著者
植竹 智 山崎 高幸 下村 浩一郎 吉田 光宏 吉村 太彦
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2019-06-26

本研究は,レプトンのみからなる水素様純レプトン原子:ミューオニウム (以下Mu)の精密分光により,電弱統一理論の精密検証および新物理探索を行うことを目標とする.具体的には,(1) Muの1S-2S間遷移周波数の精密二光子レーザー分光;(2) 基底状態超微細分裂の精密マイクロ波分光;(3) 荷電束縛系のエネルギー準位に電弱効果が及ぼす影響を摂動2次の項まで取り入れた高精度理論計算;の3つを行う.実験精度を先行研究より大幅に向上させ,基礎物理定数であるミュー粒子質量の決定精度を大きく向上させると共に,理論と実験の比較を通じて電弱統一理論の精密検証と新物理探索を目指す.
著者
McHugh Thomas
出版者
国立研究開発法人理化学研究所
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2019-06-26

The overall goal of this project is to better understand memory. To achieve this we will combine techniques to label and monitor groups of neurons encoding a specific event in an animal’s life. This approach allows us to focus on how groups of neurons organize their activity during learning and recall of information. Our experiments will clarify how their connections and dynamic interaction underlie memory in healthy brain and uncover new interventions to treat memory loss that accompanies aging and disease.
著者
細田 耕 荻原 直道 今西 宣晶 名倉 武雄 清水 正宏 池本 周平 菅本 一臣 成岡 健一 MACEDO ROSENDO Andre Luis 伊藤 幸太
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究課題では,脳やせき髄からの投射がない場合の,歩行状態における人間の足部の機械的特性を計測するために,歩行状態を再現するための歩行シミュレータを作成し,これに屍体の足部を取り付け,二方向エックス線透視撮影装置の中で歩行させることによって,足部内部の骨の動きを観察するためのプラットフォームを開発した.これに関連して,歩行状態を再現するための歩行シミュレータの制御や,透過画像から各骨の三次元運動を精密に再構成するための画像処理技術などを開発した.足部に存在する機械的特性のうち,中足骨関節に着目し,同等の機能の足部をもつ二足歩行ロボットを開発,実験によって中足骨関節の歩行安定性への寄与を調べた.
著者
齋藤 政彦 山田 泰彦 太田 泰広 望月 拓郎 吉岡 康太 野海 正俊 野呂 正行 小池 達也 稲場 道明 森 重文 向井 茂 岩崎 克則 金子 昌信 原岡 喜重 並河 良典 石井 亮 藤野 修 細野 忍 松下 大介 阿部 健 入谷 寛 戸田 幸伸 中島 啓 中村 郁 谷口 隆 小野 薫 ラスマン ウェイン 三井 健太郎 佐野 太郎
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2012-05-31

不分岐な不確定特異点を持つ接続のモジュライ空間の構成,リーマン・ヒルベルト対応の研究により,対応するモノドロミー保存変形の幾何学を確立した.また,混合ツイスターD加群の理論の整備,可積分系の幾何学的研究において種々の成果を得た.高次元代数幾何学においては,端末的3次元射影多様体のある種の端収縮射の分類や, コンパクトケーラー多様体の標準環の有限生成性などの基本的結果のほか,モジュライ理論,シンプレクテック多様体に関する種々の成果を得た.量子コホモロジーの数学的定式化や,ミラー対称性の数学的理解についても大きな成果を得た.また,代数多様体の層の導来圏に関する研究においても種々の成果を得た.
著者
田中 愛治 川出 良枝 古城 佳子 西澤 由隆 齋藤 純一 吉川 徹 小西 秀樹 船木 由喜彦 今井 亮佑 品田 裕 飯田 健 井柳 美紀 遠藤 晶久 清水 和巳 Jou Willy 千葉 涼 日野 愛郎 三村 憲弘 村上 剛 山崎 新 横山 智哉 加藤 言人 小川 寛貴 坂井 亮太 中西 俊夫 劉 凌
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2013-05-31

