著者
佐藤 英明 西森 克彦 竹家 達夫 眞鍋 昇 星野 由美 佐々田 比呂志 松本 浩道
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2004

1個体からの受精可能卵子の大量生産を目標として卵子の細胞分化・死滅の調節系の解明を行い、新規調節因子を同定するとともに、これを踏まえ受精能・体細胞初期化能高発現卵子生産などの技術を開発した。さらに、直径70μm未満のマウス卵胞卵子由来の産子や家畜ブタ体外成熟卵子をレシピエントとする体細胞ミニブタ作出に成功した。
著者
須田 年生 馬場 理也 石津 綾子 梅本 晃正 坂本 比呂志 田久保 圭誉
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2014-05-30

造血幹細胞ニッチと幹細胞動態の研究、ならびに幹細胞におけるDNA損傷反応に関する研究を展開し、しかるべき成果を得て論文発表すことができた。幹細胞ニッチに関する研究に関しては、Integrin avb3 が周囲の環境に応じて、サイトカインシグナルを増強することを通して、造血幹細胞の維持・分化を制御することを示した(EMBO J, 2017)。造血幹細胞の代謝に関連した研究では、造血幹細胞が分裂する直前に、細胞内カルシウムの上昇を通して、ミトコンドリアの機能が活性化することを見出した。さらに、造血幹細胞分裂直前の細胞内カルシウムが上昇をカルシウムチャネル阻害によって抑制すると、① 造血幹細胞の分裂が遅延すること、② 分裂後の幹細胞性の維持(自己複製分裂)に寄与することを示した。また、in vivo において、造血幹細胞周辺のMyeloid progenitor(lineage-Sca-1-c-kit+)細胞が細胞外アデノシンが造血幹細胞の細胞内カルシウムの上昇やミトコンドリア機能の制御に関与することも確認した。さらに興味深いことに、Myeloid progenitorは、上記の細胞外アデノシンによる造血幹細胞の与える影響を増強していることも見出している(JEM in Revision)。造血幹細胞におけるDNA 損傷反応における研究では、Shelterinと呼ばれるタンパク複合体の構成因子Pot1aが、造血幹細胞のDNA損傷の防止に加えて、活性酸素(ROS)の産生を抑制し、造血幹細胞の機能維持に寄与することを新たに明らかにした(Nat Commun, 2017)。
著者
佐藤 健一 神野 正彦 森 洋二郎 長谷川 浩 菊池 和朗
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2014-05-30

フレキシブル大容量光ネットワークアーキテクチャに関して,これまでに開発したグループドルーティング並びにバーチャルダイレクトルーティングの総括的な評価を行い,その効果の詳細を明らかにした.その結果を基に,メトローコアをシームレスに効率的に転送できる新しい枠組みを開発した.多次元自由度を駆使したフレキシブルネットワークに関しては,新たに考案したWDM/SDM波長選択スイッチの試作機を用いて、LCoS分割によるスイッチ集積化とジョイントスイッチングによる一括スイッチングの基本動作を確認した。また,ジョイントスイッチによるスーパーチャンネル内クロストート発生機構を明らかにし、実験により定量評価した。さらにクライアントIF速度の増加トレンドと空間スイッチの低コスト性・低損失性に着目した階層化WDM/SDMネットワーク並びに増設性と信頼性に優れた空間クロスコネクトアーキテクチャを新たに考案した。高次多値変調方式および超高密度波長分割多重技術を導入したフレキシブルコヒーレント光伝送システムに関しては,これを実現するにためには,位相および周波数が極めて安定なレーザが必要となり,それに伴い,レーザの位相および周波数特性を高精度に測定・解析する技術が不可欠である.今年度は,これを実現する新たなレーザ特性解析法を提案し,その有効性を計算機シミュレーションおよび実験により示した.本研究成果に関して,レーザ分野において最高峰の学会であるCLEO-Europeで口頭発表を行った.
著者
浦川 順治 照沼 信浩 本田 洋介 坂上 和之 山本 樹 柏木 茂 楊 金峰 鷲尾 方一 栗木 雅夫 福田 将史 高富 俊和 Liu Shenggnuang Deshpande Abhay Potylitsyn Alexander Tishchenko Alexey A. Konoplex Ivan. V. Ghosh Subhendu
出版者
大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2011-04-01

