著者
山口 博明 椎貝 典子 三ッ林 恭子 大鹿 栄樹 岡田 文寿 三ッ林 隆志 佐々木 望 伊勢谷 修 宮前 達也 鈴木 五男 赤坂 徹
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.46, no.10, pp.1052-1057, 1997
被引用文献数
5

吸入療法は気管支喘息の治療において重要な治療法の一つとなっている。吸入療法の有効性を明らかにするため, 粒子の生成状況の異なる吸入器4種 (日商式, Pari-Boy, Pari-Master, Atom Soniclizer 905) を用いて, 肺吸入シンチグラフィーによって肺内沈着率を比較検討した。99mTc-DTPAエアロゾルによる吸入分布は, 4機種とも口腔内に多く, 肺内分布が日商式に少なかった。肺内沈着率は, 日商式が10.4±5.8%, Pari-Boyが27.5±14.5%, Pari-Masterが28.5±6.5%, Atom Soniclizer 905が31.1±6.8%で, Pari-Master, Atom Soniclizer 905が, 日商式より有意に多く沈着していた。以上, 肺内沈着率により評価すると, 粒子径が5μm以下を生成する吸入器のPari-Boy, Pari-Master, Atom Soniclizer 905が優れており, 吸入器の粒子径の大きさが治療において重要である事が示唆された。
著者
佐藤 良三 鈴木 伸洋 柴田 玲奈 山本 正直
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.689-694, 1999-07-15
被引用文献数
6 10

瀬戸内海・布刈瀬戸の産卵場周辺の三原市幸崎沖で, ディスク標識を装着した197尾のトラフグ親魚を1994年と1995年の5月中旬に放流した。瀬戸内海では放流後6カ月以内に計14尾が再捕されたが, 多くは放流直後に周辺海域で再捕され, 以後西方の海域へ移動した。外海域では放流1∿22カ月後に11尾が玄界灘∿黄海, 志布志湾などで再捕された。翌年の産卵期に布刈瀬戸の産卵場周辺海域で計10尾が再捕され, 走島沖の2尾を除き, 他の産卵場と関係した再捕報告はなかった。この2尾が備讃瀬戸へ回遊した可能性はあるが, 布刈瀬戸への回帰性も否定できない。以上の結果から, トラフグは産卵場への回帰性を有すると判断された。
著者
鈴木 治 山野 紳二郎 小西 裕和 海野 洋 猪俣 誠
出版者
公益社団法人石油学会
雑誌
Journal of the Japan Petroleum Institute (ISSN:13468804)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.207-213, 2002-07-01 (Released:2008-10-15)
参考文献数
20

Vacuum distillation unit (VDU) など, 残さ油の処理装置における加熱炉のコーキングでは, 油の安定性がその促進要因の一つであると考えられている。油安定性からコーク付着を予測する手法を確立するための第1段階の研究として, この論文では, 小型実験装置を用いた実験によって, 中東系常圧残さ油のアスファルテン凝集と加熱炉管のコーク付着傾向との関連を調べた。実験ではVDUの深絞りの領域となる450°C程度までの流体出口温度が達成されるように試験片を加熱して原料油を供給し, コーク付着速度と原料油ならびに通油後の油の性状を測定した。コーク付着に関しては, SUS304ステンレス鋼と, 比較のために加熱炉管材質として採用されているクロムモリブデン鋼 (5Cr-1/2Moあるいは9Cr-1Mo) も検討した。コーク付着速度は材質によらず試験片の加熱温度とともに指数関数的に増加した。材質間の付着速度はクロムモリブデン鋼よりもステンレス鋼の方が幾分抑制される結果となった。アスファルテンの凝集性の評価は, Heithaus 法に準じ, P値を測定することによって行った。P値はその値が小さいほど油が不安定であり, アスファルテンが凝集してコーク前駆体を形成しやすいことを示す。この油の安定性の評価では, 通油後の油のP値が流体出口温度とともに逆に大きくなることが示された。通油後の油におけるP値の増加は, コーク付着によって流体から不安定なコーク前駆体が除去され, 油が安定化したために生じた変化と考えられる。以上の結果は, 原料油と通油後の油のP値およびコーク付着傾向の評価が加熱炉管のコーク付着の指標として利用できる可能性を示している。
著者
鈴木 悦子 小川 貴英
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1995, no.42, pp.1-8, 1995-05-17
被引用文献数
2

