著者
高橋 俊彦 本城 秀次
出版者
医学書院
雑誌
精神医学 (ISSN:04881281)
巻号頁・発行日
vol.21, no.9, pp.945-952, 1979-09-15

I.はじめに 病者の身近にいる人物が瓜二つであるがまったく別の人物と入れ替っている,と訴える症例については1923年Capgrasら1)がl’illusion des sosiesとして報告して以後,フランス語圏を中心に症例の報告がなされてきたが,最近日本でも報告がいくつかみられるようになった2〜10)。そして諸家は,その症状の特異さの故にカプグラ症候群(syndro—me de Capgras)として特別の単位の如く扱ったり,あるいは精神病の一症状としてのウエイトしか置かなかったりして,一定しない。 ところで「瓜二つ妄想」の発現はある程度年齢が高くなってからといわれている。従来の報告によれば多くは30歳以上であり,10歳台のものはわれわれの知る限りわずかにTodd11)の報告した17歳の少女とMoskowitz, J. A.12)の12歳の症例ぐらいである。 今回われわれは13歳と15歳に「瓜二つ妄想」を発した男女2症例を経験したので,その若年齢であることに注目して報告し,若干の精神病理学的考察を試みたい。
著者
大久保 敬祐 高橋 弘樹 田口 正美
出版者
一般社団法人 資源・素材学会
雑誌
Journal of MMIJ (ISSN:18816118)
巻号頁・発行日
vol.135, no.2, pp.8-14, 2019-02-28 (Released:2019-02-21)
参考文献数
27
被引用文献数
1

Pushed by human activities, the atmospheric CO2 concentration has reached levels which have made extreme weather events more likely, and which threaten permanent climate changes for the world. In order to combat this, CO2 emissions must be reduced significantly. Electricity production and industry are two sectors which contribute greatly to the production of CO2, thus a reduction in the amount of CO2 produced by thermal power plants and factories could make a significant contribution to combatting climate change. The electrochemical reduction of CO2 in those sources is considered very likely to be a solution to the problem. In this study, the activity of a Pt oxide electrode in the electrochemical reduction of CO2 was investigated in a sulfuric acid solution. Pt oxide electrodes have shown superior activity for the methanol oxidation reaction, which is the reverse reaction of CO2 electrochemical reduction. Cyclic voltammetry of the Pt oxide electrode in a CO2-saturated H2SO4 solution showed a definite anodic peak at 0.6-0.8 V vs. SHE, which was not observed in an Ar-deaerated electrolyte. Thus, it was determined that the anodic peak could be related to the re-oxidation of the reduction product of CO2 during cathodic polarization. The activity of the Pt oxide electrode for CO2 reduction was much higher than that of the Pt electrode. It was concluded that the residual oxygen, which was hardly detected in the Pt electrode, improved the activity for CO2 electrochemical reduction on the Pt oxide electrode. Gas chromatography-mass spectrometry of the electrolytic solution after CO2 reduction revealed that the reduction product was mainly CH3OH. These results should be very useful for developing a new electrochemical reduction system for converting CO2 into CH3OH.
著者
斉藤 まなぶ 足立 匡基 中村 和彦 大里 絢子 栗林 理人 高橋 芳雄 吉田 恵心 安田 小響
出版者
弘前大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

