著者
原 聖 藤井 毅 大黒 俊二 高田 博行 寺尾 智史 三ツ井 崇 名和 克郎 包 聯群 石部 尚登 HEINRICH Patrick 荒木 典子 岩月 純一 バヤルメンド クルマス フロリアン デフラーフ チアド 黄 行 フフバートル カムセラ トマシュ 中江 加津彦 落合 守和 オストラー ニコラス プルブジャブ スマックマン ディック 田中 克彦 許 峰 徐 大明 珠 麗 彭 韃茹翠
出版者
女子美術大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本科研の重要な成果は、(1)書き言葉生成時にある程度の標準化が行われている、(2)欧州の初期標準規範においては、①文字化と②詩歌など韻律規則を伴う書記規範の生成の2段階を経る、(3)ラテン語文化圏でも漢字文化圏でも、権威をもつ文字をそのまま採用する場合と、その変種的な創作を行う場合がある、(4)欧州における新文字の生成は紀元前1千年紀から紀元後1千年紀であり、(5)漢字文化圏における漢字に類する新文字の生成は、やや遅れ、紀元後5世紀以降、表音文字の中東からの流入以降、中央集権の力が比較的弱まる宋王朝(10-12世紀)にかけてである。
著者
杉浦 清彦 高田 肇
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.7-14, 1998-02-25
参考文献数
25
被引用文献数
1 23

ダンダラテントウ(以下ダンダラと略記)の被食者としての適性を,ワタアブラムシ,マメアブラムシ,モモアカアブラムシ,ムギヒゲナガアブラムシ,ジャガイモヒゲナガアブラムシ,ヘクソカズラヒゲナガアブラムシおよびエンドウヒゲナガアブラムシの7種について,15L-9D, 18&deg;Cにおける産卵から羽化までの発育期間と生存率,蛹重,産卵前期間ならびに羽化後10日間の産卵数を指標として検討した.比較対象としてナミテントウ(以下ナミと略記)を用いた.<br>ヘクソカズラヒゲナガアブラムシでは,ダンダラ,ナミともに,供試したすべての個体が1齢幼虫期に死亡した.ダンダラについては,発育期間はマメアブラムシ(18.0日)で最も短く,モモアカアブラムシ(18.7日)を除く他の4種アブラムシ(20.1&sim;20.9日)との差は有意であった.生存率は6種(70.3&sim;91.3%)間に有意差はなかった.雌の蛹重はモモアカアブラムシとジャガイモヒゲナガアブラムシ(18.4&sim;18.5mg)において,エンドウヒゲナガアブラムシ(16.0mg)あるいはムギヒゲナガアブラムシ(15.2mg)より有意に重かった.雄の蛹重は6種(12.2&sim;15.6mg)間に有意差はなかった.産卵前期間はマメアブラムシ,ジャガイモヒゲナガアブラムシ,ムギヒゲナガアブラムシおよびモモアカアブラムシ(7.3&sim;8.0日)において,ワタアブラムシ(11.6日)より有意に短かった.産卵数はマメアブラムシ(172.5個)において,ワタアブラムシ(98.8個)より有意に多かった.<br>これらの結果を総合的に判断して,ダンダラの被食者としての適性は,ヘクソカズラヒゲナガアブラムシを除く6種については,マメアブラムシとモモアカアブラムシで最も高く,ジャガイモヒゲナガアブラムシ,ムギヒゲナガアブラムシ,エンドウヒゲナガアブラムシがこれらに次ぎ,ワタアブラムシで最も低いと評価した.各指標(発育期間と産卵前期間は発育率に換算)について,最大値を1としたときの相対値平均は最高のマメアブラムシで0.97,最低のワタアブラムシで0.78であるので,6種アブラムシ間の被食者としての適性の差異は比較的小さいと考えられる.ナミについても,被食者としての適性はマメアブラムシとモモアカアブラムシで高く,ワタアブラムシで比較的低いと評価でき,ダンダラと顕著な差異は認められなかった.
著者
高田 時雄
出版者
関西大学東西学術研究所
雑誌
関西大学東西学術研究所紀要 (ISSN:02878151)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.367-377, 2017-04-01

