著者
高橋 英之 速水 則行 内山 祐司 石川 悟 大森 隆司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.480, pp.177-182, 2009-03-04
被引用文献数
2

自動車運転において,人間は様々な危険を知覚しながら運転行動を行う.運転中の危険知覚は,運転場面に存在する不確実性だがありうる危険の知覚と,確実に生じる危険の知覚,という二つの脳過程が関わっていると考えられる.今回の研究ではこれらの脳過程に関わる脳部位特定の為に,自動車運転場面のシミュレータにおいて被験者が感じる衝突に対する不確実性を被験者の衝突判断から定量化し,不確実性が大きい場面における衝突判断時の脳活動と,確実に危険が生じると判断可能な場面における脳活動をそれぞれfMRIにより計測することを試みた.その結果,不確実性が大きい場面における衝突判断には前頭葉内側部が関わっていることが示唆された.また統計的には弱い結果であるが,確実に危険が生じると判断可能な場面においては島皮質に賦活傾向がみられる.この結果は,先行して行われてきた神経経済学の研究の知見と矛盾しないものであり,今後,自動車運転のような複雑な認知タスクの理解においても神経経済学的知見を応用することが可能であるという示唆を得た.
著者
稲葉 通将 高橋 健一
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.E-I94_1-9, 2019-03-01 (Released:2019-03-01)
参考文献数
28

Non-task-oriented dialogue systems are required to chat with users in accordance with their interests. In this study, we propose a neural network-based method for estimating speakers’ levels of interest from dialogues. Our model first converts given utterances into utterance vectors using a word sequence encoder with word attention. Afterward, our novel attention approach, sentence-specific sentence attention extracts useful information for estimating the level of interest. Additionally, we introduce a new pre-training method for our model. Experimental results indicated that it was most effective to use topic-specific sentence attention and proposed pre-training in combination.
著者
古屋 智規 高橋 賢一 橋爪 隆弘 久保田 穰 和嶋 直紀 橋本 直樹 伊藤 誠司 鈴木 行三 伊藤 良正
出版者
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.121-125, 2003

bolus造影helical CTによりIIIb型膵頭部完全断裂と診断し, 尾側膵胃吻合を行って良好な経過を得た症例を経験したので報告する. 症例は19歳, 女性. 2001年8月27日, 軽ワゴン運転中防雪棚に衝突. 上腹部をハンドルに強打し近医に搬送された. 収縮期血圧62mmHg, 腹部造影CTで外傷性膵損傷と診断されたが, 損傷程度の把握不能で翌日当科に紹介された. 腹膜刺激症状あり, 気管内挿管後にbolus造影helical CTで膵頭部の完全断裂と診断して直ちに開腹した. 膵は上腸間膜静脈~門脈本幹右縁で完全断裂していた. 頭側主膵管は縫合閉鎖し, 尾側膵断端は主膵管にカニュレーションし, 端側で胃後壁に吻合した. 術後経過良好で術後49日で退院し, 術後膵機能に問題なく, 現在元気に社会復帰している. bolus造影helical CTが外傷性膵損傷の損傷部位と程度の把握に有用で, III型膵頭部完全断裂と診断された場合, 尾側膵胃吻合は, 手技が単純でかつ機能温存の面からも極めて有用な術式と考えられた.
著者
高橋 大樹 伊藤 秀昭 澤 繁美 中村 清彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.658, pp.25-30, 2006-03-16
参考文献数
7

機械学習の一つである強化学習は条件付けのモデルとして提案された計算モデルである。中脳のドーパミン細胞活動が強化学習における時間差分予測誤差を表現しているという報告がされている。また、近年、確率的に報酬が与えられる場合、不確実さを表すドーパミン細胞活動が示された。本研究の目的はこの不確実さの活動を計算モデルを用いて再現する事である。大脳基底核の計算モデルとして強化学習を仮定し、正の時間差分予測誤差より負の時間差分予測誤差を重視して学習を行う事で不確実さを表す活動を再現する事ができることを示す。また、このモデルが人間の行動特性であるプロスペクト理論の一部をも再現できる事を示す。
著者
高橋 忠伸 紅林 佑希 大坪 忠宗 池田 潔 南 彰 鈴木 隆
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.65, no.12, pp.689-701, 2016-12-05 (Released:2017-01-12)
参考文献数
67

