著者
小池 博明
出版者
長野工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は、古今集的表現と一括される三代集の表現を、助詞・助動詞・構文・文章構成を観点として考察した。その成果として、以下の点をあげることができる。第1に、古今集から後拾遺集および拾遺抄の文末語と句切れのデータベースを、私家版ながら作成し、和歌の表現研究を効率的に行えるようにした。第2に、初句切れの表現構成を明らかにした。第3に、文末「らむ」と句切れとから、倒置的表現による体言止めの歌の形成過程の一端を明らかにした。第4に、三代集各に特徴的な詠歌の場が、「疑問詞……らむ」の用法に差異をもたらすことを明らかにした。第5に、三代集の「……ものは……なりけり」構文の展開を明らかにする端緒を得た。
著者
梅田 泉 今西 利之
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

この研究は、留学生センターで初めて日本語を学ぶ国費研究留学生のための学習環境を開発することが目的である。彼らは来日から授業開始までの間、少なくとも一週間自由な時間がある。そして、未知である日本文化と日本語に対する学習動機が高いことがわかっている。そこで、この期間に彼らが日本語を学習する場所、学習する教材、学習を支援する人の3つの学習リソースを含んだ学習環境を開発した。学習場所には、留学生の宿舎、留学生センター、大学生協の店などを含み、支援者には日本語教師やそれぞれの場所で働く人々を含む。教材は、印刷教材とビデオ教材、マルチメディアによるひらがな学習教材がある。教材の項目は、以下の4項目である。1 挨拶おはようございます:こんにちは:こんばんは:行ってきます:ただいま:しつれいします:しつれいしました2 自己紹介はじめまして。〜です。〜とよんでください。〜からきました。専門は〜です。どうぞ、よろしくおねがいします。2 買い物ちょっとすいません:〜、ありますか:これ、いくらですか:じゃあ、これお願いします。すいません、またきます:どうも。4 質問をするこれは、なんですか:これは、日本語でなんですか:そうですか留学生は、熊本に来た翌日、留学生センターでオリエンテーションがある。キャンパスの案内や一週間後に始まる日本語コースの説明の他、今回開発した教材での学習方法を説明する。学生は、留学生センターでは、コンピュータとビデオを見たり、教師やボランティアスタッフと練習し、宿舎では、印刷教材などで練習する。こうした学習によって、日本語コースが始まるまでの間に、日本語学習のためのレディネスが高められると考えている。こうした学習の過程は、印刷教材やビデオ、写真等で記録する。日本語コース開始時に日本語教師がその記録を参照することで、その学習者の特徴や学習のレディネスについて理解を深めることができる。
著者
齊藤 雅也 辻原 万規彦 羽山 広文 宿谷 昌則
出版者
札幌市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

札幌・東京・熊本の小学校教室で夏と冬に温熱的不快に達する閾値温度を解明する実測調査を行ない、ロジスティック解析により以下のことがわかった。1)夏に「暑くて授業に集中できない」児童が過半数(60%)になる外気温は札幌で30.5℃、熊本で32.5℃、実際室温は札幌で29℃、熊本で35.5℃だった。その時の児童の想像温度は札幌で27.5℃、熊本で32.5℃で、教室にエアコンが設置されている東京では外気温が28.5℃のときだった。2)冬に「寒くて授業に集中できない」児童が40%のときの児童の想像温度は、札幌:9℃、東京:7℃、熊本:2℃だった。以上から、児童の夏と冬の閾値温度には地域差があった。
著者
中道 仁美 大友 由紀子 柏尾 珠紀
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

林業女性の研究は日本と欧州の代表的林業国(オーストリア、スウェーデン、ドイツ)の調査から、まだほとんど進んでおらず、林業女性の活動も緒に就いたばかりである。日本は他国に比べて林業女性支援が公的に行われ、林業女子会の活動のように、異業種との交流や若い女性の活動などの見られるのが特徴的である。女性の自立的活動では、欧州では女性の林業経営者が見られ、ドイツやオーストリアでは、相続により林業経営をしているものが多かったのに対し、スウェーデンでは、狩猟を目的とした林業経営、林地の購入などが特徴的であった。女性の林業労働者は内外ともに非常に少なく、機械化が進んでも、重労働であることが一因である。
著者
今榮 國晴 中西 宏文
出版者
名古屋音楽大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