フェムト秒パルスレーザー3倍高調波出力の高強度化(1.0mJから2.7mJへ)及び高安定化(pointing and energy stability <1.0%)を進め、光カソードからの90フェムト秒電子単バンチ及び4ミクロバンチビーム生成・加速(8MeV)後、遷移放射、スミスパーセル放射によるブロードバンド及び準単色化THz(0.3~10THz)特性測定を行った。2から4ミクロバンチ生成によるTHz超放射確認実験は、30cm-5周期小型ウィグラー磁石を使って行った。ウィグラー磁石Gap調整によりFEL共鳴放射条件を満足させた結果、Sub-THz超放射測定に成功した。THz応用実験も行った。
著者
須浪 徹治 新井 隆景 滝田 謙一 松尾 亜紀子
出版者
独立行政法人宇宙航空研究開発機構
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2009-05-11

H22年度研究実施計画に基づき研究を実施し,下記の成果を得た.1.境界層制御について,インレットと燃焼器の境界層剥離抑制を目的に,縦渦導入装置を設計し,燃焼実験による剥離抑制効果の確認と,着火・保炎等の燃焼特性への影響を調査した.また,壁面摩擦抗力低減の理論的検討を進めた.2.燃料噴射器・混合制御手法では,噴射器の縦渦導入部形状をパラメータとした性能評価を非燃焼・燃焼実験,CFD解析により実施し,混合・燃焼性能向上に必要な知見・データを取得した.3.着火・保炎・燃焼制御手法では,実験で観察された超音速燃焼器内のデトネーション生成・伝播・減衰の過程をCFDにより再現するとともに,伝播条件・伝播特性について調べた.着火装置について,超音速流中で誘電体バリア放電と非平衡プラズマの生成に成功し,これを用いた燃焼試験を実施した.4.広帯域燃焼器設計について着火,保炎,燃焼,インレット-燃焼器干渉抑制の全ての性能向上を目的とした燃焼器流路の形態提案と形状設計を行い,第1期エンジン設計へ適用した.5.インレット始動特性・性能評価については,可変形状インレットの可変量変化に伴う性能(インレット出口気流状態)についてCFDにより調べた.また,インレットの設計・性能予測ツールに関し,CFDによる評価・検証を進め,広帯域インレット最適化に向けた課題抽出を行った.6.第1期エンジンについては,H21年度成果および上記1~5の重要成果を適用してエンジン形態決定・形状設計・製作を行った.また,CFDによる事前性能評価を行った.7.燃焼器作動特性・性能評価については,HIEST燃焼実験(H24年6月)により実施予定である.
著者
金子 克美 加納 博文 東郷 秀雄 小西 健久 大場 友則 田中 秀樹 石井 千明
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2003

単層カーボンナノチューブ(SWCNT)、単層カーボンナノホーン(SWCNH)、ナノ細孔性配位高分子(MOF)の壁の柔らかさの特徴とそれら物質のナノ構造へのクリーンエネルギー貯蔵について研究した。上記物質以外のナノ細孔性カーボンも含めて超臨界水素吸着性を総合すると、室温での吸着量は1wt.%以下であるが、77K程度になると10wt.%程度のナノ構造炭素があること、吸着水素の密度は20Kでの液体水素密度に近いものもあることを明らかにした。硝酸と硫酸の混酸処理によりSWCNTのバンドル構造を制御すると0.7nm以下のウルトラミクロ孔が増え、水素吸着量がほぼ2倍にまで増加することを見出した。SWCNTについてはアルコールを吸着すると、チューブの同心方向の振動(RBM)が大きな影響をうけラマンバンドが高波数側にずれること、分子吸着がその振動に与える圧力効果は約1万気圧相当であることを発見した。モデルケースとして窒素分子の場合にナノスケールの曲率の符号が単分子層吸着構造にどのような影響を与えるかを検討し、曲率が負である内側チューブ表面上の窒素単分子層は、曲率が正である外側チューブ上の単分子層よりも長距離秩序性が優れていることを明らかにした。SWCNHのナノ細孔が電荷貯蔵能力に優れており、構造制御の仕方によってはスパーキャパシターとして有望であることが分かった。また、水素と重水素は古典的には同じ大きさであるが、分子量が小さいために低温では量子的振る舞いにより、重い重水素のほうが小さくなる。このために、40K程度では重水素の吸着量が5倍程度大きくなるMOFを見出し、その理論的根拠も示した。MOFについて2段階ゲート吸着を示す化合物を発見した。
著者
青木 尊之 森口 周二 下川辺 隆史 高木 知弘 滝沢 研二
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2014-05-30

