著者
高田 香織 飯塚 香織 澤本 学 熊本 貴之 磯貝 理恵子 山田 秀和
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.9, no.6, pp.541-544, 2010 (Released:2011-12-26)
参考文献数
18

29歳,男性。初診の2ヶ月前から上肢に痒みを伴う皮疹が出現し,徐々に拡大してきたため当院を受診した。6ヶ月前からチンチラを飼い始め,同じ頃にチンチラに脱毛斑が出現した。左前腕に母指頭大の鱗屑を伴った紅斑および丘疹が見られ,KOH 直接鏡検にて真菌陽性,体部白癬と診断した。スライド培養では円形の小分生子があり,ぶどう状を呈していた。また,らせん器官も認めたため分離菌を Trichophyton mentagrophytes と同定した。PCR 法では Arthroderma vanbreuseghemii と同定された。チンチラも動物病院を受診し,鏡検にて白癬と診断された。治療はテルビナフィン外用にて皮疹の軽快を認めた。今後チンチラを含めたげっ歯類の飼育の増加に伴ない真菌感染が増加することが考えられる。(皮膚の科学,9: 541-544, 2010)
著者
片岡 俊彦 遠藤 勝義 井上 晴行 稲垣 耕司 森 勇藏 広瀬 喜久治 高田 和政
出版者
公益社団法人精密工学会
雑誌
精密工学会誌 (ISSN:09120289)
巻号頁・発行日
vol.60, no.8, pp.1122-1126, 1994

The probe of this scanning near-field optical microscope (SNOM) is a dielectric sphere of 500 nm in diameter on a transparent substrate. The probe sphere is illuminated by evanescent wave which is formed by the incidence of He-Ne laser with the wave length of 632.8 nm from the inside of the substrate on the condition of total reflection. The light from the probe is collected by a conventional microscope through the substrate. The detected light intensity changes remarkably when a sample is brought in a near-field around the probe. The variation of detected light intensity in the near-field depends on refractive index of sample; the smaller real part of refractive index of sample, the more remarkable increase of detected light intensity. This result is explained by using an electric dipole model for the electromagnetic interaction between probe and sample. The vertical resolution of about 1 nm and lateral resolution of less than 20 nm are obtained for the developed microscope by measuring a standard specimen which is prepared by vacuum evaporation of metal.
著者
高田 純
出版者
日本哲学会
雑誌
哲学 (ISSN:03873358)
巻号頁・発行日
vol.1977, no.27, pp.149-159, 1977-05-01 (Released:2009-07-23)

ドイツ観念論倫理学の基本性格は、経験的なものから純化されたアプリオリな理性意志=自由意志をその原理とする点にあるといえよう。カントは、このような理性意志にこそ、万人を結合する道徳法則の根拠、万人の自由な倫理的共同存在にとっての根本原理が求められると考えた。しかし、倫理的共同存在の実現の問題が具体的に問われるためには、カントにおいて捨象されるのに急であった意志主体(人格)相互のあいだの経験的諸規定があらためてとりあげられ、理性意志がどのようにしてこれらをつうじて内在的かつ具体的に確立されるかが把握しかえされなければならないであろう。そしてまた、このような過程をへることによって、理性意志の原理は、経験的なものを外的に規定する形式的原理であることをこえて、経験的なもののなかで作用する生きた内在的形式、活動原理にまで高められることになるであろう。フィヒテを経てヘーゲルに到るドイッ観念論倫理学の歩みは、これらの問題の自覚的追求の過程でもあった。この過程においては、意志相互の具体的な関係と働きかけ(交通)およびその現実的な場としての社会のなかでの意志の理性的形成(理性意志の社会的、間主観的基礎づけ)の問題が論究されるとともに、逆にまた、現実社会がこのような理性意志の実現として理性化、倫理化 (社会の理性的基礎づけ) される方向へと進んでいく。本稿では、ドイツ観念論におけるこのような推移を、とくに、そのさいの考察の結節点としての位置にあると思われる「相互承認Gegenseitiges Anerkennen」概念に着目しつつ、またこの概念を自覚的にとりあげた初期フィヒテとヘーゲルを重点に、概観してみたいと思う。
著者
宗広 一徳 高田 哲哉 石田 樹 松田 武
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学)
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.I_1339-I_1347, 2016