発達障害の有病率及び併存率の推定:平成26年4月から平成28年10月までに健診に参加した全5才児3804名(月齢平均:63カ月)を解析の対象とした。一次スクリーニングは2923名(76.8%)から回答を得た。二次検診の対象児は607名(20.8%)であった。最終的に希望者31名を含む440名が二次健診に参加した。ASDの診断については、さらに補助診断検査としてASD診断を受けた対象者に後日ADI-RまたはADOSを施行した。その結果、自閉症スペクトラム障害(ASD)が3.30%、注意欠如・多動性障害(ADHD)が4.95%、発達性協調運動障害(DCD)が5.54%、知的障害/境界知能(ID/BIF)が3.33%であった。また、ASDではADHD合併が60.0%、DCDの合併が61.1%、ID/BIFの合併が40.0%であった。疫学調査における使用尺度の妥当性の検討:AD/HD-RSの内的整合性(N Takayanagi, et al. 2016)、ASSQ短縮版の5歳児適用における妥当性(足立ら、2016)を検証した。リスク因子の検討:得られた疫学データからロジスティック回帰分析を行い、ASDのリスク因子は出生体重2500g未満と父親の高齢が有意な結果となった。バイオマーカーの検討:ASD群でIGF-1、VLDL-Cho、VLDL-TGに有意な性差があった。バイオマーカーとASD、ADHD症状との関連性はIGF-1が実行機能の問題、VLDL-Choが相互的対人関係の問題、VLDL-TGが社会性、想像力、対人関係の問題と負の相関があったGazefinderを用いた注視点検査では、5歳のASD児は興味のある映像への注視は長く、興味のない映像への注視は短いことが確認された。
著者
三浦 真弘 花岡 創 平岡 裕一郎 井城 泰一 磯田 圭哉 武津 英太郎 高橋 誠 渡辺 敦史
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.126, 2015

林木は、異なる環境に種苗を移動した場合、成長等形質に影響する可能性が懸念される。このため、主要林業用樹種のスギでは、環境条件や天然分布の情報を基に種苗配布区域が設定され、種苗の移動が制限されてきた。一方、林木育種事業により設定された次代検定林の調査データとGISデータを利用して特定地域内の林木の移動による影響評価の解析を行ってきたところ、確かに移動の方向により不利益が生じる場合が認められるものの、影響を生じない場合もあることなどが明らかとなった。しかし、日本では共通系統を利用して異なる環境間の大規模植栽試験の実施とその詳細な影響評価について報告例がなく、広域の種苗移動による影響の有無について不明なままである。本研究では、全国各地のスギ精英樹27クローンを用いて、全国9カ所の苗畑で2年間の成長を調査し、産地および植栽場所による成長への影響を評価した。これらのデータを元に種苗を移動した場合のスギの影響評価について検討を行い、現行の種苗配布について議論を行う。
著者
尾留川 正平 山本 正三 佐々木 博 金藤 泰伸 朝野 洋一 高橋 伸夫 斎藤 功
出版者
Tokyo Geographical Society
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.76, no.5, pp.229-256, 1967-10-25 (Released:2009-11-12)
参考文献数
20
被引用文献数
3

Suburbanization is very phenomenal in the western suburbs of Tokyo, nevertheless a. sizable area is still devoted to agriculture and the agricultural output is quite large. The aim of this research is to survey the ecological aspects of human occupance of the land which is well characterized by the ever intensive urban as well as agricultural use and also to analyze operational structure of farm households that has strongly led the study area to such a suburbanized occupance pattern in terms of interviews of farmers and various statistical materials.Results : 1) Sale of agricultural land is quite limited because of rise of land price, resulting in the juxtaposition of built-up areas and farmlands. 2) Agriculture in these mostly built-up areas has the following characteristics : a) to increase labor productivity rather than land productivity, b) to increase household or personal income whether by specialization on arboriculture, lawn growing, specialized vegetable growing and chicken and pig raising, or by incorporating them in agricultural management so as to improve total agricultural productivity, or from other sources than farming such as management of filling stations, driving, schools, and public baths, and also as white color, c) to hold agricultural land as assets probably for a relatively long period, since the farmers here can get stable income from rent and apartment houses they have built recently, although increment of so-called socially fallow lands is to be seen frequently, and d) to ship out vegetables and eggs to nearby markets or to sell them directly at farmsteads. 3) It is urgently needed to conserve as much farmland as possible and also even to encourage farm management to a degree that the farmers are able to compete with ever-developing urban industries, otherwise the critical shortage of green open spaces in the metropolitanized regions will be further accelerated.
著者
吉田 隆治 高橋 浩
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
地震工学研究発表会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.25, pp.441-444, 1999

