著者
高橋 俊史
出版者
東北福祉大学
雑誌
東北福祉大学研究紀要 = Bulletin of Tohoku Fukushi University (ISSN:13405012)
巻号頁・発行日
no.44, pp.79-96, 2020-03-19

情報社会の進展とともに情報リテラシーが求められているが、Society5.0の社会では,より必要性が高まると予測される。しかし,現状としてバイトテロなどの情報モラルに関連する問題が生じており,情報モラル教育の在り方を検討する必要がある。そのため,情報モラルに関する講義を履修している学生を対象に安心協ILASテスト2013版を活用した情報モラルの理解度把握と講義の効果検証を目的とした調査を行った。その結果,現在の大学生の情報モラルは,高い水準で理解しているが,過去の学生と比較するとインターネットリスクへの対処能力が低下している可能性があった。その要因としては,デジタルネイティブ世代がスマートフォンなどの情報機器を活用できている状況を,すべてのICT機器を活用できると誤認識していることが考察され,教育の必要性を妨げていると考えられる。したがって,今後の情報モラル教育の在り方として,各教員が大学入学前までに十分な情報リテラシー教育を受けていない学生がおり,デジタルネイティブ世代と呼ばれているがICTを苦手とする学生がいるということを認識し,学生に合わせた指導を行うこと,重要なことは重複しても教育するという視点が必要である。
著者
高橋 俊守 菊池 紅音
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 Vol.34(2020年度 環境情報科学研究発表大会)
巻号頁・発行日
pp.180-185, 2020-12-07 (Released:2020-12-07)
参考文献数
6

ハクビシン(Paguma larvata)は全国で分布を拡大しつつあり,農作物や家屋等における鳥獣害も増加している。本研究は,市町村による捕獲許可及び駆除会社による情報をもとに,市町村より小さな単位の小地域(町丁・字等)スケールでハクビシンの分布情報を可視化するための手法や課題について明らかにした。本研究を実施した宇都宮市では,捕獲許可及び駆除会社による情報は2013 年から2018 年の6 年間で326 件認められ,この内の254 件(77.9%)が,分布情報を小地域スケールで可視化することが可能な位置情報を有していた。小地域数でみると,ハクビシンの分布情報は2014 年以降一貫して増加しており,6 年間で市全体の小地域総数の16.0%において分布情報が認められた。
著者
野川 俊彦 ジャン ジュンピル 本郷 やよい 清水 猛 岡野 亜紀子 二村 友史 高橋 俊二 アン ジョンセオ 長田 裕之
出版者
天然有機化合物討論会実行委員会
雑誌
天然有機化合物討論会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.56, 2014