熟慮を経てから市民のニーズを測定するCASI調査と、熟議を通して市民のニーズを探るミニ・パブリックスを比較分析すると、熟議に基づくミニ・パブリックスよりも、熟慮に基づくCASI調査の方がサンプルの代表性は高く、実施のコストが低い点では好ましい。しかし、本プロジェクトの実験・調査を通して、熟慮だけでは難しいが、熟議を通してこそ達成できる効果もあることが分かった。例えば、事実に対する思い込みの是正においては、熟慮ではなく、熟議の効果が確認できた。したがって、CASI調査(熟慮)とミニ・パブリックス(熟議)のどちらにも利点があることが明らかになり、一概に両者の優劣をつけることはできないといえる。
著者
奥乃 博 中臺 一博 公文 誠 糸山 克寿 吉井 和佳 佐々木 洋子 昆陽 雅司 合原 一究 鈴木 麗璽 加賀美 聡 田所 諭
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2012-05-31

本研究では,ロボット聴覚ソフトHARKの「聞き分ける技術」を基に,自然環境・災害現場でも通用するように,豊富な機能拡充・高性能化と応用に取り組んだ.HARKはWindows版提供により9万件弱のダウンロードがあった.多人数インタラクション,音楽共演ロボットの可能性を示し, iGSVD-MUSICの開発によるUAV用音源定位の頑健化,索状ロボット用に姿勢推定・音声強調の開発により,レスキューロボットへの音利用の可能性を示し,さらに,カエルの合唱の解明,野鳥の鳴交解析のためのHARKBirdの開発と実地検証により音響生態学への可能性を実証し,ロボット聴覚の多面的展開のための基礎技術が確立できた.
著者
菅沼 克昭 長尾 至成 菅原 徹 酒 金テイ Lin Shih-kang
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2012-05-31

低温・低圧・無加圧下のAg焼結接合技術の革新を進め、その基本メカニズムを高分解能TEM観察とシミュレーションから明らかにした。Ag粒界へ酸素の吸収、粒界液相形成、粒界液相が噴火し表面堆積する。この一連の反応で粒子間低温焼結や接合界面形成が実現しており、これを”Nano Volcanic Eruption”と名付けた。新技術により、250℃を超える耐熱性が達成されている。また、雰囲気との反応をCu粒子へ展開し、その可能性を見出している。以上のように、極限環境に対応する新接合技術の開発、そのメカニズム解明、さらに、Cuへの展開など、学術的に新たな現象解明から実用レベルの技術開発まで繋げている。
著者
高寺 政行 大谷 毅 森川 英明 乾 滋 南澤 孝太 佐藤 哲也 鋤柄 佐千子 大塚 美智子 金 キョンオク 宮武 恵子 松村 嘉之 鈴木 明 韓 載香 柳田 佳子 古川 貴雄 石川 智治 西松 豊典 矢野 海児 松本 陽一 徃住 彰文 濱田 州博 上條 正義 金井 博幸 坂口 明男 森川 陽 池田 和子 鈴木 美和子 北折 貴子 鄭 永娥 藤本 隆宏 正田 康博 山村 貴敬 高橋 正人 中嶋 正之 太田 健一 堀場 洋輔
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2012-05-31

我が国ファッション事業の国際化に寄与する研究を目指し,国際ファッション市場に対応する繊維工学的課題の解決,国際ファッション市場に通用するTPS/テキスタイル提案システムの構築を行った.国際市場に実績ある事業者を対象とし,現場の調査,衣服製作実験,商品の評価を行い我が国との比較を行った.欧州・中国と日本における衣服・テキスタイル設計,評価および事業の違いを明らかにし,事業と技術の課題を明らかにした.デザイナーのテキスタイル選択要件を調査し,テキスタイルの分類法,感性評価値を組み込みTPSを構築した.日欧で評価実験を行い有効性を確認した.また,衣服・テキスタイル設計評価支援の技術的知見を得た.
著者
松林 嘉克
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2013-05-31

