著者
高橋 良輔
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.124, no.6, pp.375-382, 2004 (Released:2004-11-26)
参考文献数
37
被引用文献数
1 3

パーキンソン病は,ドパミンニューロンの選択的変性による進行性の運動障害を主症状とする神経変性疾患である.家族性パーキンソン病の一型である常染色体劣性若年性パーキンソニズム(AR-JP)の病因タンパク質であるParkinは,基質タンパク質を特異的に認識し,プロテアソームによる分解を促進する酵素,ユビキチンリガーゼ(E3)である.このためE3の不活性化により,基質タンパク質が異常蓄積してAR-JP発症に至ると考えられる.その仮説に基づいてParkinの基質タンパク質が探索された結果,現在では約10種類の異なる分子がParkinの基質として報告されている.その中で我々が見出したパエル受容体(Pael-R)は黒質ドパミン細胞に高度に発現する,リガンド不明のGタンパク質共役型受容体である.Pael-Rは折れたたみ(フォールディング)が困難なタンパク質で,新生タンパク質の約50%がフォールディングに失敗し,構造が異常で機能をもたないミスフォールドタンパク質になる.ParkinはE3として構成的にミスフォールド化Pael-Rをユビキチン化し,その分解を促進している.AR-JPではParkinが不活性化されるために分解されなくなったミスフォールド化Pael-Rが小胞体に蓄積し,小胞体ストレスによって細胞死を引き起こすと考えられる.Pael-Rは培養細胞でアポトーシスを起こすだけでなく,ショウジョウバエのニューロンで過剰発現させてもドパミンニューロン選択的細胞死を引き起こすことが示された.一方Parkinノックアウトマウスではドパミンニューロン死は起こらず,既知の基質の蓄積もみられないことから,病因となる基質の特定は困難な状況である.Pael-R蓄積による小胞体ストレスがAR-JPの神経変性をどこまで説明できるのか,最新のデータに基づいて議論する.
著者
高橋 昌彦
出版者
都留文科大学国文学会
雑誌
国文学論考 (ISSN:02866560)
巻号頁・発行日
no.26, pp.p28-36, 1990-03
著者
高橋 一成 桑田 喜隆
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.2-15, 2007-01-15
被引用文献数
5

近年,通信技術の進展を背景に新しいコラボレーションサービスへの期待が高まっている.本研究ではセンサネットワーク技術やモバイル通信技術を活用したコラボレーションサービスである,ユビスタイルを提案する.ユビスタイルは,人の位置や状況,モノの状態などといったプレゼンスを自動的に取得し,人間に意味のある情報に加工したうえで共有することで,コラボレーションの効率向上を目指したサービスである.ユビスタイルの有効性検証のため,オフィスでのコラボレーションを例題として取り上げた.プレゼンスとして,人の位置や状況,会議室の利用状況を自動的に収集し,パソコンや携帯電話から参照するサービスを試作した.試作サービスを利用し,社内で160 人規模の実験を行ったところ,人とのコンタクトの際や会議室の予約の場面で有効性が確認できた.また,被験者のアンケート分析によりプレゼンスを公開する際の抵抗感を減らすための考察を行った.It is expected that new collaboration services become popular in our daily life with new ubiquitous computing technologies. For more efficient collaboration, we propose "Ubistyle", that make use of sensor-network and mobile-computing technologies. Presences in Ubistyle, which include locations and status of people, status of objects, and so forth, are collected automatically by sensors, analyzed and converted to the form that people can understand, and are shared among users. In order to evaluate the usefulness of the concept of Ubistyle, we implemented a prototype system for office environments. The system offers a service that the office workers can refer the locations and status of co-workers and meeting rooms as presence. We carried out a large-scale experiment in our office, in which more than 160 people are involved. We found that the service is of advantage for both the contact to co-workers and reservation of meeting rooms. We also analyzed the acceptability of people to expose their presence to co-workers.
著者
高橋 大志 中村 春樹 篠田 和文 福本 一朗
出版者
日本医療機器学会
雑誌
医科器械学 = The Japanese journal of medical instrumentation (ISSN:0385440X)
巻号頁・発行日
vol.77, no.1, pp.23-29, 2007-01-01
参考文献数
15

Cryosurgery, an operative method that applies freezing to produce a specific response in tissue, is probable and may be used in treatment of tumor. Liquid nitrogen, argon gas are used as cryogen, but these cryogen are weak controlling agents in freezing rate and thawing rate. Destroying tumors by hyperthermia treatment is known, but there are few studies including hyperthermia condition after cryosurgery, therefore the aim was to produce freezing-thawing rate controllable cryosurgery system and to investigate the effect of cryosurgery-hyperthermia in mice livers. Cryosurgery system includes Peltier device and Stirling refrigerator, using 1 cycle method of rapid freezing and slow thawing. Hyperthermia was performed after cryosurgery and contact probe were in contact all the time during freezing, thawing and heating. 24 hours after operations mice livers were stained by Hematoxylin-Eosin and observed under optical microscope. The result showed measured temperatures of rapid freezing and slow thawing during operations. Stained tissue showed necrosis and injury was more serious in cryosurgery-hyperthermia group. This suggests the possibility of electrical temperature rate control during cryosurgery and the effect of hyperthermia treatment after cryosurgery would supply a more effective treatment system. This method may contribute to cryosurgery in the future.
著者
小川 みどり 高田 真一朗 高橋 正雄 安田 悦子 渡瀬 真梨子 谷口 初美
出版者
産業医科大学学会
雑誌
産業医科大学雑誌 (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.401-410, 2006-12-01

