著者
パテル オズマン・ヴァリ 平子 誠 高橋 透 佐々木 伸雄 百目鬼 郁男
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.659-663, 1995-08-15
被引用文献数
6

2胚移植によって受胎した正常双胎妊娠牛(N牛), フリーマーチン妊娠牛(F牛)および反転性裂体妊娠牛(S牛)の妊娠全期間にわたる末梢血中プロジェステロン(P_4), エストロン(E_1)およびエストラジオール(E_2)の消長を調べた. 血中P4濃度は, F牛が妊娠254日に双子を死産した際に急減した他は, 三者の間には相違がみられなかった. 血中E1濃度は, N牛においては好期の経過に伴い上昇し, 分娩日に最高値を示した後に急減し, F牛においてはN牛よりも低い値で推移し, 妊娠254日に突然上昇した後に急減した. また, S牛においてもN牛より低く, 変動を伴って推移した. 血中E_2濃度は, 三者ともにE_1より低く, かつE_1濃度に平行して推移した. 血中E_1, E_2濃度は, 分娩後1日にN牛では両者とも20pg/ml以下の値に低下したが, F牛とS牛はE_1が150kg/ml以上, E_2が20pg/ml以上の値を示した. この成績は, 妊娠中の胎子数の判定同様子宮内の胞子の予後の判定においても, P_4よりE_1やE_2の方が優れた指標となることを示唆している.
著者
上田 卓司 高橋 優
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第15回大会
巻号頁・発行日
pp.128, 2017 (Released:2017-10-16)

現代社会においては,種々のコンピュータ・ネットワークサービスを利用するためのIDやパスワードが多く必要とされ,またそれらの適切な管理運用も求められている.管理運用についての規範は多いが,それらは人間の記憶をはじめとした認知特性とはかけ離れている.本研究ではパスワード様のランダム文字列を複数生成・記憶する課題を通じ,パスワードの生成運用方略を検討することを目的とした.実験において参加者は,実験結果開示用のものを含む架空のサイト/サービス用パスワードを8つ生成し,それらランダム文字列の性質について評定することが求められた.開始前の段階では記憶課題が含まれることは参加者に告げられていなかった.実験の結果,半数以上の参加者において使い回し等,適切とされるパスワード管理運用規範からの解離が認められた.これらの結果について認知特性及び情報セキュリティの観点から論じられた.
著者
山口 一郎 寺田 宙 欅田 尚樹 高橋 邦彦
出版者
国立保健医療科学院
雑誌
保健医療科学 (ISSN:13476459)
巻号頁・発行日
vol.62, pp.138-143, 2013-04

東京電力福島第一原子力発電所事故により,食品の放射線安全への懸念が国内外で高まり,そのために様々な対策が講じられた.対策の成果を評価するために,食品に由来した線量の推計が様々な方法により試みられている.ここでは,厚生労働省が公表している食品中の放射性物質のモニタリング結果に基づく線量推計例を示す.なお,事故直後から6ヶ月間の被ばく線量の評価例は,2011年10月31日に薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会放射性物質対策部会で報告されている.本稿では,その評価例に引き続くものとして,事故直後から2012年12月までの実効線量と甲状腺の等価線量を積算した評価例を示す.年齢階級別に東電福島原発事故後の食品中の放射性セシウムと放射性ヨウ素に由来した預託実効線量を推計した結果,中央値が最も高かったのは13-18歳で2012年12月20日までの積算で0.19mSvであった.95%タイル値が最も高かったのは1-6歳で0.33mSvであった.このような食品からの線量の事後的な推計は,ある集団や個人の放射線リスクの推計や放射線防護対策の評価に役立てることができる.また,今後の食品のリスク管理のあり方の検討にも役立てることができるだろう.
著者
福田 昭一 渡部 鉄兵 高橋 泰
出版者
一般社団法人 日本医療・病院管理学会
雑誌
日本医療・病院管理学会誌 (ISSN:1882594X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.9-18, 2018 (Released:2018-04-13)
参考文献数
10

