヒスタミンの最大量を予測することができると考えられた。
著者
金子信久著
出版者
講談社
巻号頁・発行日
2022