著者
寺田 己保子 岩本 紗八香 井上 薫 横山 真理 高田 奈津子 澤田 篤子 伊野 義博 松本 絵美子
出版者
日本学校音楽教育実践学会
雑誌
学校音楽教育研究 : 日本学校音楽教育実践学会紀要 (ISSN:13429043)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.67-84, 2012-03-31

課題研究1年目は『21世紀音楽カリキュラム』に基づいたこれまでの実践を振り返り、どのような実践が可能になったのか実践者からの感想も含めてその成果と課題を確認し、今後の研究の方向性を見出していくことがねらいである。全体を2部構成とし、第1部は実践発表、第2部を討論とした。第1部の実践発表では、『21世紀音楽カリキュラム』に基づいた日本伝統音楽の実践としてこれまでどのような実践が行われてきたのか、その指導内容に焦点をあて、「伸縮する拍を感じて自分たちのわらべうたをつくって歌おう」岩本紗八香氏(小学校)、「高い音と低い音を感じてわらべうたでふしづくりをしよう」井上薫氏(小学校)、「拍の特徴を感じ取って《ソーラン節》《小諸馬子唄》を味わおう」横山真理氏(中学校)、「カラ三味線で長唄をうたおう」高田奈津子氏(高等学校)の実践発表が行われた。第2部ではこれを受けて、実践についての成果と課題について、伝統音楽の理論的立場から澤田篤子氏、伝統音楽の指導方法等の立場から伊野義博氏、学校現場の実践を見る立場から松本絵美子氏がそれぞれ意見を述べ、その後会場からの意見も含めて全体で討論した。
著者
平澤 小百合 高田 将輝 仁田 裕也 板東 杏太 尾﨑 充代 高木 賢一 吉岡 聖広 髙田 侑季 藤井 瞬 佐藤 央一 丸笹 始信 勝浦 智也 鶯 春夫
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.B3O1078-B3O1078, 2010