医師・歯科医師・薬剤師調査の1996年から2014年のデータを用い,診療科名の変更や市町村合併に対応して年代別の診療科別地域別の医師数を算出するプログラムを開発することにより,診療科別・地域区分別の医師数の格差やその時系列的推移を解析した。この結果,1996年から2002年にかけて総医師数は年率1.4%増加したが,外科総数,産婦人科総数は減少し,心臓血管外科,形成外科,リハビリテーション科,麻酔科の医師数は年率3%を超えて大きく増加したこと,2008年の時点で大都市と過疎地の間で全ての診療科において人口当たりの医師数で大きな格差がみられ,2008年から2014年にかけて,その格差が救急科を除く全ての診療科において更に拡大したことを明らかにした。外科総数,皮膚科,眼科,産婦人科総数は,都市と地方で格差拡大が顕著な診療科であり,かつ身近にあることが必要な診療科であるので,これらの診療科の格差是正が特に必要である。
著者
巽 博臣 信岡 隆幸 川崎 喜恵子 竹中 ユキ江 佐藤 香織 高橋 和也 菊池 敦子 角谷 真由美 井山 諭 平田 公一
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.28, no.5, pp.1119-1123, 2013 (Released:2013-10-25)
参考文献数
5

【目的】スタッフの臨床栄養に関する知識の把握を目的に調査を行った。【対象および方法】2011年4月と11月にアンケート調査を行った。1回目の結果を公表し、2回目の調査までに栄養療法の基礎的な内容のNSTセミナーを行った。【結果】基本項目の正答率 (1回目) は3大栄養素の熱量は52%、6大栄養素の成分は20%、微量元素製剤に含まれる微量元素は11%、急性期の栄養指標は5%であった。略語の意味の正答率はIVH、BMI、NSTについては約5割にとどまり、半数以上の略語が20%以下であった。高カロリー輸液製剤に含まれる栄養成分を理解している医師は50%以下で、経腸栄養剤の特徴は一部を除き10%以下の正答率であった。1回目に比べ2回目にはアンケート回答数が増加し、多くの項目で正答率の上昇傾向がみられた (有意差なし)。【結論】スタッフの栄養に関する基本知識の理解度は低かった。NSTセミナーで臨床栄養の重要性を啓蒙することで、栄養に対する興味や知識の理解度は向上すると考えられた。
著者
高橋 清久
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.169-178, 1998-03-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
26
被引用文献数
1

近年の時間生物学研究の進展により生物時計機構の解明が進み、この時計機構の異常が疾患を引き起こしている可能性が示唆されている。この異常による障害は生体リズム障害とよばれるが, その代表的なものは睡眠覚醒リズム障害と季節性感情障害である。これらに共通した特徴は, 高照度光照射が効果をもつことである。また, 睡眠覚醒リズム障害にはビタミンB12およびメラトニンが奏効する例がある。最近行われた季節性感情障害の長期経過研究により, この障害には(1)秋冬のみにエピソードを繰り返す季節性, (2)過眠・過食・炭水化物渇望などの非定型症状, (3)光療法奏効, という3つの特徴を兼ね備えた中核群が存在することが明らかにされた。
著者
斉藤 匡昭 宮川 孝子 佐々木 こず恵 山崎 とみ子 高橋 明美 小野 文徳 秋山 博実 小野地 章一
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集
巻号頁・発行日
vol.56, pp.331, 2007

