著者
秋林 こずえ 宮城 晴美
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

米軍による性暴力の問題に取り組んできた基地・軍隊を許さない行動する女たちの会を沖縄フェミニズムの中核と位置付け、検討した。会は米軍が長期駐留する韓国や、米国本土、国連などで市民社会でのトランスナショナル・ネットワーク構築を目指す傾向が強くなってきている。そこでは新たな基地建設に抵抗する連帯とともに、基地の移設ではなく脱軍事化が追求されている。軍事占領下での米軍の性暴力については、沖縄県立公文書館で資料を見つけ、1945年以降の沖縄での米兵による性犯罪の年表を改訂した。国際的な平和構築政策に関しては、紛争下の性暴力が軍隊組織の問題という視点がさらに後退していることが明らかになった。
著者
北 寿郎
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、激しいビジネス環境にさらされている産業において、迅速且つ適切に事業撤退する戦略の枠組みを構築することを目的とするものある。得られた結果をまとめると以下のようになる。ほとんどの産業において、撤退事例は、事業継続による赤字拡大を防ぐ目的のものがほとんどであり、Proactiveな撤退はほとんど見られなかった。しかし、その中でも市場における企業の成長軸からのかい離を常にチェックする仕組みを有したり、過去の撤退事例を巧みに内部資源化しそれを社内で共有するとともに、オープンイノベーションを推進している企業においては、戦略的撤退と呼んでもよい事例が見られた。
著者
大崎 美穂
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

多変量時系列である慢性病の医療データから,病状把握や治療に役立つ知識を自動的に発見する仕組みが望まれている.そこで,本研究課題ではC型慢性肝炎の検査治療履歴を題材とし,病状のモデル化・特徴量抽出・予測とそのシステムに基づく知識発見を目指した.具体的には,自己回帰モデルと自己回帰条件付き分散不均一モデルの階層的な適用による病状記述,これらのモデルに基づく特徴量抽出,モデルの次数から必要な検査回数に関する知識を導出した.カーネルロジスティック回帰を適用して肝臓の悪化度合いを予測するシステムを開発し,さらにカーネルロジスティック回帰に識別学習を導入した新しい分類器を提案した.
著者
諫早 勇一 望月 哲男 望月 恒子 鈴木 淳一 中村 唯史 大平 陽一 阿部 賢一
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011

19世紀ロシア文学はドストエフスキイやトルストイの文学にみるように、プロットの面から「移動」と密接につながっているばかりでなく、時空間感覚を含めたその表現においても「移動」と切っても切れない関係にあった。本研究では、19世紀ロシア文学だけでなく、20世紀ロシアの文学・芸術、さらには中東欧の20世紀文学も視野に収め、「移動」の果たした役割を再検討して、「移動」は文学表現において重要な位置を占めるだけでなく、視点という問題を介して、文学とそれ以外の芸術とを結びつける重要な要素であること、亡命・越境のような20世紀の大きな文化現象を表象するためのキーワードであることを確認した。
著者
石川 信一
出版者
同志社大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究の目的は,不安障害の児童を対象に家族に焦点を当てた認知行動療法の効果を検討することであった。対象者は12名の不安障害の基準に合致した児童であった。親子認知行動療法では,児童と親は10セッションからなる集団認知行動療法プログラムに参加した。さらに,親のみを集めた4セッションも準備された。分析の結果,3ヶ月時点において,6名が主たる不安の基準から外れることが示された。また,臨床家評定と親評定の不安尺度においても改善がみられた。
著者
飛龍 志津子
出版者
同志社大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は,コウモリもつ高度に発達した超音波センシングの実態解明を目的とし,室内及び野外においてコウモリの音響行動を計測した.まず室内での障害物回避や標的捕獲中のエコーロケーション行動から,①超音波のビーム幅を状況に応じてアクティブに変化,②ビーム幅の狭いコウモリは視野を補償するためより頻繁に放射方向のシフトを行う,③重要な障害物の方向にパルスを放射する,などがわかった.野生コウモリの採餌飛行では,①コウモリが直近の獲物だけでなく,その次の獲物も視野に捉えていること,また②flight attentionも先を予測する方向に向けられていること,などを見出した.
著者
太田 孝彦 林田 新 村木 桂子 森下 麻衣子 吉田 智美
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