計算機教育にプログラミング演習は欠かせないものである.しかし,演習授業では教師1人に対する学生の人数が多いため学生全員に目が届かない.以前我々は,学生のエディタへのキー入力の種類や,コンパイラのメッセージから,演習中にどの学生が行き詰まっているか,あるいは教師の助言を必要としているのは誰かということを抽出し,モニターすることを試みた.本研究では,キー入力の種類ではなくキーコードを収集,解析することで,学生がどのようにエディタを使い,プログラミング演習をしているかが把握できることがわかった.A programming writing class is indispensable to computer science education. However, it is hard to monitor all the students's progress on programming exercises in the class, when the number of students becomes large. We developed a system for monitoring the students's progress to assist a teacher. The system collects all inputs to a text editor, which students use for writing programs and invoking compiler. Our analysis of the collected data suggests that the data can indicate several behavior patterns, which suggests the type of the knowledge that students lack and the assistance that they need.
著者
鈴木 幹三 岸本 明比古 山本 和英 足立 暁 山本 俊幸
出版者
Japanese Society of Chemotherapy
雑誌
CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
巻号頁・発行日
vol.34, no.10, pp.1004-1010, 1986

Ceftizoxime500mg (力価) を含有する新規の抗生物質坐剤CZX-Sの高齢者における体内動態および尿路感染症に対する有効性・安全性について検討し, 次の成績を得た。<BR>1) CZX-S500mg1回投与後の血清中濃度の平均は投与後30分で0.93μg/ml, 1時間で1.31μg/ml, 6時間後は0.40μg/mlであり, 半減期3.02時間であった。<BR>2) 尿中濃度は0~2時間37.9μg/ml, 2~4時間86.8μg/ml, 4~6時間43.0μg/mlであり, 投与後6時間までの平均尿中回収率は2.15%であった。<BR>3) 臨床成績は有効9例, やや有効2例で, 有効率81.8%であった。<BR>4) 細菌学的効果では, 13株中7株が菌消失し, <I>E.coli, E.aggiomerars</I>などに有効であった。<BR>5) 副作用は認められず, 臨床検査値異常は, 好酸球増多2例であった。<BR>以上の成績より, CZX-Sは抗生物質の経口または静脈内投与に制約・困難が伴う高齢者の尿路感染症に対し有効な薬剤と考えられた。
著者
熊坂 治 鈴木 定省
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.219-226, 2014 (Released:2014-11-14)
参考文献数
14

知識データを有効活用するために,対象分野の情報を体系的に集約したポータルサイトが普及している.これを効果的に機能させるためには,検索や参照を経由したユーザーからのアクセスを活性化することが重要である.本研究では,経営工学的情報提供を企図したポータルサイト「ものづくり革新ナビ」を事例として,サイトへのアクセス数に影響する要因を検証することで,集合知メカニズムを活性化するための指針を得ることを目的とする.事例調査の結果,サイト内におけるコンテンツ数の増加や,Facebook,メールマガジンによる情報発信がサイトへのアクセス数増加に結びついていることが検証された.またいずれの方策においても,コンテンツ内容が訪問者に有用であることの重要性が示唆されている.
著者
村中 陽子 足立 みゆき 吉武 幸恵 鈴木 小百合
出版者
順天堂大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

医療に於いて、患者の安全は最優先課題である。しかし、ヒューマンエラーによる事故報告は後を絶たない。そこで、現実に起きた事故の分析結果を反映させた事例を作成して、危険予知能力の向上を目的としたe-learning用の教材を開発した。開発したシミュレーション型Web教材は、転倒のリスクが潜む患者2事例、メディケーション・エラーのリスクが潜む看護場面3事例から構成される。学習コースは次の特徴を持つ。(1)随所にリスクの判断を求め、判断内容を自ら入力させることにより主体的学習を促す。(2)解説は、学習者の判断の適切性や十分性を考えさせると共に、一般的知識に繋がるように提示している。(3)判断すべきリスクに対して、適切な対処方法を提示している。(4)危険予知に関するQ&Aにより、知識の強化を図っている。(5)最後に、学習を振り返り、その時点の自分のリスク感性についての評価を入力させることにより、その後の学習で自己のリスク感性の高まりを確認できるようにしている。次に、運用評価を新人ナースと看護学生を対象に行い、システム上の「アンケートに回答する」に入力された内容を分析し、その効果をみた。学習の結果、危険予知に関して知識・観察力が不足していることに気付いた、今後このような場面に遭遇したときの対応を考えることができた、危険がひそんでいるところを見逃していることに気づいた、学生の実習にも看護師の仕事にも生かせる教材だと思った、等の評価が得られた。本システムは新人ナースと看護学生の両者にとって効果的であることを確認した。その要因は、シミュレーションを通して、タイムリーなフィードバックが与えられ自己の傾向をリフレクションすることができるプログラム構成であることが大きいと考える。また、勤務シフトに影響されずに学習できるe-learning環境は主要なファクターであると言える。
著者
鈴木 脩司 石田 貴士 秋山 泰
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:18840930)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.20, pp.1-6, 2010-12-09
被引用文献数
1