<p>放線菌や糸状菌をはじめとする微生物は、多様な構造と活性を有する二次代謝産物を生産することで知られている。それら二次代謝産物は、医薬品や農薬またはそのリード化合物として利用されているものが多い。さらにケミカルバイオロジー研究における生命現象解明のための有用なツール、すなわちバイオプローブとして利用されているものもある。<sup>1</sup>これら代謝産物を効率よく探索・単離するために、我々の研究室ではフラクションライブラリーとスペクトルデータベースを用いる方法を構築し利用している。<sup>2</sup>フラクションライブラリーは、微生物培養液をHPLCや中圧液体クロマトグラフィー(MPLC)により系統的に分画することで作製し、得られたフラクションをPDA-LC/MSにより分析することでデータベースを構築している。データベースは、代謝産物の物性を二次元上の分布として表現したNPPlot(Natural Products Plot)を作成し利用している。今までに、このNPPlotを活用することで特徴的な構造を有する新規化合物を発見・単離してきた。<sup>3</sup>さらに昨年度の本大会において、複数の菌株より作成したNPPlotの分布パターンの比較による新規化合物の探索と単離について報告した。<sup>4</sup>今回、放線菌Streptomyces sp. RK85-270のフラクションライブラリーより作成したNPPlotの分布パターンから菌株特有の化合物群の探索を行い、2種の新規環状デプシペプチド1および2(図1)を見出すことができたので、それらの単離・構造決定について報告する。</p><p>図1.新規環状デプシペプチド1および2の構造</p><p>【微生物代謝産物フラクションライブラリーの作製】</p><p>放線菌Streptomyces. sp. RK85-270の30 L培養液に等量のアセトンを加え撹拌抽出後、吸引ろ過により菌体を除去し含水アセトン抽出液を得た。減圧下でアセトンを留去し、残った水懸濁液を酢酸エチルにより分配することで有機溶媒可溶性画分と水溶性画分を調製した。有機溶媒画分を減圧濃縮することで抽出物37.2 gを得た。このうち28.7 gをシリカゲル順相MPLCにより、クロロホルム/メタノールのステップワイズ溶出を用いて8分画とした。それぞれを逆相HPLCにより移動相にアセトニトリル/0.05%ギ酸水のグラジエント溶出を用いて一定時間で分画することでフラクションを作製した。水溶性画分は、DIAION HP-20によりメタノールに可溶なものを抽出後、得られたメタノール可溶性画分を逆相MPLCによりメタノール/水を移動相として分画することでフラクションを作製した。以上の方法で約400フラクションを作製した。各フラクションをPDA-LC/MSにより分析し、含有成分のUV吸収およびマススペクトルの収集を行い、成分情報の付加したフラクションライブラリーとした。</p><p>図2.放線菌RK85-270のNPPlotと特徴的分布を示した領域の拡大および</p><p>それら化合物のUV吸収スペクトル</p><p>【スペクトルデータベースNPPlot(Natural Products Plot)の作成】</p><p>PDA-LC/MS分析より得られたUV吸収およびマススペクトルデータをもとに化合物探索に利用するためのスペクトルデータベースを作成した。一般的なスペクトルデータベースに加え、研究室オリジナルのデータベースNPPlot</p><p>(View PDFfor the rest of the abstract.)</p>
著者
Chowdappa Rekha 長谷川 信美 後藤 正和 小薗 正治 藤代 剛 高橋 俊浩 高木 正博 野上 寛五郎 園田 立信
出版者
日本家畜管理学会
雑誌
日本家畜管理学会誌・応用動物行動学会誌 (ISSN:18802133)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.149-156, 2005
参考文献数
21
被引用文献数
2

幼齢ヒノキ造林地(YF区, 2003年6-9月)および野草地(NG区, 2003年10・11月)に放牧された黒毛和種雌牛の行動とルーメン内性状の特性を明らかにするために、24時間行動観察とGPSによる移動距離測定を各月1回, ルーメン液採取を各区2回行った。採食行動時間は平均537.7±109.8分/日で、Miscanthus sinensis採食割合と正(r=0.436, p<0.05)、Pleioblastus simonii採食割合と負(r=-0.676, p<0.001)の有意な相関を示した.M. sinensis採食割合は、P. simoniiおよびその他の植物採食割合と負(p<0.001)、横臥姿勢割合と正(p<0.05)の相関を示した。放牧期間中の移動距離は5001-6879mであった。ルーメン液中総VFA濃度に大きな変動はみられなかったが、個々の脂肪酸割合には牧区と時期によって変動に違いがみられた。NH_<3^->N濃度はYF区がNG区よりも高かった.総プロトゾア数/mlはYFで放牧初期2.0×10^6から放牧後期3.0×10^5に減少し、NGでは変化は示さず1.0×10^6で、両区ともEntodinium割合が最も高くかった。総バクテリア数/mlは1.4×10^7-8.2×10^8で、cocci (+)とcocco (-)の割合が高かった。この研究において、牛は幼齢造林地と野草地放牧に、行動を変化させ多様な植物を選択することで適応する能力があることが示された。
著者
北野 菜奈 福本 真一郎 徳山 桂理 池田 恵子 高橋 俊彦
出版者
日本家畜臨床学会
巻号頁・発行日
vol.9, pp.1-6, 2018 (Released:2018-10-02)

プアオン式イベルメクチン製剤は公共牧場において長期間継続的に使用されており,消化管内線虫駆虫に有効である。本研究では,駆虫を行っていない牧場を用いて駆虫計画を立案し,対象農場に適した駆虫のタイミングを模索するために,イベルメクチン製剤による駆虫を実施した。駆虫は試験区にのみ5月,7月,10月に行った。消化管内線虫卵数において試験区が対照区と比較し6月と8月で有意に低値を示し,試験区において7月と比較し8月,10月が有意に低値であったこと,体重において試験区で7月と比較し駆虫後の8月が有意に増体したこと,繁殖成績でも試験区が良好な傾向を示したことは,イベルメクチン製剤による駆虫から得られた効果であると考えられた。イベルメクチン製剤は世界的に牛で薬剤耐性が報告されている。今回のような投与回数を必要最小限に抑えた駆虫プログラムであれば薬剤耐性は容易に起こらないと思われた。
著者
宮脇 慎平 高橋 俊章 江川 廉
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.A4P3030-A4P3030, 2010

