著者
二宮 隆次 小野 浩幸 高橋 幸司 野田 博行
出版者
科学・技術研究会
雑誌
科学・技術研究 (ISSN:21864942)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.93-104, 2016 (Released:2016-07-07)

本研究では、産学官連携の現場の諸活動について、大量の質的(定性的)データを基に計量的分析を実施し、可視化した情報として提供することを試みた。具体的には、日経産業新聞の連載記事「ベンチャー仕掛け人」を、テキストマイニング手法「KH Coder」を用いて分析した。その結果、①大学の共同研究センター等を中心とした産学官連携活動、②インキュベート施設を中核とした活動、③資金に関するベンチャーキャピタルや金融機関を中心とした活動、のそれぞれの活動において、出現する言葉に特徴があることが明らかになった。また、特徴的な3つのグループにプロットされた語から特定語を選択して共起分析した結果、①の「産学」による分析では、研究、開発、技術および連携の4つ語が強く共起関係を結び、加えてそれぞれの語がほかの関連語とネットワークを結び、産学官連携の活動パターンを形成していることが確認できた。②の「施設」と「入居」による分析では、主たる活動は起業、事業を育成することであることが見て取れた。施設と入居の語の共起分析から、施設には入居タイプと入居がないものがあり、入居は技術、経営の語の共起関係が比較的高く、施設は、地域、開発および相談が高いことがわかった。③の「上場」と「ファンド」による分析では、起業・研究フェーズでの事業の元手となる出資やベンチャーキャピタル、実用化・会社設立フェーズでのファンド・株式、事業経営の維持・拡大フェーズでの銀行等金融機関の融資などが共起していることが確認された。以上のことから、本研究は、産学連携活動を効率的、かつ、効果的に実施するうえで重要な情報を提供しうるものと考えられる。
著者
高橋 静夫 ドムニング D. P. 斎藤 常正
出版者
日本古生物学会
雑誌
日本古生物学會報告・紀事 新編 (ISSN:00310204)
巻号頁・発行日
no.141, pp.296-321, 1986-04-30
被引用文献数
3

1978年8月, 山形県西村山郡大江町を流れる最上川で, 異常渇水のため露出した河床に大型哺乳類の骨格が含まれているのを2名の小学生が発見した。河床の岩層は, 本郷層の橋上砂岩部層で, 初期後期中新世のDenticulopsis katayamae Zone (9-10.4 Ma)を指示する珪藻化石を産する。一節の長さ6〜8センチ, 直径14〜15センチの椎骨が140センチの長さに連なり, 長さ20〜90センチの大きく湾曲した肋骨が26本程度数えられた。骨格前部には長さ51センチの頭骨が, 口蓋を上に頭頂を下にした状態で保存され, 長さ41センチの一対の肩甲骨も認められた。骨格を砂岩からとり出すにつれて, この標本は体前半部の骨格がほぼ完全に揃った, 極めて良く保存された大海牛の化石であることが明らかになった。指・掌骨を含む右前肢は, 絶滅した大海牛類の前肢の構造を示す, 現存する世界唯一の標本である。骨格の特徴により山形の化石は, カリフオルニアから記載されたDusisiren jordaniに近似するが, 歯の大きさがjordaniのものの3/4と小さく, しかも咬合面の模様が単純で, 歯が著るしい退化を示す点で大きく異なる。歯の退化は, 大海牛の進化系列のもっとも際立った形質変化で, 大型の歯を備えた先祖型のDusisiren属から, 歯が退化して失われたHydrodamalis属への進化系列が北太平洋地域で確立されている。歯の特徴および肩甲骨, 胸骨, 手根骨の性質から, 本骨格はD. jordaniとHydrodamalis cuestaeを結ぶ, これまで未記載の中間型の種であることが判明し, ここにDusisiren dewana(和名 : ヤマガタダイカイギュウ)という新種を提唱した。H. cuestaeは, ベーリング海で1768年に絶滅したステラー大海牛(H. gigas)の先祖なので, 本新種の設定により, 中期中新世のD. jordaniにさかのぼる四代の大海牛の進化系列が明らかになった。
著者
高橋 宏一 TAKAHASHI Koichi
出版者
岩手大学人文社会科学部
雑誌
文化の基礎理論と諸相の研究
巻号頁・発行日
pp.171-227, 1992-01-01