【目的】15番染色体異常が原因とされるプラダー・ウィリー症候群(以下PWS)の特徴は運動、神経、精神症状等と多岐にわたるが、特に満腹中枢機能不全からなる過食による肥満や感情コントロール困難は思春期以降の問題となりやすく、確立した治療法のない現状では日常生活管理が不可欠である。今回PWSを基礎疾患とした男性が過食と感情爆発からなる不適切行動による悪循環で推定体重160kg以上となり、結果、低換気症候群・低酸素脳症を発症し寝たきり状態となった症例を担当した。入院時対応に難渋した症例に対し行動分析学的介入により日常生活動作(以下ADL)向上がみられ在宅生活へとつながった経験をしたので若干の知見を加え報告する。<BR>【方法】対象は25歳男性、診断名はPWS・低換気症候群・低酸素脳症、入院時評価として身長141cm・体重(推定)160kg以上、肥満度4(日本肥満学会より)、Functional Independence Measure (以下FIM)36点/126点、知能検査IQ41である。<BR>経過はA病院にて2歳頃にPWSと診断。5歳頃より体重増加し減量を目的とした数回の入退院後、B病院に通院し治療を続けていた。H20年頃より家で閉じこもりとなり臥床時間が多くなった。その間も体重は増加し同年10月意識低下にて救急でC病院搬送。入院希望するも肥満以外に問題ないとの説明で入院不可、B病院でも同様の対応のためC病院から緊急に当院相談。救急から約9時間後に泣き叫ぶ等の興奮状態で入院した。翌日より理学療法開始。訪室するも家族から理学療法に対し拒否的発言がみられ、患者も顔色不良で右側臥位のまま担当理学療法士の様子を伺っている状態。その場で運動の必要性を説明し苦痛を与えないことを約束した上で右側臥位のまま全身調整訓練を施行した。なお、気道圧迫により仰臥位は困難だが、入院2日前まで食事と排泄動作はほぼ自立していたとの家族情報から起立・移乗動作に必要な筋力は維持していると判断した。また脂肪による気道圧迫があるものの酸素2~3ℓ管理下ではSPO<SUB>2</SUB>96%前後と安定していた。<BR>今回の問題点として、本症例の自信喪失感・自己否定感等があると共に他者からの禁止言葉や否定語などで自分の思うようにならない時や注目・関心を自分に向けようとした時に奇声やパニック・酸素チューブを引きちぎる・服を破る等の不適切行動や過食に走る傾向があると思われたため、不適切行動の修正と動作能力改善を目的に行動分析学的介入を試みた。研究デザインにはシングルケースデザインを使用し、理学療法処方日から6日間をベースラインと設定、その後は基準変更デザインより目標行動を移行した。具体的には不適切行動には過度に注目しないよう強化随伴性の消去と同時に動作や言動に適切な変化がみられた直後に賞讃し、その行動が将来生起しやすいよう好子出現による強化を行いその効果を不適切行動の有無や動作能力、FIMにて確認した。その他接する機会の多いスタッフには関わる際の配慮として説明した。また、摂取カロリーは1200kcal/日で理学療法はストレッチやADL訓練を中心に施行し、リスク管理は自覚症状やバイタルサイン等で確認した。<BR>【説明と同意】本症例・家族には今回発表の趣旨及び内容を説明し書面にて同意を得た。<BR>【結果】介入前に毎日みられた不適切行動は、介入後週1回程度まで減少、動作能力も徐々に向上し、介入後3週目寝返り動作自立、5週目平行棒内立位可能、8週目約5m独歩可能となった。また入院当初みられなかった在宅復帰の希望が本人・家族からあり15週目に退院した。体重は当初立位不可等により途中からの計測となるが、7週目146.9kg、退院時は140.7kgと約8週間で7kg減少した。FIMも退院時は68点と向上がみられた。退院後は週2回の訪問リハビリテーションで対応し、退院後約4ヶ月で体重136kg台に減少、FIMも101点と大幅な向上がみられた。日中は酸素なしの活動も可能となっている。<BR>【考察】今回、ガストらが『行動を減らす手続きの選択は侵襲性が少なく、かつ効果的なものを選択されるべきである』と述べているように機能的な代替行動強化に着目し理学療法を進めた。また適切行動の強化が頻繁に得られその行動が自然強化子により維持されるよう配慮し内発的動機付けに変化がみられたことで著明な動作能力の向上が得られたと考えられる。その他、入院中に習得したパソコンによるメール交換が可能となり『食』のみに関心が集中することなく安定した生活が得られていると考えられる。<BR>【理学療法学研究としての意義】症例の置かれている状況を『個人攻撃の罠』に陥ることなく行動と環境の関係から検証し問題解決する行動分析学的方法は理学療法を円滑に進めていく上で有効かつ有用であると考えられる。
著者
松田 秀人 高田 和夫 橋本 和佳 栗崎 吉博 伊藤 裕 長嶋 正實 斉藤 滋
出版者
特定非営利活動法人 日本咀嚼学会
雑誌
日本咀嚼学会雑誌 (ISSN:09178090)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.95-100, 2001

咀嚼能力の測定にジューシーフレッシュガムを用いていたが, 製造中止となったため, 代替ガムの選定を目的とした. 咀嚼能力測定ガムとして, 5種類のガムを試みたが, 歯科用キシリトールガムが最適であった. 噛む回数が20~60回では, 噛む回数に正比例して溶出糖量が直線的に増加し, その相関係数はR<SUP>2</SUP>=0.9946であった. また噛むのに要した時間は, 噛む回数に比例して直線的に増加し, その相関係数はR<SUP>2</SUP>=0.998であった. 歯科用キシリトールガムを用いて咀嚼能力を測定する際の噛む回数は, 噛む回数と溶出糖量が正比例の関係にある20~60回の中間の40回が妥当であり, このガムを用いて咀嚼能力を測定することが可能である. 他のガムの場合にはこのような結果が得られなかった.<BR>実際に歯科用キシリトールガムを用いて, 高校1年生を対象に咀嚼能力を測定したところ, 溶出糖量と人数との関係は正規分布に近い形を示した. しかも, 男女生徒間の溶出糖量には有意差が認められた. また, 咀嚼能力が強い群が21人 (16.7%), 咀嚼能力が普通の群が85人 (67.5%), 咀嚼能力が弱い群が20人 (15.9%) となった.これらの結果は, ジューシーフレッシュガムを使用した場合と同様な結果となり, 咀嚼能力の測定には, 製造中止となったジューシーフレッシュガムに代わり, 歯科用キシリトールガムが使用可能である.
著者
鈴木 茂忠 宮尾 嶽雄 西沢 寿晃 志田 義治 高田 靖司
出版者
信州大学農学部
雑誌
信州大学農学部紀要 (ISSN:05830621)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.p61-91, 1975-12
被引用文献数
2