〈緒言〉<BR>平成19年4月よりがん対策基本法が施行され、がん疼痛における対策が明文化された。当院では、平成18年7月に緩和ケアチームが発足した。それに伴い、薬剤科でも、緩和ケアにおける取り組みを行ってきた。当院は平成19年1月にがん診療連携拠点病院に指定された。<BR>これまでの当院の緩和ケアチームの活動と緩和ケアにおける薬剤科の取り組みについて報告する。<BR>〈概要〉<BR>1)緩和ケアチームの業務は、依頼された患者の緩和ケア実施計画書の作成と主治医への助言・協力、退院後の緩和ケア体制の調整、月2回の病棟回診およびチームカンファレンスである。 構成員はチーム本体が医師2名、薬剤師2名、看護師4名。チーム活動に協力する支援ナースが病棟看護師12名と外来看護師1名となっている。<BR>2)薬剤科での取り組みは全職員対象の緩和ケア勉強会では薬剤師が今まで2回に渡って講演を行った。<BR> 月に1度、支援ナース単独の勉強会では薬剤師が薬剤について解説している。勉強会後に補足が必要な場合は院内LANで資料を配布している。平成19年4月に疼痛治療マニュアルを作成し各病棟に配布した。また医師が携帯出来るような縮小版も作成した。原案は薬剤科で検討した。その他、オピオイドの薬物動態表や換算表をポケット携帯版にしてチームメンバーに配布した。<BR>〈症例〉<BR>主病名は胃がん、すい臓がん。<BR>心窩部痛にて近医を受診し胃カメラ検査を受けたところ精査が必要と言われ、総合病院を紹介され、胃がん、膵がん、癌性腹膜炎、肝転移と診断され予後は1~2ヶ月と告知された。その後、本人が希望して当院を受診、疼痛緩和を目的に入院となった。<BR>痛みへの不安と告知による精神的な落ち込みが強いためチームでは在宅へ向けた精神的ケアと十分な鎮痛を緩和ケアの目標とした。<BR>疼痛は腹部が著名であった。依頼時はデュロテップパッチ2.5mgを貼付されていたが鎮痛不十分で、モルヒネ筋注によるレスキューをしばしば使用、他、嘔気を伴っていた。そこで、チームではデュロテップパッチの5mgへの増量と嘔気予防としてノバミンの内服、レスキューとしてオプソ内服液の使用を助言した。<BR> その後、疼痛コントロールは良好となり、嘔気も消失した。入院当初は「家に帰ることは考えられない」と話していたが、徐々に精神的動揺も減り、年末年始には自宅に外泊も可能となった。<BR>〈今後の課題〉<BR>緩和ケアチームとしては、主治医との連携を強化し、医師会、薬剤師会等に働きかけ、在宅緩和ケアに向けた地域医療連携体制を構築できるよう努めていきたい。<BR>薬剤科としては、病棟薬剤師とチーム薬剤師間で患者情報の共有を図り、連携の強化や医師の処方に積極的に支援できるよう個々のレベルを上げていきたいと思う。<BR>
著者
高橋 和也 本田 敦 野澤 剛二郎 土肥 哲也 小川 隆申
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A1(構造・地震工学) (ISSN:21854653)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.167-172, 2015 (Released:2015-05-20)
参考文献数
8
被引用文献数
3

列車速度500km/h領域の超高速鉄道のトンネルでは,微気圧波の低減対策として坑口にトンネルより大きな断面積を持つ角型の緩衝工が設置されている.緩衝工をトンネル断面と同じ円型にすると,建設コスト低減などの利点がある一方で,緩衝工の効果が減少したり,突入時の空気振動が発生する恐れがある.本報告では,超高速鉄道における微気圧波の低減効果を確保し,かつ空気振動を十分なレベル以下とする円型緩衝工の可能性を検証することを目的とする.そのために,1) 緩衝工の断面形状をパラメータとした1/31スケールの模型試験と,2) 山梨実験線に設置した円型緩衝工の現地計測を行い,これらの結果より円型化による微気圧波ならびに空気振動への影響を確認することで,その有効性を明らかにした.
著者
高橋 直美
出版者
東洋大学ライフデザイン学部
雑誌
ライフデザイン学研究 (ISSN:18810276)
巻号頁・発行日
no.8, pp.177-195, 2012