1991年度教育研究学内特別経費研究報告
著者
高橋 康夫
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会論文報告集 (ISSN:03871185)
巻号頁・発行日
no.263, pp.117-127, 1978-01-30

Contents are mainly classified by two items as follows : 1. The history of the site of Gokomatsu In Sento Palace and the process of the urban redeveropement. 2. The actual circumstances of the renewal site. -1 The initial site planning and the structure of the area. -2 The site planning and inhabitant near the Zushi. -3 On the proprietary rights of the real estate of the inhabitants and the landed owner.
著者
高橋 史朗
出版者
八戸工業大学
雑誌
八戸工業大学紀要 (ISSN:02871866)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.295-304, 2009-02
著者
木下 奈緒子 大月 友 五十嵐 友里 久保 絢子 高橋 稔 嶋田 洋徳 武藤 崇
出版者
一般社団法人日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.65-75, 2011-05-31
被引用文献数
2

本稿の目的は、精神病理の理解や治療という観点から、人問の言語や認知に対して、今後どのような行動分析的研究が必要とされるか、その方向性を示すことであった。人間の言語や認知に対する現代の行動分析的説明は、関係フレーム理論として体系化されている。関係フレーム理論によれば、派生的刺激関係と刺激機能の変換が、人間の高次な精神活動を説明する上で中核的な現象であるとされている。刺激機能の変換に関する先行研究について概観したところ、関係フレームづけの獲得に関する研究、刺激機能の変換の成立に関する研究、刺激機能の変換に対する文脈制御に関する研究の3種類に分類可能であった。これらの分類は、関係フレーム理論における派生的刺激関係と刺激機能の変換の主要な三つの特徴と対応していた。各領域においてこれまでに実証されている知見を整理し、精神病理の理解や治療という観点から、今後の方向性と課題について考察した。
著者
高橋 哲郎
出版者
精華女子短期大学
雑誌
精華女子短期大学研究紀要 (ISSN:13495453)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.17-26, 2005-03-31

不登校の問題は, 小学校・中学校・高等学校・大学と進級するにつれ顕著な不適応行動として表れ, 職場でも出張拒否となって表れる現象で個人的な原因に加え, 学校でのちょっとしたことが, 引き金になって表れる。その特徴として, 低学年では分類不安が多く, 本人は緊張して家庭から出られない。高学年になるにつれ, 理由づけがなされ, 中・高では「学校など意味がない」など批判的言動も述べられる。共通の身体的訴え (頭痛, 腹痛, 嘔吐感)や朝のけだるさ, 抑うつ感が多くなる。第2の特徴として, 知的能力は低くなく, むしろ成績上位の場合が多くある。第3の特徴として, 家庭の社会的・経済的地位が低くなく中流以上が多い。第4の特徴は両親の精神的安定感が低い。父母の役割が不明確で不安定, ことに父親の未成熟, 母親の神経症的支配性・干渉性が共通に見られる。その点心理援助として次のようなことが考えられる。 1. スクールカウンセラー及び精神科医と連携し, 本人の内的な緊張感, 不安感, 挫折感をおびやかすような場合を極力避けること。 2. 家庭においては, 親の子どもへの期待感が子どもに強い不安を喚起することがあるので過剰な期待をしないこと 3. 現実の体験学習を繰り返し, 自分の目標を再構成すること。不登校の発生過程を振り返り, 家庭内での開設されている情緒障害児短期治療施設を利用することも効果が期待される。児童・生徒中心の心の琴線に触れながら精神的サポート体制の試行が継続され維持・発展されることが肝要である。
著者
高橋 宏樹 銭谷 幹男
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.49, no.5, pp.179-182, 2008 (Released:2008-06-05)
参考文献数
17
被引用文献数
2 2
著者
足立 勝 中林 健一 東 理恵 倉田 裕文 高橋 芳弘 下川 敬之
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.68, no.6, pp.1139-1145, 1999-11-15
被引用文献数
4 7

