著者
鈴木 知道 玄地 裕 飯塚 悦功 小宮山 宏
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.383-391, 2001-06-30
被引用文献数
8

東京都で発生しているヒートアイランド現象に対し, 統計解析的アプローチをとることによって, 真夏の東京都の気温が地域と時刻によってどのように変化するのかを明らかにした. 着目したのは気温日変化パターンであり, 解析には東京都各所100地点において観測された1時間間隔のデータを4日分用いた. 統計解析手法の一つである主成分分析をこのデータに適用した結果, 気温日変化パターンの変動を代表する特性値である3つの主成分が得られた. 3つの主成分の吟味から, これらは気温レベル, 気温の日較差, 気温変化の緩急を表しているといえる. そして観測された100地点に対し, 主成分分析の解析結果をもとにグループ化を行った. その結果, 観測地域をそれぞれ特徴を持つ7つのグループに分類できた. また, 同時期のアメダスのデータを用いて解析の妥当性を検証した.
著者
岩瀬 亮 鈴木 茂樹 中 貴俊 山田 雅之 遠藤 守 宮崎 慎也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.242, pp.59-62, 2007-09-27

著者らの研究グループではこれまでに解経路探索に基づく知恵の輪の難易度の定量的評価を行ってきた.この研究では知恵の輪の解経路から特徴量を算出し難易度を求め,さらに被験者実験との比較を行い妥当性を検証した.既存の知恵の輪のデザイン手法の多くは試作を重ねるという方法で経験や勘によるところが大きい.そこで,解経路と難易度の関連性に基づく難易度を考慮した知恵の輪デザイン手法を提案する.これは一方の知恵の輪と難易度を考慮した解経路を作成し,その解経路を辿ることにより求められる軌跡からもう一方の知恵の輪を作成するという手法である.
著者
小出来 一秀 柏瀬 俊夫 鈴木 龍太郎 有本 好徳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.527, pp.37-42, 2000-12-15
被引用文献数
1

多数の低高度衛星から構成される低軌道衛星間リンクにおいて, 従来の電波通信の代わりにレーザを用いた光通信を行うことが検討されている.低軌道衛星間リンクでは, 自機の周りの複数機間で光通信を行うことが想定されており, 1衛星に複数の光通信捕捉追尾装置が搭載されるため, 装置の小型・軽量化が必須となる.さらに, 隣接軌道面間リンクにおいては, 相対角速度, 必要駆動範囲が大きくなるため, 捕捉追尾装置の粗駆動機構の高速化, 広駆動範囲化が求められる.これら2つの要求に合致するものとして, クーデパス式光アンテナ結合方式がある.本報告は, 試作したクーデパス式光アンテナの構成, および性能評価試験結果について述べる.
著者
小城 明子 鈴木 亜夕帆 鈴木 彰 鄭 鍾千 西澤 光輝 渡邊 智子
出版者
日本きのこ学会
雑誌
日本きのこ学会誌 : mushroom science and biotechnology (ISSN:13487388)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.119-124, 2004-10-30
被引用文献数
4

ブナシメジの収穫後子実体を5℃の暗所で14日間に渡って保存し,貯蔵期間(7日および14日)における生重量,形態,物性,および色などの変化を調査した.貯蔵期間が長くなると,子実体は傘が大きく柄が細くなった.傘の物性は貯蔵により,しなやかさおよびかみごたえを増し,柔らかさおよび脆さを失った.傘の色は,貯蔵7日目では明度と彩度が増して鮮やかな明るい黄色を呈し,貯蔵14日目では明度と彩度が低下し暗いくすんだ黄色になった.傘の水分含有率は,貯蔵14日目で増加した.以上から,ブナシメジの食品としての品質は,5℃での貯蔵では,貯蔵7日目までとそれ以降で異なることが客観的評価法を用いることによって判明した.
著者
鈴木 啓助 石井 吉之 兒玉 裕二 小林 大二 Jones H.G.
出版者
北海道大学
雑誌
低温科学. 物理篇 (ISSN:04393538)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.93-108, 1993-03
被引用文献数
6

融雪におよぼす森林の影響を検討するために,カナダ東部北方針葉樹林地において,融雪水の流出機構に関する調査を行なった。森林内外に気象・融雪に関する観測機器を設置し,その他の測定方法も内外で同一にして調査を行なった。その結果,森林内外の降水中のNH_4^+とNO_3^-の窒素化合物濃度については林内で林外より低濃度になっており,生物活動による化学変化および消費が推察された。また,積雪下面融雪水中の溶存物質濃度は,林外でのみ日変化が明瞭であり,日変化のパターンはH^+とNO_3^-が同じで,Ca^2^+とSO_4^2-はそれと逆の変動パターンを示す。林外での積雪下面融雪水の水量とH^+濃度による流出成分分離の結果,各融雪日の融雪初期には,積雪下層の積雪内部融雪水が,押し出し流によって流出し,その後に積雪表面から供給された当日の融雪水が流出すると考えられる。
著者
津志田 藤二郎 鈴木 雅博 黒木 柾吉
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.41, no.9, pp.611-618, 1994-09-15 (Released:2011-02-17)
参考文献数
35
被引用文献数
16 77