植物成長を制御する新しい細胞間シグナルとして,翻訳後修飾を伴った短鎖分泌型ペプチドに注目が集まっている.本研究は,翻訳後修飾ペプチドホルモンのさらなる探索や,既知因子の受容および細胞内情報伝達機構の解明を基軸としながら,翻訳後修飾のメカニズム,細胞外での分子動態などを解析し,翻訳後修飾ペプチドホルモンを介した植物形態形成や環境応答の分子機構を明らかにすることを目的としている.今年度は,ゲノム情報に基づいたペプチドホルモン候補のスクリーニングとLC-MSによる成熟型構造解析,そして受容体キナーゼ発現ライブラリーを用いた受容体探索により,植物の根の拡散障壁であるカスパリー線の形成に必要なペプチドホルモンの同定に成功した(Science 2017).Casparian strip Integrity Factor(CIF)と命名した21アミノ酸のチロシン硫酸化ペプチドは,根の中心柱で発現し,内皮細胞で発現する受容体GSO1/SGN3に特異的に結合する.これらを欠損する植物は,根のカスパリー線に穴があき,濃度勾配依存的に外界からイオンが道管に流入または道管から流出するため,至適栄養条件以外では成長が阻害されることが明らかとなった.また,以前に発見した全身的な窒素要求シグナリングに関わるペプチドホルモンCEPの下流で働く新しい長距離移行シグナルの同定に成功した.CEPは窒素欠乏時に根で誘導され,道管を通って葉の師部側にある受容体CEPR1に認識されるが,その下流で師管内を根へ移行するポリペプチドCEPD1およびCEPD2を見出した(Nature Plants 2017).根に移行したCEPDは,硝酸取り込み輸送体であるNRT2.1の発現を上昇させる.この発見により,片側の根が窒素欠乏になった時,もう片側の根で相補的に窒素取り込みが促進される現象の基本的なメカニズムが明らかとなった.
著者
山子 茂 梶 弘典 藤塚 守
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2016-05-31

シクロパラフェニレン(CPP)を母骨格とする環状π共役分子の材料への応用を見据えた大量合成法の確立とその応用と、CPPの反応性の解明に基づく後修飾法によるCPP誘導体の合成について検討を行った。前者では、ウェットプロセスを用いた有機電子デバイスへの応用に向けて問題となっていたCPPの溶解度の解決を図った。テトラアルコキシ[10]CPPにおいて異なるアルキル置換基を持つ誘導体を前年度ダイハツ下方法でグラムスケールで合成し、溶解度の確認と、ウエットプロセスを用いた薄膜作成について検討を行った。その結果、アルキル置換基を選ぶことで[10]CPPの薄膜を作成することに成功した。さらに、作成したCPP膜の光学特性と電荷移動度とを始めて測定することに成功した。その結果、CPP単体の分子軌道エネルギーからの予想とは異なり、n型半導体特性を示すことを明らかにした。ブトキシ[10]CPPのSCLC領域(0.7 MV cm-1)における電子移動度は4.5 x 10-6 cm2 V-1 s-1と高いものではなかったが、今後のCPPのデバイス研究におけるベンチマークとなるものと考えている。後者では、芳香族化合物の代表的な反応である求電子置換反応について、臭素化反応について検討した。その結果、サイズの小さなCPPでは、2分子の臭素がCPPに付加反応を起こすことを見出した。反応は選択的にCPPにおける二つのパラフェニレン単位のイプソ位のみで起こると共に、反応するパラフェニレン単位の場所も厳密に制御され、いずれの反応においても単一の生成物が得られた。さらに、理論計算から反応性および位置選択性が熱力学的安定性により支配されており、付加による芳香族性の解消とひずみエネルギーの緩和とのバランスで決まっていることが分かった。さらに、付加体から種々のCPP誘導体へと選択的に変換できた。
著者
小林 直樹 篠原 歩 佐藤 亮介 五十嵐 淳 海野 広志
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2015-05-29