暗所下においてエチレン処理したカイワレダイコン(Raphanus sativus L.)子葉の脱緑機構を明らかにするために, クロロフィルαの分解を子葉のタンパク質を用いて検討した.粗酵素はエチレンにより脱緑が誘導されたカイワレダイコン子葉から調製した.クロロフィルα分解酵素は, H_2O_2-2, 4-ジクロロフェノール/pクマリン酸依存であった.クロロフィルα分解反応の最初の分解産物はHPLCとHPTLC分析により分析された.その分解産物が標準C-13^2-ヒドロキシルークロロフィルαのRf値/リテンションタイムと同じことよりC-13^2-ヒドロキシルークロロフィルαのRf値/リテンションタイムと同じことよりC-13^2-ヒドロキシルークロロフィルαと同定された.C-13^2-ヒドロキシルークロロフィルα生成反応はアスコルビン酸(2mM)そしてKCN(2mM)の添加により完全に阻害された.しかし, 嫌気性条件下では阻害されなかった.つまり, C-13^2-ヒドロキシルークロロフィルα生成酵素は, H_2O_2を利用した1原子酸素添加反応を触媒するペルオキシゲナーゼまたは, ペルオキシゲナーゼ作用を持つペルオキシダーゼの一種であると考えられる.さらに, 三次元蛍光分光解析により無色の蛍光クロロフィル代謝産物(FCC : Ex 350 nm/Em 455 nm)がクロロフィルαの分解につれて生成されることが明らかとなった.以上の結果よりクロロフィルαはカイワレダイコン子葉より調製したタンパク質により, 以下の反応で分解されることが示唆された.Chl α→C-13^2-HO Chl α→→colorless Rs-FCC(無色の蛍光クロロフィル代謝酸化開環産物).
著者
高橋 哲也 片山 統裕 菊池 修 辛島 彰洋 中尾 光之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.370, pp.65-68, 2006-11-15
被引用文献数
5

神経回路を構成するニューロンの相互作用や協調的活動を調べることを目的として多重電極による多細胞記録法が用いられている.この手法では同時に記録された複数のニューロンの活動電位を波形情報を頼りに弁別する.複数のニューロンがほぼ同時に発火すると波形が重畳するため,従来のパターン認識の手法ではスパイクの弁別精度が低下するという問題があった.この問題を解決する手法として独立成分分析(ICA)を適用した手法が提案されてきた.しかし十分な分離結果が得られないことが多い.本研究では,連続ウェーヴレット変換と複素ICAを組み合わせた新しいスパイク弁別アルゴリズムを提案する.シミュレーションデータに本手法を適用することによって,従来のICA法より優れた性能を持つこと,及びそのメカニズムについて考察する.
著者
高橋 総司 多村 幸之進 長江 逸郎 野牛 道晃 田辺 好英 湊 進太朗 青木 達哉 小柳 〓久
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.39, no.5, pp.658-661, 2003
被引用文献数
4

低位鎖肛を合併したhuman tailの1例を経験した.妊娠経過に異常は指摘されなかった,在胎40週5日,自然分娩にて出生の女児で,出生体重3,060gであった.出生時より腕前底部に肛門痩を認める低位鎖肛および仙尾部腫瘤を認めた.腫瘤は臀部正中背側に存在し5×3×2cm大と1cm大の結節が雪だるま状を呈していた.腕前底部には肛門瘻を認めた.洗腸にて排便コントロールをはかり,生後4ヵ月時,仙尾部腫瘤切除術と仙骨会陰式肛門形成術を施行した.腫瘤は脂肪組織のみで構成されhuman tailと考えられた.本症例は,human tailを合併していたため低位鎖肛にたいし仙骨会陰式肛門形成術を施行し良好な結果を得た.human tailでは脊髄や肛門の合併奇形を伴う可能性が大きく術前の詳細な検討が必要と思われる.
著者
高橋 顕也
出版者
SHAKAIGAKU KENKYUKAI
雑誌
ソシオロジ (ISSN:05841380)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.19-34,189, 2012

