著者
高橋 直紀
出版者
新潟大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

歯肉上皮細胞は、物理的なバリアとして機能するだけではなく、細菌に対して免疫応答を誘導することで生体防御の最前線として重要な役割を果たす。近年同定された新規イオンチャネルであるTRPチャネルタンパクは炎症性疾患への関与も報告されている。本研究において、歯肉上皮細胞にTRPV1が遺伝子レベル・タンパクレベルで発現していることが確認され、TRPV1を介したシグナリングが細胞増殖能に関与していることが明らかとなった。これらのことより、歯周炎の病態形成におけるこれらのタンパクの関与が示唆された。
著者
三上 博史 周 伝久 高橋 千一郎 佐藤 忠夫 嶋影 和宜
出版者
一般社団法人 資源・素材学会
雑誌
資源と素材 (ISSN:09161740)
巻号頁・発行日
vol.110, no.4, pp.313-318, 1994
被引用文献数
2

Vanadium diboride (VB<SUB>2</SUB>) film has been synthesized on mild steel and transparent quartz substrates by CVD method, which was carried out at the temperature range of 1073 to 1223K with the hydrogen reduction of VOCl<SUB>3</SUB>-BCl<SUB>3</SUB> mixture under the chemical erquivalent ratio regions of 10 to 40 for H<SUB>2</SUB>-VOCl<SUB>3</SUB> gases and of 40 to 120 for H<SUB>2</SUB>-BCl<SUB>3</SUB> gases. VB<SUB>2</SUB> film involving both Fe<SUB>2</SUB>B and FeB was synthesized on a mild steel substrate because a mild steel plate was borided with BCl<SUB>3</SUB> gas. On the other hand, pure VB<SUB>2</SUB> layer film was prepared on a transparent quartz substrate atthe temperature above 1173K. Futhermore, VB<SUB>2</SUB> film having high orientation and crystallization could not be prepared on a mild steel substrate. However, smooth surface VB<SUB>2</SUB> film having high crystallization and micro-vickers hardness of about 2800Hmv could be synthesized on a transparent quartz substrate at the temperature of 1173K under the conditions of chemical equivalent ratio of 40 for H<SUB>2</SUB>-VOCl<SUB>3</SUB> gases and of 80 for H<SUB>2</SUB>-BCl<SUB>3</SUB> gases.
著者
高橋 典子 今井 正彦 李 川
出版者
公益社団法人 日本油化学会
雑誌
オレオサイエンス (ISSN:13458949)
巻号頁・発行日
vol.14, no.12, pp.523-530, 2014

<p>ビタミンAは約200年前に発見されてから,様々な役割を果たす重要な栄養素として認められてきた。現在,活性型ビタミンAであるレチノイン酸は前骨髄性白血病患者に対し分化誘導療法薬(抗がん剤)として使用されているが,他のがんや疾病に対する応用も期待される。近年,レチノイン酸以外のレチノールを含むレチノイドに抗がん作用があることが示され注目が集まっている。そこで本稿では,ビタミンAの供給,及び,生体内でのビタミンAの動態,代謝,作用についての新しい知見を,1)β-カロテンの作用と供給源としてのレッドパーム油,2)レチノイン酸の腸内免疫賦活作用,3)ビタミンAに関連する新技術[レチノイン酸の可視化,レチノイン酸結合タンパク質の分解促進法,レチノイン酸のLC/MS/MSによる新規定量法],4)ビタミンAに関連する新素材[新規レチノイン酸誘導体由来化合物の抗酸化作用と抗がん作用(Non-genomic action)],の内容で紹介する。ビタミンAの補助食品としての活用法の構築や予防薬・治療薬の開発を行い,健常人や患者のQOLの向上に寄与できる研究を目指す。</p>
著者
千田 麻美子 川野 亜紀 高橋 智子 大越 ひろ
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.15, pp.4, 2003