When Naito Torajiro (Konan) went to Europe, from late summer of 1924 until January 1925, to examine the Dunhuang manuscripts preserved in London and Paris, Paul Pelliot presented him four pieces of Uighur wooden movable types. These movable types were a part of Pelliot's finds from one of the Mogao caves in Dunhuang in 1908. These pieces, long left unattended, were recently found in the Naito collection of the Kansai University Library by the present author. This essay explains the current state of these movable types and their history. Pelliot also donated Uighur movable types, on occasion, to institutions such as the Metropolitan Museum of Art in New York and Toyo Bunko in Tokyo. Subsequently, the second Russian expedition, led by Oldenburg, also acquired Uighur movable types in 1914. More pieces were discovered at Dunhuang by the Dunhuang Institute of Arts between 1944 and 1949, and more recently, by Dunhuang Academy between 1988 and 1995, during the course of a systematic excavation. Based on the different types of defects noted on them, it appears that the Uighur movable types discovered so far were not used. However, they are worthy of attention as evidence of the Uighur people attempting to adapt the technique of movable type to printing Uighur books despite difficulties presented by linguistic peculiarities.
著者
韓 霽珂 西 紳之介 高田 賢治 村松 眞由 大宮 正毅 小川 賢介 生出 佳 小林 卓哉 村田 真伸 森口 周二 寺田 賢二郎
出版者
一般社団法人 日本計算工学会
雑誌
日本計算工学会論文集 (ISSN:13478826)
巻号頁・発行日
vol.2020, pp.20200005, 2020-04-15 (Released:2020-04-15)
参考文献数
36

近年,亀裂・進展の解析手法の一つとして,phase-field破壊モデルが注目を集めている.phase-field脆性破壊モデルは既に多くの実績が報告されている一方で,延性材料を適切に表現するphase-field破壊モデルは発展途上である.phase-field破壊モデルにおいて,拡散き裂の幅を表す正則化パラメータは破壊開始の制御に用いられ,これが大きいほど破壊開始が早くなる.これは正則化パラメータが大きい場合には,その分だけき裂近似領域も大きくなるため,1に近いphase-fieldパラメータの分布も拡大し,それに応じて荷重--変位関係のピーク値が小さくなることが原因として考えられる.本研究では,正則化パラメータの性質を考慮し,通常は定数として扱われる正則化パラメータの代わりに,蓄積塑性ひずみの大きさに応じて変化する可変正則化パラメータを提案する.これにより,塑性域と正則化パラメータによって規定されるき裂周辺の損傷域が関連づけられ,塑性変形の影響を考慮した損傷の計算が可能となる.提案モデルの表現性能を調査するためにいくつかの解析を行った.可変正則化パラメータの導入により,塑性変形の進行とともにき裂周辺の損傷域が大きくなる傾向が捉えられ,弾性域から塑性域を経てき裂に発展するといった遷移過程に特徴づけられる延性破壊を表現できることを確認した.ベンチマーク問題の解析等の数値解析を通して,き裂の進展方向を適切に予測できること,および可変正則化パラメータを介して延性の制御が可能になることを例示した.また,金属供試体を用いた実験の再現解析では,実験結果と整合する結果が得られることも確認した.
著者
大河内 博 吉田 昇永 柳谷 奏明 新居田 恭弘 梅澤 直樹 板谷 庸平 緒方 裕子 勝見 尚也 高田 秀重
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2020
巻号頁・発行日
2020-03-13