Dieser Aufsatz zielt darauf ab, die Position und die Entwicklungsmöglichkeit des Begriffes „ Medium" in der Gesellschaftstheorie Luhmanns darzustellen, die durch das Konzept eines geschlossenes Systems charakterisiert werden kann. Dazu verweisen wir auf das Problem, das System zu identifizieren, das wesentlich und entscheidend für seine heorie ist. Das hat zur Konsequenz, die Bedeutung von Luhmanns Theorie zu negieren, wenn das Ergebnis negativ ist. Wir argumentieren wie folgt. Die Aufsätze von SATO Toshiki nehmen wir erstens als eine typische Kritik daran auf, was das Problem der Systemidentifizierung aufwirft, und die darauf negativ antwortet. Wir formulieren ihre Argumentationen um, um ihre Annahmen deutlicher zu machen. Der Grund, warum der Begriff „ System" in Luhmanns Theorie postuliert wird, wird zweitens dort bestätigt, wo Luhmann den Aufbau seiner Theorie mit „ Kommunikation als Operation" beginnt. Die ablehnende Haltung zu dem Problem, die SATO einnimmt, wird drittens aus der Sicht der Theorie Luhmanns selbst überprüft, um einen Mangel seiner Theorie aufzuzeigen. Schließlich wollen wir beweisen, wie der Begriff „ Medium", den Luhmann in seine eigene Theorie eingeführt hat, zum Problem der Systemidentifizierung beiträgt, um einen Ansatz zu finden, der die Genese eben dieses Systems erklären kann. Die Folgerung ist, dass der von Luhmann aufgebaute konstruktivistische Ansatz der Theorie sozialer Systeme, der von vornherein Systemidentität annimmt, sich mit dem in diesem Aufsatz vorgeschlagenen generativen Ansatz ergänzen soll, der nicht von Systemidentität ausgeht, sondern von Medien, die immer im Sozialen gegeben sind.
著者
藤原 和弘 高橋 智一 鈴木 昌人 青柳 誠司
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. [音楽情報科学]
巻号頁・発行日
vol.2014, no.16, pp.1-6, 2014-08-18

楽曲から抽出した遷移確率を用いて旋律部分と伴奏部分を自動作曲する方法を提案する.遷移確率とは,音高,音長について,ある音高 (音長) のつぎに,どのような音高 (音長) が続くかの確率である.本稿では,実際の楽曲 (アーティスト:バンプオブチキン,ラルクアンシエル) から遷移確率を抽出した.アンケート調査の結果,音楽的に悪くなく,アーティストらしい曲が作曲できている事が確認できた.
著者
大井 学 神尾 陽子 松井 智子 藤野 博 田中 優子 高橋 和子
出版者
金沢大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

某市3公立小学校の全学年児童1,374人のうち、775人について、対人行動チェックリスト(SCDC)日本語版12項目のいずれかにあてはまった169人(21.8%)と、そうでない者のうち約1割にあたる78人について、対人応答性尺度(SRS)日本語版の得点をもとに86人について、CCC-2との関連を検討した。またPDD児10名を含む4歳1ヶ月から11歳6ヶ月(平均生活年齢6歳4ヶ月)の41名を対象としてCCC-2日本語試作版を実施した。田中・ビネー知能検査V、絵画語彙発達検査(PVT-R)、J.COSS第三版、親への調査などを同時に行った。PDD群とTD群の群間比較ではIQ値、CCC-2指標(正値、負値、GCC、SIDC)で有意差があったが、生活年齢、PVT-R、J.COSS、父母の年齢や教育歴などに有意差はなかった。通級指導教室に通級する知的障害のない発達障害の小学生約60名の保護者にCCC-2およびPARSを、対象児にPVTおよびJ.COSS(第三版)を実施した。PARSのスコアから広汎性発達障害の可能性が示唆された児童をASD群に、ASDの基準を満たさずPVTおよびJ.COSSのスコアから語彙および文法理解力に顕著な困難があると評価された児童をSLI群に分類した。ASDにもSLIにも該当しない場合、その他の発達障害群とした。CCC-2の語用に関する領域(場面に不適切な話し方、ステレオタイプ化さわた言語、コミュニケーション場面の利用、非言語コミュニケーション)のスコアを群間で比較し、発達障害児における語用の問題について、特にその障害がASDに固有のものかどうかに焦点を当て検討した。ASD小学生50名にCCCを実施しクラスター分析を行って、4クラスターを得た。