【目的】<BR> 我々が食物を取り込む時,手と口が互いに近づき,この時,頸部・体幹・股関節の運動が起こり,また食物形態,食事道具の違いにより運動様式の違いがみられる.先行研究では,摂食時の姿勢分析に関する研究は散見されるが,食物取り込み時の頸部・体幹・股関節運動を同時に分析し,また食物形態,食事道具の違いによる運動の比較をしている研究は見当たらない.そこで本研究の目的は,食物形態,食事道具の違いによる頸部・体幹・股関節運動の分析を行い,食事介助時の誘導を検討するための基礎データを得ることである.<BR><BR>【方法】<BR> 対象は,右利き手の健常男性成人10名(平均年齢21.7±0.7歳)である.測定は三次元動作解析装置(VICON370)を使用し,反射マーカーは頭頂部,両側耳介上側頭部,両側肩峰,第7頸椎棘突起,第12胸椎棘突起,第1正中仙骨稜,両上前腸骨棘,両大転子,両大腿骨外側上顆,右上腕骨外側上顆,右橈骨茎状突起,座面の四隅ABCDに貼付し,頸部及び体幹の屈伸・側屈・回旋,骨盤前後傾・側方傾斜・回旋,右股関節屈伸,右肘関節屈伸の運動角度を算出した.また,動作所要時間,最大角度を呈した時期を計測した.食物形態は海苔巻き,ヨーグルト,水の3種類とし,食事道具は割り箸,スプーン,平皿,深皿,コップを使用した.課題は,海苔巻を箸で食べる(NC),海苔巻をスプーンで食べる(NS),ヨーグルトをスプーンで食べる(YS),水をスプーンで飲む(WS),水をコップで飲む(WG)の5種類とした.統計処理は,反復測定による分散分析を行い,各課題間の差の検定は多重比較検定(Tukey法)を行った.各項目での食物取り込み時角度と最大角度の差の検定は対応のあるt検定,最大角度の時期の偏りはχ<SUP>2</SUP>適合度検定を使用した.有意水準は5%とした.<BR><BR>【説明と同意】<BR> 参加者には紙面および口頭にて研究の目的,方法,参加・協力の拒否権,もたらされる利益と不利益,個人情報の保護,研究成果の公表について十分説明を行い,同意書を得た.<BR><BR>【結果】<BR> 食物取り込み時角度では,頸部屈曲はWS(22.4±7.5:単位°)が,NC,YS,WGより有意に大きかった(p<0.05).体幹屈曲はWS(18.9±7.2)がNC,NS,WGより有意に大きく,YS(14.6±7.0)が,NC,WGより有意に大きかった.また,NS(13.5±5.5)がWGより有意に大きかった(p<0.05).骨盤前傾はWG(4.1±6.3)が,WS,YSより有意に小さかった(p<0.05).右股関節屈曲はWS(8.9±3.3)が,NC,NS,WGより有意に大きかった(p<0.05).また,YS(8.6±4.0)が,NS,WGより有意に大きかった(p<0.05).食物取り込み時角度と最大角度の比較は,頸部・体幹屈曲,骨盤前傾,股関節屈曲の多くの課題間で有意に差があった(p<0.05).最大角度の時期では,頸部屈曲の各課題が他の部位よりも「前」の割合が高く,体幹屈曲,骨盤前傾,股関節屈曲では「同じおよび後」の割合が高かった.<BR><BR>【考察】<BR> NCでは,固形物は箸で挟むと口に近づけて取り込めるため,他課題に比べ各関節の屈曲角度が小さかったと考えられた.NSでは,スプーン上方から食物を覆うようにして取り込むため,頸部屈曲が大きく,体幹屈曲,骨盤前傾,股関節屈曲角度が小さかったと考えられた.YSでは,半固形物はこぼれる可能性は高いが,スプーンに留められるため,体幹屈曲,骨盤前傾,股関節屈曲角度がWSよりも小さい.また取り込み時,口腔内にスプーンごと入れる必要があり,頸部屈曲が小さくなったと考えられた.WSでは,液体は半固形物に比べてこぼれやすく,スプーンの位置を固定しながら全身を屈曲させて食物に近づくため,他課題よりも,頸部・体幹屈曲,骨盤前傾,股関節屈曲角度が大きいと考えられた.WGでは,ほぼ上肢の運動のみでコップを口に近づける.頸部屈曲位での飲水は困難であるため,頸部・体幹屈曲,骨盤前傾,股関節屈曲角度が小さかったと考えられた.また,頸部屈曲において全課題で最大角度が食物取り込み前に呈する割合が高かったことから,頸部が先行して食物に近づくことが多いと考えられた.以上のことから,食物形態,食事道具の違いによって食事介助時の誘導を考慮する必要があると考えられ,今後,臨床における食事介助の誘導方法についてさらに検討を行いたい.<BR><BR>【理学療法学研究としての意義】<BR> 食事は生きるために重要なことであり,楽に摂食できることが望まれる.本研究では自立的な食事動作の分析を行ったが,この運動が本来食物の取り込みやすさにつながる.本研究の運動分析を,実際の食事介助の誘導に応用することにより,患者様に快適な摂食支援を提供できると考える.
著者
赤塚 清矢 神先 秀人 内田 勝雄 永瀬 外希子 高橋 俊章 佐藤 寿晃 千葉 登 後藤 順子 藤井 浩美 熊谷 純 八木 忍 日下部 明
出版者
山形県立保健医療大学
雑誌
山形保健医療研究 : 山形県立保健医療大学紀要 (ISSN:1343876X)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.29-34, 2013-03