① AMR法を適用した複雑形状物体を含んだ非圧縮性単相流体(乱流LES)シミュレーション:格子ボルツマン法により、複雑形状を含んだ物体回りの流れとして、複数台の自転車を含む競技を想定した流れのシミュレーションを行った。計算のTime-to-Solutionを大幅に短縮するAMR法を適用した。また、検証として行った球周りの流れでは、レイノルズ数が50万程度で抗力が急激に低下するドラッグ・クライシスを再現することができた。②マルチ・フェーズフィールド法による動的領域分割:粒成長を並列計算の領域分割に適用し、時間発展させることで各領域の体積(計算負荷)を均一にしつつ、各領域が凸形状になるようにトポロジー最適化が行えることを確認した。これまでのスライス・グリッド法や空間重点曲線による領域分割と比較し、領域間通信量を低減できることを確認した。③AMR法による気液二相流シミュレーション:Octreeベース細分化によるAMRを用いて最細格子を気液界面に適合させ、弱圧縮性流体計算による気液二相流計算を行うことができるようになり、均一格子を使う場合と比較して1/100の格子点数で計算することができた。④流体-構造連成問題:物体適合格子における要素の消滅および出現させる手法を開発した。この手法の自由度を増すため、接触物の間に互いにスライド可能なメッシュに分割する手法を提案した。これにより接触位置が互いに変わる状況も再現できるようになり、これまでの物体適合格子の並列効率を保つことができる。⑤フェーズフィールド法による凝固と粒成長のシミュレーション:強制対流下で成長するデンドライト形態変化を詳細に検討した。また、自然対流を伴うデンドライト凝固シミュレーションを行い、自然対流が凝固組織を大きく変えることを明らかにした。800 GPUを用いた世界最大の理想粒成長シミュレーションを行い、理想粒成長の統計的挙動を初めて明らかにした。
著者
御子柴 克彦
出版者
国立研究開発法人理化学研究所
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2013-05-31

IP3受容体(IP3R)による小胞体内腔からのCa2+放出がシナプス可塑性に関わるか大きな論争があった。プルキンエ神経特異的欠損マウスを作製しIP3R1が神経細胞のCaMKII/アクチン骨格/スパイン形成を制御することを初めて解明した(PNAS)。IP3R1の伝令RNA輸送が長期増強を制御し(Nature Neurosci),グリアのIP3R2が神経機能を調節すること(Nature Commun), IP3Rを制御するERp44が蛋白質品質管理を担うこと(Mol Cell)も発見した。IP3RによるGABA受容体制御など本研究期間内にIP3Rがシナプス可塑性を制御する多数の決定的証拠を得た。
著者
升島 努 津山 尚宏 水野 初 原田 隆範
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2008

細胞1ヶ生きた様子を見ながら、変化の瞬間、その細胞1ヶの中見たい所を吸引し、10分以内にその分子群を質量分析で網羅的に検出する事に世界で初めて成功した。本手法をアレルギー細胞の細胞質と小器官の一つ顆粒内の分子分布・代謝解析、神経分化細胞の分化時の分子変化、植物の光応答や機能分子生成、薬物の肝臓細胞での代謝直接分析、その超微量性を生かして、汗腺一滴の分子分析に応用し、その豊かな可能性を検証した。
著者
武田 展雄 水谷 忠均 水口 周
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2014-05-30

炭素繊維強化プラスチック(Carbon Fiber Reinforced Plastic、以下CFRP)は、航空機構造の軽量化を図るため、主要な一次構造部材にもCFRPが適用されてきており、かつ日本の製造技術が多く用いられている。しかし、いまだ成形・組立などの製造上の問題および損傷後強度保証の難しさがあり、従来金属製航空機と比較して製造コストが高くまた十分な軽量化にも至っていない。本研究では、ライフサイクルモニタリングによる構造高信頼化技術と,製造技術に課題はあるものの低コスト・高機能性のポテンシャルを有する新規CFRP製造プロセスを融合させる「複合材構造の知的ものづくり科学」を構築することで初めて可能になる、革新CFRP 構造コンセプトを世界に先駆けて提案・実証することを目的としている。[1]光ファイバ援用成形中その場物性評価基盤技術、[2]低圧成形CFRP、[3]熱可塑CFRP、[4]CFRP二次接着接合構造、[5]複雑形状CFRP構造、を主な対象とした光ファイバライフサイクルモニタリング技術を構築し、これらを用いた構造部材の品質保証・保守技術を確立する。最終的には、これら個別要素を最適配置した低コスト・高信頼性革新CFRP構造を実証する。具体的には、これまでに構築した光ファイバひずみ計測技術の計測速度を新規成形プロセスに適用可能なレベルまで向上させ、各製造プロセスにおける材料内挙動を詳細に評価する。光ファイバを考慮した複合材料モデルによる新規成形プロセスシミュレーションおよび損傷発生・進展解析を行い、実際の試験から得られる光ファイバ応答と照らし合わせることでCFRPの品質・健全性を評価する手法を確立する。最終的に補強板構造の部分構造供試体を用いて[6]実用模擬CFRP構造、の実用環境下でのライフサイクルモニタリング実証を行う。
著者
佐藤 憲昭 網塚 浩 山村 朝雄 芳賀 芳範 四竈 樹男 阿曽 尚文 神戸 振作 本間 佳哉 藤森 伸一 山上 浩志
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2008

