著者
山寺 静子 大谷 明 小船 富美夫 小松 俊彦 鈴木 一義 中山 幹男 萩原 敏且 松本 美弥子 山本 紀一 ルナール 純子
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.81, no.4, pp.379-386, 2007
被引用文献数
1

厚生労働省のインフルエンザ対策の一環として一般市民を対象にFax, E-mailを含む電話相談を行った.<BR>相談件数は2003/04シーズンは2,813件, 2004/05シーズンは2, 444件であった.月別は10~11月が最も多く, 相談者は女性が72.5%を占め, 特に30代が最も多かった.相談者の居住地別では東京都が最も多く, 神奈川, 千葉, 埼玉, 長野の順であった.職種別では主婦が1,114件 (45.6%) を占め, 次に民間企業が447件 (18.3%), 医療従事者が227件 (9.3%) であり, 2003/04シーズンと同様の傾向がみられた.相談の内容はワクチンに関するものが1545件で62.2%を占め, その内訳はワクチン接種の是非, 副反応, 接種回数が主であった. また妊婦, 乳幼児, 授乳中の接種については296件 (19.2%) であった.2004/05シーズンはワクチン不足についての問い合わせ (7件), 重症急性呼吸器症候群: SARS (22件) また鳥インフルエンザ (22件) についての相談は前シーズンに比べ減少したが, 抗ウイルス薬 (209件) に関する相談が増加していた.<BR>毎年の相談内容は, インフルエンザの医療事情を強く反映しており, 医療従事者からの間合せも相当数みられることから, 対応する担当者の知識や情報の確保は重要な課題であると考えられた.また, 具体的な内容としては, 厚生労働省および感染症情報センターから出されている「一般向けのインフルエンザQ&A」で「妊産婦及び授乳中あるいは育児中の方へ」のようなセクションをもうけて, 解説することの必要性を提案した.
著者
久次 智雄
出版者
小樽商科大学
雑誌
商学討究 (ISSN:04748638)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.1-14, 1992-03-31

論説
著者
重田 みち
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.9-17, 2006

複雑な成立過程を持つ世阿弥の能楽論『花伝』のうち、応永十年前後に成立したと推測される、当初の「奥義」(後に書き加えられた約半分を除いた部分。本文は現存せず)について、その本文を推定し、執筆の契機と意図について考察した。すなわち、その執筆の契機として、先行する歌論の十体論を世阿弥が知り得たことが挙げられ、その執筆の意図は、当時の自座の役者が古来の大和猿楽の藝風だけに固執しがちなことを批判し、他座の藝風をも視野に入れたすべての藝風を身に付けるべきことを主張することにあったと推測した。
著者
佐藤 芳子 林 和子 坂井 忠通
雑誌
田園調布学園大学紀要 = Bulletin of Den-En Chofu University
巻号頁・発行日
no.2, pp.29-40, 2007

麻疹は小児にとって,重症度の高い疾患であるが,最近成人(15歳以上)の発症も多くなってきている。国立感染症研究所の調査によると,近年患者数増加傾向にある年齢群は定期接種対象年齢を超えた20歳代前半での増加が見られていると報告している。2007年1月以降,東京都では高等学校や大学などで集団感染するなど,罹患患者が増え都内の多くの大学では休講になり,教育実習シーズンを迎え学生が各地に散らばるため,大学では麻疹対策に追われるという状況になった。また各大学では,感染防止のため抗体検査やワクチン接種を行なわなければならなくなり,そのうえ試薬やワクチン不足に直面する状況であった。田園調布学園大学では2名の罹患者にとどまり,集団感染は免れ,休講にはならなかったが,各施設実習や病院実習の時期にかかり,抗体検査やワクチン接種の必要性にせまられ,各病院やクリニックに連絡するなど,対応におわれた。幸い教職員の協力で,全学生及び教職員は抗体検査がおこなわれ,また抗体陰性の学生にはワクチン接種を行なうことが出来た。そこで抗体検査の結果などを元にその現状と今後の方向性などについて考察を加えたので報告する。
著者
小西 健三 瀧 和男 木村 宏一
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.797-807, 1995-04-15

本論文では、新たなシミュレーテッド・アニーリング(SA)法の並行(コンカレント)アルゴリズムとして「温度並列SA法」を提案し、その評価を行う。温度並列SA法は、温度スケジュールの白動化、時間一様性(任意の時点での終了、あるし)は継続による解の改善が可能)、並列処理との高い親和性、という優れた性質を持つものである。本アルゴリズムは開発以来応用が先行しており、逐次SA法と比較した場合の最適化能力、実行時問の優劣については明らかでなかった。そこで本論文では、まず温度並列SAアルゴリズムについて報告し、次に逐次SA法との比較評価を実験的に行った。最適化能力における温度並列SA法と逐次SA法の比較では、同じアニーリングステップ数での比較に加えて、同じCPU時間を与えた場合の比較においても、温度並列SA法の方が優れていることが判明した。つまり、1台のCPUで同じ計算時間をかける場合でも、逐次SA法より温度並列SA法の方が良質の解が得られることを示しており、温度並列SA法のアルゴリズム自体の優位性を確認した。また、処理時問の短縮という観点からは、温度並列SA法は温度数まで並列処理が可能であり、また、従来の並列SA法とは異なり、並列実行しても最適化能力が劣化しないことも確認した。

