著者
石川 徳久 坂尾 勝彦 松下 寛
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.10, pp.888-892, 1994-10-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
9
被引用文献数
1

試料液のイオン強度調整を必要としないイオン選択性電極を用いた標準液添加法を提示する。体積Vの試料液を,既知濃度(CS1)の定量イオンを含む第1標準液で滴定したのち,一定体積V0の試料液を添加する。引きつづいて第1標準液と同じイオン強度をもつ既知濃度CS2の第2標準液で滴定する。この二つの滴定曲線においてυS2=υS1(V+V0)/V-υS10の条件を満たす第1および第2標準液の滴定体積υS1,υS2対応にした起電力E1,E2をそれぞれ読み取れば,分析濃度Cxはy対Xの直線プロットの勾配から決定される(VS10は第1標準液の最終添加体積である)。〓種々のイオン強度の試料液中の10-3~5×10-5mol・dm-3の範囲のフッ化物濃度を,誤差±O.4%以下,相対標準偏差0.5%以下で定量した。
著者
中島 健次 江草 周三
出版者
The Japanese Society of Fish Pathology
雑誌
魚病研究 (ISSN:0388788X)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.115-120, 1977-09-30 (Released:2009-10-26)
参考文献数
3
被引用文献数
1

1. 鮒糸状虫の母虫は早春にフナの尾鰭鰭条間膜内に出現し,通常,ヘアピン状に折曲して2ヶ所の鰭条間を占有する。2. 母虫の体色はその体腔液によって当初鮮赤色を呈しているが,子宮内の卵が仔虫に発育するにつれ淡桃色に転ずる。3. 子宮内の仔虫が活動し始めると,母虫は尾鰭の基部ないしは後縁から頭端を先にして水中に移行する。4. 水中に露出した部分の虫体は白変硬化して棒状に伸長するが,尾鰭内に虫体尾部が残存している限り仔虫の産出は起らない。5. 尾鰭より摘出した母虫を水中に投じたところ,虫体尾部より脈動が生起し,これが虫体頭部に至った瞬間,子宮の一部が逸出し同時に仔虫が産出された。母虫の尾部には水を感ずる部分が存在するのではないかと考えられる。
著者
磯島 和樹 萩原 将文
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.378-386, 2021-01-15

本論文では,話題語を応答に反映させる話題語Seq2Seqを用いた,共感と助言に着目した自動相談システムを提案する.相談においては相手の感情に共感する発話と,相手に対して情報を与える助言の発話が求められる.提案システムでは相談者の入力文から抽出した感性語や話題語をもとに共感と助言の2つの発話を使い分ける.共感の発話にはテンプレート文を用い,助言の発話には話題語を応答に反映させる話題語Seq2Seqを提案する.話題語Seq2Seqにより,ありきたりな応答を生成しやすい従来のSeq2Seqを改善し,相談内容に関する多様な応答を生成できるようになった.評価実験では,従来のSeq2Seqを用いた相談システムと比較する主観評価実験を行った.その結果,従来システムよりも多様でユーザに寄り添う応答を生成できることが示された.
著者
山本 晶万
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.44, no.8, pp.588-594, 1988
被引用文献数
2

ルーツブロワは容積型のロータリーブロワの一種で、最近では高性能自動車エンジンの過給機(スーパチャージャ)として使われ注目されている。構造が簡単で取り扱い気体に潤滑油が混入しない、回転数にほぼ比例した流量が得られる等の利点がある反面、大きな音を発生するのが欠点で、研究例が少なく発生機構の一部はまだよく分かってない。本研究では、問題になる吸気音をロータ回転角に同期させて、独自に考えたシステムによって3次元瞬間スペクトル解析を行ってその有効性を示すと共に、すでに行った研究で不明であったスペクトルの高域周波数で生ずるブロードピーク音は、ロータクリアランスの漏れ空気が圧力差の上昇によって、特定の回転角で増加してそれが音源になることを明らかにした。
著者
森 正
出版者
Japanese Association of Electoral Studies
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.63-74,178, 1999

本稿では野党各党による連合政権構想に焦点を当て,一党優位制下における政党間の協調と緊張のメカニズムを析出することに目的を置く。具体的には1970年代の社会党による全野党共闘構想への傾斜過程,1980年代の社公合意への転換過程を合理的選択的新制度論の枠組みを通じて再解釈する。<br>本稿の仮説は連合政権協議の展開,社会党の連合戦略の転換とそのタイミングは4つのアリーナにおけるネスト•ゲームとして捉えられるとするものである。第1は与野党の議席比,第2に野党内における社会党の優越性,第3に社会党内に占める労組の影響力,第4に労働運動における官公労と民間労組の主導権争いである。複数のゲームが同時進行する4重のネスト•ゲームの制約の下で野党各党が合理的に行動した結果,連合戦略の転換が行われたと説明する。
著者
雁丸 新一 鄭 仁豪
出版者
障害科学学会
雑誌
障害科学研究 (ISSN:18815812)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.77-89, 2021-03-31 (Released:2021-09-30)
参考文献数
70