コンピュータ利用に関する性差gender differenceの状況を分析して、できるだけ性差が少ない状況を実現するための、教育的働きかけを提案することが本研究の目的である。平成9年度において調査票を作成し、小学校911名、中学校875名、高校生1504名、平成10年度に大学生432名(合計3722名、いずれも有効回答者数)を調査した。1970年代、情報機器の普及が始まって以来、情報リテラシーについて男性が女性より高い水準にあるという一般的な信念が、世界的に認められてきた。我々が最初に調査した1984年には、小・中・高校生でパソコンを操作できる女子は、男子の1/3から1/4しかなかった。しかし、1990年代に入り、中学校で情報基礎領域の授業が始まる頃から、性差が急激に縮小し、今回の調査では、パソコン・ワープロ使用率では男女とも90%を越えるようになり、性差はほぼ消滅したと考えられる。このことは本研究の主要な結論と言えるが、これには学校教育が大きく寄与したと思われる。しかし、パソコン等の使用内容には大きな性差がある。1.パソコン等の利用内容として、絵や文字の作成では女子が、ゲーム等の利用では男子が多い傾向があり、利用内容には性差が存在するが、このことは教育的にどのような意味をもつかは明らかにできなかった。これに関連して、電子おもちゃの所有傾向も、ファミコン及びポケット型ゲーム機は男子の所有率が高く、ラベルづくり機、電子手帳の所有率は女子が男子より高いことが分かった。2.パソコン・ワープロを使えない児童生徒は少数であるが、かれらは教科学習が好きでなく、また不得意であり、学習塾への通塾も少なく、学校生活に適応感が低い傾向があることが明らかになった。
著者
松本 啓子 森戸 雅子 名越 恵美 中嶋 和夫 桐野 匡史 高井 研一
出版者
川崎医療福祉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

在宅認知症高齢者に絞り、突発事故や症状及び容態の急変しやすい疾病等について、実態調査をしたうえで、急変から緊急介入を含めた一連のリスク管理モデルの開発を目的とした。その結果、実質調査を行うことで、現場ならではの疾患と症状の関連等が明らかとなった。また、家族側に起こっている現象を明らかにするためにインタビューを重ね、質的因子探索的分析を進めることで、家族の思いが明らかとなってきた。
著者
野村 明美 塚本 尚子 青木 昭子 舩木 由香
出版者
横浜市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

子供が一生涯を健やかに過ごすために、子供の成長過程におけるセルフケア能力育成プログラムと教材開発を行い、実用化することを目的に、まず幼児期、学童期を中心に調査を行い生活習慣と健康の結びつきについての認識を明らかにし、この認識に基づく健康行動の選択が健康に及ぼす影響を検証した。その結果をもとに、行動を支える認識を育成するセルフケア能力育成プログラムを考案し、教材を開発し、実用化した。
著者
井筒 美津子 井筒 勝信
出版者
藤女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

本研究では、文末詞の使用を中心に異方言間コミュニケーションにおける誤解・誤伝達の仕組みを明らかにした。関東・関西方言話者の北海道方言に対する印象調査と北海道方言話者の関東方言に対する印象調査を実施した。関東調査の結果を基に「方言イメージの形成過程」を策定し、その汎用性を関西・北海道調査のデータを用いて検証した。調査結果は報告書にまとめている。また、調査の基盤となる文末詞の研究として、北海道方言と共通語の文末詞『さ』の違いに関する研究や、日本語と英語の文末・節末要素の意味・機能や史的発達についての研究、日本語文末詞と独語・仏語等に見られる心態詞との統語的・機能的類似性に関する研究なども行った。
著者
板倉 昭二
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

本研究課題では、乳幼児が、他者にも自分と同様に「心」があることを理解し、そうした他者の心の概念の発達過程を分析することを目的とした。そして、それに関連する複数の実験的分析をおこなった。以下、おもな成果を概略する。まず、1)ロボットを対象とした誤信念課題の実験から、幼児は、ヒトに対するのと同様にロボットにも誤信念を帰属させたが、「考える」といったような心的動詞は帰属させないことがわかった。そこに、ヒトとロボットに対する評価の違いが明確になった。2)「他者の心」を表象するためには、シンボルの二重表象性を理解する必要がある。そのことを検討するため、スケールモデル課題を用いて、2歳児と3歳児を対象に、その発達を調べた。その結果、シンボルの二重表象の理解は、2歳半から3歳にかけて劇的に発達することが明らかになった。3)テレビに映った映像と実際の映像はどのように関連づけられるのだろうか。ヒトと同じ霊長類のテナガザルを対象として、選択課題の手がかりを映像の中で呈示する条件と、実際に呈示する条件で正答率を調べたが、どちらの条件でも差は見られなかった。同様のことをヒト幼児で検討するため、データを収集している。4)乳児を対象として、コンピューター画面に呈示されるアニメーションオブジェクトに心的状態を帰属させるか否かの検討を通して、基礎的な「心」の想定条件を調べた。その結果、ある物体の行為を邪魔しているように見える物体よりも、その行為を達成するために援助しているように見える物体のほうを好んで見ることがわかった。
著者
飛田 秀樹 三角 吉代 増田 匡 石田 章真
出版者
名古屋市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

