著者
長谷川 均
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.75-84, 1982-02-01 (Released:2008-12-24)
参考文献数
21
被引用文献数
1 1

本稿は,石狩平野海岸部において,砂質堆積物の堆積環境や,同じタイプの地形でも,場所の違いが堆積物の粒度組成にどのように反映しているかなどを明らかにすることを目的とした. 66試料について,粒度組成の統計値による分析と, Qモード因子分析を行なった.その結果,当地域においては, energy総体を反映すると考えた因子により,比較的大きなenergyの影響下にあった北東部と,それより小さなenergyの影響下にあったと考えられる南西部とに区分できた.そして,偏形樹や気候資料をもとにした強風域の分布,強風の出現頻度などから,北東部は南西部に比べ,北西方向の強い風が吹くことがわかり,因子分析で推定した地域区分と一致した. 当地域の堆積物の粒度組成は,西方向の強い風や,それによる波浪の影響を受けて構成されると考えられ,西方向の強風をさえぎる石狩平野西方の積丹半島や高島岬の存在が,石狩平野の堆積環境に重要な意味を持つと考えられる.
著者
池 享 柳原 敏昭 七海 雅人 渡辺 尚志 平川 新 蔵持 重裕 菅野 文夫 蔵持 重裕 小林 一岳 長谷川 博史 平川 新 渡辺 尚志 遠藤 ゆり子 長谷川 裕子 川戸 貴史 黒田 基樹 糟谷 幸裕 藤井 崇
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究は、これまでの研究で十分に明らかにされてこなかった、中近世移行期の鉱山開発が地域社会に与えた影響の解明を課題としている。そのため、大規模鉱山よりも地域社会との関わりが密接な、砂金・土金採取を基本とする岩手県東磐井郡域の鉱山をフィールドに設定した。研究の到達段階を踏まえ、採掘統括責任者の家文書の目録作成・翻刻や、地名等の歴史情報の聞き取り調査など、研究の基礎となる情報の収集・整理に重点が置かれた。その成果は、A4版560ページの印刷物としてまとめられている。
著者
青木 能理顕 鈴木 謙治 長谷川 洋 安井 至
出版者
公益社団法人 日本セラミックス協会
雑誌
窯業協會誌 (ISSN:00090255)
巻号頁・発行日
vol.93, no.1078, pp.327-333, 1985-06-01 (Released:2010-04-30)
参考文献数
15
被引用文献数
5 6

分子軌道法 (Intermediate Neglect of Differential Overlap: INDO法とGAUSSIAN-80H: ab initio法) を使用してホウ酸ガラスの最小構造単位であるBO3ユニットのB-Oの結合距離及びBO3ユニットを2個結合させた場合の結合角, 更に三員環 (boroxol環) のB-Oの結合距離, 四員環の最適構造を検討した. 分子軌道法では全原子価電子を考慮できるINDO法を用いてBO3ユニットの最適構造を求め, BO3ユニット2個の結合角を計算した. ホウ酸ガラスの局所的な構造については, B-Oの結合距離が1.35-1.45Åであることが明らかになり, Mozzi, WarrenらによるX線の結果と十分良い一致をみた. 更にINDO法により求めた2個のBO3ユニットを結合させた場合のB-O-Bの結合角が120度に近いことにより, boroxol環の存在を強く示唆する結果が得られた.次に, INDO法の結果を参考にしてHand-built法を使用してboroxol環, BO3ユニットを基本構造単位として構造モデルを作成し, ホウ酸ガラスのマクロな構造を検討した. 動径分布曲線と角度分布曲線及び層間距離を検討した結果, ホウ酸ガラスの主要な部分はboroxol環からなっていて, それに加えて少量のBO3ユニットが含まれていることが明らかになった.
著者
長谷川善左衛門弘 閲
出版者
磻渓社
巻号頁・発行日
vol.第5冊, 1844
著者
新井 恭子 赤松 俊嗣 長谷川 有紀 北島 佳代子 五十嵐 勝
出版者
一般社団法人 日本歯内療法学会
雑誌
日本歯内療法学会雑誌 (ISSN:13478672)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.30-35, 2009 (Released:2017-11-30)
参考文献数
30