1 0 0 0 OA 陸軍礼式

出版者
松岡明文堂
巻号頁・発行日
1910
著者
鰐川 彰
出版者
日本醸造協会
巻号頁・発行日
vol.107, no.8, pp.559-570, 2012 (Released:2013-10-08)
著者
佐々井 敬祐 岡田 朋子
出版者
新潟歯学会
雑誌
新潟歯学会雑誌 = 新潟歯学会雑誌 (ISSN:03850153)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.45-48, 1994-06

DBSとExpansion-Screw付き床副子にて整復固定を行った上顎骨縦骨折の1例を報告する。上顎骨縦骨折は,主として上顎正中部にみられ,前歯部歯槽突起の骨折線が梨状口に達するもので,鼻腔底,口蓋骨の骨折を伴い,歯列が開大して咬合不全を示すことが多い。治療は,上下顎にDBSを装着して顎間ゴムにて牽引整復を試みたが,整復が困難なため,上顎にExpansion-Screw付き床副子を装着して,このレンジ床副子を収縮させて,非観血的に整復を行った。この床副子を用いた上顎骨縦骨折の整復は,非常に容易で,患者に不要な疼痛を与えることなく,短時間に整復が可能であった。また,整復後にDBSとこの床副子にて顎内固定を行い,顎間固定は,まったく行わなかった。顎内固定期間は,92日間で,咬合状態は非常に改善され,予後は良好であった。
著者
小林 弘 川島 康代 竹内 直政
出版者
The Ichthyological Society of Japan
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, pp.153-160, 1970-12-25 (Released:2010-06-28)
参考文献数
17

本研究はコルヒチン処理とair-drying法によりフナ属魚類の体細胞の染色体を観察した.その結果, 金魚, キンブナ, 宮崎系ギンブナ (雄の1個体を除く), ヨーロッパブナ等の染色体数はいずれも100で, 核型分析の結果も一致し, metacentricは10対で20個, submetacentricは20対で40個, acrocentricは20対で40個の染色体よりなり, acrocentricのほぼ5対目の染色体にはsatelliteが認められた.また核学的には雌雄の問では差異は認められなかった.一方関東系ギンブナ30個体中の28個体は染色体数が156で, 核型分析の結果, metacentricが17対で34個, subrnetacentricが31対で62個, acrocentricが30対で60個であった.また残りの2個体では206の染色体数が数えられ, その核型分析の結果は, metacentricに22対で44個, submetacentricに41対で82個, acrocentricに40対で80個の染色体があり, acrocentric中にはsatelliteが認められた.以上の結果より, 関東系ギンブナはフナ属魚類中に生じた3倍体および4倍体に相当するものではないかと考え, これが関東地方のギンブナに雌のみを生ずる原因と関連をもつものではないかと推測した.
著者
小林 弘 越智 尚子 竹内 直政
出版者
The Ichthyological Society of Japan
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.7-12, 1973-06-20 (Released:2011-02-23)
参考文献数
17

Somatic chromosomes of the nigorobuna (C.auratus grandoculis) obtained from Lake Biwa, two local varieties of the nagabuna (C.auratus buergeri) from Lake Suwa and the Hokkaido district, and two local varieties of the ginbuna (C.auratus langsdorfii) from the Okayama Prefecture and Lake Biwa were studied and compared.Chromosome preparations was performed by the same methods previously described (Kobayasi et al., 1970).The results showed that the nigorobuna and nagabuna of Lake Suwa and the ginbuna of the Okayama Prefecture had the same diploid chromosome number of 100.Their karyotypes consisted of 10 pairs of metacentrics, 20 pairs of submetacentrics and 20 pairs of acrocentric elements.There was no morphological difference between the male and female karyotypes. On the other hand, 5 females of the nagabuna collected from the Hokkaido district and 4 females of the ginbuna (hiwara) from Lake Biwa had the chromosome number of 156, consisting of 17 pairs of metacentrics, 31 pairs of submetacentrics and 30 pairs of acrocentrics. The populations of the ginbuna and nagabuna in these regions consisted mostly or almost entirely of females.It was proved from these evidences that the nagabuna and ginbuna with triploid state occur not only in the Kanto district but also in the Hokkaido district and Lake Biwa.These triproid females might be arisen by gynogenesis, as has been reported in the ginbuna obtained from the KantO district by Kobayasi (1971) and Kobayasi and Ochi (1972). [Japan Women's University, Bunkyo-ku, Tokyo, 112, Japan (H.K.and H.O.);National Science Museum, Hyakunin-cho, Shinjuku-ku, Tokyo, 160, Japan (N.T.)]
著者
野口 勝可 中山 兼徳
出版者
The Weed Science Society of Japan
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.233-239, 1979