本研究では、我が国の聴覚障害教育におけるコミュニケーション手段の全国調査と手話の活用に関する研究を概観し、手話の活用に関する研究の意義と今後の課題について文献的に考察した。その結果、教育の場において手話は中学部・高等部では1990年代、幼稚部・小学部では2000年代以降活用され始め、現在では多様なコミュニケーション手段の1つとして重要な役割を果たしていることが示された。また、手話の活用に関する研究では、幼稚部や小学部の授業、教科では国語科を対象とした実践報告が多いことが明らかとなった。これらのことから、聴覚障害教育における手話の活用、特に、中学部以降のより多くの教科における手話の活用による効果や課題についての研究の蓄積の必要性が示唆された。
著者
林 林
出版者
嘉悦大学
雑誌
嘉悦大学研究論集 (ISSN:02883376)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.75-87, 2007-10-31

初級日本語教育における文型指導は、文の構造理解と生成能力の獲得のため、語彙教育と並んで中心的な位置を占めるものである。従来、「〜に(は)〜がある/いる」と「〜は〜にある/いる」という文型が、いわゆる存在文型のペアとして定着している。しかし、それを導入する際、ほとんどの教科書では単に動詞の「存在」と「所在」という意味合いに着眼点を置き、そして文型間に無関係の語彙を代入して練習するに止まるといえよう。文型の意味づけと、「は」、「が」または「に」を含む名詞句とのかかわり、また文型の提出順序と名詞句との関連性によるアプローチが不充分であり、単なる動詞からの捉えでは、初級学習者の習得には明らかに十分ではないと考えられる。本稿では、主として文の発話前提と名詞句の役割との関係について、変形文法の記述から議論することによって、この二つの文型の意味づけにおける名詞句の関与を考察する。これを踏まえて、文型導入際の文型の提出順序を提案し、教室現場の文型指導に値する手口を探ることを試みたい。
著者
村上 陽介
出版者
大阪市立大学文学部
雑誌
人文研究 (ISSN:04913329)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.p178-189, 1978
著者
狩俣 吉正
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1389, pp.147-150, 2007-04-30

4月22日に投開票が行われた沖縄の参議院補欠選挙で、私は自由民主党と公明党が推薦した島尻安伊子(あいこ)さんに敗れました。 今回の補欠選挙は、2006年11月に行われた沖縄県知事選挙に、参院議員(糸数慶子氏)が出馬したため、その辞職による欠員を受けたものです。
著者
小林 駿 桑原 剛志 川上 萌 能登 文香 天野 雅男
出版者
日本セトロジー研究会
雑誌
日本セトロジー研究 (ISSN:18813445)
巻号頁・発行日
no.30, pp.1-5, 2020 (Released:2020-11-13)

オスのマッコウクジラ(Physeter macrocephalus)は,性成熟前に出自集団を離れてオスだけの群れを形成する.商業捕鯨期には独身オス群と呼ばれる密集したオスの群れについて度々報告がなされたが,近年の調査でオスは一日の大半の時間散開して採餌しており,密集した群れ(クラスター)は滅多に形成しないことが明らかになっている.2019年9月16日,北海道根室海峡にマッコウクジラの大群が来遊した.およそ1海里(1852m)の範囲内にいる約30頭が5分程度の潜水と浮上を繰り返しながら同調的に移動し,浮上時には様々なサイズのクラスターを形成した.この日確認された最大のクラスターは18頭で,根室海峡で調査を開始した2006年以降に目撃されたものの中で最大であった.この日観察した個体はいずれも体長10 m前後で,通常この海域で見られる個体よりも小さく,子連れの個体が見られなかったことから,性成熟前のワカオスだと考えられた.また船上からの観察中,この集団は一般的な水平移動速度よりも速い速度で移動し,メスの群れが捕食者に襲われた際にとるマーガレットフォーメーションに似た陣形を二度に渡って組んだ.今回のように大規模で密集したオスの群れやその行動についてはこれまでに観察例がなく,オスの社会構造を理解する上で重要な知見であると考えられる.
著者
石川 大介 栗山 和子 酒井 哲也 関 洋平 神門 典子
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.73-85, 2010-05-15
参考文献数
19

