著者
澁谷 智子
出版者
日本比較文学会
雑誌
比較文学 (ISSN:04408039)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.69-81, 2002

<p> The concept of "Deaf Culture" recognizes the deaf as a linguistic minority who use sign language. In fact,some deaf describe themselves as "Deaf " with a capital "D," just as African Americans use the word "Black" to express their pride in being black. This concept questions the values of the hearing majority that are being taken for granted. Just as notions of "heterosexuality" have been created from the perspectives of "Gay Culture" the values of hearing society can be also relativized as "Hearing Culture."</p><p> In discussing the relationship between "Deaf Culture" and "Hearing Culture," this paper focuses in particular on the experience of people whose parents are deaf. These people are called "Coda" which stands for "Children Of Deaf Adults." Coda can hear physically but culturally are associated with the deaf. For example, some Coda acquire sign language as their first language. These Coda, who mediate between their parents and the hearing majority, have much in common with second generation of immigrants. Not only do they interpret languages but they also translate cultures and mitigate cultural conflict. However, mockery by and pity from hearing people make Coda feel embarrassed or inferior about their background. This sense of shame and low self-esteem can lead to a sense of guilt.</p><p> Through the analysis of autobiographies and essays of Coda, this paper tries to describe the cultural friction between the hearing and the deaf. By doing so, it also suggests that cultural borders are not always associated with nationality or geographic distribution.</p>
著者
河原 亜紀子
出版者
東邦大学
雑誌
東邦醫學會雜誌 = Journal of the Medical Society of Toho University (ISSN:00408670)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.222-230, 2004-07-01
参考文献数
20

目的:伝染性軟属腫の感染経路は接触的感染が推察されてきたが,ウイルス学的に検討された報告はない。今回,自家接種や器物を媒介する伝播経路についてpolymerase chain reaction (PCR)法を用いて検討した。対象および方法:まず,伝染性軟属腫患者20例を対象にしてrestriction fragment length polymorphism-PCR法にてウイルスの型別を行った。次に,nested PCR法を用いて前述の患者における両手と非病変部10箇所から伝染性軟属腫ウイルス(MCV)DNA検出を試み,アトピー性皮膚炎(AD)合併の有無で検出率を比較した。すなわち,AD合併者では掻破のため両手にMCVDNAが高率に付着し,全身の広範囲からMCVDNAが検出されると予想した。さらに,伝染性軟属腫患者を取り囲む環境中にある生活用品や小児科・皮膚科クリニックにある外来備品からnested PCR法を用いてMCVDNAの検出を試みた。また,従来から感染源であると言われているスイミングスクールで共用されるビート板からもMCVDNAの検出を試みた。結果:全患者の病変部からMCV 1型が検出された。また,AD合併患者とAD非合併患者の両群間で両手および非病変部からの検出率に有意差がなかった。さらに,環境中の生活用品からは患児の手が触れている可能性がある玩具や机などや,小児科・皮膚科クリニックにある外来備品からもMCVDNAが検出された。また,スイミングスクールで共用されるビート板からMCVDNAが高率に検出された。結論:AD合併者とAD非合併者からのMCVDNA検出率に差がなかったことから,全身へのウイルス散布には手による掻破以外の経路の存在が推察された。また,生活用品を媒介する伝染性軟属腫の伝播経路の存在が示唆された。

1 0 0 0 OA モミの木

著者
津川 秀夫
出版者
日本ブリーフサイコセラピー学会
雑誌
ブリーフサイコセラピー研究 (ISSN:18805132)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1-2, pp.27-29, 2017-03-31 (Released:2017-06-30)
参考文献数
2
被引用文献数
1

1 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1947年09月22日, 1947-09-22
著者
深澤 龍一郎 村上 裕章 長谷川 佳彦 稲葉 一将 山下 竜一
出版者
名古屋大学
雑誌
挑戦的研究(開拓)
巻号頁・発行日
2018-06-29

本研究は、札幌(北海道大学)、名古屋(名古屋大学)、大阪(大阪大学)、福岡(九州大学)に研究拠点を設け、平成30年度から令和3年度までの合計4年間、全国各地の行政不服審査会の答申を収集・整理・分析することを主な手法として、行政不服審査会の審理を継続的観察の対象とすることにより、目下のところブラックボックス化している行政不服審査の審理原則を実証的に解明しようとするものである。
著者
林 泰寛 谷 卓 清水 康一 高村 博之 萱原 正都 太田 哲生
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.1508-1511, 2009 (Released:2009-11-05)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