生涯を通した健康づくりと総合的な介護予防の推進は,やまがた長寿安心プランの重点課題の一つとして掲げられており,急速な高齢化に向けた対策が急務である.本研究の目的は,我々が開発した介護予防体操の負荷の大きさと安全性を検討することである.日常生活が自立した地域在住者12 名を対象に,花の山形!しゃんしゃん体操(Ver.Ⅰ),新たに開発した介護予防体操(Ver.Ⅱ),対照としてNHKラジオ体操第一(ラジオ体操)を実施し,体操中の酸素摂取量を計測して比較した.その結果,Ver.Ⅰと比較しVer.Ⅱが、酸素摂取量,二酸化炭素排出量,代謝当量が大きく,Ver.ⅡはVer.Ⅰより負荷量が大きかった.呼吸商,呼吸数,心拍数,自覚的疲労度は3 つの体操において同程度であった.Ver.Ⅱは,心拍数や疲労感を上げずに負荷量を増加させることができ,高齢者や運動習慣のない者にとって安全で効果的な介護予防活動の手段であることが考えられた. キーワード:介護予防体操,酸素摂取量
著者
丹波 寛子 高橋 久美子 大倉 雅絵 佐藤 栄子 佐々木 司郎 伏見 悦子 竹内 雅治 高橋 俊明 関口 展代 林 雅人
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 第54回日本農村医学会学術総会 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
pp.68, 2005 (Released:2005-11-22)