本研究課題の最大の目的は、国際規制物資であるウランなどのアクチノイド元素^<*1>を含む化合物の物性研究を行うための拠点を東北大学金属材料研究所アルファ放射体実験室に形成することである。 この目的のために、 単結晶育成^<*2>のためのテトラアーク炉、および育成された試料の基礎物性を評価するための分析装置を金研アルファ放射体実験室に設置・導入した。その結果、 "超伝導を示す磁石"^<*3>における超伝導発現機構の解明に成功を収めた。さらに、アクチノイド元素だけでなく希土類元素^<*4>を含む物質にも研究を展開し、準結晶^<*5>を含む新分野の開拓に貢献した。[*1] ウランなどは国際規制物資として管理され、その取り扱いには厳しい制限が付されている。金研アルファ放射体実験室は、このような国際規制物資を取り扱うことが許可された施設である。 また、 そこには、 アクチノイド元素(周期表で最下段に位置する元素の集合で、トリウム、ウラン、ネプツニウムなどから成る)を安全にハンドルするための多くの装置と経験が蓄積されている。[*2] 目に見える大きさのスケールまで原子が規則正しく配列した結晶を単結晶と呼ぶ。[*3] 従来の物理学では、磁石と超伝導は犬猿の仲であり、磁石は超伝導にはならないと考えられてきた。しかしアクチノイド化合物の中には、磁石でありながら超伝導を示すものがある。磁石が何故超伝導を示すかという問題は、物理学上の重要な課題の 1 つとなっている。[*4] 周期表でアクチノイドの上段に位置する元素の集合で、アクチノイドと類似の性質を示す。[*5] 周期性を持たず、結晶では許されない回転対称性を持つ物質を準結晶と呼ぶ。
著者
山田 廣成
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2001

1.超小型電子蓄積型高輝度X線発生装置の開発に成功した。X線発生専用マシンとして外径約0.5m、電子エネルギー6MeVの電子蓄積リングを開発した。X線強度は、目標を上回り、10^<12>光子/s,mrad2,mm2,0.1%bandを達成した。運転の自動化や電流値安定機構を導入して安定な運転を実現し、利用研究をルーチンで実施できる状態であり、COE放射光生命科学研究に貢献している。2.X線イメージングでは、25ミクロンロッドターゲットを用いて最大20倍拡大の屈折コントラスト撮像を実現した。放射光を勝る極めて強いエッジ強調が現れ、実物肺の中に埋め込んだウレタン製腫瘍の形状や血管の状態を鮮明に撮像した。30cm厚コンクリートの非破壊検査では、従来法では見えなかった亀裂や砂利の密度を造影剤無しで鮮明に捉えた。資料を光源点の近くに置くことにより、70倍の拡大撮像でも、ピントがぼけないことを確認した。3.Si及びGe結晶をターゲットとしてシンクロトロンの電子軌道上に設置し、結晶面を20°に傾けたとき、0°及び30°方向に10〜13keV単色X線を取り出すことに成功した。X線強度が10^<10>光子Brightnessで有ることを確認した。この強度はタンパク質構造解析を行うのに十分である。現在、蛋白質構造解析BLの開発(COEによる)を進めている。4.遷移放射機構を用いてコヒーレントな軟X線の発生に成功した。みらくる6Xを用いた場合その強度は、校正された検出器を用いて、5mWあることを確認した。みらくる20を用いる場合には、1Wに達することが計算上明らかになった。この値は、小型放射光装置AURORAと比較して、2桁大きな値である。5.光蓄積リング型自由電子レーザーの研究では、環状ミラーの導入により、明らかな増幅を観測した。増幅の結果、強度の蓄積電流値依存性で2乗に比例することが観測された。光蓄積リング型レーザー発振ではない他の原因によるコヒーレント放射光発生の可能性を否定できないが、環状ミラーの導入によりビームに何らかのモジュレーションがかかったと考えている。平均100mWの中・遠赤外光出力は、利用実験を行うのに十分なパワーである。分光器にFTIRを導入して、水、蛋白質、ガン組織などの遠赤外線吸収分光をルーチンでこなすことが出来るに至り、THz研究者と共同研究を推進するに至っている。
著者
山元 大輔 木村 賢一 小金澤 雅之 鳥羽 岳太
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2011-04-01