症例は77歳,女性.高血圧にて内服加療中であった.約半年前,近医胸部CTにて右横隔膜下に直径11cm大の嚢胞性病変を指摘されるも肝嚢胞として放置されていた.今回,右側腹部から背部痛を主訴に前医を受診したところ,嚢胞性病変の増大を指摘され当科紹介となった.当院CTにて右副腎原発の嚢胞性腫瘍が強く疑われ,尿中カテコールアミン,Vanillylmandelic acid(VMA)の上昇と,131I-MIBGシンチグラフィーにて腫瘍部への集積を認めたことから褐色細胞腫と診断し,右副腎切除術を施行した.嚢胞内容は陳旧性の出血,凝血塊であった.病理組織学的には偽嚢胞を伴う褐色細胞腫であった.嚢胞性変化を伴う褐色細胞腫の報告例は本邦では自験例も含めて50例に満たず稀であり,特に右副腎原発の場合,肝由来の嚢胞性疾患との鑑別が重要であると考えられた.
出版者
日経BP社
雑誌
日経エレクトロニクス (ISSN:03851680)
巻号頁・発行日
no.1013, pp.158-161, 2009-09-21

左上の写真は「O.R.B.S」の開発者たち。イラストはいずれもO.R.B.Sの開発途中のイメージ図である。(図:バンダイナムコゲームス) ゲームセンターやアミューズメント・パークなどに設置される業務用(アーケード)ゲームの中で,ユーザーから絶大な支持を受けている体感ゲーム機がある。バンダイナムコゲームスが開発した「機動戦士ガンダム 戦場の絆」(以下,戦場の絆)である。
著者
鈴木 盛明 福島 二朗 為国 孝敏 中川 三朗
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木史研究 (ISSN:09167293)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.311-317, 1999-05-01 (Released:2010-06-15)
参考文献数
21

江戸時代に確立されていった舟運制度や河川整備手法は、明治時代に入り、政府が変革した後も踏襲されて、政策面に取り入れられている。明治政府は1872 (明治5) 年にオランダ人工師を招き、江戸川拡大の工事の方針が提出され、1875 (明治8) 年には利根川全川の測量が始まる。主要交通機関としての利根川の舟運を工事主体に置き低水工事をはじめる。そこで本研究では、江戸時代から明治初期において、舟運主体の低水工事から治水主体の河川事業の移行を調査し、その事業を推進していった政策面、為政者の思想から計画思想の変遷を明らかにした。
著者
伊藤 康弘 宮内 昭
出版者
日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会
雑誌
日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 (ISSN:21869545)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.18-22, 2021 (Released:2021-05-27)
参考文献数
11

2017年にAmerican Joint Committee on Cancerの甲状腺乳頭癌および濾胞癌に対するTNM分類およびstaging systemが,大きく改訂された。2019年に上梓された日本内分泌外科学会/日本甲状腺病理学会による「甲状腺癌取扱い規約」も,それをそのまま採択している。今回の改訂の主たるものとして1)年齢のカットオフが45歳から55歳へ変更された,2)腫瘍径に基づくupstagingが変更された,3)腺外浸潤が術中の肉眼所見に基づくものとされ,その内容およびupstagingが変更された,4)リンパ節転移のupstagingが変更されたことが挙げられる。第8版のTNM staging systemは第7版に比べて,より鋭敏に患者の予後を反映しているが,まだ色々と改善の余地があるように思われる。本稿ではこれらについて網羅的に解説する。
著者
池羽田 晶文 後藤 剛喜 森澤 勇介 東 昇 尾崎 幸洋
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.19-31, 2011 (Released:2011-02-23)
参考文献数
48
被引用文献数
2 2

120~200 nmの遠紫外(Far Ultraviolet, FUV)領域には分子の外殻電子に関する遷移吸収バンドが観測される.これらは吸収係数が非常に大きいため,これまでは気体や固体表面の反射分光に用途が限られてきた.著者らはこれに対して減衰全反射(Attenuated Total Reflection, ATR)法を利用して液体試料の遠紫外分光が可能な装置を開発した.また,装置の簡便化のために光学系を真空にするのではなく,窒素パージを選択した.これによって液体試料の遠紫外スペクトル測定が容易となり,今まで未知であったスペクトルが次々と明らかになっている.水の第一電子遷移吸収帯もこれによって簡便な測定が可能となったが,その変化は水素結合状態に対して系統的な変化を示すことが明らかになってきた.本論文では水の遠紫外スペクトルの基礎からオンライン分析応用の可能性まで,これまでの成果を幅広く紹介する.
著者
前田 嘉明
出版者
The Japanese Society for Animal Psychology
雑誌
動物心理学年報 (ISSN:00035130)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.83-91, 1964-04-25 (Released:2010-01-28)
参考文献数
18

