著者
片桐 恭弘 石崎 雅人 伝 康晴 高梨 克也 榎本 美香 岡田 将吾
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.97-109, 2015

Conversational interactions contribute not only to the sharing of information and <br>establishment of consensus but also to the construction and sustenance of mutual trust<br>among conversational participants in our daily lives. The interrelationship between<br>trust and conversational interactions has not been studied extensively in cognitive sci-<br>ence. One reason for this lack of research is the fact that a study of social emotions such<br>as trust requires real fields, since social emotions in their natural, non-artificial forms<br>are not readily observable in laboratory settings. We introduce a notion of concern<br>alignment to describe the surface conversational processes toward mutual trust forma-<br>tion. Focusing on medical communications as our research field, we collected health<br>guidance conversations between nurses and patients who were diagnosed as having<br>metabolic syndrome, and we provide a qualitative analysis of the structure of conver-<br>sations in terms of a set of dialogue acts we propose for the description of concern<br>alignment processes. We demonstrate that the idea of concern alignment enables us to<br>capture and elucidate both the local and the global structures of mutual trust formation<br>in conversational consensus-building processes. We also discuss underlying mechanisms<br>connecting concern alignment and mutual trust.
著者
井上 昂治 原 康平 ララ ディベッシュ 中村 静 高梨 克也 河原 達也
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.35, no.5, pp.D-K43_1-10, 2020-09-01 (Released:2020-09-01)
参考文献数
32

A spoken dialogue system that plays the role of an interviewer for job interviews is presented. In this work, ourgoal is to implement an automated job interview system where candidates can use it as practice before the real interview.Conventional job interview systems ask only pre-defined questions, which make the dialogue monotonous andfar from human-human interviews. We propose follow-up question generation based on the assessment of candidateresponses and keyword extraction. This model was integrated into the dialogue system of the autonomous androidERICA to conduct subject experiments. The proposed job interview system was compared with the baseline systemthat did not generate any follow-up questions and selected among pre-defined questions. The experimental resultsshow that the proposed system is significantly better in subjective evaluations regarding impressions of job interviewpractice, the quality of questions, and the presence of the interviewer.
著者
傳 康晴 小磯 花絵 森本 郁代 高梨 克也 横森 大輔 遠藤 智子 名塩 征史 黒嶋 智美 石本 祐一 居關 友里子
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究の目的は、(1)新たに構築する特定場面(教授・接客・公的場面)と日常場面を統合した会話コーパスを構築し、(2)これらの多様な場面の会話コーパスの相互利用により、会話行動を多角的・総合的に分析することで、日本人の会話行動に関する言語・相互行為研究に新展開をもたらすことてである。本年度は以下のことを行なった。・国立国語研究所で開発中の『日本語日常会話コーパス』の指針に基づき、収録・公開に関わる倫理的なガイドラインをとりまとめた。・このガイドラインに基づき、以下のような場面の会話データ計106時間を収録した(うち30時間程度は公開可能):教授場面(武道指導・音楽練習・ゼミなど)・接客場面(理容室・コンビニなど)・公的場面(共同制作・宗教儀礼など)・これら新規収録データおよび既有データを用いて以下のような言語・相互行為分析を行ない、国際会議や論文集で発表するとともに、年度末に成果発表のシンポジウムを開催した:参与構造・社会的役割・身体配置・意見形成・認識的スタンス・メタファー表現・視覚の相互行為的基盤・環境認知・以上を支える研究基盤として、研究用付加情報(談話行為・発話連鎖アノテーション)やコーパス共有環境を試行した。
著者
加納 圭 城 綾実 秋谷 直矩 高梨 克也 水町 衣里 森 幹彦 元木 環 森村 吉貴
出版者
滋賀大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

科学者と国民との対話を評価する指標の構築を目的とし、ルーブリックの作成を試みた。また、対話力トレーニングプログラムにおける「事前学習」で用いることのできるリフレクションツールを開発した。最終的に、完成させたルーブリックとリフレクションツールを用いた実践を行った。日本分子生物学会年会で対話力トレーニングプログラムのデモを行うなど精力的に普及展開に努めた。
著者
三原 芳秋 松嶋 健 花田 里欧子 岡本 雅史 高田 明 太田 貴大 鵜戸 聡 比嘉 理麻 高梨 克也 中川 奈津子 中谷 和人 アンドレア デアントーニ 赤嶺 宏介 川上 夏林
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

「(人間)主体」の諸機能=学科を軸に制度化されてきた人文学を「生きている存在」一般の学として再編成する(=「生態学的転回」)ために、多様な専門の若手研究者が集い、「共同フィールドワーク」や芸術制作・コミュニティ運動の〈現場〉とのダイアロジカルな共同作業を通して従来型ではない「共同研究」の〈かたち〉を案出することが実践的に試みられ、その〈プロセス〉は確固たる端緒を開くに至った。また、環境・社会・精神のエコロジーを美的に統合する「エコゾフィー」的思考を共有する基盤となるべき「新たな〈一般教養〉」構築を文学理論の「生態学的転回」を軸に試みる企図も、国際的・学際的に一定の承認を得ることができた。
著者
平本 毅 高梨 克也
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.39-56, 2015
被引用文献数
1