The Kiso-Komagatake is one of the main mountains in Kiso Mountain Range, which rises nearly on the middle of Japan main land, that is, on the western side of the Ina Basin in Nagano Prefecture, forming the watershed between the Rivers Kiso and Tenryu. The highest summit is as high as 2,956m above the sea level. One can in a while attain the height of 2,500m above the sea level from the City Komagane (600m high) by means of bus and then ropeway and many tourists visit the mountain throughout the year. This, together with extensive amount of wood cutting, has contributed to the rapid deterioration of the nature. As for the botanical distribution of the mountain, Pinus pumila is predominant in the alpine zone, higher than 2,500m above the sea level, Abies mariesii and Tsuga diversifolia in the sub-alpine zone, 1,500-2,500m high, and Quercus crispula in the lower zone, lower than 1,500m. Cultivated lands and village can be found in the zone lower than 900m above the sea level. The natural flora is confined to the subalpine zone and the lower zone is mostly occupied by the secondary forest, mainly consisted of Larix kaempferi. To obtain the general distribution of small mammals on eastern slope of the Kiso-Komagatake, the authors have carried out the collection and survey since June 1974. The results are as follows : 1) The collection was made with snap traps at 6 places of different height, ranging 950-2,640m above the sea level on the eastern slope, and the following species were obtained : Insectivora Sorex shinto alt. 1,500-2,640m Crocidura dsinezumi alt. 1,200m Dymecodon pilirostris alt. 1,300-1,700m Urotrichus talpoides alt. below 1,300m Rodentia Glirulus japonicus alt, 1,700m and 1,300m Clethrionomys andersoni alt. 1,300-2,640m Eothenomys kageus alt. 1,200-1,500m Microtus montebelli alt, below 1,200m Apodemus speciosus alt. 950-1,500m Apodemus argenteus alt. 950-2,640m Rattus norvegicus alt. 2,640m around the ropeway station, hotel and restaurant in the alpine zone. The widest distribution was shown by A. argenteus, being found at any place in the altitude of 950-2,640m. The species which was distributed from the sub-alpine to alpine zone was S. shinto and C. andersoni. D. pilirostris was native to the forest of sub-alpine zone. C. andersoni and E. kageus are both forest dwellers, the former species is used to live in above 1,300m and the latter live in below it. The distribution border between D. pilirostris and U. talpoides was also at the altitude of about 1,300m. M. montebelli generally inhabits in cultured land, grassy plain and young forested land. In the Kiso-Komagatake, however, this species did not distribute in higher altitude than 1,300m even when the habitat was sufficient. This is probably because of very steep slope of the mountain side. R. norvegicus inhabited around the ropeway station, hotel and restaurant in the alpine zone, propagating themselves even in very severe cold conditions. The higher the altitude of the population of A. argenteus, the later the beginning of propagation in spring occured. 2) In the zone, ranging 1,300-1,500m above the sea level, small mammals were caught with snap traps in three Larix kaempferi-afforested lands of different age and the relation between forest age and species of small mammals was examined. A. speciosus was found in the sapling and the young forest but not in the grown forest, while a large amount of A. argenteus was found in the grown forest according to Apodemus Index. C. andersoni was not found in the sapling, while E. hageus was relatively large amounts in the sapling and the young forest, though absence in the grown forest. 3) In a few Larix kaempferi forest in the altitude of 1,300m, movements of A. speciosus and A. argenteus were followed up for 7 days by the use of alive traps. The distance of two traps which caught the same individual in two consecutive nights was measured with the following results :In case of A. speciosus, it was 11.3m (mean for 5 cases) in June and 21.0m (mean for 4 cases) in August. The mean for June and August was 15.6m for 9 cases. In case of A. argenteus, the mean distance in June was 15. 5m for 7 cases. From these figures, the diameter of the home range was calculated, with the result that the mean was 33.1m for A. speciosus and 27.8m for A. argenteus. There was little difference between them.
著者
高田 圭二 田中 圭介 竹林 由武 杉浦 義典
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.35-49, 2016-07-01 (Released:2016-06-04)
参考文献数
48
被引用文献数
1 2