【目的】 リゾットはイタリアの米料理であるが、そのテクスチャーとおいしさに関する報告はほとんど見られない。そこで、本研究ではリゾットのテクスチャーとおいしさに及ぼす米品種の影響について検討した。【方法】 日本米(Aこしひかり)およびイタリア米3種(Bウ゛ィアローネナノ,Cカルナローニ,Dアルボーリオ)の計4種を材料として用いた。調製方法は日本イタリア料理協会会員を対象に行ったアンケート調査を参考に、実験室レベルで調製可能なモデルを検討した。リゾットのテクスチャーとしては、調製後30分までの変化について、リゾット全体(全粒法)のテクスチャー特性の硬さ,凝集性,付着エネルギーおよび、米粒一粒あたり(一粒法)の破断荷重を測定した。また、シェッフェの一対比較芳賀変法を用い、調製後のリゾットについて、かたさ、存在感、べたつき感、好ましさの4項目について評価してもらった。【結果】 4種の米を用いたリゾットは、いずれも調製直後から経時的に、テクスチャー特性の硬さは増加傾向を示し、米一粒の破断荷重はやや減少傾向を示した。付着エネルギーは放置時間に伴い4試料とも増加傾向を示したが、Aこしひかりを用いたリゾットが他のイタリア米3種のものより大となった。しかし、Dアルボーリオを用いたリゾットは他のイタリア米のものより付着エネルギーの増加が顕著であった。官能検査の結果、AこしひかりとCカルナローニで調製したリゾットが好まれた。

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著者
高橋広道
出版者
巻号頁・発行日
vol.[4],
著者
大石 智広 稲垣 栄洋 高橋 智紀 松野 和夫 山本 徳司 栗田 英治
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
日本造園学会 全国大会 研究発表論文集 抄録
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.95, 2009

グリーンツーリズムの対象を示すため,景観の選好性や景観を見たときの印象,景観から想起される仮想行動を調査した。茶園は成人女性と女の子に好まれ,リラックスした体験が適すると考えられた。ミカン園は成人女性と子供が好んだ。森林は成人男性と子供に好まれ,音や景色を静かに楽しむ体験が適した。牧場は多くの人に好まれ,行動を伴う様々な体験が適した。成人女性は広々とした景観を好み,成人男性は自然的な景観を好んだ。多くの人は仮想行動が多く想起される景観を好んだ。特に子供は,飲食行動が想起される景観を好んだ。以上のことから農業景観に適したグリーンツーリズムの対象が示された。農業景観をグリーンツーリズムに効果的に活用するには,景観の好みや景観を見たときの印象や起こしたくなる行動を把握することが重要である。
著者
高橋 秀俊 中鉢 貴行 森脇 愛子 武井 麗子 飯田 悠佳子 荻野 和雄 神尾 陽子
出版者
日本生物学的精神医学会
雑誌
日本生物学的精神医学会誌 (ISSN:21866619)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.229-234, 2013 (Released:2017-02-16)
参考文献数
26

自閉症スペクトラム障害(ASD)では,知覚処理の非定型性について知られており,低次の知覚処理機能と高次の機能との関連の脳内基盤の発達的変化を明らかにすることは,ASDの病態形成メカニズムを理解する手がかりとなりうると考えられる。聴覚性驚愕反射(ASR)は,精神医学領域におけるトランスレーショナル・リサーチにおいて,国内外で広く研究されている。今回我々は, ASD 児 10名とそうでない児童34名を対象に,ASR検査を実施した。聴覚刺激として,65 ~ 110dB まで 5dBきざみで10段階の音圧の聴覚刺激を提示した。さらに,対人応答性尺度で評価された定量的自閉症特性との関連も検討した。ASD 児では,ASRの潜時が延長しており,微弱な刺激に対するASR が亢進しており,これら ASR の指標は,いくつかの自閉症特性と相関した。ASR の指標が, ASDの病態解明に関して有用である可能性が示唆された。
著者
安藤 寿男 栗原 憲一 高橋 賢一
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.113, pp.S185-S203, 2007
被引用文献数
3