著者らは海底軟弱地盤上の水中盛土工法として軽量モルタルを袋詰めにして用いる袋詰め投入工法を提案している. 本工法は変形追随性を有し, 未硬化の状態で水中投入すれば締め固めを必要としないことが水中投入実験から確認されている. しかし, 盛土材の軽量化に伴う拘束圧の低下により地震時の変形や沈下が懸念された. そこで, 本工法による水中盛土地盤の耐震安定性を確認するため, 振動台実験および簡単な解析的検討を行った。その結果, 未硬化の状態で袋詰め材を投入すれば地震時の水中盛土地盤の沈下は抑制でき, 今回の実験の範囲ではL2相当の地震動に対して安定であることが確かめられた. 本工法による水中盛土地盤の強度定数は確認できていないが, 静的震度法による検討結果から未硬化の状態で袋詰め材を投入すればかなり強度の高い地盤が構築できたことが推測される.
著者
鈴木 隆介 高橋 健一 砂村 継夫 寺田 稔
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.211-222, 1970-04-01 (Released:2008-12-24)
参考文献数
8
被引用文献数
8 5

調査地域の洗濯板状起伏は,その尾根部が凝灰岩層,谷部が泥岩層からなる.泥岩には微小な節理が著しく多いが,凝灰岩には存在しない.本地域の泥岩は凝灰岩にくらべて圧縮強度,弾性波速度,衝撃・摩耗硬度が大きい.また,吸水膨脹歪と膨脹圧は泥岩の方が著しく大きい.以上のことから,洗濯板状起伏は,岩石の圧縮強度や衝撃・摩耗硬度といったいわゆる“かたさ”あるいは“つよさ”の差異に起因するのではなくて,基本的には,含水状態の変化に伴う膨脹・収縮歪の差異が節理の発達状態の差異に関連し,節理で分離した泥岩の小岩片が波で持ち去られるといった機構で生じたものと解した.
著者
高橋 清
出版者
学校法人 天満学園 太成学院大学
雑誌
太成学院大学紀要 (ISSN:13490966)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.75-84, 2009

The present research focuses on the men's Japan basketball team.In a game attack form is divided into two parts the fast break and set offense.Set offense is futrher subdivided into 4 parts of the shot, the penetrate, the drive ,and the rebound due to each source and the each numerical value is calculated.Moreover,it totaled according to a set item and the numerical value was calculated in the turnover and the rebound said that the victory or defeat of the game would be divided.As a result,the success rate of 2 point shot was in Japan remarkably compared with Taiwan and the Qatar of the opponent.It did not come to influence the victory or defeat of the game though the number of field projection of 3 point shots showed high price,and showed the numerical value with a dominant success rate.It is thought that the numerical value by the passing mistake greatly influences the victory or defeat of the game from the entire numerical value the turnover.The importance of the defensive rebounds was reconfirmed about the rebound.It is thought that the calculated numerical value understands the attack form of the men's Japan basketball team ,and is useful for the method of guiding the future.
著者
高橋 愛
出版者
美術科教育学会
雑誌
美術教育学:美術科教育学会誌 (ISSN:0917771X)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.219-231, 2006

本研究では,中国文献を基にし,先行研究と兼ね合わせて,未だ日本では広く認識されていない連環画の変遷とその描写方法について考察している。連環画の特徴には,主に文学の発展とともに発達してきたため,描写よりも文が先行する場合があることが挙げられる。それは,国語的な要素が強く,教育性が高いと言えるが,そこに描写された挿絵は,白黒のものも彩色が施されたものも,挿絵の技法として非常に美しい。そういった挿絵は,美術的な流れを汲んでいるため,美的なものとして捉えることができる。こういった流れは,現代の中国の絵本にも共通点として見出せた。そして,このことは今後,中国の絵本を見ていく際の貴重な手がかりとなり得よう。
著者
松島 麻鈴 前田 晃宏 高橋 享子
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.3-12, 2019 (Released:2019-02-15)
参考文献数
27
被引用文献数
1