本研究はマインドフルネスとwell-beingの関連を調整する要因として注意の制御に着目し,注意の制御がマインドフルネスとwell-beingの関連に与える影響を,大学生145名を対象に検討した。分析の結果,Subjective well-being(SWB)を目的変数とした場合,マインドフルネスの体験の観察と注意の制御の主効果が有意だった。Psychological well-being(PWB)を目的変数とした場合,マインドフルネスの体験の観察,描写,反応しない態度と注意の制御の主効果が有意だった。また注意の制御による調整効果が示され,体験の観察は注意の制御が高いとSWBを高めた。さらに描写も注意の制御が高いとPWBを高めた。以上の結果から,体験の観察がSWBを促進するには体験を万遍なく観察する必要があり,そのためには柔軟な注意の制御が必要だと考えられる。そして,描写がPWBを促進するには内的な体験を的確に言語化する必要があり,注意の制御が高い場合に言語化が的確になると考えられる。
著者
高田 瑠美子 坂田 勝亮 前田 基成
出版者
日本感性工学会
雑誌
日本感性工学会論文誌
巻号頁・発行日
2020
被引用文献数
1

<p>In this study, we investigated the relation between autism spectrum tendencies of normal observers and evaluation of facial emotional expressions, used for "Ban Dainagon Emaki". Recognition of facial expressions was verified by Scheffé's (Nakaya) paired comparison method using the evaluation attributes of the four emotions (fear, anger, sadness, and happiness) in conjunction with investigation of the Autism-Spectrum Quotient (AQ). Different cognitive patterns especially extracted from communication ability, were confirmed, comparing facial expression recognition tendencies for the two groups, higher levels of autistic - like traits and lower levels of autistic - like traits. Between the two groups, the high levels on the AQ were difficult to recognize the fear of negative emotions, but regarding the happiness of positive emotion, similar tendency was demonstrated. These results are consistent with the findings obtained from previous studies on the tendency of facial expression recognition between healthy individuals and those with traits of ASD.</p>
著者
高田 兼太
出版者
伊丹市昆虫館
雑誌
伊丹市昆虫館研究報告 (ISSN:21877076)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.19-22, 2014-03-31 (Released:2019-11-11)

[Original Subtitle] note on the attitude of females toward males who are interested in insect collecting as a hobby in Japan (re-analysis of the data on a result of questionnaire published in a report of a woman’s portal site entitled “My navi woman”, from the aspect of cultural entomology)
著者
高田 夏子
出版者
専修大学人間科学学会
雑誌
専修人間科学論集. 心理学篇 (ISSN:21858276)
巻号頁・発行日
no.10, pp.7-19, 2020-03-15

The main novels by Endo Shusaku's Christian themes are "White People", "Yellow People", "Sea and Poisons" "Wonderful Fool", "Silence", and then a compilation of religious views, that is "deep rivers". Endo was baptized in Japan and went to Lyon In France to study Christian writers. Studying abroad made him feel strongly that he was Japanese overseas. And that experience also led the way for novelists. It was from "silence" that he began to take up religiousness from the front, but I felt that there was some difference in the author's mental life before and after "silence". Endo had a tuberculosis operation several years before writing "Silence". I think that the experience of "Fumie" (Tools used for persecution of hidden Christians In Edo era) seen at the time of hospitalization was a kind of religious experience, and it was a turning point that would determine the direction of subsequent works. It seems like a mission to convey the image of Jesus that he reached.
著者
長井 孝紀 田中 滋康 高田 真理
出版者
日本膜学会
雑誌
(ISSN:03851036)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.154-160, 2004-05-01 (Released:2011-03-04)
参考文献数
20