本研究は,「2+1車線」型道路の性能評価の実施に際し,サービスの質を表す指標として,平均旅行速度,追従車率及び追従車密度を取り上げ,付加車線の配置と得られるサービスに関する交通流ミクロシミュレーション及び実道での実測結果を報告する.路面状態は,乾燥路面と圧雪路面の2条件とした.評価指標として追従車密度を基に,積雪寒冷地2車線道路のサービス水準の構築を試行した.一定間隔で付加車線を設置することにより,乾燥路面時と圧雪路面時の両方で,2車線道路のサービスのレベルが改善することが示された.「2+1車線」型の整備が行われた国道40号更喜苫内道路(稚内市~豊富町)を事例研究とし,追従車密度を実測したところ,冬期の圧雪路面時においてもサービス水準Aが確保されていることが示された.
著者
高田 伸弘
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement
巻号頁・発行日
vol.29, 2013

&nbsp;ここではヒトと動物に共通の感染症,とくにダニ媒介性のものを中心に紹介するが,通常の医学的な視点とはやや変えて,今回のシンポジウムの趣旨に沿って述べてみようと思う.そのような視点は演者の持論の一つでもある.すなわち,ヒトと動物に共通した感染症を,動物がヒトにもたらす迷惑な医学問題としてだけ捉えるのでなく,そこに絡む環境要因などとともに動物側の事情も勘案してみようということである.<br>&nbsp;ヒトーヒト伝播の微生物は別にして,自然界を源とする微生物はヒトを害せんと頭で念じているわけでなく,彼ら自身の在り方で淡々と生きている.ただ,その微生物種が,例えばダニ類と動物の間を循環するものである場合,ヒトがその循環の場に絡むことがあれば偶発的にヒトに感染してしまい,その微生物種は「病原体」と呼ばれて誹られることになる.それでも,動物とヒトの距離が保たれているならほどほどの感染頻度で収まるだろうが,距離が縮まって接触の機会が増えるようになれば(多くの場合,ヒトが動物のテリトリーに侵入する,あるいは逆にテリトリーの境目が分からなくなるなど,ヒト誘導の結果であるが),偶発的なはずの感染リスクが常態化することになり,住民の危惧感も加われば問題が膨らんでくる.<br>&nbsp;感染症法の中の第4類として公式届け出される感染症統計の中で,近年は,ツツガムシによる恙虫病とマダニによる紅斑熱はトップグループを占めるが,それらの患者発生は各地にただ漫然と見られるのでなく,地域ごとに観察すれば,地理,気候など環境要因および動物相に伴って発生し,しばしば多発地(有毒地)が形成されるなどのパターンが見られる.例えば,大きな水系や山系,時には人工的な町筋や交通路などで囲まれた地区,あるいは河川の氾濫原としての中山間盆地などに限局された多発地がしばしば見られる.そういった複数の多発地が境を作って住み分けの状態になることもある.そういう多発地の内部では,媒介能をもったダニ種が住家に密着して生息したり,その供血源としての動物が密度高く繁殖もしている.気候条件も重要な要因で,例えばツツガムシでは種類ごとに列島の雪の降る寒い地方と冬暖かい地方で分布に違いがあり,それに伴い異なった型の恙虫病が見られる.マダニでは,南方系と言えるチマダニ類の分布に依存して,例えば日本紅斑熱や最近注目の SFTSが南西日本に偏って確認されたりする.<br>&nbsp;そのようなことで,ダニ媒介感染症については,通り一遍に「山野で注意しよう」と呼びかけるだけでなく,そのようなダニ類は例えばタヌキが背負って来て家の裏庭に落としてゆくような身近な問題であることを直に啓発すべきであろう.かと申して,それがヒトと動物との触れ合いの狭間で起こる軋轢であるとしても,動物を悪者扱いにして一方的にコントロールしてよいものか,もし動物が消え去るようなことがあれば,それは自然界のゆがみや崩壊につながりかねないだろうから,やはり,ヒトと動物は互いに迷惑をかけあって生きてゆかねばならない定めと達観すべきなのであろうか? そうこうして,医動物学の分野でコントロール controlという英単語の解釈は実にむずかしいことになる.
著者
高田 将志
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2016, 2016