Abstract : This case report describes the root development following apexification of an immature tooth. The patient was a 9-year-old girl. The upper right central incisor suffered apical periodontitis with gingival abscess after rapid orthodontic treatment with a removable appliance. The root canal was cleaned by both biomechanical preparation and biochemical preparation with 6% sodium hypochlorite and 3% hydrogen peroxide. After disinfection of the root canal, calcium hydroxide paste was applied. The medicaments were replaced several times during the follow-up term. After five years and six months, radiographic images showed disappearance of the apical lesion and continuous root development. The shape of the root-end was an irregular, sharp-pointed outline with narrow canal. Following confirmation of the calcified apical barrier at the root end by palpation with a K-file, the lateral condensation procedure with a custom cone and canal sealer was done. This report suggests that root development after apexification occurs because of the existence of apical vital tissue even if the tooth is a non-vital tooth with open apex.
著者
長谷川 陽一 高田 克彦 八木橋 勉 櫃間 岳 齋藤 智之
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.97, no.5, pp.261-265, 2015-10-01 (Released:2015-12-23)
参考文献数
21
被引用文献数
1 5

日本に固有の樹木であるアスナロ属ヒノキアスナロは伏条更新によるクローン繁殖を行うことが知られており, これまでにアイソザイムマーカーを用いたクローン構造の調査が行われている。しかし, 一般にアイソザイムマーカーの多型性は低いため, 正確なジェネットの識別は難しい。そこで本研究は,近年開発された多型性の高いEST-SSRマーカー 6 座を用いてマルチプレックス PCR を行い, ヒノキアスナロ天然林に分布する稚樹 359 本のクローン識別を試みた。その結果, EST-SSR マーカー を 3 座以上用いることで 45 ジェネットが識別された。また, 1 ジェネット当たりの幹数の最大値は 82 であり, 平均値は 8.0 であった。本研究の結果から, EST-SSR マーカー 6 座を 1 回のマルチプレックス PCR で増幅することで, ヒノキアスナロ天然林の稚樹のジェネットを簡便かつ正確に判別可能であることが示された。
著者
長谷川 淳也 広木 正紀
出版者
京都教育大学
雑誌
京都教育大学環境教育研究年報 (ISSN:09193766)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.63-78, 2006-03-31

「身近な自然の,資源としてしての面」への目を育む教材開発のテーマとして,「回りにある地面の土を原料とした焼き物づくり」を取り上げた。「土の採取から土器づくりに到る筋道をどのような手順・方法で辿れるか」と「土器の原料に使える粘土が,どんな地面の土から取り出せるか」について検討した。
著者
長谷川 純一
出版者
Japanese Society for Medical Virtual Reality
雑誌
VR医学 (ISSN:13479342)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.21-29, 2002

In this paper, the present state and the future of virtual endoscopy (VE) are stated. VE is a system which can generate endoscopic images of inner organs only using 3D CT images of a real human body. This new diagnostic tool has advantage that can be applied to patients without pain, and that enables us to observe the state of inner human body from any position and direction. Usually, VE should have several basic functions including rendering, segmentation, measurement and user interface. Recently, some advanced functions for abnormal lesion detection, simultaneous display of real and virtual endoscopic images and organ deformation with force feedback have been also investigated. VE can be applied to many fields including diagnosis, surgery and medical education, and some systemd have already been in clinical use.
著者
小林 正武 南里 和紀 田中 伸幸 長谷川 明 田口 丈士 齊藤 和裕
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.10, pp.704-709, 2010 (Released:2010-11-04)
参考文献数
25
被引用文献数
1

症例は76歳女性である.12年前に多系統萎縮症と診断され徐々に歩行障害が進行し独歩困難となった.頭部MRI T2強調画像で両側被殻は低信号,その外側に線状高信号をみとめ,SPECTでは両側線条体の血流低下所見をみとめた.抗GAD抗体陽性1型糖尿病,抗甲状腺抗体陽性,抗内因子抗体陽性ビタミンB12欠乏症であり多腺性自己免疫症候群3型に関連したパーキンソニズムと診断,ビタミンB12筋注治療,大量免疫グロブリン療法により安定した歩行が可能となった.診断困難な難治性神経疾患患者を診療する際には多腺性自己免疫症候群に関連したビタミンB12欠乏症,自己免疫機序の神経障害である可能性を考慮し十分な鑑別診断をおこなう必要がある.
著者
大岩 康太郎 安井 敬三 長谷川 康博
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.93-97, 2016 (Released:2016-03-08)
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

症例は50歳男性.36歳時に発症し,43歳時にパーキンソン病(Parkinson’s disease; PD)と診断した.首下がり,wearing-offが出現し,すくみ足と易転倒性が悪化し入院した.ロチゴチンの投与を開始し,歩行障害および首下がりの日内変動を記録した.首下がりは歩行障害とほぼ平行して変動した.歩行障害はロチゴチンの増量で用量依存的に改善した.一方,首下がりはロチゴチン9 mgで改善したが,18 mgでは改善度が低下した.低用量ではundertreatmentで生じていた首下がりが改善し,高用量では薬剤誘発性の首下がりが出現した可能性がある.PDの姿勢異常に対しては,日内変動を観察し,治療方針を検討する必要があると考える.
著者
長谷川 修一 山中 稔 野々村 敦子 伊藤 久敏 菅原 弘樹
出版者
香川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