[はじめに]たこつぼ型心筋障害(以下TAKO)は冠動脈攣縮やカテコラミン上昇など種々の原因が想定されているが、その詳細は不明であり、また経過中に心尖部肥大(以下APH)様を呈した報告は非常に稀である。我々は、TAKO経過中にAPH様を呈した2症例を経験したので報告する。[症例]〈症例1〉76歳女性。平成16年8月冷や汗を伴う胸痛が出現し前医を受診。心電図(以下ECG)のV3-4でST上昇、心エコー図(以下UCG)で心尖部領域に壁運動異常があり急性心筋梗塞(以下AMI)あるいはTAKOが疑われ、当院へ救急搬送された。緊急冠動脈造影(以下CAG)で有意病変は認められなかったが、左室造影(以下LVG)では心尖部がakinesisであることからTAKOと診断された。胸部X-pで心拡大、肺うっ血像、胸水は認められなかった。peak CK 279IU/l、CK-MB 9.9ng/ml。UCG所見として初診時は、乳頭筋レベルの前壁中隔から心尖部でakinesis 、壁の菲薄化と内腔拡大があった。また左室基部が過収縮なため、左室流出路では60mmHg程の圧較差が認められ、左室全体の収縮能としてはEF20-30%に低下していた。血圧低下があり少量のβ遮断薬が使用された。第16病日、内腔が縮小、EF87%と改善され、左室流出路の圧較差も消失していた。しかし、心尖部短軸断面では急性期のakinesis部に一致して壁が肥厚し、拡張期の内腔狭小化と拡張障害の所見があり、心尖部肥大型心筋症様の形態を呈していた。6か月後のUCGでは肥厚はみられず、収縮拡張ともに良好に改善されていた。ECG変化として、初診時はV2-6の軽度ST上昇のみで、第16病日にはI,II,III,aVL,aVF,胸部誘導に陰性T波、特にV3-5は巨大陰性T波を示したが6か月後には消失していた。〈症例2〉65歳女性。前医にて平成14年12月くも膜下出血術後、約1か月後にV-Pシャント術を施行。術後よりECGのV3-6でST上昇があり、AMI疑いで当院へ救急搬送された。緊急CAGでは有意病変は認められなかったが、LVGでは心基部が過収縮で、中部から心尖部にかけてdyskinesisであった事より、TAKOと診断された。胸部X-pで心拡大、肺うっ血像、胸水は認められなかった。peak CK 276IU/l、CK-MB 29ng/ml。UCG所見として初診時、基部の収縮は良好だったが乳頭筋レベルから心尖部でakinesis、壁の菲薄化も認められた。第4病日、心尖部側は縮小していたが、心尖部短軸断面では肥厚があり、内腔の拡張期狭小化と収縮拡張能の低下があった。また乳頭筋レベルの前壁中隔も厚い印象をうけた。ECGは初診時、I,II,III,aVL,aVF,V2-6でST上昇があり、第4病日には同誘導は陰性T波へ、特にV2-4では巨大陰性T波と変化した。第10病日には前医へ転院し、5か月後のECGでは発症前にほぼ戻っていたが、その後、不慮の事故により他界されたため改善後のUCGのfollowはされていない。[考察]今回報告した症例は、一例はくも膜下出血術後、もう一例はβ遮断薬が奏功したことより内因性カテコラミンの過剰分泌状態であったことが示唆される。一方、心尖部肥大型心筋症においては、心尖部の交感神経受容体異常が知られ、その成因に内因性カテコラミンの関与が報告されている。以上より、今回の2症例が経過中にAPH様を呈したことにおいて、カテコラミンの過剰分泌の関与が強く疑われた。[結語]TAKO経過中にAPH様を呈する2症例経験したが、その原因は不明である。今後多数例の検討を重ね、その病態および原因を追究していく必要がある。
著者
高橋 俊彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CST, コンカレント工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.284, pp.25-30, 2010-11-11
参考文献数
14

Ford and Fulkersonのラベリング法(labeling method)はネットワークの最大フローを求める古典的アルゴリズムである.このアルゴリズムは,ネットワークの辺容量がすべて整数(有理数)の場合に停止性が保証されるが,ネットワークが無理数容量の辺を持つ場合,フロー増加パスの選び方によっては終了しないことがある.現在までに,そのようなネットワークの例が幾つか示されているが,いずれも無理数容量の辺の容量は特定の値であった.本報告では,最簡かつ最小であり,さらに無理数の容量の値が任意であるようなネットワークを与える.この例は実数値容量ネットワークの多くがフロー増加の無限系列を持つことを示唆する.
著者
伊藤 千春 岩崎 靖 高橋 俊彦
出版者
公益財団法人 パブリックヘルスリサーチセンター
雑誌
ストレス科学研究 (ISSN:13419986)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.29-37, 2019 (Released:2020-03-25)
参考文献数
47

This study compared behavioral characteristics and job stressors of operators and managers of small and medium-sized enterprises (SMEs), examining the causal relations with factors contributing to mental illness. An anonymous web questionnaire survey was implemented targeting 600 individuals including presidents, directors, and individuals above the position of section chiefs of SMEs. Of them, 370 individuals were targeted for analysis, including 143 male presidents with less than 50 employees under them, 140 male managers, and 87 female managers. The covariance structure analysis results revealed that “malfunctional coping” in male presidents and managers had a positive influence on “job stressors,” and job stressors have a positive correlation with “mental illness.” However, for female managers, the path coefficient for “job stressors” with “malfunctional coping” was not significant and was not positively correlated with mental illness.Thus, male presidents and managers did not seek support from or appeal to others, or tried to do their best without complaining, which heightened job stressors and strengthened vulnerability to mental illness. However, female managers’ coping without seeking support or appealing to others had no influence on job stressors and did not cause any indirect vulnerability to mental illness.