注意欠陥多動性障害モデルラのSHRラットを用い、発育期の外部環境(豊かな環境飼育、通常飼育、孤独な環境飼育)による情動行動の変化と脳内ドパミン神経系の変化をコカイン&アンフェタミン調節性転写物 (CART)に注目し解析した。その結果、豊かな環境飼育(EE)群では、他群に比べオープンフィールド試験で多動性が減少、社会性試験で社会性が亢進していた。EE群では、CART 発現が扁桃体で上昇し、免疫染色により中心核での強い発現が確認された。さらにパルブアルブミン非陽性のGABA陽性細胞に共発現することも確認された。本研究から、発育期の環境がCARTを介して情動行動の形成に影響することが示された。
著者
玉置 豊美 赤羽 明 所澤 潤 高橋 明 滝沢 俊治
出版者
株式会社数理設計研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

群馬県の明治初・中期の科学教育を群馬県師範学校史料・明治期教科書・『上野教育会雑誌』・県内個人資料などから研究した。群馬県と新潟県で発見された『物理筆記』を中心に後藤牧太らの『小学校生徒用物理書』の使用状況を探った。明治中期の群馬県科学教育に貢献したのは、群馬県師範学校で滝沢菊太郎ら第一世代の薫陶を受けた、第二世代の教師群、小林晋吉・根岸福弥などであった。彼らは東京高等師範学校に進み、後藤牧太の教えも受けている。後藤牧太らの簡易実験を中心に国際会議で発表し好評を得た。群馬県女子師範学校生徒の残した郷土研究論文の整理・調査をした。明治45年から昭和25年まで、621通が現存している。
著者
加藤 邦子 牧野 カツコ 井上 清美 間野 百子 間野 百子 藤原 佳典
出版者
宇都宮共和大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

子育て支援施設を利用する未就学児をもつ親(約1300名)を対象として,配偶者以外で育児を助けてくれる人とどのような関係を築いているか,関係構築がどのように親子関係に影響を及ぼすかプロセスを検討した。配偶者以外で育児を最も手助けしてくれる人が,親族の場合は,その関係が良好であるほど,友人と育児に関するコミュニケーションが多くなり,子育て支援施設で気軽に相談したり助けてくれる人との関係も良好で,親子関係が円滑化するというプロセスが検証された.一方配偶者以外で育児を助ける人が非親族か該当者がいない場合、子育て支援施設で気軽に相談したり助けてくれる人との関係を築き、親子関係を支える必要が示唆された。
著者
太田 敬子
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、非ムスリム統治法や統治制度の正当性を巡るムスリム知識人の議論、具体的にはナジュラーンのキリスト教徒の法的処遇に関する議論を分析した。その結果、異教徒統治制度の整備・発展には、異教徒統治理論の確立が不可欠であったこと、その理論は9~10世紀に輩出した法学書・歴史書・ハディース集における様々な議論を基礎として発展し、またその時代の政治・社会情勢に大きく影響されていたことを実証的に確認した。
著者
長谷 正人
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

山田太一のさまざまな作品を映像作品として見直し、さらに山田太一氏本人や関係者へのインタビューも行って、70年代から80年代にかけての日本のテレビドラマがどのようにしてポストモダン的なイメージ社会を準備し、そしていかにそれを「後衛」の視点から批判したかを明らかにした。
著者
福田 雅臣
出版者
日本歯科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究は「食育」を歯科保健の立場,特に歯・口の機能という視点から,食育支援のための授業プログラムの作成と実践活動を小学校において,学校保健教育の中で行い,その効果として児童の行動変容を評価することを研究目的とするものである。調査対象は小学校3年生から6年生の男子1545名,女子1456名の計3001名である。健康教育の効果は生活習慣,食習慣の関するセルフチェックシートを用いて行った。その結果,生活習慣,口腔衛生習慣に関す項目で僅かではあるが改善傾向にあることがわかった。また,むし歯予防のための行動として,「歯磨きをする」,「よくかんで食べる」,「フッ素入り歯磨き粉を使う」との回答が多かった。
著者
岩永 定 小坂 浩嗣 芝山 明義 柏木 智子 仲田 康一
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