1.はじめにプラスチック生産量は年々増加しており,総生産量は1950年には年間200万トンであったが,2012年には3億トン,2050年には400億トンに達すると推計されている(Zalasiewicz, et al., 2016).その結果,河川を通じて大量の海洋ブラスチックゴミが発生している.ブラスチックゴミのうち,直径5 mm以下のプラスチック片の総称であるマイクロプラスチック(microplastics,; MPs)は,海洋生物が餌と誤認して摂食する物理的障害とともに,プラスチック添加剤や環境中で表面に吸着した有害有機化合物が体内に移行して生体に影響を与えることが懸念されている.2.大気中マイクロプラスチックの現状 最近では河川,水道水,ペットボトル,道路粉塵,室内空気でもMPsが検出されている.米国の推計によると,MPsが体内に取り込まれる経路は食物と呼吸が同程度でそれぞれ年間6万個程度,ペットボトル水から年間9万個を摂取している(Cox et al. , 2019).ただし,大気中マイクロプラスチック(Airborne microplastics; AMPs)の計測例は限られており,その実態はよく分かっていない.AMPsに関する先行研究はフランス・パリ郊外(Dris et al., 2016, 2017)や中国・広東省(Cai et al., 2017)で行われている.ただし,大部分は大気エアロゾルではなく,フォールアウトである.都市部におけるAMPsの形状は繊維状が多く,フィルム状,破片状,発泡体は少ない.同定されている主要材質はポリプロピレン,ポリエチレン,ポリエチレンテレフタレートである(Dris et al., 2016, 2017; Cai et al., 2017, Liu et al., 2019).大気エアロゾル中AMPsの報告例は数例に限られるが,パリ(フランス)では室内空気で1 – 60 本/m3の繊維が存在しており,その66 %がセルロースなどの天然繊維である(Dris et al., 2017).一方,屋外空気では0.3 – 1.5 本/m3(50 – 1650 µm)の繊維が浮遊している.イラン南岸部アサルイエの都市大気でも大部分は繊維であり,空気では0.3 – 1.1 本/m3(2 -–100 µm)であるが,天然繊維か合成繊維(プラスチック)かは不明である(Abbasi et al., 2019).上海(中国)の都市大気では0 – 4.18 個/m3(23 – 9555 µm)であり,67 %が繊維状である(Liu et al., 2019a).また,同地点で0.05 – 0.07 個/m3(12 – 2191 µm)であり,43%が繊維状という報告もあり(Liu et al., 2019b),かなりばらつが大きい.AMPs研究はほとんどが都市大気に関するものであるが,最近になってマイクロプラスチックが大気を通じて輸送され,フランス・ピレネー山脈で365個/m2/日(65 µm以上)の沈着量であることが明らかにされた(Allen et al., 2019).この沈着量は都市部とほとんど変わらないことから,大気を通じたマイクロプラスチック汚染が広域的に起きていると可能性を示すものであり,NHKでも取り上げられた.また,山間部では都市部とプラスチック形状が大きく異なり,破片状,フィルム状AMPsが多く,繊維状AMPsは少ないことが明らかにされている.3.大気中マイクロプラスチック研究の課題現状では研究者が独自の方法で行った結果を報告しており,単純に比較することはできない.したがって,AMPsの採取法,前処理法,同定法に関する統一的手法開発が求められている.講演では, AMPs計測用の大気中エアロゾル捕集材,前処理法,計測手法に関する我々の検討結果について紹介するとともに,都市大気および自由対流圏大気中AMPsの実態について,その一端を紹介したい.
著者
高田 剛 湊 のり子 山口 唯一郎 古賀 実 菅尾 英木
出版者
日本泌尿器内視鏡学会
雑誌
Japanese Journal of Endourology (ISSN:21861889)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.356-361, 2012 (Released:2014-02-07)
参考文献数
21

尿管癌に対する外科的治療は一般的に腎尿管全摘が標準術式とされる.その中でlow stage・low gradeの尿管癌に限り内視鏡的切除が推奨され,EAUガイドライン2012 ver.1における推奨グレードはBである.今回われわれは硬性鏡を用いた経尿道的尿管腫瘍切除および尿管ステント留置術後ピラルビシン膀胱内注入併用療法を実施した低異型度非浸潤性尿管癌3例について報告する.ピラルビシン40 mg/回を週1回で6-8回注入した.3例のうち1例がelective caseであり2例がimperative caseであった.経尿道的尿管腫瘍切除における病理結果はいずれもNon-invasive papillary urothelial carcinoma, low grade(G1>G2),pTa-1であった.結果1例(症例3)において治療後23ヶ月目に膀胱再発を認めたが,全例治療後それぞれ43,32,28ヶ月を経過した現在患側尿管再発なく生存している.本治療法は比較的侵襲が低く,癌再発を予防し,さらには腎機能障害を有する患者に対する血液透析導入を回避可能とする治療法かもしれない.
著者
寺本 昌弘 曽根 岳大 高田 耕平 小縣 開 齋藤 啓太 和泉 拓野 高野 昂佑 長尾 茂輝 岡田 陽介 田地 規朗 河村 俊邦 加藤 章一郎 前川 隆彰 小林 彩香 小林 真一 佐藤 謙 木村 文彦
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.598-604, 2020 (Released:2020-07-03)
参考文献数
18