1 0 0 0 OA 国民日本歴史

著者
高橋俊乗 著
出版者
富山房
巻号頁・発行日
1919
著者
阿曽 真弓 加藤 京一 安田 光慶 高橋 俊行 崔 昌五 藤村 一正 黒木 一典 中澤 靖夫
出版者
公益社団法人 日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術学会雑誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.67, no.7, pp.793-799, 2011-07-21 (Released:2011-07-28)
参考文献数
9
被引用文献数
4 6

A hand hygiene behavior questionnaire and environmental survey were conducted regarding the mobile X-ray system used in the emergency room. As a result, among a total of 22 radiological technologists at this hospital who replied to the questionnaire, 18 wore disposable gloves when performing X-ray imaging using the mobile system. Among those 18, 11 were found to touch computed radiology (CR) consoles and HIS/RIS terminals while still wearing the gloves, thus creating the potential for spreading pathogens to other medical equipment and systems. According to the results of an environmental survey of the emergency imaging preparation room, the highest levels of bacteria were detected on CR consoles and HIS/RIS terminals. A possible reason for this is that these locations are not wiped down and cleaned as a part of routine cleaning and disinfection protocols, thus demonstrating the importance of cleaning and disinfection. Hand hygiene by medical personnel and appropriate cleaning and disinfecting of the working environment are important for preventing the spread of nosocomial infections. Radiological technologists are also required to take effective measures against infections in consideration of the high frequency of contact with both infected patients and patients susceptible to infections.
著者
内野 博之 諸田 沙織 Chen Li 高橋 俊明 工藤 佳久 池田 幸穂 石井 脩夫 芝崎 太
出版者
日本蘇生学会
雑誌
蘇生 (ISSN:02884348)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.1-11, 2006-03-20 (Released:2010-06-08)
参考文献数
25

脳は非常に繊細な臓器であり, 短時間の虚血によって容易に障害を受ける。麻酔科医は, 通常業務の中で脳障害を引き起こす病態に遭遇することが少なく無い。脳をさまざまな侵襲から守るためには, 脳の生理的な特徴と脳障害を引き起こす病態の把握が重要となる。脳が虚血となるときの脳血流, 動脈血酸素分圧, 脳潅流圧はどのくらいなのか。脳を障害する病態と脳障害の基礎的なメカニズムおよび二次的に派生する障害の重要性とは何かについて概略を述べた。
著者
永瀬 外希子 伊橋 光二 井上 京子 神先 秀人 三和 真人 真壁 寿 高橋 俊章 鈴木 克彦 南澤 忠儀 赤塚 清矢
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.G0428, 2008

【目的】理学療法教育において客観的臨床能力試験(OSCE)の中に取り入れた報告は散見されるが、多くは模擬患者として学生を用いている。今回、地域住民による模擬患者(Simulated Patient以下SPと略)の養成に取り組んでいる本学看護学科(山形SP研究会)の協力を得、コミュミケーションスキルの習得を目的とした医療面接授業を実施した。本研究は、効果的な教育方法を検討するために、授業場面を再構成し考察することを目的とする。 <BR>【対象と方法】面接授業は、本学理学療法学科3学年21名を対象とし、臨床実習開始2週間前に行った。山形SP研究会に面接授業の進行と2名のSPを依頼し、膝の前十字靭帯損傷患者(症例A)、脊髄損傷患者(症例B)のシナリオを作成した。事前打合せや試行面接を行い、シナリオを修正しながらより実際の症例に近い想定を試みた。学生に対しては、授業の1週間前に面接の目的、対象症例の疾患名、授業の進行方法についてオリエンテーションを行った。面接授業実施30分前に詳しい患者情報を学生に提示し、4つに分けたグループ内で面接方法戦略を討論する機会を設けた。症例A・BのSPに対し、各グループから選出された学生が代表で10分間の面接を行い、それ以外の学生は観察した。それぞれの面接終了後に、面接した学生の感想を聞き、その面接方法に関して各グループで20分間の討論を行った。この面接からグループ討論までの過程を各症例につき交互に2回ずつ合計4回行い、全体討論としてグループごとに討論内容を発表し合った。最後に、SPおよび指導教員によるフィードバックを行った。<BR>【結果と考察】今回の医療面接の特徴は、第一点が情報収集を目的とするのではなく、受容的、共感的な基本的態度の習得を目的としたこと、第二点はトレーニングを受けている初対面のSPを対象としたこと、第三点は代表者による面接後グループごとに討論する時間を設定したことである。理学療法場面における医療面接では、医学的情報収集が中心となる傾向にある。今回の学習目的は、初対面の患者の話を拝聴し信頼関係を築くこととした。これにより、SPの訴えや思いなどを丁寧に聞いている学生の姿勢が認められた。また、初対面のSPとの面接を導入したことで、より臨場感あふれた状況の中で、学生が適度な緊張感を持って対応している場面が認められた。一巡目の面接では、SPに対して一方的に質問する場面が多くみられたが、二巡目ではSPが答えた内容に対して会話を展開させていく場面が際立った。これは、初回の面接終了後の討論により、面接者自身の反省や第三者の視点から得られた新たな方策を、次の面接に生かすことができたためと推測される。理学療法教育にSP参加型医療面接を導入することは、コミュニケーションスキルの向上を図るうえで有効な教育方法であると考えられる。 <BR>
著者
須藤 沙弥香 高橋 俊章 神先 秀人 遠藤 優喜子
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.35 Suppl. No.2 (第43回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.A1037, 2008 (Released:2008-05-13)