北海道中軸部の空知-蝦夷帯に広く分布する蝦夷層群は,白亜紀アプチアン~古第三紀暁新世の間に,サハリン南部から本州中部鹿島沖にまで続いた長大な前弧堆積盆にもたらされた堆積物で,北東アジアの海成層の模式層序となっており,当時の古環境変遷を復元するには重要な地層である.この巡検では,蝦夷層群が層序的に厚くかつ広域に分布する三笠-夕張地域において,陸海断面方向や時間層序学的にどのような堆積相変化を示すのかに注目して,セノマニアン~チューロニアン階の三笠層と佐久層,およびカンパニアン~暁新統の函淵層を中心に見学する.三笠層と函淵層では,様々な堆積構造を観察した上で,河川~浅海成堆積相や堆積シーケンスの特徴を把握する.また,三笠層の浅海生軟体動物群集やそのタフォノミーについても注目する.一方,東方同時異相である佐久層では,沖合成の泥質岩相やタービダイト相に加えて,セノマニアン/チューロニアン境界の海洋無酸素事変層準やアンモナイト群集の特徴も取り上げる.さらに,白亜紀のアンモナイトコレクションを三笠市立博物館で,古第三系始新統石狩層群の石炭層を夕張市石炭博物館で見学する.
著者
田中 大喜 村木 二郎 松田 睦彦 湯浅 治久 鈴木 康之 井上 聡 高橋 典幸 黒嶋 敏 貴田 潔 神野 祐太 渡邊 浩貴
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究では、13世紀後半~14世紀にかけて顕著になった、西遷・北遷と呼ばれる東国武士の西国や東北地域の所領への移住の実態について究明する。その際、西遷・北遷東国武士と在来諸勢力とを相互規定的な関係にあるものと捉える観点から、両者の多様な諸資料を広く収集・分析し、文献史学・考古学・美術史学・民俗学・歴史地理学による地域総合調査として進めていく。本研究の成果は、報告書や展示等を通して社会に発信していくと同時に、様々な研究分野に利活用できる調査情報公開のシステム作りも進め、調査データの社会資源化を図る。
著者
渡邊 貢次 高橋 裕子 森田 一三 坪井 信二 中垣 晴男 榊原 康人
出版者
愛知教育大学
雑誌
愛知教育大学研究報告 教育科学 (ISSN:0587260X)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.35-39, 2006-03

愛知教育大学の男子大学生306名,女子大学生411名(合計717名)を対象とし,自覚的健康と医療10科のイメージ(印象)についての調査を行った。その結果,次のようにまとめられた。1)健康状態を大変よい+ややよい+よいの合計でみると,男子約80%,女子約85%となり,女子の方が健康状態ではやや良好という自己判断を示していた。2)「痛み」のイメージでは,内科,外科,精神科,小児科,耳鼻咽喉科,歯科の6科で男女間に有意差がみられた。6科いずれも女子の方がスコア平均値は高かった。「大切さ」のイメージでは,内科,外科,整形外科,精神科,小児科,耳鼻咽喉科,皮膚科の7科で男女間に有意差がみられた。産婦人科を除いた9科において男子の方が高スコアを示した。「身近さ」のイメージでは,外科,整形外科,産婦人科,眼科,皮膚科,歯科の6科で男女間に有意差がみられた。評価については男女間で分かれた。3)健康状態と,イメージとの関連性では,男女とも「痛み」と相関がみられ,また,女子では「身近さ」とも相関がみられた。4)イメージからみた医療10科間の類縁性を検討した。男女とも共通して大きく3つのグループに分けられた。①内科・眼科グループ,②精神科・小児科・耳鼻咽喉科・皮膚科グループ,③外科・整形外科・産婦人科・歯科グループである。全体より,イメージの形成は受診経験が大きく影響しているのではないかと推察した。
著者
高橋 祐二 宮地 純子 荻野 尚志 木村 純二
出版者
日本水産學會
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.371-375, 1994
被引用文献数
1 1

The analysis of components in algae is an important research subject in the fields of food, perfume, and medicinal chemistry because they have characteristic odors and unique structures different from those found in land plants. A systematic analysis of the ether soluble components in <i>Undaria pinnatifida</i> was therefore conducted. The sample was soaked in methanol for one week and the methanol extract was treated with ether in order to remove mannitol. The resulting ether soluble components were then separated and purified by a silica gel column and/or preparative thin layer chromatography. Compounds of hydrocarbons (paraffins, polyolefins), methyl and phytyl esters of fatty acids, long chain aldehydes, and sterols were isolated. Most of these compounds have been found in algae preciously, but some were recognized for the first time in <i>U. pinnatifida</i>.
著者
川島 一彦 高橋 良和 葛 漢彬 呉 智深 張 建東
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A (ISSN:18806023)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.825-843, 2009 (Released:2009-09-18)
参考文献数
11
被引用文献数
3

本論文は2008年5月12日に中国で発生した中国四川地震(汶川地震)による橋梁被害を示すものである.現地調査は2008年8月9日∼15日を基本とし,この他,複数回の個別調査も行った.本地震による主要な強震記録とその特性,中国における橋梁の耐震設計の概要と設計地震力,被害との関連も検討する.最後に,本文に示す橋梁被害から得られた四川汶川地震による橋梁被害の特徴及び原因について示す.
著者
加納 亜紀 高橋 香代 片岡 直樹 清野 佳紀
出版者
日本小児保健協会
雑誌
小児保健研究 (ISSN:00374113)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.549-558, 2009-09-30
参考文献数
21
被引用文献数
2
著者
高橋 佳奈 藤本 梓 藤本 淳
出版者
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.192-200, 2018