リノール酸の自動酸化物がβ-カロチンを退色させることを利用し,その退色の防止活性を指標とした抗酸化性の測定法を用いて, 43種の野菜の80%メタノール抽出液の抗酸化活性を測定し,以下の結果を得た.(1) BHAの抗酸化活性と比較し検討したところ,シュンギクやショウガ,アスパラガス等13種は, BHAが生鮮重100g当たり25mg以上含有されていることに相当する程の活性を示すことが分かった. BHA 5mg/100g以下に相当するものは,カボチャやキウリ,カブ,キャベツ等13種であった.(2) 野菜抽出液のポリフェノール含量と抗酸化性の相関性を検討したところ, 43種の野菜でr=0.7694となり,相関性があることを明らかにした.(3) 比較的抗酸化性の強い3種の野菜の抗酸化性成分をHPLCで分取し,質量分析計等で解析したところ,アスパラガスではルチン,ショウガではヘキサヒドロクルクミンとジンジェロールが同定された.一方シュンギクでは, 3, 5-ジカフェオイルキナ酸および新規のジカフェオイルキナ酸誘導体と推定される成分が得られた.
著者
鈴木 義則 山本 薫
出版者
日本農業気象学会
雑誌
農業気象 (ISSN:00218588)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.9-15, 1985-06-10 (Released:2010-02-25)
参考文献数
7
被引用文献数
1

In the western parts of Japan, there are frequent risks of frost damage on several crops such as tea plants, vine and others in the late spring. Experimental studies on protection of plants from the cold by sprinkling method utilizing latent heat of solidification were carried out to make establish practical application methods for the sake of saving water consumption.The main purpose of the experiments is to find the lowest value of effective sprinkling intensity under several air temperature conditions. Through discussions on the fitness of spray catching ratio, the experimental results were examined with the theoretical values by Niemann's and by the author's.Some results found in the experiments at cold night with radiative cooling are summarized as follows:1) Temperature of iced leaf under sprinkling could not increase up to 0°C under both conditions of lower air temperatures and smaller sprinkling intensity. There were clearly critical point of sprinkling intensity, which could maintain leaf temperature around 0°C. These points which are defined as the lowest value of effective sprinkling intensity were also changed with surrounding air temperatures. They became larger as air temperatures became lower. The relations between them was a linear one (Fig. 3.). Having compared the measured values with the theoretical values in their tendencies in the graph, it was found that the Niemann's one differed from the actual one especially in the lower temperature range but the author's one agree well throughout the giving range of temperature.2) The spray catching ratio measured using grouped branches with leaves of cranberry tree (Viburnum awabuki K. Koch) showed almost constant values in the range from 0.1 to 4.6mm·hr-1 of sprinkling intensity and was about 0.29 on average (Fig. 4.). The theoretical values by Niemann's method changed from 0.27 (at O°C) to 0.36 (at -4°C). On the other hand, the author's one was 0.27 (0--4°C), which was more close value to the experimental one.3) The fall-off of leaf temperature after 20 minutes of sprinkling-off changed proportionally to the initial leaf temperature, when air temperatures were -3.0--5.8°C. They became larger as initial leaf temperature became higher (nearly equal to 0°C). These relations were also changed parallely with air temperatures, that is, the fall-off of leaves temperatures became large as lowering of air temperatures.4) After re-sprinkling, the iced leaf temperature which was lowered to around air temperature began to increase showing the shape of saturation curve. The larger the sprinkling intensity was, the shorter the required time to make plant body temperature 0°C was. But in the case of smaller intensity of sprinkling, the required time became longer exponentially.
著者
大窄 貴史 成 耆政 鈴木 尚通 中島 弘毅 葛西 和廣 竹内 信江 田中 正敏
出版者
学校法人松商学園松本大学
雑誌
松本大学研究紀要 = The Journal of Matsumoto University (ISSN:13480618)
巻号頁・発行日
no.10, pp.13-44, 2012-01-31

本稿は地域スポーツイベントの経済波及効果及び参加者の健康増進への影響について、明らかにすることを目的とした。経済波及効果は大会運営経費の2.01倍であった。満足度における肯定的回答が、およそ8割であった。リピーターの運動機会は、参加者全体の4割で運動機会が増加した。本大会が他の関係団体と共同し、魅力あふれる大会を創造していくことが、塩尻市を中心とする地域の活性化、地域住民への活力及び健康増進に寄与すると考える。
著者
磯崎 豊 鈴木 建太朗 松山 竜三 松本 尚之 長尾 泰考 石川 剛 原田 明子 松本 貴弘 谷 知子 辰巳 嘉英 今本 栄子 安藤 貴志 小山田 裕一
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.51, no.8, pp.1707-1713, 2009 (Released:2012-07-26)
参考文献数
13