<br><br>海外の地理学の現状に関しては、近年、地学雑誌において「世界の地理学(Part I)、(Part II)」と題した特集号が組まれた(地学雑誌、第121巻、4号、5号、2012年)。これは2013年に京都で開催された国際地理学会議に向けて企画された特集号であり(村山ほか、pp.579-585)、PartI(地学雑誌、第121巻、4号、2012年)では、イギリス(矢野、pp.586-600)、ドイツ(森川ほか、pp.601-616)、フランス(手塚、pp.617-625)、スイス(大村、626-634)、オーストリア(呉羽、pp.635-649)、スペイン(竹中、pp.650-663)、ポルトガル(池、pp.664-672)、スウェーデン(山下、pp.673-685)、フィンランド(湯田、pp.686-698)、ロシア(小俣、pp.669-716)、ポーランド(山本、pp.717-727)、スロヴァキア(小林ほか、pp.728-734)、ルーマニア(漆原、pp.735-742)、Part II(地学雑誌、第121巻、5号、2012年)では、オランダ(伊藤、750-770)、アメリカ(矢ケ崎、771-786)、カナダ(山下、787-798)、ブラジル(丸山、799-814)、韓国(金、815-823)、中国(小野寺、824-840)、台湾(葉、841-855)、ベトナム(春山、856-866)、インドネシア(瀬川、867-873)、インド(岡橋ほか、874-890)、オストラリア(堤、891-901)、ニュージーランド(菊池、902-912)である。これらの総説では、主に、地理学関連の学会組織や学術研究面の特徴について触れられており、地理教育の点では、主要大学の組織や教育など高等教育に関する記述が中心で、中等教育について触れられている部分は極めてわずかである。また東~東南~南アジアについてみると、韓国、中国、ベトナム、インドネシア、インドが取り上げられているものの、他の国々に関する情報は含まれていない。<br><br>一方、海外の中等教育に関しては、大分古くはなるが1970年代末~1980年代初頭にかけて、帝国書院から「全訳 世界の地理教科書シリーズ」全30巻が刊行されている。これは、主要国の中等教育で用いられている地理分野教科書を全訳したもので、アジア諸国の中では、インド(第11巻)、タイ(第12巻)、インドネシア(第13巻)、フィリピン(第14巻、中国(第23巻)、韓国(第24巻)の6カ国について、取り上げられている。したがってこの6カ国については、教科書分析を行うことで、中等教育レベルの地理教育における時代的変遷についても、ある程度分析することが可能である。<br><br>地理学における高等教育や先端研究の重要性は言うまでもないが、翻って日本の現状を顧みると、中等教育における地理教育は、高等教育や、その先の先端研究の場にも大きな影響を及ぼしていることは明らかである。このような点から、日本のみならず、各国の地理学や地理教育においても、中等教育の実情を明らかにしておくことは、当該国の地理をよりよく理解するために新たな視点を与えてくれるであろう。また、当該国における中等教育における地理教育の実態を明らかにする過程で、日本からの目線で見落としがちな地理的事項を認識できれば、当該国の地誌的記述や日本を含むアジア諸国との国際関係理解の面で、日本の地理教育に資するべきものが発見できることも考えられる。<br><br>発表者は、将来的には、アジア、特に東~東南~南アジアに対象を絞って、各国の中等教育の現場で、地理学がどのようなテーマを扱い、どのような教育システムの下で教えられているかについて、主に、使用されている教科書や資料類の分析と、授業見学、教員へのインタビューなどから明らかにし、各国間の相互比較を行いたいと考えている。そしてその結果をもとに、中等教育レベルでは、国毎にどのような地理的知識・技術・考え方を重視しているのか、とくに自国の地誌や、日本を含む主要な国との国際関係について、どのような観点を重視して教育を行っているか、などを明らかにしたいと考えている。<br><br>上記のような背景を踏まえ、今回の発表では、試みにまず、ブータンとシンガポールというアジアの国について、中等教育がどのような教育システム上の位置を占め、どのような教科書を使用して教育を行っているのかについて調べた結果について報告したい。
著者
高田 典孝
出版者
口腔病学会
雑誌
口腔病学会雑誌 (ISSN:03009149)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.64-73, 1998-03-31 (Released:2010-10-08)
参考文献数
38
被引用文献数
6 3

