著者
栗畑 博幸 高橋 友和 目加田 慶人 井手 一郎 村瀬 洋 玉津 幸政 宮原 孝行
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.25, pp.227-232, 2006-03-17

本報告では車載カメラ映像から雨天時に現れる画像特徴を抽出し,それを用いた状況別降雨認識手法を提案する.車載カメラを用いた運転支援技術の一環として,撮影時刻や降雨量の異なる様々な状況において天候,特に降雨の認識を試みる.具体的にはフロントガラスに付着した雨滴により変化する画像特徴を,昼夜の状況に適した方法を用いて検出することによって降雨の認識を行う.昼間の映像の場合には,様々な形状の雨滴画像から主成分分析を用いてテンプレートを作成し,テンプレートマッチングにより雨滴を検出する.我々はこれまで画像中の空領域からの雨滴検出手法を提案してきたが,本報告では入力画像を複数フレームにわたって平均化することで,画像全体からの安定した雨滴検出を行う手法を提案する.また雨滴検出結果をフレーム間で照合することで,より精度の高い雨滴検出が期待される.夜間の映像の場合には,雨滴による散乱光を定量化する.撮影時刻や降雨量の異なる実映像を用いて実験を行った結果,昼間の場合,画像全体から適合率0.97,再現率0.51と,従来と同程度の検出精度が得られた.また夜間の場合,83%の降雨判定成功率が得られた.これらのことから提案手法の有効性を確認した.In this paper, we propose a rainfall recognition method in various conditions from in-vehicle camera images using extracted image feature characteristic to rain. As a driver assistance system using an in-vehicle camera, we have been trying to recognize weather, espcially rainfall in various conditions. We recognize the rainfall by detecting the changes of image features caused by raindrops on the windshield, making use of different methods for day and night. In daytime, we make raindrop templates by principal component analysis from various raindrop images, and detect raindrops by template matching. We have previously proposed a raindrop detection method from the sky region in the image. Int this paper, we propose a method that detects raindrops from the whole image by averageing multiple input images. In addition, higher accuracy of raindrop detection is expected by matching the detected raindrops between frames. In nighttime, we propose a method that quantifies lights reflacted by raindrops. As a result, the same detection accuracy with number of the previous method was obtained (precision rate 0.97, recall rate 0.51) for daytime without restricting the target region. In nighttime, we obtained a the success rate of 83% rainfall judgment. E?ectiveness of this technique was shown from these results.
著者
武者 宗一郎 高橋 芳久
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.24, no.6, pp.365-370, 1975-06-10
被引用文献数
1 7

大豆たんぱく質がカルシウムやマグネシウムなどの塩類もしくは、酸類などの添加により凝固すること、及び一般にたんぱく質が重金属イオンと錯体形成する性質を利用し、水中の微量金属を捕集濃縮することを目的として発光分光分析の技法を用いて検討した。試料水に捕集剤として一定量の豆乳及び凝固剤として所定量の δ-グルコノラクトンを加えて加熱したんぱく質を凝固させた。この凝固物 (豆腐) に捕集濃縮された金属を発光分光分析した。その結果、用いた大豆中に検出されない金属元素のうち、金、銀、水銀、白金、ベリリウム、バリウム、カドミウム、ガリウム、セリウム、イットリウム、ランタン、インジウム、パラジウム、アンチモン、トリウム、ジルコニウムなどの捕集濃縮に応用しうることを明らかにした。
著者
武者 宗一郎 高橋 芳久
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.24, no.7, pp.395-399, 1975
被引用文献数
1

大豆たんぱく質が酸などの添加により凝固する性質及び重金属イオンと錯体形成する性質を利用して,水中の微量の金を捕集濃縮することを検討した.試料水に一定量{(10~30)ml}の豆乳(6.34%)及び凝固剤δ-グルコノラクトン(δ-GLと略記)の所定量を加えて加熱し,たんぱく質を凝固させ金を捕集する.凝固物(豆腐)を低温灰化後,原子吸光又は発光分光分析法により金を定量した.金の捕集率はたんぱく質の凝固が最もよく起こるpH4.4~5.0付近になるように適量のδ-GLを加えた場合,99%以上の最大値を示した.本法を水,人工海水,食塩水及び食塩中の超微量の金の定量に応用し満足すべき結果を得るとともに,分析の実行に伴う環境汚染問題に関し,写真操作を除いて全く問題がない点を確認した.
著者
多田羅 浩三 高鳥毛 敏雄 高橋 進吾 新庄 文明
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.43, no.9, pp.801-805, 1996-09-15
被引用文献数
2
著者
内山 良治 重田 修作 亀山 寛史 高橋 良彦
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学会関東支部総会講演会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2007, no.13, pp.289-290, 2007-03-15