【目的】「食べる」という動作は、栄養を摂取し生きていくために必要な動作であり、摂食姿勢は円滑な咀嚼・嚥下を行う上で重要な因子である。嚥下障害がある場合に、ギャッジアップ30度ないし45度程度での食事摂取を推奨するとの報告があり、座位が不安定な場合などにも、ギャッジアップの状態で食事摂取を行うことがある。しかし、通常われわれは頭部や体幹を自由な状態にして食事をしており、後方へ傾斜した状態は頭部や体幹の制限をするため必ずしも自然な姿勢とは言いがたい。そこで本研究の目的は、ギャッジアップ45度、65度の肢位並びに端座位の肢位の違いが咀嚼・嚥下に及ぼす影響を明らかにすることである。【方法】神経学的疾患ならびに顎形態異常を有さないベッド上長座位が可能な健常成人男性5名(平均年齢22.4歳±0.5)及び女性5名(平均年齢22歳±1.2)を対象とした。なお、対象者全員に文書にて十分な説明を行い、同意を得た。ギャッジアップ45度(枕使用・不使用)、65度(枕使用・不使用)、端座位の5つの肢位で、食物テスト、水飲みテスト、反復唾液嚥下テスト(以下RSST) の3つのテストを行った。食物テストはこんにゃくゼリー16gを完食するまでの咀嚼回数・嚥下回数・時間を測定した。水飲みテストは硬度20の冷水30mlの嚥下回数・飲み終えるまでの時間を測定した。また、これらのテストの間、表面筋電計を用いて舌骨上筋群、咬筋、側頭筋、胸鎖乳突筋、僧帽筋の筋活動を測定した。筋活動の比較では各テストにおいて、テストの開始から終了までの積分値を用いた。さらに主観的評価として、各テストにおいて最も楽な姿勢を問診にて調査した。統計処理は、多重比較検定を用い、有意水準は5%とした。【結果】筋活動量の比較においては、食物テストとRSSTを行った際の胸鎖乳突筋の活動量が、端座位と比較してギャッジアップ45度枕使用時において有意な増加が認められた。また、RSSTを行った際の僧帽筋の活動量は、端座位と比較して他の全ての姿勢において有意な増加が認められた。主観的評価においては、端座位がゼリーの咀嚼・嚥下、水の嚥下、唾液の嚥下いずれにおいても最も楽な姿勢であった。端座位の次に楽な姿勢は、ゼリーの咀嚼・嚥下、水の嚥下においてギャッジアップ65度枕使用であった。またゼリーの咀嚼回数、水の嚥下回数では明らかな差は認められなかった。【考察】結果より、端座位と比較して、ギャッジアップ45度、65度どちらも胸鎖乳突筋及び僧帽筋の筋活動量が増加した。これらは主観的評価から得られた、端座位がゼリーの咀嚼・嚥下、水の嚥下、唾液の嚥下いずれにおいても最も楽な姿勢であったという結果と一致しており、本研究の対象である健常成人においてはギャッジアップベッドの食事姿勢が咀嚼・嚥下に不利な影響を及ぼしている可能性が示唆された。