動物は種によって独特の行動を示す。本研究では、求愛行動様式に歴然たる相違のあるショウジョウバエ2種、Drosophila melanosgaterとD. subobscuraに着目して、なぜ行動の違いが生まれるのかを解明した。あらゆる行動は、特定のニューロンが決まった順序で活動することによって生み出される。研究の結果、fruitlessという遺伝子のスイッチがどのニューロンでオンになるかが変わることによって、種ごとの行動の違いが生まれる可能性が示された。
著者
大村 幸弘 松村 公仁 大村 正子 山下 守 吉田 大輔 中井 泉 赤沼 英男 増淵 麻里耶 大森 貴之 熊谷 和博
出版者
公益財団法人 中近東文化センター
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2010-04-01

当該研究の主目的「文化編年の構築」は、IV~VIII区で中間期のIVa層、前期青銅器時代のIVb層を中心に行なった。特にIVa層は、出土した炭化物の分析から2135calBC-1958calBC、2063calBC-1948calBCということが判明した。2014年はIVa層直下の火災を受けた建築遺構の発掘を行なったが、出土する土器には轆轤製がほとんど認められず手捏ねの粗製土器が中心であることなど、それまでの製作技法とは大きな差異が認められた。また建築遺構の形態も脆弱であった。先史時代の土器の形式編年等は未解明部分が多く、層序を中心とした研究によって先史時代の編年に大きく貢献できたと考える。
著者
NORI FRANCO 丸山 耕司 サヘル アシュハブ ランバート ニール ブリオック コンスタンティン ヨハンソン ロバート ツイ ウェイ 石田 夏子
出版者
独立行政法人理化学研究所
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2010-04-01

人工原子としての超伝導量子ビットに関する研究を行い、自然にある原子に対するものと類似した問題を追及しました。巨大人工原子がどのように、光、伝搬路, 電磁的共振器, 機械的共振器等と相互作用するか、という課題を含み、量子光学、原子物理、固体物理、ナノサイエンス、コンピューターサイエンスに及ぶ、分野横断的な理論的研究を行い、その研究成果は物理学のトップレベルのジャーナルに掲載されました。
著者
北 泰行 藤岡 弘道 赤井 周司 当麻 博文
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2001

1)超原子価ヨウ素反応剤を用いて、スピロジエノン骨格の高効率的合成法を確立し、ガランタミンの全合成を行い、その誘導体からアルツハイマー病治療候補薬として優れた化合物を見出した。次いで抗腫瘍活性海洋天然物ディスコハブディンA, E, F, OとプリアノシンBの合成に成功し、不安定なディスコハブディンAと同等の抗癌活性を示す安定なオキサアナログを見出した。またグリーンケミストリーを志向する、水中でKBr存在下での種々の変換反応を開発した。さらに反応終了後純粋に回収できる環境調和型超原子価ヨウ素反応剤を開発した。2)水溶性ラジカル開始剤と界面活性剤とを組み合わせ、水中でのラジカル環化やアルデヒド化合物からチオエステルおよびアミド類への効率的合成法を開発した。またSn化合物を用いない毒性の少ないラジカル反応を見出した。3)新規アシル化剤とリパーゼ触媒を用いて不斉四級炭素の汎用的合成法を確立し、制癌活性抗生物質フレデリカマイシンAの全合成を達成した。また生物活性インドールアルカロイドの合成鍵中間体の簡便合成法を開発した。光学分割と続く分子内Diels-Alder反応による類例の無い高効率的ドミノ反応を見出した。さらに酵素反応を阻害しないルテニウム触媒を開発し、本ドミノ型反応に動的光学分割法を組み込むことに成功した。4)芳香族Pummerer型反応を用いて,種々の2,3-置換インドール類の簡便合成法を開発した.また,チオフェン,フラン類の位置選択的求核的炭素-炭素結合形成反応を見出した.立体特異的新規転位反応を開発し、(-)-ヘルベルテンジオールや(-)-α-ヘルベルテノールを合成した。神経変性、自己免疫疾患等の治療薬開発のリード化合物として期待されるスキホスタチンの短工程合成に成功した。従来法では達成できないアセタールの新規脱保護法を見出し、全合成における保護基の選択幅を大きく拡大した。
著者
赤池 敏宏 小畠 英理 長岡 正人 伊勢 裕彦 原田 伊知郎 賀喜 白乙
出版者
公益財団法人国際科学振興財団
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2011-04-01