Landing control of a humanoid robot is proposed to soften the shock when a robot jumped from a step. The designed actuator is using a cushion mechanism with a torsion spring. It was confirmed that the robot was able to land on a hard floor without breakage.
著者
高橋 將人 鈴木 和幸
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 : 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.107-110, 1994-10-28

状態監視保全システムは、モニターにより観測された故障兆候に基づきシステムに対して最適なアクションを施す予防保全である。しかし、モニターはシステムの真の状態を表示するとは限らず、「誤報」や「欠報」を引き起こすことがある。そのため誤ったアクションを施してしまい、損失コストを増大させることが起こり得る。本報告では誤差を含むモニターを用い、システム状態の時間的推移を考えた場合の状態監視保全方策の最適性に関する一方法を示す。
著者
室崎 将史 藤田 慎一 高橋 章 速水 洋 三浦 和彦
出版者
公益社団法人大気環境学会
雑誌
大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
巻号頁・発行日
vol.41, no.6, pp.347-354, 2006-11-10
被引用文献数
5

静岡県と山梨県の県境に位置する富士山(標高3776m)を観測塔に見立て,高度の異なる20地点で2005年7月12日から7月20日までの9日間,パッシブサンプラーを用いてオゾン濃度の鉛直分布を測定した。山麓の都市部3地点(標高30m〜460m)と丹沢山頂(標高1540m)での自動計測器による測定データをもとに,オゾン濃度の時間変化についても解析を加えた。パッシブサンプラーによって観測期間に測定されたオゾンの平均濃度は,混合層内で約20ppbv,混合層より上層で約40ppbvであり,高度1500m付近を境にして大きな変化がみられた。濃度分布のパターンは,過去に報告された観測結果などと矛盾するものではなかった。自動計測器の観測結果から,富士山頂から水平距離が20km以内の山麓の都市部ではオゾン濃度の日変化は大きく,地域規模の大気汚染の影響を受けていることがわかった。一方,富士山頂から東に約30km離れた丹沢山頂では,夜間に富士山麓の都市部と同レベルまでオゾン濃度が低下することがあり,高度1500m付近でも気象条件によっては,地域規模の大気汚染の影響を受ける場合があることがわかった。このためほぼ同じ高度である富士山の中腹で観測されたオゾン濃度の大きな変化は,地域規模の大気汚染の影響によるものと推定された。
著者
高橋 俊典 青木 勇
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集. C編 (ISSN:03875024)
巻号頁・発行日
vol.62, no.600, pp.3196-3201, 1996-08-25
参考文献数
5
被引用文献数
2

This paper proposes a new system for analyzing the shearing process using the visioplasticity method. This visioplasticity method is well known as a method for analyzing the metal deformation processing. Drawbacks to the grid method such as large deformation cannot be treated, time-consuming, Processing procedure is complex when image processing by computer is performed, have been overcome with this newly developed method. This newly developed method consists of the following steps. First, images of materials at an arbitrary stage and the following stage are input into the computer. Next, the displacement between the two stages is obtained by a correlation methed based upon the inverse Fourier transform of the phase difference between two images. By repeating this process, the whole forming process can be analyzed accurately in a short time under a wide range of deformation. In order to verify this proposal, practical shearing tests and the analysis of these tests using this system were carried out. As a result, the distribution of displacement and strains until a very large plastic deformation of the material could successfully be obtained.
著者
高橋 五郎 磯辺 俊彦
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学園芸学部学術報告 (ISSN:00693227)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.91-104, 1990-02

サン-シモンとフーリエの思想には,生産協同組合の思想の萌芽が見られた.本稿では,その萌芽にすぎなかった思想が徐々に発展させられていった様子を,彼らの弟子たちの思想を見ることによって辿ってみたものである.従来,サン-シモンとフーリエの思想のなかから生産協同組合論を見出だそうとの試みは,全くといってよいほど行われてこなかった.その理由の大きな部分は,生産協同組合研究は社会主義論の次元で扱われてきた傾向が強いことに見出だされる.また,マルクスやエンゲルスの偉大すぎる生産協同組合論のまえに,彼ら以前の生産協同組合論が埋没してしまって,その発展史を辿ることすら無意味のように思われてきたためとも見られる.しかし資本主義体制のなかでは,生産協同組合の仕組みをそなえた個別企業の存立する条件はないと断定することは疑問である.わが国農業の現状を見ても,農協が生産協同組合としての機能をそなえるならば,従来見られた農業生産組織論や最近の「集団的土地利用秩序」論の発展を深めるなかで,有効な農業生産機能をそなえることができる展望が持てよう.本稿は,こうした観点からマルクスやエンゲルスの思想以前に遡ることを通じて,そこに,現代社会に通じる生産協同組合論の基層的考え方を拾いだし再評価の機会をつくり出してみようと試みたものである.サン-シモンとフーリエの膨大かつ難解な著作からそれを完全なまでに行うことは不可能に近いが,本稿は,その糸口の発見に重点を置いたものである.
著者
小川 多恵子 小宮 修太郎 高橋 純子 長能 宏子 平形 裕紀子 三井 豊子
出版者
筑波大学留学生センター
雑誌
筑波大学留学生センター日本語教育論集 (ISSN:13481363)
巻号頁・発行日
no.13, pp.185-210, 1998-02-20