Modulation of the tibialis anterior (T.A.) H reflex and the reciprocal Ia inhibition from the ankle flexor to the extensor were studied during voluntary teeth-clenching in 7 healthy adult volunteers to investigate the correlation between the oral motor activity and the somatic motor function.The TA. H reflex was significantly facilitated during voluntary teeth-clenching, and the amount of this facilitation increased with the level of masseter EMG activity. Furthermore, the reciprocal Ia inhibition of the soleus H reflex, induced by stimulation of the common peroneal nerve at a subthreshold intensity for evoking the T.A.M wave, was significantly depressed during voluntary teeth-clenching.It was concluded that 1) the TA. H reflex is facilitated during voluntary teeth-clenching, 2) there is a positive correlation between the amount of facilitation of the TA. H reflex and the level of teeth-clenching force, and 3) the reciprocal Ia inhibition of the crural muscle is reduced during voluntary teeth- clenching. It was suggested that teethclenching contributes to stability of body stance by increasing the stiffness of the ankle joint.
著者
高田 文子 中村 建次 久米 茂行 田中 庸央 彦坂 治
出版者
[愛知県公害調査センター]
雑誌
愛知県公害調査センター所報
巻号頁・発行日
no.20, pp.52-57, 1993-03

トリクロロエチレン(TCE),テトラクロロエチレン(PCE)等の低沸点有機塩素系化合物の,底質からの抽出方法として,テフロン瓶とジルコニア球を組み合わせたセラミックハンドシェイカーによる,抽出条件の検討及び回収試験を実施した。底質にTEC,PCEの水溶液を吸着させた模擬試料を使用して検討した結果,分取時の揮散等の問題を除けば,ほぼ100%と満足できる回収率が得られ,実試料の分析に適用できると考えられる。
著者
井上 元哉 高田 吉治
出版者
公益社団法人 日本雪氷学会
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.239-257, 1971-12-25 (Released:2010-01-20)
参考文献数
10
被引用文献数
1 3
著者
山本 洋司 渡辺 広希 高田 祐輔 梅本 安則
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.615-623, 2020 (Released:2020-12-18)
参考文献数
38

【目的】脳卒中患者に対する早期離床を発症後48 時間以内の起立と定義し,有効性および安全性について検証すること。【方法】対象は脳卒中患者とし,早期離床導入前群(以下,導入前群)と早期離床導入後群(以下,導入後群)に分けた。主要アウトカムは退院時のBarthel Index ならびにmRS とした。副次項目は不動関連の合併症ならびに神経学的有害事象とした。【結果】導入前群110 名,導入後群93 名であった。Barthel Index は導入前群と比較して導入後群で有意に高かった。mRS(0–1) に該当する者は導入前群と比較して導入後群で有意に多かった。不動関連の合併症は導入前群と比較して導入後群で有意に少なかった。神経学的有害事象は両群間で有意差を認めなかった。【結論】発症後48 時間以内の起立と定義した早期離床は,脳卒中患者においてテント上病変ならびに保存的治療例で安全に実施可能で機能的予後を良好にし,不動関連の合併症を減少させる。
著者
高田 宜美
出版者
日本薬学図書館協議会
雑誌
薬学図書館 (ISSN:03862062)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.10-20, 1994-01-31 (Released:2011-09-21)

薬学図書館には33巻4号に図書館員のための基礎英語 (1) 英文手紙の書き方と34巻1号に (2) カウンターにおける英会話を2回にわたり執筆した。(1) では図書館において日常目に触れる英文手紙のサンプルをあげ解説した。(2) では大学図書館, 企業の研究所や病院の図書館 (室), 情報センター等のカウンターにおいて留学生, 外国人研究者や訪問者との基本的な会話のサンプルをあげた。今回, 再度前回触れなかった点, 書き加えたい点, 編集者の要望事項を含めて執筆依頼を受けた。今回は約5年を経て図書館を取り巻く環境も大きく変化したので, 特に, カウンター業務を行う初心者が英語で質問された時に対応しなければならないオンライン検索, CD-ROM検索の申込, 料金の説明, Faxによる文献複写の申込, 送付等を中心に出来るだけ簡単で短い会話のサンプルをあげるが, 編集者の希望で前回の内容と一部重複するところもあるのでご了承いただきたい。最後に肯定的, 否定的な応答の仕方, 婉曲的な断わり方, あいつちの仕方等いくつか覚えておけばスムースに話せると思われる短い文章をあげておいたので参考にしてほしいと思う。
著者
高田 淳
雑誌
日本文學
巻号頁・発行日
vol.23, pp.1-18, 1964-11-10
著者
門馬 綱一 池田 卓史 長瀬 敏郎 栗林 貴弘 本間 千舟 西久保 勝己 高橋 直樹 高田 雅介 松下 能孝 宮脇 律郎 松原 聰
出版者
一般社団法人日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物科学会年会講演要旨集 日本鉱物科学会 2014年年会
巻号頁・発行日
pp.36, 2014 (Released:2019-03-20)