<p>広汎型重度慢性歯周炎患者を歯周基本治療にて治療した一症例について報告する。</p><p>患者は42歳女性。3ヶ月前から歯肉の発赤,腫脹が著しく出血が多くなったため前医を受診,当院を紹介され来院した。臨床所見は全顎的に歯肉の発赤,腫脹を認めた。特に上顎左側部には炎症性歯肉増殖がみられた。プロービング時の出血(BOP):31.9%,プロービングポケットデプス(PPD):4 mm以上52.1%,O'Leryのプラークコントロールレコード(PCR)50%。エックス線所見では下顎前歯部および臼歯部の一部に垂直性骨吸収を認めた。</p><p>検査結果の説明と口腔清掃指導を繰り返し行い,スケーリング・ルートプレーニングを行った。患者のモチベーション向上の一環として,長期経過や生活背景を患者とともに確認し,口腔内の状態について患者自身の理解の向上を図った。歯周基本治療が進行するとともに口腔清掃状態が向上し,歯肉の腫脹が消退した。再評価時にデンタルエックス線写真上で歯槽骨の改善を観察したため,歯周外科治療は行わず,口腔機能回復治療を行った。2015年9月サポーティブペリオドンタルセラピー(SPT)へ移行した。</p>
著者
安藤 敏 高橋 千晶 幾見 京子 増田 彩子 清水 俊雄
出版者
日本育種学会
雑誌
育種学雑誌 (ISSN:05363683)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.195-201, 1997

アルファルファ雄性不稔系統(CMS)のオルガネラの遺伝情報を栽培品種に導入するため非対称融合法の検討を行い,その結果,安定して雑種カルスを得る方法を確立した。栽培品種のプロトプラストはヨードアセトアミド(IOA)で処理し,CMSのプロトプラストにはX線を照射したのち電気融合法で非対称融合を行った。栽培品種のプロトプラストはアガロース包埋法で培養した場合,6mMのIOAで処理することでほとんど不活化できた。CMSのプロトプラストのコロニー形成を抑えるには900Gy以上のX線照射量が必要で,他の植物と比べ高いことが明らかとなった。融合処理した細胞はアガロース包埋法で培養したが,この時,培養の最初からナース細胞を加えず,アガロースのまわりにKaoの液体培地のみを加えることにより,不定胚を形成するカルス(embryogenic callus:EC)の出現が確認できた。両親の植物体から全DNAを抽出し,ミトコンドリアDNA(mtDNA)をプローブとしてサザンハイブリダイゼーションを行いRFLP(制限酵素断片長多型)を調査した結果,制限酵素XhoIとプローブatpAの組合せで両者を明確に区別できることを見いだした。IOA濃度として3mMと6mM,X線照射量として1350 Gyと2250 Gy,アガロースのまわりに添加する培地としてKP培地とKC培地を選び,それぞれの組み合わせで融合処理と培養を行い,カルス形成,EC形成,植物体の再生およびmtDNAのタイプ毎のカルスの出現割合に及ぼす影響を調べた。その結果,IOAは低濃度(3mM)の方がカルス数,EC数,再生植物体数が多かったが,栽培品種型のエスケープカルスを抑えるためには高濃度(6mM)が必要だった。X線照射量は2250 Gyの方がカルス形成の頻度が高かった。CMSのプロトプラストに2250 Gyという高い量のX線を照射する条件では,核ゲノムだけでなくオルガネラゲノムが破壊されることが懸念されたが,mtDNAの分析からCMS特有のバンドが確認され,この条件が許容されると判断された。細胞質雑種と考えられるカルスの出現割合,及びECや再生植物体数から考えると,IOA 6mMとX線照射量2250 Gyの組み合わせが最もよいと考えられた。MtDNA分析で雑種型と判断されたカルスについてmalate dehydrogenase(MD)のアイソザイム分析を行った結果,CMS特有のバンドをもたず核が栽培品種型であるサイブリッドと考えられるものが得られた。再生植物体についてもmtDNA分析を行ったが,全て栽培品種と同じ型を示し,雄性不稔の形質は導入されていないものと判断された。