0.1%抗原添加食餌による経口免疫療法 (OIT) が, 強制経口投与 (ゾンデ) によるOITと同等の症状緩和及び免疫寛容を誘導するか検討した。マウスへの卵白アレルギー誘導は, 卵白混合水酸化アルミニウムゲルの腹腔感作と卵白経口惹起で行った。惹起されたマウスを3群 (非治療群, ゾンデ群, 食餌群) に分け, 非感作マウスも用意した。治療期間中は4週間とし, 食餌群は0.1%卵白含有20%カゼイン食を, 他の群は20%カゼイン食を与えた。また, ゾンデ群は30 mg/mL卵白溶液を, 他の群はリン酸緩衝生理食塩水を各々100 μL毎日強制経口投与した。ゾンデ群と食餌群の卵白腹腔負荷試験後の直腸温低下は, 非治療群より抑制された。さらに, ゾンデ群と食餌群の血漿中オボアルブミン特異IgE濃度とオボムコイド特異IgE価は, 非治療群より低値を示した。しかし, ゾンデ群と食餌群とでこれらの指標に差はなかった。したがって, 1日の抗原摂取量が少量かつ同等であれば, 持続的摂取は単回摂取と同等の治療効果を有することが示唆された。
著者
荘司 喜博 高橋 邦夫 浅井 正 角田 隆
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 = Proceedings of JSCE (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.637, pp.137-148, 1999-12-20
参考文献数
14
被引用文献数
5 1

発電事業などの副産物である石炭灰は, いまだに大量が産業廃棄物として処分されている. 石炭灰は, セメントを添加して固化し, 必要な強度をもたせることにより, 軽量で高強度な地盤材料として利用できる可能性がある. そこで, 石炭灰を固化処理した地盤から岸壁に作用する土圧の算定手法を提示し, 土圧軽減効果を評価した. また, 室内および現地で試験を行い, 配合設計と施工条件を検討した上で. 酒田港の大型岸壁建設工事で, 約5万m<sup>3</sup>の石炭灰を裏込め工事に使用した. この結果, 少量のセメント添加で (<i>c</i>/<i>w</i>=5%). 砕石に相当する土圧低減効果を発揮する裏込め (地盤強度; <i>qu</i>≧2.0kgf/cm<sup>2</sup>≒0.196N/mm<sup></sup>) が施工できること, また, 建設コスト縮減の面でも効果があることが確認された.
著者
大井 将徳 中村 嘉隆 稲村 浩 高橋 修
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.581-590, 2019-02-15

平成29年における自転車乗車中の死傷者のうち64.7%が法令違反運転中に交通事故に遭っているなど,近年,自転車が関与する事故が問題となっている.自転車の違反運転に関する法律や条例は整備されてきているが,いまだ違反運転の認知度は低い.そのため,自動的に自転車違反運転を検知して運転者に違反運転内容などを通知することによって,違反運転を減少させるようなシステムが必要となる.本論文は複数センサを用いた非接触センシングによる自転車運転者の状態検出に基づく自転車違反運転検知システムを提案する.提案システムはモーションセンサと照度センサを用い,モーション比較,深度情報取得,トラッキング時間測定,自転車走行位置計測,照度測定を用いて自転車違反運転内容を判断し,その内容を運転者および周囲へと通知する機能を備える.屋外において提案システムの対象判別および違反運転判断についての評価実験を行い,実用に耐える精度を確認した.
著者
高橋 麻理恵
出版者
日経BP社
雑誌
日経ヘルスケア : 医療・介護の経営情報 (ISSN:18815707)
巻号頁・発行日
no.341, pp.78-83, 2018-03

JIHに代表されるように、政府は外国人患者の受け入れに関して、これまでも様々な促進策を講じてきた。中でも経済産業省は、2008年頃から各種制度の整備や実証実験、医療機関の取り組み実態の把握などを行っている。野村総合研究所は2015年に経産省の委託事業で…