本稿では日本科学未来館で2011年8月に公開された展示物『アナグラのうた――消えた博士と残された装置』制作チームの活動場面の会話分析から, チームのメンバーが想像を「共有」する際に用いる1つのプラクティスを明らかにする. 制作チームのメンバーは展示の現場で将来的に生じる種々の問題を想像して発見し, 意識を共有し, 解決していくことを通じて展示物を形作ってゆく. 本稿ではこの活動の中でメンバーが頻繁に用いる, 想像を「共有」するという行為の記述を可能にするような1つのプラクティスに着目する. 展示やそこで生じる入場者の動きを演じながら他のメンバーに説明するとき, 制作チームのメンバーはしばしば頭部を捻って聞き手を「振り向く」. この「振り向き」はランダムに生じるのではなく, 語りの特定の位置で, 想像を「共有」しようとしていることが理解可能なかたちで行われる. 「振り向き」は語りの, とくに想像を「共有」することが相互行為上の課題となることが聞き手にわかる位置で生じる. このとき語り手の演技は進展を止め, これを背景にして頭部の動きで聞き手にはたらきかけることにより, 想像の「共有」を求める. これにたいして聞き手はしばしば, このはたらきかけに応じていることがわかるかたちで反応を返し, 「想像の共有」を達成する.
著者
平本 毅 高梨 克也
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.39-56, 2015
被引用文献数
1

本稿では日本科学未来館で2011年8月に公開された展示物『アナグラのうた――消えた博士と残された装置』制作チームの活動場面の会話分析から, チームのメンバーが想像を「共有」する際に用いる1つのプラクティスを明らかにする. 制作チームのメンバーは展示の現場で将来的に生じる種々の問題を想像して発見し, 意識を共有し, 解決していくことを通じて展示物を形作ってゆく. 本稿ではこの活動の中でメンバーが頻繁に用いる, 想像を「共有」するという行為の記述を可能にするような1つのプラクティスに着目する. 展示やそこで生じる入場者の動きを演じながら他のメンバーに説明するとき, 制作チームのメンバーはしばしば頭部を捻って聞き手を「振り向く」. この「振り向き」はランダムに生じるのではなく, 語りの特定の位置で, 想像を「共有」しようとしていることが理解可能なかたちで行われる. 「振り向き」は語りの, とくに想像を「共有」することが相互行為上の課題となることが聞き手にわかる位置で生じる. このとき語り手の演技は進展を止め, これを背景にして頭部の動きで聞き手にはたらきかけることにより, 想像の「共有」を求める. これにたいして聞き手はしばしば, このはたらきかけに応じていることがわかるかたちで反応を返し, 「想像の共有」を達成する.
著者
榎本 美香 岡本 雅史 串田 秀也 山川 百合子 松嶋 健 高梨 克也 松岡 恵子 小谷 泉
出版者
東京工科大学
雑誌
新学術領域研究(研究課題提案型)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、統合失調症や高次脳機能障害という病名が与えられた人々(the Communication Handicapped; CH)が個々に持つ社会的・個人的属性や会話の個々の構成物(発話や身振り)の相互作用が作り出すコミュニケーションシステムにおいて、コミュニケーションギャップが検出され、排除/吸収されていく過程のメカニズムを解明した。
著者
高梨 克也 坊農 真弓 原田 なをみ 高梨 克也 堀内 靖雄 片桐 恭弘 神田 和幸 細馬 宏通 原田 なをみ 堀内 靖雄 神田 和幸 細馬 宏通 坊農 真弓 城 綾実
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

対面コミュニケーションの基本的単位である「発話」の構造について, 実際に収録されたデータを用いて分析した. 「発話」は言語だけでなく, ジェスチャーや視線などの非言語表現も含んだマルチモーダルな複合体である. そのため, 本研究では, 聴覚モダリティを用いる音声言語と視覚モダリティによる手話を比較し, 各モダリティの特徴を解明した. また, 言語の文法構造がコミュニケーションのやり取りを形成する際にどのように利用されるかを解明した.
著者
高梨 克也 平本 毅
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.190, pp.77-82, 2011-08-19

3人以上の参加者のいるミーティングにおいて,ある話題についてのやり取りの周辺的参加者が何かに気づいてから発話をするという現象を対象に,その過程での視線や姿勢の変化,身体動作などの微視的ビデオ分析によって,気づきの瞬間と契機,発話に至るまでの付随的活動を記述するとともに,エスノグラフィー的な知識を利用して,この気づきから生じた発話の関連性やその背後にある組織役割上の関心を特定する.