近年,DNA 配列等の配列決定技術の向上により高速に配列データを得ることが可能となった.これにより DNA 配列及びタンパク質配列のデータベースのデータ量が爆発的に増加している.このため大量の配列データに対して巨大な DB への相同性検索を行う機会が多くなってきてる.しかし,大規模なデータを用いた相同性検索では,BLAST など従来のツールでは解析が間に合わないという問題がある.本研究では Suffix Array を用いてクエリのインデックスを,FM-index を用いて DB のインデックスを構築し,これらのインデックスを用いてミスマッチをある程度許して短い領域で高いスコアとなる部分を見つけ,その部分の周辺をアラインメントするアルゴリズムを提案した.その結果,従来用いられてきた BLAST 以上の精度を保ったまま,約 10 倍の高速化を達成した.In recent years, a lot of biological sequence data can be determined easily and the size of DNA/protein sequence databases is increasing explosively because of the improvement of sequencing technologies. However, such a huge sequence data causes a problem that even general homology search analyses by using BLAST become difficult in terms of the computation cost. Therefore, we designed a new homology search algorithm that finds alignment candidates based on the suffix array of queries and the FM-index of a database. As results, the proposed method achieved about 10-fold speed up than BLAST.
著者
鈴木 丈一郎 清水 伸宏 千 錫男 曽 振江 藤井 美弥 伊藤 嘉彦 関 規子 渡辺 孝章 新井 高 中村 治郎
出版者
特定非営利活動法人日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.929-938, 1992-12-28
被引用文献数
16 2

本研究は,代表的な電動歯ブラシ4種と手用歯ブラシ1種のプラーク除去効果とブラッシング圧について比較検討した。実験は,被験者に本学保存科医局員15名を用い,ブラッシングを行わせ,前後のプラークのスコアーを測定し,プラーク除去率を算出した。ブラッシング圧は渡辺のブラッシング圧測定装置を一部改良し測定した。また,術前術後のO'Learyらのプラークスコアーと為害作用などについてのアンケート調査を行い以下の結果を得た。(1)プラーク除去率は,各種歯ブラシ間に統計学的に有意差は認められなかった。(2)ブラッシング圧は,パワーハブラシ^[○!R]とINTERPLAK^[○!R],プロクトレギュラー^[○!R]とINTERPLAK^[○!R]間に,有意差が認められた(P<0.05)。(3)電動歯ブラシでも,隣接面のプラーク除去は不十分であった。(4)振動型の電動歯ブラシに比べ反転型のほうが歯肉に擦過傷を起こし易かった。
著者
鈴木パーカー 明日香 日下 博幸
出版者
日本生気象学会
雑誌
日本生気象学会雑誌 (ISSN:03891313)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.59-72, 2015-03-10 (Released:2015-04-14)
参考文献数
33

