著者
鈴木 亮一 島田 昌和 森本 匡洋 神野 信夫 鈴木 周二 余戸 拓也 原田 恭治 道下 正貴 原 康
出版者
Japanese Society of Veterinary Anesthesia and Surgery
雑誌
日本獣医麻酔外科学雑誌 (ISSN:21896623)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.45-52, 2023 (Released:2023-10-17)
参考文献数
30

3歳4ヶ月齢の避妊雌のドーベルマン・ピンシャーが、右後肢の跛行が進行していたため紹介来院した。整形外科的検査では股関節の可動域が減少し、右大臀筋および大腿部骨格筋の萎縮が明らかに認められた。コンピュータ断層撮影では右坐骨腹側から右大腿骨転子窩尾側に伸びる骨塊が認められた。Von Willebrand病1型遺伝子のDNA検査では遺伝子変異は認められなかった。骨塊は外科的手術により切除され、組織学的に化骨性筋炎と診断された。運動機能は顕著に改善し、術後363日目においても再発は認められなかった。
著者
清野 公宏 鈴木 郁斗 野川 雅道 五十嵐 朗 内藤 尚 小川 充洋 山越 憲一 高田 重男 田中 志信
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.55Annual, no.5PM-Abstract, pp.460, 2017 (Released:2017-09-13)

これまで我々は腎・尿路系疾患発見に重要な指標である尿成分を全自動で計測可能なトイレ内蔵型尿成分計測システムの開発を最終目的として,近赤外光を用いた尿糖計測法について基礎的検討を続けてきた.具体的には糖尿病の早期発見に有用なグルコースをメインターゲットとし,蛋白摂取量の指標である尿素,塩分摂取量の指標である塩化ナトリウム,尿中成分の排出量測定に有用なクレアチニンの4成分について,糖尿病が疑われる成人男性等から採取した尿(高尿糖随時尿)などを対象に各4成分の濃度推定を行ってきた.その結果計測波長範囲(750-2500nm)の中から各成分の感度波長を4種類選定し重回帰モデルを構築することで,実用に供し得る精度で濃度予測が可能であることを確認した.今回は実用化に向けて,多波長LEDを光源とした場合の測定精度を次のような方法で検証した.すなわちFT-IRで得た透過光強度スペクトルに対して,中心波長の重みを1,半値幅を200nmとしたガウス関数を乗じることで,LEDのブロード状の発光特性を模擬し,上述の重回帰分析を行った. その結果,グルコース,クレアチニンについてはγ=0.7前後で濃度予測精度の更なる向上を要するものの,尿素,塩化ナトリウムについてはγ>0.8以上となり,多波長LEDを光源として用いることの妥当性が確認できた.
著者
楠 貴光 井尻 朋人 鈴木 俊明
出版者
関西理学療法学会
雑誌
関西理学療法 (ISSN:13469606)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.7-14, 2020 (Released:2020-12-28)
参考文献数
13

Arm elevation movement is used in daily living. We have performed physical therapy for patients with arm elevation difficulty due to problems with the shoulder joint and trunk function. We think self-exercise is important for effective rehabilitation. Therefore, we examined the concepts behind self-exercise for patient with arm elevation difficulty and describe them in this report.
著者
瓦田 研介 鈴木 吉助 斉藤 吉之 飯田 孝彦 田村 靖夫
出版者
一般社団法人 日本接着学会
雑誌
日本接着学会誌 (ISSN:09164812)
巻号頁・発行日
vol.44, no.12, pp.451-457, 2008-12-01 (Released:2014-06-30)
参考文献数
20