子育て困難な家庭への支援ネットワーク構築の可能性を探るために,児童相談所職員と養護教諭を対象とした質問紙調査を実施した。また,家庭教育支援事業を展開している和歌山県湯浅町教育委員会の担当者に対してインタビュー調査を行った。その結果,児童相談所職員も養護教諭も相互の連携の必要性は感じているものの,現実には連携は不十分であること,連携を阻害する要因が複数存在することを意識した回答内容であった。それらの阻害要因を除去することができれば,連携は進展する可能性も示された。
著者
木村 光宏
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

ソフトウェア開発の上流工程で得られる情報を,下流工程のテスト工程におけるソフトウェアの信頼性評価に盛り込むための統計手法の開発を行った.従来法の多変量解析モデルでは表現しきれなかった部分について,構造方程式モデル,GMDH,ニューラルネットワークの適用によってある程度克服できた.また,ソフトウェア開発支援ツールのSafeManに対して,ブートストラップ法による新しい評価法を盛り込むことができた.一方,コピュラに基づく新しいモデルの開発にも着手することができ,これは今後の進展が見込める.
著者
金子 拓 黒嶋 敏 堀 新 黒嶋 敏 堀 新 岡田 正人 桐野 作人 杉崎 友美 矢部 健太郎 和田 裕弘
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究は、織田信長の家臣太田牛一が著述した『信長記』(別称「信長公記」「原本信長記」「安土記」など)自筆本・写本の史料学的検討を目的とした。国内各所蔵機関に伝来している『信長記』を調査し、その一覧表を作成するとともに、史料編纂所において未撮影の写真による撮影・紙焼写真購入を進め、それらをもとに内容を検討し書写伝来の系統を明らかにした。これらの成果は、研究代表者金子の単著『織田信長という歴史』、連携研究者堀新が編者となり、研究協力者桐野作人・矢部健太郎・和田裕弘が寄稿した『信長公記を読む』、研究協力者杉崎友美の論文「「信長記」の筆跡論」などとして公表した。
著者
岩崎 愛一
出版者
二松学舎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

宇宙ダークマターの正体はいまだなぞである。また、宇宙物理学において、ガンマー線バースト、および、超高エネルギー宇宙線の起源に関しては、未だ解明されてはいない。ここでの理論研究では、その両者を解明するひとつの糸口として、この高エネルギー現象を説明する起源としてあるメカニズムを提唱した。それは、ダークマターであるアクシオンが重力的に集まり星となったアクシオン星と呼ばれるものと、中性子星との衝突である。その衝突で、アクシオン星は中性子星の強磁場の下で電磁波に転化し、それが中性子星の中で吸収され、結局、そこで蒸発してしまう。その結果、急速に開放されたエネルギーで、中性子星の外層(クラフト)が吹き飛ぶ。それが、ガンマー線バーストを発生させるもとになる粒子の風を生み出す。このメカニズムでは、その風の粒子は外層を構成していたもので、その全質量は太陽質量の10万分の一以下である。このことは、観測されるガンマー線バーストから、その起源を考えるとき要求されるものである。他のガンマー線バーストの起源も提唱されているが、この条件を満たすことが困難とされている。その点が、ここのメカニズムの利点である。ガンマー線バーストは以上であるが、そのとき仮定されていることが、中性子星の磁場の強さとして、10の12乗以下であることである。それ以上の磁場に対しては、アクシオン星は衝突前に崩壊してしまう。それはアクシオンが強磁場のもとで発生する強電場が、自発崩壊するためである。この電場で加速される荷電粒子は、超高エネルギー宇宙線として観測される10の20乗電子ボルト以上になるのである。これが、超高エネルギー宇宙線が発生するメカニズムとして私が提案したものである。両現象のエネルギースケールを説明するのに必要なアクシオン星の質量が、ちょうど銀河ハローに発見されたMACHOのそれに等しいことは注目に値する。
著者
都築 正喜 馬場 景子 市﨑 一章 神谷 厚徳 伊関 敏之
出版者
愛知学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

視覚障害のある学生の英語教育において、音声の取り扱いはかなり難しく、教育の現場では試行錯誤を続けてきた。発音記号やイントネーション符号などのプロソディの取り扱いは暗中模索の状態であった。本研究は、従来ほとんど取り組まれてこなかった視覚障害のある学生の英語発音を改善するための指導法と教材研究に特化して研究を行った。その結果、今回導入した、点字プリンタ「ロメオアタッシュ」を有効活用することにより、英文教材の点字化を推し進め、先行研究で一部稼働に成功していた、音調文字式符号と音調音符式符号の併用を可能とした。視覚障害のある学生のための英語補助教材も点字式補助符号を併記して有効活用への道を開いた。