暑熱指標 WBGT(wet-bulb globe temperature)に基づき,将来の日本の暑熱環境予測を行なった.これに先立ち,全国の官署データを基に 1991–2010 年 8 月を対象とした現状把握を行った所,現在の日本はすでに厳しい暑熱環境にあることが示された.特に関東以西の地域では 8 月の日中平均 WBGT 気候値が 26℃以上となっているが,これは日本生気象学会等が定める熱中症指針では「警戒レベル」に相当する.比較的冷涼な札幌や仙台などでも,WBGT 値が「危険レベル」に達することもあるという結果が得られた.将来予測は 21 世紀末の 20 年間をターゲットとし,全球気候モデルによる予測データを領域気候モデルによって高解像度化する力学的ダウンスケール手法を用いて行なった.その結果,将来の暑熱環境は現在よりさらに悪化し,特に中部以西の多くの地点で 8 月中 20 日以上が「危険レベル」(日最高 WBGT≧31℃)になると予測された.予測 WBGT 昇温量は東北地方で大きく,例えば将来の秋田市は現在の大阪市のような気候になる可能性が示唆された.
著者
峯川 洋己 稲崎 一郎 中村 誠 鈴木 繁 上間 丈司 横田 秀雄
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. C編 (ISSN:03875024)
巻号頁・発行日
vol.66, no.646, pp.2054-2059, 2000-06-25
被引用文献数
4

The cooling lubricants are still widely used for machining operation today to extend the tool life and to improve the quality of the machined surface. However, due to increasingly strict regulation aiming at controlling environmental pollution, the costs of using cooling lubricants are rising. It is, therefore, necessary to reduce the amount of cooling lubricant used in production lines. The logical step which can be taken to avoid the environmental problem is dry machining. But sometimes dry machining is not possible due to manufacturing process aspects, such as extensive tool wear and insufficient surface quality. To solve those problems, this study proposes cutting with minimal quantity lubrication(MQL), which is able to achieve the function of the cooling and lubrication with an extremely low consumption of lubricants and great amount of air flow. In this paper, the mechanism of the MQL system is introduced and by using this system, milling provess on carbon steel and aluminum alloys is tested to see the effectiveness of the MQL method.
著者
鈴木 亜嵐 小林 清輝
出版者
The Vacuum Society of Japan
雑誌
Journal of the Vacuum Society of Japan (ISSN:18822398)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.197-199, 2014

We investigated the influence of the work function of metal gate electrodes on the current component induced by exposing silicon nitride-silicon oxide double-layer films to high-energy ultraviolet (UV) illumination. Prior to UV exposure, the conduction current under negative gate bias through an aluminum-nitride-oxide-silicon structure was larger than that through a mercury-nitride-oxide-silicon structure. In these structures under negative gate bias, it has been considered that electrons injected from the metal electrodes into the nitride films dominate the conduction current. Hence, the experimental result can be explained by the notion that the probability of electron injection into the nitride film from the aluminum electrode is higher than that from the mercury electrode because of the difference of the work function between the two kinds of metals. After UV exposure, the conduction current under negative gate bias through both the structures were almost identical to each other. This result reveals that the current component after exposure to UV illumination is dominated by charge carriers generated in the bulk of the nitride film.<br>
著者
鈴木 悟史 吉井 正広 中西 洋喜 山隅 允裕 小田 光茂 上田 敦史 渡邊 恵佑 加藤 裕基 星 亜友美 西田 信一郎
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.81, no.824, pp.14-00298-14-00298, 2015 (Released:2015-04-25)
参考文献数
15
被引用文献数
2

Image processing is one of the methods used to measure position/attitude for robot control and there are hopes that it can be applied to space robot missions, including REX-J (Robot EXperiment on ISS/JEM). The REX-J mission involves space robot locomotive function experiments using tethers by JAXA. Measuring the robot's motion accurately is crucial to establishing the new locomotive technology using tethers. With conventional methods, a suitable illumination environment is configured for high-precision image processing and a characteristic marker is attached to the measurement object. However, the two challenges posed for image processing during the REX-J mission are: (1) the illumination of space changes significantly with orbital motion and (2) the robot lacks a characteristic marker. Accordingly, our purpose is to develop a marker less image processing method for the illumination environment of space and measure the robot's position/attitude of the REX-J mission by image processing. The proposed new image processing method involves creating virtual points are created at the intersection of the robot's edge in the image, which are then used as markers for image processing. This method is robust for changes in the illumination environment because it allows the creation of a virtual point, even if the edge is incomplete. The method is applied to the REX-J mission and the measurement accuracy of the robot's position/attitude in the illumination environment of space was confirmed as on the sub-pixel level. Subsequently, the position/attitude of the robot during movement by tethers was measured by image processing. In addition, the error in the robot's position/attitude, as estimated from the length of the tethers, was clarified by the image processing result. Based on these results, the robot's locomotive function by the REX-J mission was verified.