2011年1月から2018年2月までに再発indolent B-cell lymphomaに対し,当科で施行したrituximab併用bendamustine(BR)療法の治療成績を後方視的に解析した。病型は濾胞性リンパ腫(follicular lymphoma, FL)42例(67%)が多く,FL症例で治療を完遂した群の無増悪生存期間(progression free survival, PFS)の中央値は未到達であった。また治療開始から5年間のCD4陽性T細胞数を解析したところ,長期にわたり200/µl前後を推移する症例が多かった。BR療法は再発indolent B-cell lymphomaに対し有用な治療であり,特にFLにおいてはBR療法を完遂することがPFSの改善に重要である。また治療後は細胞性免疫不全が顕在化するため,5年程度は感染症の発症に注意するべきかもしれない。
著者
天野 正道 田中 啓幹 高田 元敬 森永 修 三宅 清 木下 博之 絹川 敬吾 別所 敞子 松本 明
出版者
社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.79, no.5, pp.832-840, 1988-05-20 (Released:2010-07-23)
参考文献数
21

急性精巣上体炎の原因微生物として Chlamydia trachomatis (C. trachomatis) の占める割合を明らかにするために自験例42例 (平均年齢35.8歳) を対象に尿道よりのC. trachomatis の検出と血清抗体価測定を実施し以下の成績をえた. 1) C. trachomatisは18例中6例 (33.3%) より検出され, 血清抗体価を全例で測定しその陽性率は, IgM 19.0%, IgA 38.1%, IgG 66.7%であった. 年代別では抗原, 抗体共に年代が低いほど, 陽性率が高い傾向を認めた. 2) 各抗体価の経時的推移を7例につき最長4カ月観察した. 4倍以上の推移をみた症例数は, IgM 2例, IgA 1例, IgG 3例で, いずれかの抗体価が4倍以上の推移を示したのは7例中4例であった. 3) C. trachomatis が検出された6例の平均年齢は23.0歳 (18~31歳), 血清抗体価陽性症例はIgM 2例, IgAとIgGは全例であった. 膿尿は5例で認め, 一般細菌培養では検討した4例で起炎菌と推察される細菌は証明されなかった. 4) 急性精巣上体炎中C. trachomatis 感染症の占める割合を検討した. C. trachomatis 検出症例は6例, IgM抗体価陽性症例は7例, IgA抗体価陽性症例は5例, 以上18例はC. trachomatis 感染症と診断され全症例の42.9%に相当した. 著者らの検討ではIgG抗体価陽性症例中約80%が最近の感染による抗体価上昇と考えられ, それらを加えると44例中28例 (66.7%) がC. trachomatis 感染症と推察された. 若年者 (35歳以下) の本症ではC. trachomatisによるSTDとして捕え, 対処すべきとの考えを支持する成績であった.
著者
高田 秀重 綿貫 豊
出版者
東京農工大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

海洋漂流プラスチックおよび海岸漂着プラスチック中に添加剤由来および周辺の海水中から吸着してきた有機汚染物質が1ng/g~10000ng/g程度の濃度で含まれることを明らかにした。これらの有機汚染物質はプラスチックが生物に摂食された場合に、生物の組織中に移行することを、海鳥を対象にして、明らかにした。添加剤由来の化学物質の海鳥への移行において、海鳥の胃内のストマックオイルという油に富む消化液による溶出が鍵となっていることを室内溶出実験により明らかにした。今後、摂食プラスチックを介した化学物質の生物への曝露について、その規模と広がりを明らかにしていく必要がある。
著者
田尻 智紀 高田 洋吾 川合 忠雄
出版者
農業食料工学会
雑誌
農業機械学会誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.75, no.3, pp.175-180, 2013-05-01 (Released:2014-12-03)
参考文献数
9

本論文では,車輪型移動機構を持つロボットが移動できるような出発地点から目的地点までを結ぶ移動経路の作成を試みた。車輪型機構を持つ農作業用ロボットは,その機構的な要因から段差に進入することができない。そこで,地面の勾配を考慮した経路作成を行った。Q 学習は経路作成によく利用される手法のひとつである。Q 学習を用いて,ロボットに勾配の小さい最適な経路を学習させる。実際のロボットを用いて,段差やスロープのある実環境下で実験を行い,本手法の有効性を調べた。実験結果から,本手法の有効性が確認できた。