Amphibians regulate the osmotic and ionic composition of their body fluids by water and ion transport across their skin. When dehydrated, desert toads press down the pelvic region of ventral skin on moist surfaces to achieve maximal water absorption. Aquaporins (AQP) are trans-membrane proteins permeable to water. We cloned three isoforms of AQP (AQP-h1, -h2, -h3) in tissues of tree frogs. AQP-h3 was abundantly expressed in the pelvic region of ventral skin, facilitating water absorption across the skin. Antibodies to AQP-h3 labeled the cell membrane of the granulosum cells in the skin. AQP-h3 was progressively expressed during metamorphosis of larval frogs. Expression of AQP-h3 was facilitated by and diuretic hormone, argine vasotocin. Collectively, AQP-h3 is a molecule to play a positive role in water absorption across the amphibian skin. In bullfrogs short circuit current across the skin was suppressed by amiloride, a blocker for epithelial Na+ channel (ENaC), showing that transport of sodium ions occurs through ENaC. Na+ transport increased in parallel with metamorphosis of the tadpole. In cultured skins of the tadpole Na+ transport was facilitated by aldosterone, but counteracted by prolactin. Such counteraction seemed to be removed by thyroid hormone (T3) during metamorphosis to adapt a terrestrial environment.
著者
高田 彰二
出版者
一般社団法人 日本生物物理学会
雑誌
生物物理 (ISSN:05824052)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.158-159, 2010 (Released:2010-07-25)
被引用文献数
1 1
著者
高田 邦昭
出版者
一般社団法人 日本耳科学会
雑誌
Otology Japan (ISSN:09172025)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.173-177, 2007-07-25 (Released:2011-06-17)
参考文献数
14
被引用文献数
1
著者
高田 雄一 神谷 智昭 渡邉 耕太 鈴木 大輔 藤宮 峯子 宮本 重範 内山 英一
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.Ab0445, 2012 (Released:2012-08-10)

