著者
高木 大資 辻 竜平 池田 謙一
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.36-45, 2010
被引用文献数
2

In this study, we examined crime control in local communities through interpretations mainly from social capital. Using data obtained from a mail survey in an urban area, we investigated the effects of cooperative behaviors promoted by individual-level or macro-level social capital in neighborhoods on the number of respondents' crime victimizations. The results show that the network size of cooperative acquaintances at the individual level promotes the number of respondents' cooperative behaviors. Moreover, having a neighborhood where greeting and standing talking are frequent promotes respondents' cooperative behaviors. It is also suggested that cooperative behaviors aggregated at the macro level have an inhibitory effect on the number of victimizations in terms of "burglaries of the communities."
著者
遠藤 真仁 嘉名 光市 高木 悠里
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.1000-1007, 2023-10-25 (Released:2023-10-25)
参考文献数
7

本研究は、道路空間に設置した滞留スポット設置前後の滞留行動の変化を把握し、また滞留者数の違いによる滞留行動の変化を把握することを目的とする。本研究では、大阪・御堂筋における社会実験「御堂筋チャレンジ2022」を対象として滞留行動調査を実施した。調査の結果、以下が確認された。(1)社会実験前と社会実験期間中を比較すると、滞留者数は増加し、座具周辺に滞留が集中する。(2)社会実験期間中で見られたアクティビティは社会実験前と比較して多様化する。(3)社会実験期間中の滞留時間は社会実験前と比較して長くなる。(4) 滞留者数の違いにより、滞留行動は変化する。以上から、通行量の変化が大きい御堂筋で設置されたベンチは通行量の変動に対して対応できていることが確認された。
著者
奥野 真吾 橋本 健 清水 里恵 高木 えり奈 梶口 智弘
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.62, no.10, pp.1510-1514, 2021 (Released:2021-11-03)
参考文献数
11

症例は75歳女性。肺腺がん術後再発に対する抗がん剤治療歴と特発性血小板減少性紫斑病(ITP)に対するHelicobacter pylori除菌治療歴がある。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するBNT162b2 mRNA COVID-19ワクチン接種の2週間後に貧血を指摘され,血液・腫瘍内科を受診した。直接・間接クームス陽性の正球性正色素性貧血を認め,LDH・間接ビリルビン・網赤血球が高値であり,自己免疫性溶血性貧血(AIHA)と診断した。BNT162b2 mRNA COVID-19ワクチン接種の他には明らかな誘因を認めなかった。Prednisolone療法により速やかに病勢の改善が得られた。COVID-19の感染拡大抑制のためワクチン接種が非常に重要であると考えられているが,ワクチン接種の広がりとともにITPの発症・増悪が報告されている。一方でAIHAの報告は希少である。今後のワクチン接種事業の進展に際しAIHAの発症についても注意すべきと考えられた。
著者
速水 敏彦 木野 和代 高木 邦子
出版者
JAPAN SOCIETY FOR RESEARCH ON EMOTIONS
雑誌
感情心理学研究 (ISSN:18828817)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.43-55, 2005-09-30 (Released:2009-04-07)
参考文献数
25
被引用文献数
17 6

In response to recent social phenomenon of adolescents reporting increasingly higher levels of anger, a new construct "assumed-competence" is proposed in this study.The purpose of Study 1 is to formulate an instrument to measure individual differences in assumed-competence and to examine the construct validity of the scale by comparing it with self-esteem in relation to past experiences. Four scales designed to measure assumed-competence, past experiences, self-esteem, and narcissistic-competence were administered to 393 university students. The ACS (Assumed-Competence Scale) consisting of 11 items showed high reliability. The ACS showed no significant relationship to self-esteem, but was positively related to narcissistic-competence. Self-esteem was positively correlated with positive experiences and assumed-competence was also positively correlated with negative experiences.Study 2 aimed at investigating the relationship between assumed-competence and anger measured using Spielberger's STAXI. Results suggested that individuals with high assumed-competence had higher trait anger than those with low assumed-competence. However, self-esteem inhibited the expression of anger.

8 0 0 0 OA 新式算術講義

著者
高木貞治 著
出版者
博文館
巻号頁・発行日
1904
著者
小森 めぐみ 武田 美亜 高木 彩
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
pp.si5-1, (Released:2023-04-01)
参考文献数
44