従来、江戸時代絵画は様式を語るのが常で、筆法が果たす機能に注意することはなかった。筆法の機能に注目してみれば、「書と画」の南画家たちにとって筆法修得は「古人になる」王道であり、狩野派が語る粉本の重視は筆法の価値を取り戻そうとする試みだったと解釈できる。こうした筆法重視の観点からは新たなる江戸時代の絵画史が語られることになる。それは従来の「美術」の観点から語っていた江戸時代の絵画史とは別の面を見せることになるだろう。
著者
十河 太朗
出版者
同志社大学
雑誌
同志社法學 (ISSN:03877612)
巻号頁・発行日
vol.45, no.5, pp.143-156, 1994-01-30

判例研究
著者
植村 正治
出版者
同志社大学
雑誌
社会科学 (ISSN:04196759)
巻号頁・発行日
vol.89, pp.21-47, 2010-11

本稿では,近代工業技術の日本への技術移転の一つの方法として,工学教育機関の設立が重要であったという視点から,明治初期工学教育機関である工学寮を取り上げて,その設立の経緯について細かく検討した。当初,明治政府は小学校と大学校からなる「工部学校」もしくは「工学校」という名称の教育機関を想定した。ところが,イギリス人教師の来日が遅れたため,当初の予定では明治5年7月だったのが,実際の授業開始は6年10月となった。しかも,開港したのは大学校だけで,小学校については遅れて開校したものの,10年6月には廃校となり,その年に工学寮は文字通り工部大学校に名称変更となっている。本稿では,主に工学寮開校までを取り扱い,イギリス人教師の人選,校舎の建設や配置,工学寮カリキュラムや諸規則,第1回入学生の内訳などを見てきた。これ以降の組織変更や,技術移転という視点にとって見逃すことのできない,工学寮(工部大学校)における工学技術の教育内容については別の機会に検討したい。
著者
白川 恵子 林 以知郎
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、アメリカ独立革命期の建国神話がいかに構築され、それが共和政期および南北戦争以前期の文化の中で、いかに表象され、大衆に受容されてきたのかを考察する。特に、(1)建国祖父の伝記による独立革命の矛盾の曖昧化、(2)共和政期以降の建国神話受容、(3)独立革命のイデオロギーと文学的体制転覆的想像力との関連、(4)南北戦争以前期の煽情主義的/感傷主義的ナラティヴに反映・表象さえる建国神話に焦点が当てられる。
著者
石井 久雄
出版者
同志社大学
雑誌
同志社国文学 (ISSN:03898717)
巻号頁・発行日
vol.78, pp.168-157, 2013-03
著者
廣田 收
出版者
同志社大学
雑誌
同志社国文学 (ISSN:03898717)
巻号頁・発行日
vol.78, pp.40-52, 2013-03
著者
中田 喜文 藤本 哲史 三好 博昭 川口 章 安川 文朗 田中 幸子 宮崎 悟
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

日本の医療人材の現状を、労働市場における状況、医療施設における状況に分けて分析した。医療人材の労働市場においては、労働市場としての需要と供給のミスマッチの回復機能は、賃金水準に対し需給状況が限定的な影響を与えているとの結果が得られた。同時に日本の医療制度の持つ、様々な医療施設のマネジメントに対する影響を通した間接的な影響の存在も確認できた。このことは日本の医療政策の近年の変化が、個別医療施設のマネジメントの有り様に影響を与えることを通して、一義的にはその組織内の労働条件に影響を与え、さらには間接的に医療人材の労働市場にも影響を与えることが分かった。
著者
伊勢 晃 三好 郁朗 佐藤 文郎 伊藤 洋司 辻野 稔哉 森田 いく子
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

我々は、ベル・エポック期におけるフランス・モダニズムの諸相を明確にし、詳細な校注、解説を含むアポリネールの文芸評論の全訳を作成することを目標とし、研究を推進してきた。その結果、翻訳の下訳作業はほぼ完成し、フランスでの調査と資料収集によって、基礎的資料の整備を終えた。今後は平成24年度科学研究費補助金研究(基盤研究C)「20世紀初頭のフランス文芸思潮におけるモダニズムの形成と展開に関する実証的研究」(課題番号: 24520374、研究代表者:伊勢晃)に研究を引き継ぎ、さらに広範な調査を行い、出版物の形で成果を公開したい。
著者
岡田 暁生
出版者
同志社大学
雑誌
文化情報学 (ISSN:18808603)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.47-59, 2011-03