【はじめに、目的】 足のアーチ構造は1Gの重力場でヒトの歩行時に有用な働きをしている。後脛骨筋は足アーチを支える重要な動的支持組織であると報告され、後天性扁平足の主な原因は後脛骨筋機能不全だと言われている。足ア−チは骨・関節・靱帯による静的なサポートと筋肉による動的なサポートが互いに協力することにより、重力に逆らい直立二足歩行する人体の重さを支えている。適度な弾性をもった足ア−チは歩行時の衝撃を緩和し、より中枢の関節を保護している。この力学的特性を解明するためには、1回の荷重負荷試験から求められる足アーチの単なる破断強度ではなく、日常生活で実際に骨・関節・靱帯にかかる生理的負荷領域での繰り返し負荷試験(fatigue test,疲労試験)により足アーチの疲労特性を調べることにより、はじめて、より適切な生理的負荷領域での足アーチの力学特性を解明することができる。本研究の目的は反復垂直荷重時に、足内側縦アーチに対する後脛骨筋の動的な効果を検討することである。【方法】 未固定凍結下肢標本を14肢使用した。平均年齢は82歳(59-92歳)だった。標本は7肢ずつ、後脛骨筋牽引群と後脛骨筋非牽引群の2群に分けた。足アーチの疲労特性を計測するために、医療機器開発メーカーであるメディセンス(株)と共同で繰り返し荷重システム、制御・解析アプリケ−ションの開発を行った。万能試験機(株式会社 島津製作所,AG-I)、LEDマーカ(株式会社 パナソニック,1.6 x 0.8 mm 矩形赤色発光ダイオード)とCCDカメラ(株式会社メディセンス,解像度640x480 pixels)で構成する微小変位解析システム、反復荷重負荷システムと組み合わせによる繰り返し荷重−変位解析システムの開発を行った。下腿を中1/3で切断し、専用ジグで固定した標本に万能試験機を用いて、0-500N,1Hzで反復軸荷重を10,000サイクル負荷した。舟状骨高の計測は舟状骨内側に設置したLEDの位置情報を経時的に測定し、それを座標軸に変換して記録した。後脛骨筋牽引群は軸荷重に同期したステップモ−タ(株式会社 メディセンス,最大トルク 6 kg・cm, 回転速度 60 deg / 0.1 sec)荷重負荷システムを用い後脛骨筋腱中枢部をワイヤーでロ−ドセルを介して反復荷重した。そして垂直荷重に同期して、後脛骨筋の筋収縮を模した0-32Nの牽引力が発生するように設定した。最小荷重時と最大荷重時の足ア−チの高さの変化は舟状骨高を足底長で除したBony Arch Index(BAI)で評価し、BAI<0.21をlow archとした。後脛骨筋牽引群と後脛骨筋非牽引群でそれぞれ1,000 cyclesごとの値で両群間を比較し、統計処理はstudent‘s t-test により、有意水準は 5%とした。【倫理的配慮、説明と同意】 遺体は、死亡後24時間以内に本学医学部解剖学第二講座に搬送され、本人の生前同意と死亡後の家族の同意が得られている。【結果】 最大荷重時BAIの初期値は後脛骨筋牽引群0.239±0.009、後脛骨筋非牽引群0.239±0.014だった。両群共に最初の1,000サイクルでBAIは大きく低下した。その後、後脛骨筋牽引群の平均BAIはほぼ一定の値で経過し、10,000サイクルで0.212±0.011となった。一方で後脛骨筋非牽引群のBAIは徐々に低下し続け、3,000サイクルでlow archの基準となるBAI<0.21になった。7,000サイクル以降で両群間に有意差を認め、後脛骨筋牽引群は内側縦アーチが維持されていた。【考察】 本研究結果で後脛骨筋牽引群の平均BAIは、最終的に荷重時BAI>0.21を維持した。このことは反復荷重条件においても後脛骨筋が内側縦アーチ保持に重要であることを示した。一方、後脛骨筋非牽引群では最終的にlow archの基準に至ったことから、静的支持組織のみでは内側縦アーチ保持が困難であることがわかった。【理学療法学研究としての意義】 本研究は扁平足変形の主原因である後脛骨筋機能不全に対する運動療法やその予防に有用な情報を提供すると考えられた。
著者
高田 峰雄
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.357-362, 1967 (Released:2007-07-05)
参考文献数
21
被引用文献数
3 1

1. カキとトマトの果実について, 生育ならびに成熟と関連させて, 呼吸量の変化を調べた。2. 植物体上における果実の呼吸量とみなされる採取24時間後の呼吸量を生育段階的にみると, トマトではきわめて典型的な climacteric を示したが, カキではかならずしも明らかでなかつた。3. カキ, トマトともにすべての生育段階の果実において, 採取後に呼吸の上昇が見られた。4. カキ, トマトともに若い果実においても採取後に成熟様現象が起こり, その時に呼吸のピークが現われた。しかし, 成熟様現象の進行速度および呼吸曲線の様相においては, 両者の間に大きな差異が見られた。5. カキの開花後約2か月までの若い果実では採取後にヘタの脱落現象が見られたが, 生育がさらに進んだ果実では見られなかつた。この現象は種子の有無とは直接関係がないように思われた。

2 0 0 0 OA 睡眠と健康

著者
高田 真澄
出版者
一般社団法人日本衛生学会
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.73, no.1, pp.22-26, 2018 (Released:2018-01-31)
参考文献数
43
被引用文献数
6

Since World War II, Japan has achieved remarkable economic development and has become an advanced country. Particularly in the industrial field, a production system has been developed to reduce the loss of machining time by adopting a shiftwork in factories operating 24 hours a day, which contributes to the improvement of productivity. Nowadays, this shiftwork practice has spread from the industrial field to other businesses such as 24-hour entertainment facilities and convenience stores, which lead to sleep deprivation in Japanese society. Even at home, certain conditions adversely affect sleeping habits. We are concerned about the risks of physical and mental health, impairments posed by the use of tablets, PCs, smartphones, and other devices so popular in today’s Japan, as they delay sleep. It is urgent to improve poor sleeping habits because their outcomes such as sleep disorders and deprivation may also lead to traffic and industrial accidents.