手洗いおよび手指消毒は最も基本的な感染防止策である.現在,速乾性擦式消毒剤による手指衛生が国際的なゴールドスタンダードとなっている.しかし,我々の調査では,2004年に10.4%(48人中5人),2005年に34.3%(35人中12人)と多くの無効例が認められた.2005年の検体について,コロニーの形態より円形,不整形,拡散性コロニーに大別し,残存菌の性状を調べた.円形コロニーはブドウ球菌属の菌であり,不整形・拡散性のコロニーはグラム陽性有芽胞桿菌であると考えられた.消毒後の菌数が消毒前と同数以上あるいは300個以上の無効例の中で,ブドウ球菌属の菌が残存したと考えられる場合が3例,セレウス菌を含むグラム陽性有芽胞桿菌が残存したと考えられる場合が9例であった.医療現場では,速乾性擦式消毒剤による手指消毒を過信することなく,必要に応じて滅菌手袋の着用などの対策を講じるべきである.
著者
槻岡秀朗 籠屋健 笹尾 和宏 高橋 雅哉 中村 維男
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告計算機アーキテクチャ(ARC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.61, pp.43-48, 1997-06-27
被引用文献数
3

SOUNDコンピュータは、ニューラルネットワークをプログラム可能にした全く新しい概念のコンピュータである。従来のノイマン型とは、手順の与え方,データの流れ方において異なる。その構成は、コネクションネットワーク,コネクションレジスタ,演算ユニットから成り、各ユニットは、コネクションネットワークを通して繋がっている。その動作は、まず、コネクションレジスタの内容に基づいてコネクションネットワークを繋ぎかえて、データフローグラフをそのままのトポロジーでハードウェア上に実現し、そして、そこに同期式にデータを流して並列処理を行う。その応用分野としては、データの圧縮,伸長,認識や三次元グラフィクスなどのマルチメディア処理や科学技術計算の高速化が挙げられる。The SOUND computer is a novel non-von Neumann computer. Its differences from von Neumann computer are the ways of giving order and flowing data. The SOUND computer consists of a connection network, a connection register, and operation units. Each units is connected through a connection network. In this action, firstly, implement a dataflow gragh directly on a hardware in the same topology, then, execute the graph by flowing data-synchronously. The SOUND computer is aiming at the mathematically sound computer on its hardware and software. And its purpose is to accelerate the scientfic calculation and the multi-media processing such as data compressing, extracting, recognition, and 3-dimensional graphics.
著者
奈良 俊介 高橋 悟
出版者
The Institute of Electrical Engineers of Japan
雑誌
電気学会論文誌. D, 産業応用部門誌 = The transactions of the Institute of Electrical Engineers of Japan. D, A publication of Industry Applications Society (ISSN:09136339)
巻号頁・発行日
vol.128, no.6, pp.733-741, 2008-06-01
被引用文献数
3 3

This paper proposes an available method of obstacle avoidance control by using a single CCD camera and ultrasonic sensors mounted on the mobile robot. First, depending on the change of the brightness on the image that occurs from the moving of the mobile robot, we calculate the optical flow by the block matching method based on the normalized correlation and detect the obstacle area on the image. Further, in order to reduce the error of the detection area, by combining the distance information obtained by ultrasonic sensors on the image shown the obstacle area we decide the position of obstacle with high accuracy. Dealing with the position information, we make the reference points for generating the trajectory of the mobile robot. This trajectory is smooth and is generated by minimizing a certain cost function. Then, the mobile robot moves according to the trajectory while avoiding around the obstacle. Finally, usefulness of our proposed method is shown through some experiments.
著者
高橋 俊一 今野 晃市 金野 哲士 千葉 史
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.32, no.34, pp.25-28, 2008-07-31

遺物の復元は,出土した土器片の分類から組み立てまでをほとんど手作業で行っている.このため,土器片の数が多いほど復元に時間を要する.また,専門的な知識も必要となる.本稿では,破片形状の3次元座標点群を利用した土器片のマッチング手法について検討する.本手法は,まず,3次元計測器で十器片を計測することで3次元座標点群を獲得し,獲得した3次元座標点群から土器片の輪郭線を抽出する.その後,分割した輪郭線ごとに幾何情報と文様の位置を比較評価することで,土器片のマッチングを行う.
著者
携帯電話アプリケーション 作成プロジェクト 新美 礼彦 高木 剛 小西 修 宮本 衛市 高橋 修
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第20回全国大会(2006)
巻号頁・発行日
pp.111, 2006 (Released:2006-12-07)

GPS携帯電話を用いたマルチベンダ対応アプリケーションを開発した。GPS機能を用いて、グループメンバの現在位置を地図上に表示し、チャットによりコミュニケーションがとれるシステムを実装した。また、グループメンバで共有できるオンラインスケジューラを実装した。今後、両機能を実装したアプリケーションを開発する予定である。
著者
高橋 雅治
出版者
日本行動分析学会
雑誌
行動分析学研究 (ISSN:09138013)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.9-28, 1997-06-30

本論文では、選択行動に関するオペラント研究における最近の展開が概観される。特に、対応法則、遅延低減仮説、セルフ・コントロール、および、リスク選択に関連する研究に重点が置かれる。これまでに提案された選択行動のモデルのいくつかは、人間以外の動物(ほとんどの場合、ハト)を被験体として行われた研究から得られたデータをうまく記述することができるように思われる。だが、人間を被験者として行われた研究から得られたデータのなかには、それらのモデルによって説明することができないものもある。従って、選択行動の定量的なモデル化に関する今後の研究は、人間と人間以外の動物の差異の説明に取り組んでいかなければならないことが示唆される。