軽量・軟質のスギ間伐材から調製したフレークチップを表層に用いて表層圧縮比の異なる3層パーティクルポードを調製し,表層圧縮比および細孔構造が材質に及ぼす影響について調べた。その結果,目標ボード密度や表層比率が大きくなると表層圧縮比も高くなるが,芯層圧縮比はあまり変化しなかったことから,表層に配置された低密度のスギフレークチップは熱圧締時に負荷された圧力を速やかに緩和していることが推察された。また,表層圧縮比が高くなると曲げ強さ,湿潤時曲げ強さおよび吸水厚さ膨張率が大きくなることがわかった。水銀圧入法によりボード表層の細孔分布を調べた結果,熱圧締時に高い圧縮力がチップに負荷されると仮道管が変形して負荷された圧力を緩和するが,細孔は完全には閉塞せず,1㎛以下の細孔が開口しているため圧縮比が高くなっても十分吸水でき,吸水厚さ膨張率の原因であるスプリングバックを引き起こしていると考えられた。
著者
西村 竜一 末永 司 鈴木 陽一 田中 章浩
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.63-72, 2008-02-01 (Released:2017-06-02)
参考文献数
19
被引用文献数
1

近年,一定の音質劣化を許容した符号化法が多く開発されている。これらの技術にはマスキングなど比較的末梢系に由来する聴覚特性が用いられている。しかし,人間は音の知覚の際にこれらの技術に用いられている聴覚特性以外にも多くのものを利用していると考えられる。そのような高次機能も含めた聴覚処理機構によって音質劣化がどのように知覚されるのかを,音質劣化を直接評価する評定実験とSD法による印象評定実験によって解明することを試みた。その結果,音質劣化が大きくなると共に美的・叙情的因子,明るさ因子が低下することが分かった。また,一部の刺激では,直接的な評価によっては知覚されなかった音質劣化が,印象の差として知覚されている様子が観察された。
著者
野原 恵子 鈴木 武博 岡村 和幸 秦 健一郎 中林 一彦
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本毒性学会学術年会 第49回日本毒性学会学術年会
巻号頁・発行日
pp.S18-3, 2022 (Released:2022-08-25)

妊娠中の環境因子曝露が、子の成長後の各種疾患リスクを増加させるばかりでなく、孫世代や、それ以降の世代にも同様の影響をおよぼすという報告が増加している。ヒ素についても、オスが成長後に肝腫瘍を発症しやすい系統であるC3Hマウスにおいて、妊娠期無機ヒ素曝露を受けたF1オスを介して孫世代(F2)で肝腫瘍が対照群と比較して増加することがみつかっている。このような世代間の影響伝搬の分子メカニズムはまだほぼ未解明であるが、父性経由、すなわち精子を介する影響の伝搬は精子のエピゲノムが担うと考えられている。 代表的なエピゲノム因子であるDNAメチル化は、ヒ素の影響をうけることが1990年代から報告されている。そこで私たちは、F2への影響伝搬のメカニズム研究として、F1精子のDNAメチル化変化の次世代シークエンス解析を行った。その結果、妊娠期ヒ素曝露を受けたマウスの仔(ヒ素群F1)の精子では対照群と比較して全染色体でDNAメチル化が低下し、特にレトロトランスポゾンのLINEとLTRで低メチル化DNAの出現頻度が増加することをみいだした。 一方、生殖細胞のDNAメチル化は受精後いったんほぼ消去され再構成を受けることから、環境因子による精子のメチル化変化が受精後の胚に伝わるのかはこれまで不明であった。そこでヒ素群と対照群のF1オスをそれぞれ対照群雌と交配してDNAメチル化再構成後のF2胚を得、同様にDNAメチル化解析を行った。その結果、ヒ素群F2胚においても、F1精子と同様のDNAメチル化変化を検出した。 DNAメチル化はレトロトランスポゾンの有害な転移を抑制する役割をもち、メチル化低下はゲノム機能のかく乱につながりうる。本研究は、妊娠期無機ヒ素曝露によってF1精子でLINEやLTRの低メチル化がおこり、この領域のDNAメチル化変化が精子から次世代の胚に受けつがれることを示した。
著者
車 敬愛 鈴木 栄 石川 駿二 小池 洋男 荻原 勲
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.257-265, 2009 (Released:2009-07-25)
参考文献数
17
被引用文献数
6 6

