著者
鈴木 博人
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.8, pp.22-00278, 2023 (Released:2023-08-20)
参考文献数
13

鉄道には,なだれ防止林という雪崩による運転支障や列車事故を防止するために設置された防災設備がある.本研究では,上越線と米坂線を対象になだれ防止林の雪崩防止効果を評価した.両線区では,雪崩発生件数は1960年代前半に減少側に不連続的変化(ジャンプ)したが,年降雪深および年最大積雪深に減少側へのジャンプがみられるのは1980年代半ばまたは後半である.一方,両線区では開業後の1930年代から設置されてきたなだれ防止林の多くは,雪崩発生件数が減少側にジャンプした1960年代前半に所期の機能を発揮し始めたと考えられる.また,雪崩発生件数のジャンプ以前では,雪崩発生件数と降積雪量との正の相関が強い.これから,雪崩発生件数が1960年代前半に減少側にジャンプしたのは,なだれ防止林の効果であると評価できる.
著者
鈴木光司著
出版者
小学館
巻号頁・発行日
2015
著者
鈴木光司著
出版者
小学館
巻号頁・発行日
2019
著者
小川 七世 菅野 重範 成田 渉 鈴木 匡子
出版者
日本神経心理学会
雑誌
神経心理学 (ISSN:09111085)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.152-163, 2021-09-25 (Released:2021-10-13)
参考文献数
64
被引用文献数
1

LPAの臨床診断基準が2011年に発表されてから約10年が経った.この間,LPAに関する英語論文は400本を越える.しかし中核症状に喚語困難と復唱障害という失語症ならば多くに認められる症状が挙げられていることもあり,臨床の現場においてLPAは,特徴的な言語症状を見出しづらく,いまだにわかりにくい概念であるといえよう.よって本論では,まず日本語話者の既報告からLPAの言語症状の特徴を整理して示す.また経過とともに出現してくる,言語症状および言語以外の症状についても言及する.最後に,最近の話題であるLPAとDLBの関係や,新たな診断基準に向けた動きについても紹介する.
著者
岩井 啓一郎 辻 博 鈴木 統久 東 晃一 藤島 正敏
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.39, no.12, pp.919-923, 1998-12-25 (Released:2010-02-22)
参考文献数
10

経過中に抗核抗体が消失, 再出現しステロイド治療が無効であったautoimmune cholangiopathy (AIC) の1症例を経験したので報告する. 症例は38歳, 女性. 1990年5月に全身倦怠感が出現. 初めて肝機能障害を指摘され, 精査目的で8月13日当科入院. 入院時, アルカリフォスファターゼ1686 IU/l, γ-GTP 1135 IU/lと胆汁うっ滞を認め, 抗核抗体は初診時のみ陽性で, 入院時には陰性化していた. また, 抗ミトコンドリア抗体, 肝炎ウイルスマーカーは全て陰性であった. 1991年より掻痒感が出現. 1992年より抗核抗体が再出現しプレドニゾロンを投与したが肝機能検査に変化はみられなかった. 1994年にも再びプレドニゾロンを投与したが, 肝機能検査に変化はみられなかった. 本症例では, 肝生検組織で小葉間胆管が消失し, 胆管病変が進行したAICであったためステロイド治療が無効であったと考えられた.
著者
鈴木 尚登 花岡 茂樹 森瀧 亮介 柳浦 良行
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.75, no.2, pp.97-100,a1, 2007-02-01 (Released:2011-08-11)
参考文献数
6

可知氏が国営第1号の巨椋池干拓の初代所長に就任してから4年間, 毎日, 書き綴った「作業日誌」をベースにして, 氏が著した「農業水利学」および地元新聞に掲載した「平易解説」等も参考に, 巨椋池干拓とはどの様な事業で作業日誌は何のために書かれたのか等を考察する。
著者
鈴木 民夫 穂積 豊 岡村 賢
出版者
山形大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

蒙古斑は生下時より認められることや民族によって発生率が大きく異なることから、その形成には遺伝子が大きく関わっていると考えられる。そこで、我々は蒙古斑関連遺伝子を明らかにするために同一家系内に蒙古斑を持つ子供と持ってない子供が存在する蒙古斑形質が分離している4家系(モンゴル3家系、日本1家系)見つけ、その構成員計41人より遺伝子を提供してもらった。そして、得られたgenomic DNAを用いて連鎖解析を行なった。しかしながら、蒙古斑関連遺伝子の染色体上の位置を特定することができなかった。親の蒙古斑に対する記憶があいまいであり、Ascertainment biasの存在があると考える。
著者
宮城 弘守 鈴木 修
出版者
一般社団法人 日本風工学会
雑誌
風工学シンポジウム論文集 第20回 風工学シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
pp.28, 2008 (Released:2008-12-03)