主要な畑雑草種子の発芽および出芽と水分条件との関係について, 普通作物, 牧草種子と比較, 検討した。<br>1) 土壌水分条件を変えて出芽との関係を検討した結果, 各供試植物とも含水比54.6% (pF 1.5) の条件で最も出芽率が高く, 含水比の低下とともに出芽率も低下し, また平均出芽日数が増加した。土壌水分の低下による出芽率の減少は普通作物より雑草と牧草で著しく, 出芽のための限界的な土壌水分条件は, 含水比で作物では20%前後, 雑草と牧草は25~30%と推定された。なお, 本試験の範囲では, 雑草間の異差についてははっきりしなかった。<br>2) 土壌水分の違いによる出芽率の差異は種子の吸水力が関与しており, グルコースモル濃度により浸透圧を変えて試験した結果, 種子の吸水力は作物で大きく, 雑草と牧草は小さかった。また, 浸透圧の高い条件では草丈・主茎長や根の伸長などの生育も抑制された。<br>3) 圃場において, 地表面 (0~1cm層) の土壌水分は, 灌水後数日で含水比25~30%以下に低下し, 雑草種子の出芽限界以下になるが, それより下層 (1~2cm層) では比較的安定しており, 種子位置のわずかの違いが出芽にとって重要な要因であることが明らかとなった。
著者
村上 雅仁 加藤 順一 高橋 健太郎 前田 慶明 山本 千恵子 細川 晃代 永田 安雄 古川 宏
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.155-157, 2005 (Released:2005-07-27)
参考文献数
9
被引用文献数
3 2

片麻痺を伴う脳血管障害患者200例(男性146例, 女性54例:61±11歳)を対象に,麻痺側と非麻痺側の脈波伝播速度を測定し,運動麻痺が脈波伝播速度に及ぼす影響をみるとともに,機能的自立度評価法(FIM: functional independence measure)による身体活動量との関連について検討した。麻痺側の上腕-足首間脈波伝播速度は非麻痺側と比較して有意に高値を示したが(p<0.0001),脳出血と脳梗塞による病型別および左右麻痺側別では有意差を認めなかった。麻痺側の上腕-足首間脈波伝播速度は年齢と有意に正相関を示し(r=0.56,p<0.05),FIMと負相関を認めた(r=-0.29)。これらの結果より,片麻痺を伴う脳血管障害患者の麻痺側では,非麻痺側と比較して血管の伸展性が低下しているだけでなく,加齢および運動麻痺により身体活動量が低いほど,動脈スティフネスの低下と関連していることが示唆された。
著者
渡辺 紀子 矢部 章彦
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.27, no.5, pp.376-380, 1976

家庭洗濯において, 海水を洗濯用水として用いた場合の洗浄性を人工汚染布および天然汚染布を用いて検討した. 主な結果は次の通りである.<BR>1) 非イオン活性剤を用いた海水洗浄は脱イオン水と同様の洗浄効果が認められた.<BR>2) SDSを用いた場合は, 脱イオン水より, 海水洗浄の方が洗浄効果が認められた.<BR>3) Na-LASを用いた場合は, 海水を20%含む洗濯用水において脱イオン水より洗浄効果が認められたが海水の濃度が高くなると洗浄効果は低下した.<BR>4) Na-LASを含む配合洗剤を用いての海水洗濯は5°DHの水よりやや洗浄力は低下したが, 利用可能であると考えられる.
著者
冨永 和宏 川崎 五郎 松尾 長光 伊藤 道一郎 藤樹 亨 上谷 猛 水野 明夫
出版者
特定非営利活動法人 日本口腔科学会
雑誌
日本口腔科学会雑誌 (ISSN:00290297)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.422-428, 1997

Six cases with severely atrophic edentulous alveolar ridges, in which subperiosteal tissue expander (STE) was used before ridge augmentation with hydroxyapatite-tricalciumphosphate compound (HA-TCP) particles, were presented. In many cases, full inflation of the STEs could be achieved immediately after insertion thereof. One week after full inflation of the STEs, implantation of HA-TCP particles was performed. At that time, relatively firm subperiosteal envelopes were observed. Since the envelopes prevented migration of the particles, secondary vestibuloplasty due to loss of depth of the vestibule was not necessary except for one case that reguired removal of denture fibrosis. In all cases, functional and stable ridges were formed. As for complications, one patient had unilateral paresthesia of the lower lip and another had perforation and dehiscence.