3種のブルーベリーの栽培が可能な東京において,64品種・系統について生育と果実の成熟・品質の特性を3年間調査した.主成分分析の結果から,5倍体のサザンハイブッシュブルーベリー(SHB)‘Pearl River’を除いて,ラビットアイブルーベリー(RB)だけのグループとノーザンハイブッシュブルーベリー(NHB)とSHBの混合のグループに分類された.主成分分析のNHBとSHBの混合グループの下方に分布したSHBの品種は,果実が小さく,クエン酸含量が少なく,糖酸比は高く,リンゴ酸の割合が高い特徴を示した.また,収穫日と開花日および収穫日と着色開始日との間に正の相関関係が認められ,NHBについては,収穫日と1果重,収穫日と全有機酸含量,収穫日とクエン酸含量との間に正の相関関係が,収穫日と糖酸比との間に負の相関関係が認められた.さらに,考察ではブルーベリー育種において交配親として有用と予想される各品種の特徴を評価した.
著者
鈴木 啓文
出版者
日本映像学会
雑誌
映像学 (ISSN:02860279)
巻号頁・発行日
vol.100, pp.73-91, 2018-07-25 (Released:2019-03-05)
参考文献数
21

【要旨】 従来、映画のショック体験がしばしば論じられてきた。対して、本論は触発し変様する映画身体の体験を考える。そのためにまず、ショック体験やイメージの強度的体験を重視するドゥルーズの『シネマ』とドゥルーズ的な映画身体論を確認する。そのうえで本論は、ショックを体験する映画身体とは区別される、触発し変様する映画身体を論じるため、ドゥルーズの身体の映画論からスピノザ的な身体論を掘り起こし検討する。身体の映画論のカサヴェテス作品を論じた箇所などには、触発し変様するスピノザ的な身体を見出せる。だが、思考論が主題である同論では、身体の触発と変様の経験のあり方や可能性が映画身体論的な観点から十分に論じられていない。そこで本論は、身体の映画論に潜在する身体の触発と変様や情動の揺れ動きといったスピノザ的な諸論点を引き出し、ドゥルーズとスピノザの議論と共に吟味する。そして最後に、情動の揺れ動きの観点からカサヴェテス作品の身体の触発と変様を分析する。とりわけ同作品の身体の疲労における情動の揺れ動きに着目し、情動の複数的な触発がもたらす情動の感受の仕方、つまり身体の組成の根本的な変貌を論じることで、触発と変様という映画体験の可能性を示す。
著者
新堀 有佳 安川 生太 荒木 聡子 鈴木 梢 水野 智仁 高橋 紘子 古殿 孝高 稲川 利光 渋谷 祐子
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.47, no.10, pp.599-606, 2014 (Released:2014-10-28)
参考文献数
17
被引用文献数
4

透析患者が高齢化し透析期間が長期化する中で, 透析患者の日常生活動作の維持は重要な課題である. 今回われわれは, 維持透析患者に対しセルフエクササイズ形式のresistance exerciseによる透析中の運動療法を考案し, その効果を検討した. 透析中の血行動態が安定している当院外来透析患者を対象に運動療法を施行し, そのうち運動療法開始後6か月経過した9例を対象に解析を行った. 右大胸筋筋力・右大腿四頭筋筋力ともに有意差をもって増強を認め, また運動機能評価では速歩でのTimed “Up and Go” test (TUG), 普通歩行速度・最大歩行速度・30秒立ち座り・5回立ち座りで有意差をもって改善を認めた. 筋力増強や運動機能評価の改善を認め, 当院で施行した運動プログラムは有用であると考えられた.
著者
端 憲二 石川 雅也 鈴木 光剛
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.339-344,a1, 1996-04-01 (Released:2011-08-11)
参考文献数
12