インフルエンザA型及びB型ウイルスや一部のパラミクソウイルスは,ウイルス受容体のシアル酸を糖鎖末端から切断する酵素「シアリダーゼ」を持つ.これらのウイルスの感染細胞上には,ウイルス遺伝子に由来するシアリダーゼが豊富に発現する.著者らが開発したシアリダーゼ蛍光イメージング剤「BTP3-Neu5Ac」は,シアリダーゼ活性の存在部位を組織化学的に蛍光染色する.BTP3-Neu5Acを利用することで,ウイルス抗体や細胞の固定化操作を必要とせずに,これらのウイルス感染細胞を簡便迅速に蛍光イメージングできる.さらに,インフルエンザ治療薬であるシアリダーゼ阻害剤をBTP3-Neu5Acと併用することで,薬剤耐性化インフルエンザウイルスの感染細胞を選択的に蛍光イメージングして,薬剤耐性化ウイルス株を高効率に単離することができる.本稿では,BTP3-Neu5Acを利用したウイルス感染細胞の蛍光イメージングについて概説する.
著者
佐藤 翔紀 高橋 祐貴 川端 祐一郎 宮川 愛由 藤井 聡
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.74, no.5, pp.I_513-I_524, 2018 (Released:2019-01-10)
参考文献数
20

自然災害のリスクが高い我が国においては,中央政府と地方自治体双方の努力により「ナショナル・レジリエンス」を確保することが急務となっている.国のみならず地方自治体の取り組みが重要な役割を担っており,その実態の把握と,取り組みを改善する手段についての研究が不可欠である.本研究では,地方自治体に対するアンケートを行い,地方自治体における防災政策の現状を確認するとともに,防災に関する地方自治体間のやり取りや,近年公共政策の領域においても活用の可能性が指摘される物語型の情報共有が,防災政策の充実を促す傾向が観察されるか否かを検証する.
著者
奥田 稔 高坂 知節 三宅 浩郷 原田 康夫 石川 哮 犬山 征夫 間口 四郎 新川 秀一 池野 敬一 松原 篤 稲村 直樹 中林 成一郎 後藤 了 小野寺 亮 遠藤 里見 亀井 民雄 室井 昌彦 馬場 廣太郎 島田 均 舩坂 宗太郎 大橋 伸也 鄭 正舟 小澤 実佳 八木 聰明 大久保 公裕 後藤 穣 服部 康夫 上野 則之 柏戸 泉 大塚 博邦 山口 潤 佃 守 池間 陽子 坂井 真 新川 敦 小林 良弘 佐藤 むつみ 山崎 充代 藤井 一省 福里 博 寺田 多恵 小川 裕 加賀 達美 渡辺 行雄 中川 肇 島 岳彦 齋藤 等 森 繁人 村上 嘉彦 久松 建一 岩田 重信 井畑 克朗 坂倉 康夫 鵜飼 幸太郎 竹内 万彦 増田 佐和子 村上 泰 竹中 洋 松永 喬 上田 隆志 天津 睦郎 石田 春彦 生駒 尚秋 鈴木 健男 涌谷 忠雄 宮國 泰明 夜陣 紘治 森 直樹 田頭 宣治 宮脇 浩紀 青木 正則 小林 優子 高橋 正紘 沖中 芳彦 遠藤 史郎 池田 卓生 関谷 透 奥園 達也 進 武幹 前山 忠嗣 恒冨 今日子 増山 敬祐 浅井 栄敏 土生 健二郎 中崎 孝志 吹上 忠祐 角田 憲昭 渡辺 隆 野口 聡 隈上 秀伯 吉見 龍一郎 茂木 五郎 鈴木 正志 大橋 和史
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.42, no.5, pp.633-658, 1996-09-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
21