千葉県南房総市荒川から、千葉石と共生して産出した未命名シリカ鉱物について、新鉱物bosoite「房総石」として国際鉱物学連合新鉱物命名分類委員会の承認を受けた。房総石はケージ状骨格構造中にメタンやエタンなどのガス分子を含み、構造H型のガスハイドレートと同形構造である。
著者
ブラウン レスター 高田 憲一
出版者
日経BP社
雑誌
日経エコロジー (ISSN:13449001)
巻号頁・発行日
no.71, pp.46-49, 2005-05

1934年、米国ニュージャージー州生まれ。ハーバード大学などで農学と行政学を修める。米農務省の国際農業開発局長を経て、74年にワールドウォッチ研究所を設立。2001年5月から現職。『飢餓の世紀』『プランB』など著書多数。4月には『フード・セキュリティー』を上梓──中国の急速な経済発展は、環境問題とも密接に関係してくると思います。
著者
豊田 輝 高田 治実 菅沼 一男 芹田 透
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.Gc1040, 2012

【はじめに】 理学療法評価において歩行分析は,重要な手段として位置づけられ,特に義足歩行分析は切断者の残存機能を最大限に活かすためになくてはならない評価項目である.しかしながら,この義足歩行分析を的確に実施するために必要な情報の多くは,その現象の説明に留まっているのが現状である. そこで,義足歩行分析を熟練者はどのような方法で観察評価しているかを明らかにし,経験の浅い者の義足歩行評価技能向上の一助となる情報を提供することを目的とした.【方法】 切断者のリハビリテーションに5年以上従事している理学療法士10名(男性9名,女性1名,平均経験年数9.5±3.3年,以下熟練群)と同リハビリテーション従事年数が1年未満の理学療法士10名(男性7名,女性3名,平均経験年数0.1±0.2年,以下初心群)を対象とした. まず,筆者が作製した片側大腿切断者の10m直線歩行における正常歩行映像(ソケット不適合やアライメント異常がない状態の歩行映像)をスクリーンに投影させ観察させた.次に,2つの異常歩行映像(あるアライメント異常を筆者が意図的に設定した状態での異常歩行映像,課題1外側ホイップ,課題2側傾歩行)を分析し,3設問のアンケート(設問1.異常歩行の名称,設問2.その原因となる義足アライメント異常,設問3.その修正方法について)に回答することを事前に説明した.また,その義足歩行映像は対象者自身が課題ごとに「アンケート内容に回答できる」と判断するまで繰り返し流すことも説明した.その後の手順は,課題ごとに異常歩行映像をスクリーンに投影し,歩行分析させた.この際対象者は,眼球運動計測装置(モバイル型アイマークレコーダEMR-9,NAC社製,以下EMR-9)を装着した状態で,この映像をスクリーンから3m離れた位置で静止立位にて歩行分析を行った.また,歩行分析終了までの時間を評価所要時間として計測した.尚,アンケートには,歩行分析終了後に対象者自身で記入させた. 得られたデータの解析方法は,EMR-9によって歩行観察時の視野映像に注視点を表示させるとともに,解析ソフト(EMR-dFactory)によって視線軌跡及び停留点(0.1秒以上)の定量解析を行った.統計的手法としては,アンケート設問1の異常歩行名称正答率にはχ2検定を用い,評価所要時間にはMann-WhitneyのU検定を用いて検討した.また,いずれも危険率5%未満を有意水準とし,全ての分析にはPASW Statistics18を用いた.【倫理的配慮、説明と同意】 対象者には,本研究の趣旨を説明し同意を得た.また,本研究結果を個人が特定できる形で公表しないことも説明した.その他,映像作製に協力頂いた切断者にも本研究の趣旨を説明し同意を得た.【結果】 評価所要時間では,課題1で初心群が平均63,1±38.8秒,熟練群が6,2±1,3秒,課題2で初心群が平均65,0±34.9秒,熟練群が6,8±0,6秒であり,いずれも優位に熟練群が短時間で分析を終了していた.また,アンケート設問1の正答率は,初心群で10%,熟練群で100%であり,優位に熟練群が高い正答率であった.その他,EMR-dFactoryによる注視項目分析と停留点分析より,アンケート設問1を正答した者には,特定の異常歩行ごとに遊脚期,立脚期において共通した注視点,停留点及び注視順があることが明らかとなった.具体的には課題1では,遊脚初期において義足側足部と膝継手を注視及び停留しながら観察し,課題2では,遊脚期には義足側股関節周囲,膝継手及び足部を,立脚期には義足側肩関節周囲に注視及び停留しながら観察していた.一方,この設問に誤答した者は,異常歩行の種類,遊脚期,立脚期を問わず身体のあらゆる部位を無作為に観察しており,注視点,停留点及び注視順の全てにおいて分散した状態であった.【考察】 熟練群は初心群に比較し歩行分析に要する所要時間が優位に短く,正答率も優位に高かった.また,アンケート設問1に正答した者の注視点,停留点及び注視順は,共通したものであった.これらのことから,経験年数を重ねることで適切な分析が可能になる反面,初心者は,切断者に大きな負担をかけながら歩行分析を実施する可能性が高いことが示唆された.これでは,理学療法士全体の質が低下することに成りかねない. この問題解決のために,本研究の成果を教育方法のひとつとして活用できると考える.設問1で正答した者全てに共通する注視点,停留点及び注視順を抽出し,外側ホイップもしくは側傾歩行に対する歩行観察手順として示すことにより,理学療法士の卒前・後教育の資料として活用できると考える.【理学療法学研究としての意義】 義足歩行分析の教育的なひとつの方法論として,今回の研究成果は活用できると考える.これにより,初心者が外側ホイップもしくは側傾歩行の義足歩行分析を実施する際の有益な情報になることが示唆された.
著者
高田 智和 田島 孝治 堤 智昭
出版者
大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2017-06-30