宮沢賢治の『注文の多い料理店』に収録されている「烏の北斗七星」について、主人公が烏である意義、そして同書の広告にある「戦うものの内的感情」について考察した。 烏は山の神の使者であるとともに田の神(農耕神)の使者であるため、烏勧請のような儀礼が盛んになったようである。しかし、その一方で、烏が死をイメージさせるものであることから、「烏の北斗七星」の登場人物が烏である理由は、生と死の世界と表象させるのにふさわしい存在、そして、山烏が殺されることで山の神から田の神への春秋去来を、大尉(少佐)の生還から来るべき春(烏が夫婦で生活する期間)への喜びを表すことで、「田圃」の鳥としての烏を表しているのではないかと考えられる。群れを守るための烏の戦いは回避が不可能であり、自然界の掟は弱肉強食である。しかし、一切衆生悉皆成仏を考えると、敵も味方も自利利他の区別もなく、そこにはただ仏法の法則、すなわち〈妙法蓮華経〉が存在するのみとなる。ゆえに、殺生という悪業を犯さなければ生きていけない烏は、転重軽受の功徳を受けるために日蓮の法華経(北辰)を信仰する(妙見信仰)。烏の大尉の祈りは『妙法蓮華経 化城喩品第七』の「願意此功徳 普及於一切 我等與衆生 皆共成佛道」であり、賢治の信仰姿勢と通じているのである。烏が妙見信仰である理由は、マジエルの由来が北斗七星を含む星座である大熊座の〈Ursa Major〉の〈Major〉に由来することから理解できる。なぜなら北斗七星=北辰は妙見信仰として日蓮と深く関係しているからである。また、北斗七星の一つである破軍星は、この星の方向に向かって戦いを挑めば必ず負け、この星を背にして戦えば必ず勝つとされているため武士の信仰が篤かったこともあり、軍人である烏たちも信仰したものと考えられる。 ところで、私見ではあるが、賢治の烏を観察する態度や視点は、A.T. シートンの『シートン動物記』に収録されている「シルバースポット」とよく似ている。烏を軍隊にたとえ、鳴き声を区別し、烏の生態のよき観察者としてのその才能をいかんなく発揮しているからである。I considered on a 'significance that a hero is a crow and inner feeling of a fighting one' in its advertisement in in 'the Grate Bear of a Crow', which was recorded in a novel of Kenji Miyazawa's 'a restaurant taking many food order'. A crow is a messenger of mountain god and of the god of a rice field (an agricultural god), so courtesy such as 「烏勧請」is very popular, while a crow is ominous existence which makes death image, too. So some reasons why 'the Great Bear of Crow' is a crow are considered as a symbol of fertility of a rice Field in spring because of existence matching with the image of the world of the life and death or of a country crow's winning at the struggle for existence. Crow's battle which the struggle for existence for their survival means cannot avoid because it is the world of the law of the jungle. But if one thinks of「 一切衆生皆悉成仏」, Distinction between one's friends and foes disappears and one only preaches 'the Lotus Sutra', the teaching that one will change the law of fate and evil deeds and make one turn in one's grave. Therefore, a crow which must commit a crime for his survival has faith in the Grate Bear because it is concerned with Nichiren Shu (日蓮宗). Also, Kenji's attitude and his point of view which watch a crow looks like 'Silver Spot' recorded in Seton's "Wild animal I have known". He compares a crow to an army, distinguishes tearful voices and gives full scope to his ability as a good observer in the ecology of a crow.
著者
鴨下 隆志 奥村 健一 高橋 和仁 増村 正男 矢野 宏
出版者
一般社団法人 品質工学会
雑誌
品質工学 (ISSN:2189633X)
巻号頁・発行日
vol.6, no.4, pp.39-45, 1998-08-01 (Released:2016-06-10)
参考文献数
4

In the era of diversified information, the demand of electronic document processing is becoming stronger and stronger. Today, it is indispensable to use electronics for data base processing. The methods transforming printed documents into electronic codes have been commercialized, however, technologies to recognize hand writing have not been well developed yet. In this paper, the improvement of hand writing recognition, which is to recognize the pattern of multi-dimensional information, was studied using MTS (Mahalanobis-Taguchi System). It has been confirmed the application of MTS is effective for multi-dimensional information. This study aimed to apply the method to a new field of multi-dimensional information processing.
著者
高橋 渉 野村 光由 桝田 正美 柴田 隆行 村上 良彦 堀内 宰
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集 2011年度精密工学会春季大会
巻号頁・発行日
pp.329-330, 2011 (Released:2011-09-01)

微小径エンドミルを用いた微細加工では,工具が折損し易いため,1刃あたりの送りを小さくせざるを得ない.このため,ごく僅小の工具回転振れがあっても,切り屑生成への影響を無視できないと考えられる.本研究では,φ100μmの微小径エンドミルを用いて,種々の工具回転振れにおける切り屑生成挙動および加工形状精度への影響について実験検討したので、その結果について報告する.
著者
平井 郁仁 高田 康道 佐藤 祐邦 高橋 晴彦 矢野 豊 高津 典孝 松井 敏幸 今村 健太郎 池田 圭祐 岩下 明德 宮岡 正喜
出版者
医学書院
雑誌
胃と腸 (ISSN:05362180)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.345-357, 2014-03-25