北海道室蘭市沖に発生した竜巻の写真を撮影情報を利用して分析し、一箇所から撮影した写真からでも竜巻までの距離や寸法を計測できることを示した。竜巻は沖合い約10.2kmに見える水平線付近に発生していたことなどが分かったが、竜巻等の位置を水平線との小さな角度差から推定するため、撮影高度が低いと精度が低下することに留意する必要がある。
著者
鈴木 佐俊 小林 学 後藤 正幸
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.74, no.2, pp.63-76, 2023-07-15 (Released:2023-08-15)
参考文献数
29

家庭用電力消費量データには世帯単位の生活スタイルの情報が含まれており,耐久消費財や世帯向けサービスのマーケティングに有用な情報である.しかし一般的に電力消費量はスマートメータで主幹電力のみが検針されており,家電製品の稼働状態は推定する必要がある.従来ディスアグリゲーション技術を用いて各家電製品の電力消費量を推定する試みはいくつか研究されているが,追加センサが必要になるなど実用上はコスト面の問題が存在した.これに対し,本研究ではマーケティング用途に特化した世帯属性情報として観測された主幹電力データから家電製品の稼働・非稼働を推定することに特化した問題を定型化し,混合正規分布を用いてスナップショットでの状態推定モデルを提案する.またシミュレーション実験により,提案モデルが実用上有効な正解率を有していることを示すとともに,推定のインプットとなる機器状態の事前確率分布と提案手法との関係性について示す.本モデルは追加センサを必要としない,低いコストでマーケティングに利用可能な世帯のエネルギー消費傾向情報を得る世帯属性の推定方法であり,エネルギー事業者にとって世帯を対象とした省エネ推進等の施策のための基礎情報として活用が期待できる.
著者
加瀬沢 信彦 鈴木 啓吾
出版者
一般社団法人 日本総合健診医学会
雑誌
日本自動化健診学会々誌 (ISSN:0386135X)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.125-135, 1981-12-20 (Released:2010-09-09)
参考文献数
15
被引用文献数
1 1

成人健診における実用的な肥満判別法について検討を行ない, 次の知見が得られた。1.身長別に標準体重を推定する従来の各種方法 (算出式や表) は, 性, 年齢, 異常データの混入状態など標本集団の不均質に基づく要因によって常に一定の指標が得られないという欠点があり, 肥満指数として普遍妥当性に乏しい。2.三種の体格指数 (W/H比, W/H2, W/H3) を健常成人データを用いてその実用性を比較すると, W/H比が体重との相関が最も強く, 年齢や身長の影響を受けにくく, かつ算出が容易であるという点において, 肥満度指標として最適であった。3.W/H比の健常成人のヒストグラムは男女とも正規分布とみなし得るので, パラメトリックな統計処理が可能である。すなわち, 著者らは平均値を中心として, 1S.D.間隔ごとにW/H値を区分し, 7段階の肥痩判定を行う方法を考案したが, これは統計学上, 利便を有するものである。4.W/H比の基準分布は“健常者集団”から容易に算出される。著者らは最近5年間のデータから, 20~75歳の人間ドック健常者を対象として男子33~41, 女子30~38のW/H基準値 (平均値土1S.D.) を得たが, 実用的な基準値の設定にあたっては, 性, 年齢, 地域, 時代, 種族等を考慮して決められることが望ましい。その場合, W/H値自体は共通の指標として相互比較が可能である。5.W/H判定法に皮下脂肪厚測定を組合せることにより, 成人肥満のスクリーニングとしての信頼性がさらに向上する可能性が示唆された。(本論文の要旨の一部は, 第8回および第9回日本自動化健診学会学術大会, 並びにExcerpta Medica-ICS 539 (1981) に報告した。)
著者
齊藤 拓馬 原田 広史 横川 忠晴 大澤 真人 川岸 京子 鈴木 進補
出版者
公益社団法人 日本金属学会
雑誌
日本金属学会誌 (ISSN:00214876)
巻号頁・発行日
vol.86, no.9, pp.157-171, 2022-09-01 (Released:2022-08-25)
参考文献数
80