Eine Übersprungbewegung kann auftreten, wenn im Tier zwei Triebe zu gleicher Zeit erregt werden, deren Handlungen antagonistisch sind. Ein zweiter Umstand, der zu Übersprungbewegungen Anlass gibt, ist das zu plötzliche Erreichen des Zieles. Drittens kann das Ausbleiben der notwendigen äusseren Reizung irgend wo in der Handlungskette Übersprungbewegungen hervorrufen. Allgemein darf man wohl erwarten, dass ein Drangüberschuss, der keinen Ausweg finden kann, zu Übersprungbewegungen Anlass gibt. Wenn eine Übersprungbewegung während eines Konfliktes zwischen zwei Instinkten auftritt, könnte diese z. B. entweder von einem oder von beiden gehemmten Drängen allochthon gespeist werden. Es bleibt aber ausserdem noch die Möglichkeit, dass infolge der antagonistischen Wirkung der Instinkte zwei in Konflikt geratene Instinkte ihre hemmende Wirkung auf einen dritten verlieren, der nun seinerseits die Übersprungbewegung bewirkt. SEVENSTER und IERSEL haben der Drangüberschusstheorie von TINBERGEN und KORTLANDT gegenüber eine neue Enthemmungshypothese aufgestellt und die Vorstellung vom “Überspringen” aktionsspezifischer Impulse abgelehnt. Es gilt zu entscheiden, ob die als Übersprung auftretende Bewegung in der Tat zu einem anderen (allochthonen) Drang gehört, oder ob die Handlung nur ein Ablauf desselben (autochthonen) Instinktes darstellt. Es wäre sehr wertvoll, dieses Problem experimentell genauer zu untersuchen.
著者
村澤 昌崇
出版者
広島大学
雑誌
大学論集 (ISSN:03020142)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.309-327, 2005
被引用文献数
3
著者
馬塲 美年子 一杉 正仁
出版者
一般社団法人 日本交通科学学会
雑誌
日本交通科学学会誌 (ISSN:21883874)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.26-34, 2020

近年、高齢の免許保有者は増加しており、交通事故発生件数における高齢者率も年々増加している。2017年の道路交通法(以下、道交法)改正で、認知機能検査で第1分類(認知症のおそれあり)と判定された高齢者は、免許の更新時に医師の診断書提出が義務づけられたが、高齢者の事故の原因は、認知症に起因したものばかりではない。そこで、増加する高齢者事故の特徴、および事故を起こした高齢運転者の法的責任を検討し、事故予防策を講じる知見を得ることを目的として、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律施行後に発生した高齢運転者(65歳以上)による事故の刑事裁判例について検討した。対象は26例で、運転者の平均年齢は76.0±7.4歳であった。3人は、職業運転者であった。何らかの疾患に罹患していた運転者は7人で、認知症、てんかん、糖尿病、心臓病、がん、難聴、白内障であった。事故原因は、不適切な操作(アクセルとブレーキの踏み間違いなど)が9例ともっとも多かった。有罪となったのは23例で、過失運転致死傷が20例、危険運転が2例、道交法違反(酒気帯び)が1例であった。過失運転では、結果の重大性、基本的な注意義務の違反、悪質性が認められるケースでは起訴されて公判が開かれる可能性が高くなる。そしてその結果や注意義務違反・悪質性がとくに重いと判断された事例では実刑判決が下されていた。量刑において、高齢であることや長期間の安全運転経歴が考慮されることもあるが、過失の刑事責任は免れない。また、故意が認められる危険運転では、高齢などの諸状況が考慮される余地は少ないと考えられた。高齢運転者の事故は、認知症患者の免許を取り消すことだけでは解決できない。運転経験を過信することなく、加齢に伴う運転能力の低下を自覚できるようなサポートが必要であろう。また、高齢の就業者が増加するなか、高齢者を雇用している事業者による安全対策も求められよう。