講演記録音楽や舞踏は,芸術のシステムの中で長年その地位が低く扱われてきた.それは,古代ギリシャで身体を使う作業をすべて奴隷にさせていたことに起因し,長らくヨーロッパでは身体を使う職業が一段下とみなされてきた.このように音楽や舞踏といった芸術は極めて身体との関係性が強いジャンルである.作曲家が楽譜を書いているとき,様々な身体の格好,構えなどを想定している.つまり,楽譜は身体の格好の記録としての側面があることを理解する必要がある.時代によって,作曲家によって,あるいは様式によって,ある曲に適切な身体の格好というものが暗黙に合意されている.それは楽譜通りに音符をたどっていけば,そのような格好で演奏せざるを得ないようになっているからである.音楽は身体と音の振動,空気の振動といったものが互いにくっついて,たとえそこに身体が現前していない所でも,われわれはそこにその振動を発生させた身体を想定してしまう.その意味で音楽は非常に生々しい芸術といえるのである.In the long history of artistic systems, music and dance have not always enjoyed a high status, due to the fact that all physical activities were performed by slaves in ancient Greece. In Europe, businesses involving the body were considered lowly. Music and dance as art forms are strongly tied to bodily motions. When a composer writes music, he or she visualizes the various postures of the body. The notes, therefore, must also be understood as corresponding to physical postures. Among the different ages, composers and styles of music, there are implied and shared physical postures that are considered appropriate for certain music. When a musician follows the notes, he or she will be playing with these tacitly understood postures in mind. In music, the vibrations of the body, sound and air are interconnected. So a listener can imagine the posture which caused the vibration, without witnessing the actual posture in advance. In this sense, one can say that music is a very vivid form of art.
著者
西田 毅
出版者
同志社大学
雑誌
キリスト教社会問題研究 (ISSN:04503139)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.29-57, 2006-12

論説 (Articles)原本の目次(英文) (誤)'Chrictianized Bushido' → (正)'Christianized Bushido'原本の目次(英文) (誤)Kogoro Takashima → (正) Kogoro Takahira
著者
田中 裕也
出版者
同志社大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

今年度の研究実施状況を下記に、三点に分けて報告する。1、昨年度に投稿し、ジャッジメントを経ていた「三島由紀夫「親切な機械」の生成-三島由紀夫とニーチェ哲学-」が「日本近代文学」第84集(2011年5月)に掲載された。主に、三島が事件資料をどのように選別し執筆を行ったのかを検討した。また三島が同時代の「主体性」を巡る論争自体を無効にするために、流動的で統一されない「主体」を主張するニーチェ哲学を援用していると論じた。2、昨年度から継続して調査・研究していた「青の時代」(1950年12月)を論文化し、「三島由紀夫「青の時代」の射程-道徳体系批判としての小説-」として、「昭和文学研究」第64集(2012年3月)に掲載された。三島は「アプレゲール」の代表的人物と見なされていた、山崎晃嗣に関する資料を収集しつつも、クレッチマーやニーチェ哲学を用いて主人公を描いていることを明らかにした。また戦後言説空間では「道徳」という言葉が国家再建の理念と密接に結びついていたが、一方で反社会的で秩序に当てはまらない若者たちを、「不道徳」な「アプレ-ゲール」として排除していく流れがあった。「道徳」と「不道徳」が一見対立する概念に見えながらも、この二つの概念は共犯関係的なものであることを、三島がニーチェ哲学を援用して「青の時代」の中で批判的に描いていることを明らかにした。3、山中湖文学の森・三島由紀夫文学館」において二回(各四日間・計八日)の草稿調査・研究を行った。主に「愛の渇き」(1950年6月)の草稿400枚弱について調査・研究を行った。「愛の渇き」の草稿には、二つの大きな改編箇所があることが分かった。今後研究内容をまとめ論文化する予定である。
著者
北坂 真一 菅原 千織
出版者
同志社大学
雑誌
經濟學論叢 (ISSN:03873021)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.357-384, 2011-12

研究ノート(Note)高等教育機関の効率性を定義し計測した上で、その改善を目指す研究が世界的に注目されている。教育における効率性の計測は重要なテーマであるにもかかわらず、高度な計量分析の手法が大学のような高等教育機関に応用されるようになったのは比較的最近のことであり、その研究の蓄積は多くない。本稿では確率的フロンティアモデルにより経済的効率性を分析するための計量分析の手法を概観し、あわせてそうした手法を大学の効率性の分析に用いた欧米の研究を簡潔に展望する。Higher education institutions worldwide are increasingly becoming the subject of analyses aimed at defining, measuring, and improving efficiency. However, despite the importance of efficiency measurement in higher education, it is only relatively recently that more advanced econometric measurement techniques have been applied to higher education institutions such as universities. We survey the underlying models and econometric techniques that have been used in studying economic efficiency in the stochastic frontier framework and present a brief review of the literature on stochastic frontier models for the efficiency analysis of universities.