通年性アレルギー性鼻炎患者211例を対象に, KW-467910mg/日 (KW群) の有効性, 安全性および有用性をoxatomide 60mg/日 (OX群) を対照薬として多施設二重盲検群間比較試験により検討した.最終全般改善度の「改善」以上は, KW群61-6%, OX群57.6%で, 両群間に有意差は認められなかつたが, 同等性の検証を行った結果, KW群はOX群と比較して同等ないしそれ以上と考えられた. 概括安全度の「安全性に問題なし」と評価された症例は, KW群68.0%, OX群61.4%で, 両群間に有意差は認められなかった. 主な副作用症状は両群とも眠気であった. 有用度の「有用」以上は, KW群54.9%, OX群50.5%であり両群間に有意差はなかったが, KW群の方がやや有用率が高かった.以上の成績より, KW-4679は通年性アレルギー性鼻炎に対して, 臨床的に有用性の高い薬剤であると考えられた.
著者
高橋 敏
出版者
スポーツ史学会
雑誌
スポーツ史研究 (ISSN:09151273)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.41-51, 2017

群馬県下には、今日なお上州(上野国)といわれた江戸時代の在村剣術から二五代にわたって受け継がれてきた古武道が確固として命脈を保っている。高崎市吉井町に現存する樋口家と馬庭念流である。兵農分離の刀狩りで剣術はおろか武器を根こそぎ取り上げられた筈の多胡郡馬庭村に、百姓身分でありながら道場を構えて根を下ろし、周辺農村から上州一円、北関東、江戸にまで門人を獲得し、最盛期には門人が数千と豪語された一大流派を築いた。更に明治維新以降の近代化のなかで前代の剣術諸流派が剣道に収斂・統一される趨勢のなか、脈々と今日まで継承されてきた。そこには江戸時代の上州という風土と社会が深くかかわっているように思われる。本講は、北関東上州の一農村の田舎剣法から門人数千の一大剣術流派に発展した馬庭念流を手がかりに二世紀半にも及ぶ未曾有の平和な江戸時代に、身分制度の厚い壁を破って展開していった武芸について考えてみたい。<BR> 上州、関東においては、兵農分離は身分制度として断行されたが、刀狩りは実施されず、武器の所持、剣術の継承は禁止されることはなく許容された。樋口家は中世以来の在地土豪の権益を失い、公的には百姓身分になったが、私的な領域においては姓を名乗り、帯刀し、念流を伝授することは黙認された。要は在地土豪の念流を継承する郷士と馬庭村百姓の二つの顔を持つことになった。<BR> 馬庭念流は、江戸時代初頭から四代に長命にして剣技・指導力に優れた当主に恵まれ、北関東を中心に多くの門弟を集め、江戸にまで進出して道場を経営し、一大流派の結社に発展する。門人は百姓町人のみならず、高家新田岩松氏、七日市藩前田氏、小幡藩織田氏、支配領主旗本長崎氏の主従にまで門下の列に加えている。<BR> なかでも流派念流の結社としての勢力を誇示したのが有名神社の社前において秘剣を披露し、師匠以下門人名を列記した大額を奉納する儀礼であった。上野四社から江戸神田明神・浅草寺、鎌倉八幡、伊勢外宮・内宮、遠く讃岐金刀比羅宮にまで足を運び、大枚を投じ奉額している。<BR> このような現象は念流だけではなかった。千葉・斎藤・桃井の江戸三大道場と謳われた民間剣術流派の盛業に顕著のように、幕藩領主に囲い込まれ、正統とされた剣術が衰退し、民間の剣術がこれに代わって勃興していったことと軌を一にしたものであった。いわば幕藩秩序そのままの武士が独占する伝統守旧の剣術から民間の活性化された在村剣術が掘り起こされて、身分制度の枠を打破して、武芸として百姓町人までが入門、習練する時代が到来したのである。まさに戦国乱世の殺人剣から幕藩領主の子飼いの指南の剣術を経て、新たに自衛のため、修行のための武芸に生まれ変わろうとしていた。もちろん武芸の大流行は、念流が江戸から勢力拡大を図る北辰一刀流千葉周作と伊香保神社掲額をめぐって一髪触発のところまでいったように、諸流派の競合・対立を引き起こすことも多々あった。しかし、大勢は総じて流派間の共存と連携を深めていったことの方が事実である。幕府法令からは民間の帯刀、剣術は厳禁されているが、時代の武芸熱は冷めるどころか高揚し、諸流派を渡り歩く武者修行の旅が一般化していく。これを可能にしたのが諸流派間を結び、連携する一種のネットワークの形成であったように思う。そこには支配秩序に直結する武士のみならず姓名、諱まで名乗る武士風体の百姓・町人が多く含まれ、身分制度の壁を越えた一大武芸の文化ネットワークが広がっていた。<BR> 剣術、武芸の歴史といえば、権力争奪に絡む殺伐とした合戦、暗殺、仇討ち、テロといった殺人剣を類推する向きが多いが、平和の時代を背景に自己鍛錬の武芸として定着していったことを見落としてはならない。近代剣道に転換する素地はつくられていたのである。
著者
來村 徳信 笠井 俊信 吉川 真理子 高橋 賢 古崎 晃司 溝口 理一郎
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.73-84, 2002 (Released:2002-04-04)
参考文献数
19
被引用文献数
4 4