留学生は何を期待し,どんな予想をして留学してきているのだろうか。彼等の留学目的,日本語学習目的とその取り組み方を知ることができれば,適切な対応ができ,よりよい学習環境が提供できるであろう。留学生の実像を知るため6 ヶ月の日本語集中コース開始時と終了時の二回アンケート調査を行うことにした。本稿では,そのうちコース開始時における学習者の留学目的,日本語学習の目的と動機及び日本語学習観などについての調査を行い,その結果を考察した。In order to seek ways to provide more adequate treatment and better learning enviroment for foreign students, this paper explores what students had expected and foreseen before coming to Japan, what purpose and prospests they have, how strongly they are motivated in studying Japanese, and what attitude they have towards language learning.
著者
木下 俊之 高橋 幸雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.82, no.6, pp.701-710, 1999-06-25
被引用文献数
6

計算機システムでは, ジョブは排他使用資源へのアクセス時に衝突が起こる. その典型的な例に, 更新可能なファイル群へのアクセスがある. あるジョブがこのファイル資源を使用している間は, ファイルデータの一致性を保つために他のジョブはこれへのアクセスを禁止され, 資源が解放されるまで待たされる. この資源へのアクセスの衝突は, システムの性能に大きな影響を及ぼす. そしてこの衝突によってシステムの性能が著しく低下するときは, 資源をいくつかに分割してこの性能低下を防止する方法がとられることが多い. 本論文では, この資源へのアクセスの衝突がシステム性能にどう影響するかを解析するための, 一つの待ち行列網モデルを導入する. そしてこのモデルを用いて, 資源がシステム性能に及ぼす影響や, 資源を分割することによるシステム性能の改善効果を解析する一つの評価法を提案する. この待ち行列網モデルは, 通常のセントラルサーバモデルに資源と資源待ち行列を付け加えることによって構成され, その性能指標をマルコフ連鎖の平衡方程式を解くことにより数値的に計算する.
著者
橋本 遼 新熊 亮一 小西 琢 田仲 理恵 板谷 聡子 土井 伸一 山田 敬嗣 高橋 達郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MoMuC, モバイルマルチメディア通信 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.122, pp.77-82, 2009-07-02
被引用文献数
2

情報通信技術の発達により,情報発信のコストは小さくなった一方で,受信者には多くの不要な情報も届くようになり,発信者側が情報をそれを必要とする人に到達させ,かつ,活用されるようにすることは非常に難しくなった.従来,情報受信者側の嗜好情報を取得し,それにあわせて情報を発信する方法が提案されてきたが,この方法は情報フィルタリングのために多大なコストを要する.そこで本稿では,知人や友人をHop-by-Hopに経由する口コミでの情報伝播に着目する.このように伝播された情報の魅力や信憑性は,一方的に届けられた情報と比べ高いと考えられる.また,情報は伝播させる人の嗜好に基づいてフィルタリングされるため,その情報を必要とする人のみに伝播させられる可能性がある.しかし,Hop-by-Hopの情報伝播には,情報を積極的に伝えない・受け取らない参加者が存在する,ある情報を必要とする参加者が必ずしも単一の(切れ目の無い)ネットワークを構成しているとは限らないといった問題がある.そこで,インセンティブ報酬付与による情報伝播の促進を提案する.モバイル端末を用いたFace-to-Face(F2F)での実証実験を行い,報酬付与による情報伝播制御の可能性を検証する.
著者
高橋 俊雄
出版者
広島大学
雑誌
Memoirs of the Faculty of Integrated Arts and Sciences, Hiroshima University. IV, Science reports : studies of fundamental and environmental sciences (ISSN:13408364)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.231-234, 1997-12-28