本課題では、高階モデル検査の(1)理論的基盤の強化とそれに基づく高階モデル検査アルゴリズムの改良、(2)プログラム検証への応用、(3)高階モデル検査の拡張とそのプログラム検証への応用、(4)データ圧縮への応用、の4つを柱に研究を進めている。以下、それぞれの項目について、平成28年度(およびその繰越として遂行した平成29年度の一部の結果)について述べる。(1)理論的基盤の強化:HORSモデル検査とHFLモデル検査という2種類の高階モデル検査の間に相互変換が存在することを示すとともに、HFLモデル検査問題を型推論問題に帰着できることを示した。後者の結果に基づき、HFLモデル検査器のプロトタイプを作成した。また、高階文法の性質について調べ、語を生成するオーダーnの文法と木文法を生成するオーダーn-1の文法と間の対応関係を示した。さらに、高階モデル検査アルゴリズムの改良を行い、値呼びプログラムに対して直接的に高階モデル検査を適用する手法を考案、実装した。(2)プログラム検証への応用:プログラム検証で扱える対象プログラムや性質の拡充を行い、関数型プログラムの公平非停止性の検証、コード生成プログラムの検証、動的なスレッド生成を伴う高階並列プログラムの検証、などを可能にした。(3)拡張高階モデル検査:HORSに再帰型を加えて拡張したμHORSに対するモデル検査アルゴリズムの改良を行い、その有効性をJavaプログラムの検証を通して示した。(4)データ圧縮への応用:データをそれを生成する関数型プログラムの形に圧縮する方式(高階圧縮)について、圧縮後のプログラムをビット列に変換する部分の改良を行った。また、高階圧縮のための様々な要素技術について研究を進めた。
著者
狩野 方伸 少作 隆子 田端 俊英
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2001

マリファナの活性成分であるΔ9-テトラヒドロカンナビノールは、中枢神経系に広く分布するCB1カンナビノイド受容体を介して作用を発現する。CB1受容体に対する内因性のリガンド(内因性カンナビノイド、以下eCBと略す)の候補として、アナンダミドと2-アラキドノイルグリセロールがある。CB1は中枢ニューロンのシナプス前線維に局在し、その活性化によって伝達物質放出の減少が起こる。しかし、本研究開始時点で、eCBがどのような刺激によって生成され、どのような生理機能を果たすかという最も重要な点についてはほとんど明らかにされていなかった。本研究では、eCBのシナプス伝達における役割を主として電気生理学的手法を用いて調べ、以下の結果を得た。海馬神経細胞および小脳プルキンエ細胞において、シナプス後細胞の脱分極と細胞内Ca^<2+>濃度上昇によりeCBが放出され、逆行性に抑制性および興奮性シナプス終末のCB1受容体に作用して伝達物質放出の一過性減少がおこることを明らかにした。また、グループI代謝型グルタミン酸受容体や、M_1及びM_3ムスカリニックアセチルコリン受容体などのGq結合型受容体の活性化によってeCB放出が起こり、逆行性にCB1受容体に作用して伝達物質放出の一過性減少がおこることを発見した。さらに、海馬培養細胞において、単独ではeCB放出を起こさない程度の弱いM_1/M_3受容体の活性化と弱い脱分極を同時に与えると、eCBが効率よく産生された。これは、海馬神経細胞に存在するフォスフォリパーゼCβ1(PLCβ1)の酵素活性が、M_1/M_3受容体の活性化と細胞内Ca^<2+>の両方に依存することが原因である。したがって、PLCβ1はコリナージック入力(シナプス前活動)と細胞内Ca^<2+>濃度上昇(シナプス後神経活動)の同期性検出分子として機能することが明らかになった。
著者
西田 豊明 河原 達也 黒橋 禎夫 中野 有紀子 角 康之 大本 義正 黄 宏軒
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2007

本研究の目的は,高度な会話エージェントシステム開発のためのさまざまなチャレンジが円滑にできるようにするための研究基盤と方法論を確立することである.研究成果は,会話エージェントシステム構築用プラットフォーム,コンポーネント技術,没入型WOZを用いた会話エージェントシステム開発環境,会話コーパスに基づく会話行動モデル開発方法論の開発,コンテンツ制作支援システム,評価手法の8項目から構成される包括的なものである。