細胞接着分子として知られているE-カドヘリン分子をベースをしたキメラタンパク質E-カドヘリンFc分子の設計をふまえ、このE-カドヘリン-Fc固定型培養器材を用いることにより、ES/iPS細胞をコロニー化させずに、均一に分散した単一細胞状態での培養に成功した。さらに開発した新方法とコロニー形成させてしまう既存の方法を比較する為、発信される細胞内シグナルも比較・解析した。本研究によりES/iPS細胞の均一な未分化増殖・肝細胞・神経細胞への均一系での分化誘導とソーティング技術を確立しES/iPS細胞用まな板のコンセプトを確立した。
著者
松浦 好治 鈴木 賢 宇田川 幸則 樋口 範雄 BENNETT F. G. Jr. 姜 東局 岡 克彦 外山 勝彦 小川 泰弘 角田 篤泰 増田 知子 中村 誠 佐野 智也 SHEE Huey-Ling HWANG Ren-Hung DING Xiang-shun LEE Heejeoung
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究は、日中韓台・漢字文化圏の法情報について、深い相互理解と比較法研究の推進を目的とし、次の成果を得た。法情報共有の環 境整備として、各国研究者と共同で、中韓台法令とその英訳の対訳約14万文、英文官報の画像と日英対訳約16万文を集積するとともに、4法域法令用語標準対訳辞書の項目候補約13,000語の検討を推進した。また、日本法令の機械翻訳や文書構造化の手法を開発した。一方、分かりやすい法情報の提供事例として韓国とEUを調査するとともに、特定分野の理解を促進する法情報パッケージLawPackの例を構築した。また、地方自治体例規約98万本を蓄積・横断検索するシステムeLenを開発した。
著者
石田 清仁 大沼 郁雄 貝沼 亮介 及川 勝成 山内 清 須藤 祐司 貝沼 亮介 及川 勝成 山内 清 須藤 祐司
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2007

Co基合金の状態図について実験ならびにCalphad法による熱力学解析を行い、Co基熱力学・状態図データベースを世界に先駆けて構築した。このデータベースを基に新しいL1_2化合物γ' 相Co_3(Al, W)を利用したCo基スーパーアロイの合金設計を行い、800℃で10万時間のクリープ推定強度が100MPa以上を期待できる鍛造用合金を開発し、また鋳造合金の応用としてFSW(摩擦撹拌接合)用ツールに適用し、商品化に成功した。また磁性材料としてCo基磁気材料としてCo-W基合金薄膜とCo基ホイスラー合金が磁気記録材およびスピントロニクスとして有望である事を示した。さらに生体材料としてCo-Al基合金のγ (fcc)/β (B2)層状組織を利用したポーラス化を行ない、そのための最適組成、熱処理条件を明らかにした。
著者
赤澤 威 西秋 良宏 近藤 修 定藤 規弘 青木 健一 米田 穣 鈴木 宏正 荻原 直樹 石田 肇
出版者
高知工科大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2005

旧人ネアンデルタール・新人サピエンス交替劇の最大の舞台のひとつ西アジア死海地溝帯に焦点を当て、事例研究として、一帯における交替劇の真相解明に取り組み、次の結果を得た。両者の文化の違いは学習行動の違いに基づく可能性が高いこと、その学習行動の違いは両者の学習能力差、とりわけ個体学習能力差が影響した可能性が高いこと、両者の学習能力差を解剖学的証拠で検証可能であること、三点である。以上の結果を統合して、交替劇は両者の学習能力差に基づく可能性があり、この説明モデルを「学習仮説」と定義した。