淡水産の刺胞動物であるヒドラは単純な体制と限られた細胞種からなり,強力な再生能力を持つ生物で,形態形成のメカニズムを研究する上での理想的な小動物である。従来の研究で様々なシグナル分子がヒドラの出芽,再生,細胞分化などのダイナミックな発生過程の制御や神経情報伝達に関与していると示唆されている。しかしながら,多大な努力にも関わらずヒドラのシグナル分子の実体はほとんど明らかにされていない。唯一,11個のアミノ酸残基からなり頭部形成を促進するペプチドHead activator(pGlu-Pro-Pro-Gly-Gly-Ser-Lys-Val-Ile-Leu-Phe)が同定されているだけである(Schaller and Bodenmuller, 1981)。実体が明らかにされていない主な理由は,シグナル分子の組織内含量が非常に少なく,しかも精製過程における生物活性検定に多大な労力と時間を要することにある。この点を克服するために,従来の方法とは異なる新しいアプローチ方法を開発し,ヒドラの発生過程や神経情報伝達を制御するペプチド性シグナル分子を大規模かつ系統的に単離し,その構造及び機能を解明する目的で研究を始めた。対象をペプチド性シグナル分子に限定した理由としては,容易に単離,構造決定及び化学合成ができ,また,前駆体遺伝子の同定を行うことによりペプチドの発現調節機構の解析までもが可能であることによる。この新しいアプローチ方法は下記の4段階に分けて推進した。(1)ペプチド分離大量に培養したチクビヒドラ(Hydra magnipapillata)からペプチド性画分を分画した。本研究では,ヒドラからのペプチド性成分の抽出には熱酢酸法及び冷アセトン法の2種類の方法を試みた。次に,HPLCを用いて系統的にペプチドを分離精製した。この段階では生物活性検定を行わない。(2)活性スクリーニング 各精製ペプチドにつき, Differential Display(DD)-PCR法(Liang and Pardee, 1992)を用いて,ヒドラの遺伝子発現パターンに変化を与えるペプチド(シグナル分子)を選択した。出芽や再生などの形態形成に際しては様々な遺伝子の発現が起こっていると考えられる。そこで分離精製したペプチドでヒドラを処理して4時間または20時間後にmRNAを抽出した後cDNAを作成し,ランダムなプライマーを用いてPCRで増幅し,電気泳動によるバンドパターンを無処理ヒドラのものと比較してmRNAの発現様式が変化したものをピックアップした。(3)構造決定及び化学合成 (2)でシグナル候補分子であると思われるペプチドにつき,アミノ酸配列分析,アミノ酸分析及び質量分析を行い,ペプチドの構造を推定した。推定した構造をもとにペプチドを合成した。そして,合成ペプチドと天然物とのHPLC上での挙動を比較し,一致したらその構造が正しいと判定した。(4)生体内機能検定 最終段階では,構造決定し,化学合成したペプチドを用いてヒドラにおける生物活性を調べた。第1章では,本法により現在までに329種のペプチド性と思われる物質を単離し,200種のアミノ酸配列分析を行い,45%(56/124)のペプチド性物質にヒドラの遺伝子発現に影響を及ぼす活性がみられた。この結果から,単純に計算して,ヒドラ組織中には約600種のペプチド性シグナル分子が含まれていることを示す。また,DD-PCR法を用いたスクリーニングの方法は,数多くのペプチド性シグナル分子と思われる物質を効率よくスクリーニングすることができることが示された。現在までに27種のペプチドの構造を決定しており,これらペプチドのうち,ペプチド族を形成する2つのグループを同定した(表1)。ひとつはLWamide族ペプチド(LWamides)で,これまでにヒドラから7種の同族体を単離,同定している。LWamidesの構造上の特徴として,C-末側にGly-Leu-Trp-NH_2構造を共通に持つ。Leitzら(1994)によりイソギンチャクから単離,同定され,海産のカイウミヒドラのプラヌラ幼生変態を促進する生理活性ペプチドMetamorphosin A (pGlu-Gln-Pro-Gly-Leu-Trp-NH_2)(MMA)もこのペプチド族に属する。もう1つはPW族ペプチド(PWs)で,このペプチド族は現在までにどの動物門からも単離されていない新型のペプチド族であった。これまでにヒドラから4種のPWsを単離,同定した。4種のペプチドは,5残基から8残基のアミノ酸残基からなり,共通構造としてC-末側にLeu(or Ile)-Pro-Trpを持つ。また,PWsのHym-33H (Ala-Ala-Leu-Pro-Trp)を除く3種のペプチドはN-末側から2残基目にPro (X-Pro)を持つ構造をしており,このことは,これらペプチドが分解酵素により分解されにくく,比較的安定な構造のペプチドであることを示唆する(Carstensen et al., 1992)。Hym-330,Hym-346と仮に名付けたペプチドは,Hoffmeister (1996)によりヒドラ(Hydra vulgaris)から足部再生を促進する活性を持つ因子として同定されたペプチドpedin,pedibinとC-末のGlu残基を欠く構造と同一のペプチドであった。