COVID-19以外のハザードで示されているリスク認知や予防行動の影響因がCOVID-19においても同様に機能するのかを明らかにするために,リスク関連知識量とリスク認知,予防行動の関連を調べる探索的なインターネット調査をCOVID-19流行拡大初期に行った。知識の測定は主観的見積もりを質問したほか,クイズによる客観的測定も行った。リスク認知は様々な対象(自己,家族,高齢者,子ども,国民全体)について感染に伴う身体的健康へのリスクを尋ねたほか,感染拡大と対応に伴う社会問題(自粛に伴う肉体的健康,精神的健康,環境,経済,主権,差別)についてのリスク認知も質問した。その結果,COVID-19への関心は総じて高かったが,潜伏期間や感染,濃厚接触についての詳細な知識は定着していなかった。感染健康リスク認知との関連がもっとも大きかったのは関心であり,主観的知識,客観的知識,政府信頼感も関連をもっていた。予防行動は因子分析の結果,外出対策・健康維持,咳・手洗い,備蓄に分かれ,関心,主観的知識,政府信頼感,国民の感染健康リスク認知と正の関連を示し,経済リスク認知と負の関連を示した。
著者
田村 糸子 高木 秀雄 山崎 晴雄
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.116, no.7, pp.360-373, 2010-07-15 (Released:2010-11-11)
参考文献数
54
被引用文献数
11 13

南関東の千葉県銚子地域から東京都江東区,神奈川県鎌倉市,愛川町にかけて分布する上総層群相当層に見出された,ざくろ石を多量に含むという特徴を持つテフラ層について,記載岩石学的特徴,ざくろ石の化学組成,テフラ層の層序学的位置づけなどを検討し,これらのテフラ層が明確に対比されることを示した.そして,ざくろ石の粒径の傾向などから,その給源火山が丹沢に求められることを明らかにした.このざくろ石テフラ層を丹沢-ざくろ石軽石層(Tn-GP)と呼ぶ.Tn-GPの堆積年代は,各地における生化石層序,テフラ層序,古地磁気層序などから,およそ2.5 Maと推定される.ざくろ石を多量に含む極めて特徴的なTn-GPは,今後,南関東の各地の更新統で見出される可能性が高く,新しい層序区分におけるP/P境界付近,あるいは黒滝不整合の時代の指標テフラとして貴重な時間面を提供し,関東平野の都市基盤解明に寄与すると期待される.
著者
高木 彩 小森 めぐみ
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.126-134, 2018-03-25 (Released:2018-03-25)
参考文献数
29

This study distinguished between subjective and objective knowledge of scientific technology whose influence on health is yet to be defined, and explored the effect of each type of knowledge on risk perception. A web-based survey among the Japanese population (N=1,110) was conducted. It assessed the subjective and objective knowledge of electromagnetic field (EMF), interest in EMF, risk perception, and trust on the related organizations. The results indicated that respondents’ objective knowledge about EMF was generally poor. Their subjective knowledge and objective knowledge were significantly correlated, but the strength of correlation was moderate. Multiple regression analysis yielded significant subjective×objective knowledge interaction on risk perception. While objective knowledge consistently attenuated risk perception, subjective knowledge boosted risk perception only when respondents’ objective knowledge level was low. The possibility of the potential influence of reputation of EMF on the boosted subjective knowledge about EMF was discussed.
著者
紀田 康雄 柏木 厚典 田中 逸 小川 勉 阿部 奈々美 池淵 元祥 朝比奈 崇介 高木 敬文 吉川 隆一 繁田 幸男
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.277-283, 1993-04-30 (Released:2011-03-02)
参考文献数
30

自律神経障害を有する糖尿病患者の突然死は既に報告されているが, その頻度や臨床特徴は明らかではない. 本研究では606例の糖尿病患者の中での突然死の頻度と臨床的特徴を調べた. 平均観察期間は7年であった. さらに交感神経機能の指標としてのQTc間隔を, これら糖尿病患者と年齢, 性をマッチした45例の非糖尿病健常者とで比較し, 突然死との関係を検討した. 1) これら606例の糖尿病患者中既に127例が死亡しており, 39例 (約31%) が突然死であった. 2) 突然死例は生存例と比較すると高齢で高血圧, 虚血性心疾患, 自律神経障害, 末梢神経障害, 壊疽, 腎症の合併頻度が高かった. 3) 突然死例の死因には心・脳血管障害が多かったが, 半数以上で死因の詳細は不明であった. 4) QTcは糖尿病群では生存例 (418±26msec), 突然死例 (445±33msec) 共に対照群 (401±17msec) と比べ有意に延長していた. 5) 突然死群の著明なQTc延長には自律神経障害の関与が示唆された.
著者
高木 千恵
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.19-34, 2005-04-01

関西若年層は,カジュアルな場面における方言談話でも標準語形ジャナイ(カ)を使用している。1970年代生まれの男女70人分の談話資料を分析した結果,ジャナイ(カ)が方言形チャウ(カ)・ヤンカと用法を分担する形で受容されていることが明らかとなった。関西若年層が用いるジャナイは名詞・ナ形容詞述語の否定形であり,<否定><同意要求>の用法を担っている。旧形式であるチャウ(カ)は<推測>の,ヤンカは<認識要求>の形式として,棲み分けの形でジャナイ(カ)と併存している。ジャナイ(カ)の受容は標準語との接触によって起きた変化だが,これは方言が標準語に取って代わられる共通語化の一過程ではなく,方言体系の再編成という変化のメカニズムによって説明されるものである。