要旨 当科において診療したCrohn病(CD),潰瘍性大腸炎(UC),Behçet病患者(BD)を対象とし,生検および手術標本における病理組織学的所見の結果から,二次性アミロイドーシス(SA)合併の有無を検討した.CDに関してはデータベースを用いて患者数,臨床像,臨床経過および長期予後について解析し,さらにSA合併症例の詳細とSAの合併有無別の比較検討を加えた.IBD患者におけるSA合併率は1.1%(CD : 1.6%,UC : 0.3%,BD : 3.4%)であった.CD症例においては,(1) 診断では十二指腸病変の認識と生検が有用であること,(2) SA合併率は1.6%で,近年やや下降傾向であること,(3) 累積生存率はSA診断後50か月で79.5%,131か月で53.0%と生命予後が不良であること,(4) SA合併例は悪性疾患の既往の頻度が15.4%で非合併例より有意に高かったことが明らかとなった.

1 0 0 0 海洋審美論

著者
高橋鐵太郎著
出版者
文明堂
巻号頁・発行日
1903
著者
高橋 知里 岡崎 篤行 梅宮 路子
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:1348284X)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.57, 2005

公共施設計画の設計者選定において、最も多く用いられている方法は入札である。しかし、より優れた公共施設を計画するためには、設計者選定段階においても市民参加を取り入れることが重要である。そこで、本研究では、新潟駅駅舎・駅前広場計画提案競技における運営体制と参加の経緯、市民参加システムの実態を明らかにする。結論は次のとおりである。1)JR東日本は消極的な姿勢であった。2)設計者選定において市民参加組織の積極的な働きにより2回の提案前と最終審査時の3段階で参加の場が確保された。3)市民は公開審査と応募要項別冊の作成によって満足を得られた。4)事業者の積極的な市民参加への取り組み、第二段階作品提案前での市民と提案者のより具体的な議論の場が必要である。
著者
高橋 治希
出版者
金沢美術工芸大学
雑誌
金沢美術工芸大学紀要 (ISSN:09146164)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.2-3, 2008

眼前の風景は現実でありながら、記憶の中で何度も反側した風景に組み込まれる時、心象の中で精錬され新たな風景に生まれ変わる。それは自己の世界観によって、眼前の風景が変換され、他の記憶の風景と新たな関係を結び出すということである。私は風景とは個人的なものであると同時に感性そのものであると考え、近年そうした風景の様を成長する木々の花や葉に滲むことに例えて表現している。
著者
高橋 恒夫
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文報告集 (ISSN:09108017)
巻号頁・発行日
vol.363, pp.125-135, 1986-05-30 (Released:2017-12-25)
被引用文献数
1 1

The purpose of this paper is to inspect the Kesen-carpenters and their genealogies on the construction of shrines and temples through the investigations on both the Munafuda and the documentary records of the Edo and the Meiji periods. The contents of this paper are as follows. Introduction. 1. Examples on both the Kesen-carpenters and their construction of shrines and temples. 2. Forms of the Kesen-carpenter's works. 3. Genealogies of the Kesen-carpenter's techniques. Conclusion.
著者
片野 あずさ 上里 博 内海 大介 大平 葵 粕谷 百合子 苅谷 嘉之 﨑枝 薫 眞鳥 繁隆 平良 清人 高橋 健造
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.76, no.5, pp.469-472, 2014
被引用文献数
1

16 歳,男性。生下時より右肩の皮下結節を自覚していた。結節は徐々に増大し,7 歳時には鶏卵大の皮下腫瘤となった。その後も腫瘤は増大を続け,16 歳時に当科を受診した。右肩に手拳大の表面常色,弾性軟,ドーム状に隆起した皮下腫瘤を認めた。下床との可動性は良好で,隆起部中央に瘻孔を有し,瘻孔内より数本の毛髪の突出がみられた。造影 CT 検査では右肩甲骨背側上方に周囲との境界明瞭な,86×44 ×67 mm の増強効果の無い単房性腫瘤であった。摘出された腫瘤は線維性の被膜を有し,その内部には多数の毛髪と粥状物質がみられた。病理組織学的所見では重層扁平上皮に裏打ちされた囊胞状構造を示し,囊腫壁には毛包,脂腺,平滑筋線維が付随し,皮下皮様囊腫と診断した。一般に皮下皮様囊腫は頭頚部,特に眼周囲に好発し,それ以外の部位に発症することは比較的稀である。囊腫の大きさが 5 cm を超える症例は本邦では自験例を含め 7 例のみが報告されているが,頭頚部以外に発症した報告は自験例のみであった。