クラミジア直腸炎を3例経験した.全例無症状で,便潜血反応陽性の精査の際に直腸の均一な半球状小隆起の集簇像という特徴的な内視鏡所見と直腸擦過診のChlamydia trachomatis抗原検索によって診断された.治療としてazithromycin hydrateを投与した.クラミジア直腸炎は自覚症状の乏しい症例も多く,画像所見から本疾患を疑い,適切な検査で診断・治療することが必要である.
著者
岩谷 雄介 鈴木 直樹 原 章展 平田 竹男
出版者
日本スポーツ産業学会
雑誌
スポーツ産業学研究 (ISSN:13430688)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.63-70, 2012 (Released:2012-04-25)
参考文献数
8

The purpose of this study was to clarify the features of domestic marathons, and to present the problems and remedial measures of each feature. 51 domestic marathons were classified into four groups, based on the time limit, the hosting institution, the size of the turnout, and the rate of female participants. The features from the results were considered, and the rallies that made the best use of the characteristics of the game and of the region were presented.
著者
鈴木 雅登 安川 智之 珠玖 仁 末永 智一
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.54, no.12, pp.1189-1195, 2005-12-05
被引用文献数
2 10

微生物の膜損傷に起因した生死状態に基づき分離が可能なチップデバイスを作製した.微生物に作用する誘電泳動力の差を利用し, 生菌の捕捉(そく)と膜損傷を与えた菌の排出を行った.微生物分離チップは凹凸を有するバンドを配列させたcastellated型の透明電極(ITO)基板, 直線流路パターン(幅2mm, 長さ35mm)を有したシリコンスペーサ, 入口と出口を備えたアクリル板から構成されている.無処理の大腸菌と熱処理した大腸菌をLive/Dead蛍光染色し, 200mMスクロース水溶液中に混合させた.大腸菌を流量440μm/sでチップへ導入し, 挙動を蛍光顕微鏡で観察した.ITO基板に正弦波(100kHz, 20 Vpeak-peak)を印加すると, 大腸菌に正の誘電泳動が作用し電極間に捕捉された.周波数を7MHzに切り替えると, 死んでいる大腸菌への正の誘電泳動力が弱まり, 電極から解放されチップから排出された.このチップを利用すると簡便で迅速な大腸菌の生死分離ができる.
著者
関根 康正 野村 雅一 小田 亮 鈴木 晋介 和崎 春日 近森 高明 北山 修 南 博文 Teasley Sarah Salzbrunn Monika 阿部 年晴 Gill Thomas 朝日 由実子 村松 彰子 西垣 有 内藤 順子 Subbiah Shanmugampillai 根本 達
出版者
関西学院大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

現代のネオリベラリズムに抗してストリート人類学を確立することが本研究の目的である。そのためにストリート・ウィズダムとローカリティの生成の実態把握を行った。研究成果のキーポイントは、中心からの徹底した一元化としての「ネオリベ的ストリート化」が作り出す敷居(ストリートエッジやローカルエッジ)での創発行動の解明にあり、そこでは「自己が他者化」するという動的過程が必ず見いだされ、それを「根源的ストリート化」と概念化した。エッジを不安定とともに生きている人々は現代人の生の本質を映す鏡である。その状況は「人が生きるとは何か」という哲学的究極の問いを現実的に問う。その探求にストリート人類学の存在意義がある。
著者
臼杵 年 佐藤 公紀 古屋 諭 佐藤 眞 鈴木 利治
出版者
社団法人 砥粒加工学会
雑誌
砥粒加工学会誌 (ISSN:09142703)
巻号頁・発行日
vol.49, no.9, pp.496-501, 2005 (Released:2006-08-11)
参考文献数
11
被引用文献数
1

本研究は, チタン合金の低コスト加工化を目的として, ハイスを母材とするコーテッドエンドミルを用いたチタン合金の高速ドライ加工の可能性を調査した. その結果, ハイス工具を用いてTi-6Al-4VをV = 100m/min以上と, 従来の同材料をハイス工具で加工する切削速度よりも高速での加工が可能であったが, 加工能率は超硬工具の約1/2であった. しかし仕上げ面粗さは, 超硬工具の約1/2と, 良好な加工面が得られることがわかった. このことから, 仕上げ切削での適用が推奨される.
著者
鈴木 渉
出版者
山形大学
雑誌
山形大學紀要. 教育科學 (ISSN:05134668)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.123-140(295-312), 2008-02-15

Summary : This paper illustrates the actual situation and challenges faced by adult musical groups, particularly, amateur orchestras. The aim of this paper is to propose ways to improve and support their activities. The author researched on the H City Orchestra, a musical group the author is involved in, and discusses and summarizes this case study in the paper. In particular, the author focuses on the motivation behind members' musical performances and practice sessions. Furthermore, the author researches on the proper future course for orchestra activities and sheds light on the path its members wish to see taken. Moreover, by extending the scope of research to 44 bands in the westerm part on west area of Tokyo, in Tama district, and taking up concerns shared by each of these groups, especially particular articulating the challenges faced when recruiting members, this paper discusses the future and ways of assisting adult orchestra activities.