本研課題究は、前近代の漢文訓点資料を対象として、(1)漢文本文及び訓点(読み仮名、送り仮名、ヲコト点・声点・句読点・語順点などの各種記号)を文書構造の国際記述(TEI: Text Encoding Initiative)に基づく構造化記述法を考案する。(2)平安・鎌倉時代を特徴付ける訓点であるヲコト点(漢字の四隅・四辺等に記入して読みを表す記号)のデータベースを作成する。(3)(1)と(2)のデータに基づいて、ヲコト点の類型と系統を定量的観点から考察する。(4)(1)と(2)のデータに基づいて、漢文訓点資料の書き下し文の自動生成方法を検討する。これらにより、漢文訓点資料の解読成果を学界で共有するための基盤構築を目的とする。2018年度は以下の活動を行った。(1)訓点の定量的分析のための文書記述を2017年度に引き続き検討した。(2)2017年度に作成した移点ツールのプロトタイプに、仮名点・語順点入力機能を追加し、『尚書(古活字版)』(国立国語研究所蔵)の記述を行った。(3)(2)の移点ツールと『尚書(古活字版)』の記述データ(試行版)を公開した(http://www.gifu-nct.ac.jp/elec/ktajima/tools.html)。(4)これまでに各研究者が作成した点図について、座標表現によるデータ化を試行した。(5)点図データと連携させる訓点資料の書誌情報データの設計を検討した。(6)ヲコト点図データベースに公開した(https://cid.ninjal.ac.jp/wokototendb)。
著者
石井 秀一 富田 一彬 水野 高伸 高田 恭良
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会大会 学術講演論文集 (ISSN:18803806)
巻号頁・発行日
vol.2018, pp.145-148, 2018

<p>中小規模建物のダブルスキン建設費は大規模建物に比べて割高になり、ガラス窓負荷削減だけでは運転費削減効果が小さく費用対効果が小さい。この弱点を克服するため、ワンフロア・ワンスパンサイズで、かつ空調換気システムとリンクする「局所分散型ダブルスキン」を実際の建物に導入し、14ヶ月間に渡って省エネ効果を検証した。その結果、暖房シーズン5ヶ月の貫流負荷を窓面積当り平均2.74[MJ/(m2日)]、外気負荷を4.43[MJ/(m2日)]削減した。</p>