Series of Ni-base single-crystal superalloys with superior thermal durability have been developed to improve thermal efficiency of gas turbine systems. Microstructural transition during creep so called “raft structure” formation enhances creep properties at lower stress and higher temperature condition. Furthermore, larger perfection degree of the raft structure contributes to better creep properties under the same creep condition. To control the perfection degree of the raft structure, magnitude of a lattice misfit and an elastic misfit between γ and γ′ phases should be controlled. In the current situation, the lattice misfit can be controlled by using alloy design program NIMS has developed. In this review, we focused on the role of the raft structure in alloy design. Observation results and predicted mechanisms about strengthening by the microstructural transition, in addition to the mechanism about microstructural transition itself during creep, were summarized and explained. Finally, under these recognitions mentioned above, our effort to establish a new alloy design approach to control the perfection degree of the raft structure by modifying the elastic misfit was introduced.
著者
鈴木 創 中村 陶子 長谷川 亮 形山 憲誠 住友 秀孝 小林 重雄 布村 眞季 小泉 博史
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.41, no.5, pp.329-334, 2008-05-28 (Released:2008-11-26)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

53歳,女性.10年間の維持透析歴あり.偶然,高レニン・高アルドステロン血症を指摘され入院.血漿アルドステロン濃度は40,080pg/mLと著明高値を認めた.右副腎腫瘍を認め各種内分泌的検査結果より,腎細動脈硬化によるレニン上昇とアルドステロン産生副腎腺腫による原発性アルドステロン症の合併と診断した.右副腎摘除術施行.術後,血漿アルドステロン濃度は低下した.慢性腎不全患者においては,時に著明な高アルドステロン血症を呈する例が散見される.腎不全の病態においては,各種のアルドステロン分泌抑制因子が減弱することから適切なネガティブフィードバック機構が作用せず,より高値をとりやすいと考えた.また維持透析患者ではアルドステロン測定系に干渉する物質が存在すると思われ,その評価は慎重に行う必要がある.
著者
新屋 徳明 田中 翔太 山内 康太 後藤 圭 鈴木 裕也
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.524-531, 2023-08-15 (Released:2023-08-15)
参考文献数
20

今回,重症熱傷後に両下腿切断となり,不安・抑うつやPTSDの危険性が高まっている高齢患者を経験した.さらに,コロナ禍による面会制限によって,家族の不安感も増強していた.そのため,本事例と家族双方への精神的支援の目的として交換日記を開始した.その結果,本人の不安・抑うつの改善やPTSDの危険性は低下し,また家族の不安感の軽減にもつながっていた.その後は,リハビリに対して前向きに取り組むことが可能となり,良好な経過を辿り,最終的に自宅退院に至った.交換日記は,熱傷後の精神・心理的状態における精神的支援や,コロナ禍による面会制限がある中での情報共有の手段の一つとして有用な可能性が示唆された.
著者
長嶺 晋吉 久我 達郎 山川 喜久江 鈴木 慎次郎 鈴木 一正
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.17, no.6, pp.227-232, 1959 (Released:2010-10-29)
参考文献数
9

健康な男子4名を被験者として, 1日の生活行動を規定した所要熱量の約30%に当る熱量をアルコールで日本酒にして約1l (アルコールとして121g, 858Calを含む) を毎日10日間にわたつて与え, 体重推移の上から熱量出納に基いてアルコールのエネルギー利用価を検討した。その結果を要約すると, 次の如くである。1. 一定の所要熱量下で糖質に替えアルコールを与えた1週間後には体重は平均約1.0kgの減少を来たし, その減少は投与アルコール量の約1/3に当る熱量を糖質で補うことによつて元の体重に復した。この結果を熱量出納に基いて計算するとアルコールのエネルギー利用価は約65%となつた。2. アルコールの1日尿中排泄量は投与アルコール量の1.1%であつた。3. 1日尿量は対照期の平均1740ccに対しアルコール投与期には2320ccに増量した。4. アルコール投与期間基礎代謝は平均約8%の上昇を示した。
著者
鈴木 雄 日野 智
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.673-679, 2016-10-25 (Released:2016-10-25)
参考文献数
17
被引用文献数
7

本研究では、秋田市のタクシー利用に対する価格感度やタクシー利用の満足度について分析を行った。分析の結果、タクシー利用者は現在のタクシー運賃について満足していないことが明らかとなった。また、タクシー運賃はタクシー利用の総合満足度に与える影響も大きいことが明らかとなった。つまり、タクシーの運賃は改善することが求められる。価格感度に関する分析では、タクシーの初乗り運賃について「安い」と「高い」のバランスが取れている「基準価格」が647円となった。これは現行の710円よりも低い値である。つまり、タクシー利用者は現行の初乗り運賃である710円に割高感を持っていることが示された。しかし、免許返納割引や障害者割引により運賃が1割引になった場合には、割高感は解消されることが明らかとなった。また、タクシー利用の満足度が高い人ほど運賃に対して割高感を持たないことも明らかとなった。今後は、タクシー運賃の値下げを検討するとともに、接客態度や社内の清潔性・快適性の確保などによる満足度の向上も重要であることが示された。