農村で総合的に水質を保全するためのひとつの方法として湿地利用がある。本報では, 湿地が有する窒素除去機能および利用方法やその基本的な考え方について述べるとともに, 湿地模型を利用した窒素除去試験の結果を紹介しつつ, 浄化作用に影響する主な要因について解説した。湿地模型を用いた試験では, 滞留時間の増加に伴い, アンモニア態窒素除去率が上昇すること, 除去速度は濃度に依存することなどを明らかにした。一方で, 水温と日射量が水生植物の窒素吸収に影響を与えていることが示唆された。そこで, 日射および水温を加えた簡単な数理モデルを作成し, シミュレーションを行った結果, 現象を比較的精度良く再現できることがわかった。
著者
鈴木 啓三
出版者
公益社団法人 日本鋳造工学会
雑誌
鋳造工学 (ISSN:13420429)
巻号頁・発行日
vol.89, no.2, pp.80-84, 2017-02-25 (Released:2022-01-01)
参考文献数
9
著者
萬谷 隆一 堀田 誠 鈴木 渉 内野 駿介
出版者
小学校英語教育学会
雑誌
小学校英語教育学会誌 (ISSN:13489275)
巻号頁・発行日
vol.22, no.01, pp.200-215, 2022-03-20 (Released:2023-04-01)
参考文献数
110
被引用文献数
1

本研究の目的は,小学校英語教育学会での研究のあゆみを整理して俯瞰することで,これまでの研 究の成果と課題を明らかにし,今後の方向性を示唆することである。本研究においては小学校英語教 育学会の紀要・学会誌の論文を整理分類し,客観的にその傾向を見出すことに努めながらも,学問的 意義・実践的な意義の視点からの解釈を含めたナラティブレビューの手法を取った。『小学校英語教育 学会紀要』(第 1 号~第 11 号)及び JES Journal(Vol. 12~Vol. 21)に収録されている全論文(N = 242) を分析対象とし,タグ付けにより 19 の研究分野に分類した。また発行時期を,2008 年以前,2009~ 2017 年,2018 年以降の 3 期に分け検討した。分類の結果,最も多かったのは「教材」であり,次いで 「第二言語習得」が多かった。一方で,論文数が少なかったのは「特別支援教育」と「教師の発話」 であった。論文数の増減傾向から,4 つのタイプの研究分野が見受けられた。1)どの期間においても 一定の論文が投稿されていたカテゴリ(例:「指導法」「指導者」),2)どの期間においても論文数が少 なかったカテゴリ(例:「聞くこと」,「教師の発話」,「特別支援教育」),3)時代を経るにしたがって 論文数が増えているカテゴリ(例:「第二言語習得」,「教材」,「情意」),4)時代を経るにしたがって 論文数が減っているカテゴリ(例:「教員養成・研修」,「小中連携」)が見受けられた。
著者
森脇 義弘 鈴木 範行 杉山 貢
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.147-153, 2009-02-01 (Released:2011-12-23)
参考文献数
22
被引用文献数
3 3

はじめに:肝,脾,腸間膜損傷で出血性ショック合併の腹部外傷では,蘇生的緊急開腹術など外科手技の適応と緊急輸血の適応判断を迫られる.異型輸血を含む危険を内在する未交差赤血球製剤(uncrossmatched-red cell concentrate;以下,UCM RCC)緊急輸血の安全性と問題点を考案する.方法:過去5年間で,O型Rh+UCM RCCを含むUCM RCC緊急輸血を実施した腹部外傷を対象にUCM RCC輸血の実態と輸血関連インシデント・アクシデント回避の成否を検討した.結果:UCM RCC輸血は33例に54回,388単位実施され,準備UCM RCCは426単位で使用率は91.1%であった.出血源は肝臓13例,脾臓8例,腸間膜17例で,輸血前平均収縮期血圧は62.5 mmHg,脈拍数117回/分,ショック指数(脈拍数/収縮期血圧)1.97,base excessは−12.7 mEq/l,7日生存例は48.5%であった.血液型判定(blood typing test;以下,BTT)未判定でのO型UCM RCC輸血は17例(21回,168単位),うち非O型への輸血は11例(14回,120単位)であった.1回のBTT後のO型UCM RCC輸血は8例(12回,96単位),うち非O型への輸血は4例(7回,54単位)で,1回のBTTでの非O型症例への未確認同型UCM RCC輸血は15例(20回,120単位)であった.O型UCM RCC輸血全体に年度別増減はなかったが,1回のBTTでの非O型への未確認同型UCM RCC輸血は減少した.ABO型不適合輸血,輸血に関わるインシデントはなかった.考察:UCM RCC輸血では,院内マニュアルを整備したうえでのO型UCM RCCの使用は安全と考えられた.