In conceptual design, a designer decomposes a required function into sub-functions, so-called functional decomposition, using a kind of functional knowledge representing achievement relations among functions. Aimin at systematization of such functional knowledge, we proposed ontologies that guide conceptualization of artifacts from the functional point of view. This paper discusses its systematic description based on the functional ontologies. Firstly, we propose a new concept named “way of achievement” as a key concept for its systematization. Categorization of typical representations of the knowledge and organization as is-a hierarchies are also discussed. Such concept, categorization, and functional ontologies make the functional knowledge consistent and applicable to other domains. Next, the implementation of the functional ontologies and their utility on description of the knowledge are shown. Lastly, we discuss development of a knowledge-based system to help human designers redesign an existin artifact. The ontology of functional concepts and the systematic description of functional knowledge enable the supporting system to show designers a wide range of alternative ways and then to facilitate innovative redesign.

1 0 0 0 OA 活語彙

著者
[高橋富兄] [著]
出版者
[高橋富兄]
巻号頁・発行日
vol.[3], 1800
著者
長谷川 光司 高橋 一裕 阿山 みよし 春日 正男
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.455-462, 2001-03-20 (Released:2011-08-17)
参考文献数
23
被引用文献数
2 1

The purpose of this paper is to clarify the effects of visual information on corresponding auditory information when they are presented simultaneously in a wide frontal area (180 degrees) on a horizontal plain. Sound localization experiments were carried out both with and without visual stimuli associated with sound stimuli. In the experiments, four different visual images of a human speaker and the four corresponding speech sounds were used as the visual and sound stimuli, respectively. The visual stimuli were projected on a half-cylindrical shaped screen in five directions (-60, -30, 0, 30, 60 degrees), and the corresponding sound stimuli were reproduced in 13 directions (-90, …, -15, 0, 15, …, 90 degrees) via loudspeakers placed in each direction or transaural reproduction using a pair of loudspeakers (±30 degrees). The degree of sound localization accuracy was evaluated according to a five-grade system in cases where visual stimuli were absent. The results obtained showed that a sound image far away from its corresponding visual image (maximum 150 degrees) was affected by the visual image, and that a sound image having a relatively low degree of localization accuracy tended to be strongly affected by the visual image. These results show that, in addition to the relative position of visual and sound stimuli, the degree of sound localization accuracy is one of the important elements in auditory-visual interaction on a wide frontal area.
著者
高橋 和子
出版者
舞踊学会
雑誌
舞踊學 (ISSN:09114017)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.34, pp.83-86, 2011 (Released:2018-07-31)