東北日本の太平洋側にある松島は,松島湾とその内外にある大小260余りの島々からなる日本三景の一つである景勝地である.長谷川ほか(2008)は,松島周辺の地形,地質を検討した結果,巨大な地すべりによって形成された可能性が高いとの仮説(松島巨大地すべり説)を示した.本研究では松島巨大地すべり説を実証する目的で,東松島市宮戸島において2015年に深さ70mのオールコアボーリングを実施した。また、想定すべり面の上盤側,想定すべり面,想定すべり面の下盤側の3箇所から得たジルコンのU-Pb年代を試みたが,誤差の範囲で一致する15.2 Maを示し、地すべり説を積極的に支持する結果は得られなかった.
著者
長谷川 太一 井口 信和
雑誌
インターネットと運用技術シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, pp.33-39, 2017-11-30

ネットワーク機器の管理には,ネットワーク機器の接続や,設定の変更または,それらが正しく実施されているか確認する作業がある.そして,これらの作業を実施する時に作業ミスを減らすため,二人以上の管理者で作業を実施する場合がある.二人以上の管理者で作業を実施する場合は設定者と確認者の二手に分かれ,設定者が実施した作業内容を設定者と確認者が複数回にわたり確認する.この時,作業は作業手順書に基づき実施され,確認はネットワーク機器の接続状態や設定内容を作業手順書と照らし合わせる.しかし,このような手順で作業を実施する場合においても作業ミスは発生する.そこで,本稿では作業手順書に基づいたネットワーク機器の管理作業において,管理者が入力するコマンドのダブルチェックを可能とする設定補助システムを開発した.本システムは,設定者が入力するコマンドを一度確認者が持つタブレット端末に送信し,確認することで,コマンドの入力ミスや間違えを減らすと考える.実験では,設定者が本システムの作業用コンソールを用いた場合に,作業に支障が生じる遅延が発生しないか検証し,作業に支障が出るような遅延は発生しないことを確認した.
著者
緒方 雄一朗 薮田 ひかる 中嶋 悟 奥平 恭子 森脇 太郎 池本 夕佳 長谷川 直 田端 誠 横堀 伸一 今井 栄一 橋本 博文 三田 肇 小林 憲正 矢野 創 山下 雅道 山岸 明彦 たんぽぽ ワーキンググループ
出版者
日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.58, pp.175-175, 2011

始原小天体有機物は、太陽系および生命原材料物質の起源と進化を理解するための重要な情報を記録している。「たんぽぽ計画」では、大気圏突入時の熱変成や地上での汚染を受けていない宇宙塵を、国際宇宙ステーション上に超低密度シリカエアロゲルを設置して回収を試みる予定である。しかし、この方法では、宇宙塵のエアロゲルへの衝突により変成する可能性を考慮する必要がある。そこで本研究では、宇宙科学研究所・スペースプラズマ実験施設の二段式高速ガス銃を用いて、隕石微粒子の高速衝突模擬実験を行い、マーチソン隕石微粒子をシリカエアロゲルに撃ち込んだものを取り出し、2枚のアルミ板にはさみハンドプレスして圧着された隕石微粒子を、片方のアルミ板に載せた状態で、赤外顕微分光装置と顕微ラマン分光装置で測定を行った。また、SPring-8, BL43IRの高輝度赤外顕微分光装置IFS120HRでイメージング測定を行い、衝突前後の隕石有機物の分子構造の変化を見出すことを目的とした。
著者
長谷川 淳也
出版者
分子科学会
雑誌
Molecular Science (ISSN:18818404)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.A0031-A0031, 2010 (Released:2010-08-26)
参考文献数
34
被引用文献数
1 1

In visual systems and fluorescent proteins, controlling the photo-absorption/emission energy (color tuning) of the chromophore is the essentials to furnish a protein with the photo-functionality. Depending on the protein environment, the chromophores show a variety of colors, which are relevant to the character of the excited states and to the interactions between the chromophore and the environment. Here we summarize our recent studies on the spectral tuning mechanism of the human visual cone pigments and the fluorescent proteins. These studies elucidated a common feature in the color tuning, which also suggests a strategy to artificially control the color of proteins. We also explain our recent progress in developing the symmetry-adapted cluster-configuration interaction (SAC-CI) method and hybrid quantum mechanical/molecular mechanical (QM/MM) method particularly for studying the photo-functional proteins.