本研究では,Q&A サイトにおけるベストアンサーを計算機が推定可能か検証した.まず最初に,人間の判定者によるベストアンサー推定実験を行った.ベストアンサー推定実験にはYahoo!知恵袋データを利用し,「恋愛相談」「パソコン」「一般教養」「政治」の4つのカテゴリからそれぞれ無作為抽出した50 問を使用した.判定者二人による推定結果の正解率(精度) は,「恋愛相談」では50%と52%(ランダム推定:34%),「パソコン」では62%と58%(ランダム推定:38%),「一般教養」では54%と56%(ランダム推定:37%),「政治」では56%と60%(ランダム推定:35.8%) であった.次に,この実験結果を分析し,ベストアンサーを選ぶ要因として「詳しい」「根拠」「丁寧」を素性とする機械学習システムを構築した.判定者らと同じ50 問を用いた推定実験の結果,機械学習システムの精度は,「パソコン」では判定者らの結果を上回り(67%),「恋愛相談」では判定者らの結果を下回った(41%).「一般教養」と「政治」では機械学習システムと判定者らの結果はほぼ同等であった.
著者
井ノ崎 敦子
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
日本心理学会大会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.84, pp.PS-004-PS-004, 2020

<p>本研究の目的は,学生相談における恋愛相談の実態を把握することである。全国の大学786校の学生相談機関の学生相談従事者を対象に実施した。欠損値のない回答者は101名となり,女性が男性よりも多く(女性74名,男性27名),カウンセラーが最も多かった(73名,72.3%)。また,約8割の者が恋愛相談を経験しており,恋愛相談を経験している者が未経験者よりも多かった。さらに恋愛相談者では,女子学生が男子学生よりも多かった。そこで女子学生の恋愛相談事例を分析したところ,恋愛関係進展度別では,恋愛関係継続時における恋愛問題での相談が最も多く,全体の38.8%を占めていた。また,恋愛相談に関する学生相談従事者の意見や感想では,恋愛問題の背景理解の重要性を訴える内容の記述が多く見られた。これらの結果から,恋愛相談のために学生相談を利用する学生が多く存在する中で女子学生のほうが多かった理由として,自己感の安定と恋愛状況との関連が強いことが影響していると推察された。また,学生相談で恋愛相談に対応する際,単なる表面的対処だけでなく,来談学生の人生課題にも焦点を当てることの重要性が示唆された。</p><p> </p><p>演題名訂正</p><p>(誤)</p><p>学生生相談における恋愛相談に関する実態調査</p><p>(正)</p><p>学生相談における恋愛相談に関する実態調査</p>
著者
石川 大介 酒井 哲也 関 洋平 栗山 和子 神門 典子
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.362-382, 2011-09-27
参考文献数
24
被引用文献数
1

コミュニティ型質問応答サイト(CQA)は,ユーザが自身の状況に応じた情報を得ることができる新たな手段である.しかし投稿された回答の質は様々であるため,その中から良質な回答を選択する方法が求められている.そこで本研究は,まず Yahoo!知恵袋データにおける良質回答を人手で分析し,その結果に基づいて良質回答自動予測システムを構築した.具体的には,「恋愛相談」「パソコン」「一般教養」「政治」の4つのカテゴリからそれぞれ無作為に50問の質問を抽出し,判定者2名によって手作業で良質回答を決定した.次に,その結果を分析し,良質回答の特徴として「詳しさ」「根拠」「丁寧さ」に基づく機械学習システムを構築した.機械学習システムの評価結果は,「パソコン」と「一般教養」カテゴリでは判定者らを上回った.「恋愛相談」と「政治」カテゴリでは,機械学習システムの評価結果は判定者らとほぼ同じであった.以上の結果から,CQAアーカイブから自動的に良質回答を発見するシステムの可能性が示唆される.
著者
山口 浩樹 小松 真成 佐伯 裕子
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.92, no.4, pp.552-555, 2018-07-20 (Released:2019-11-02)
参考文献数
13

A 69-year-old woman received a diagnosis of multiple abscesses. Abscess drainage was performed, and methicillin-susceptible Staphylococcus aureus was isolated from blood and pus cultures. On post-operative day 4, she developed proteinuria and haematuria. She also complained of abdominal pain, and areas of purpura were seen over her extremities. CT scans showed ascites and ileum wall thickening. Leukocytoclastic vasculitis was observed on skin biopsy. Findings on renal biopsy were compatible Immunoglobulin A(IgA) nephropathy, therefore we diagnosed her illness as IgA vasculitis. She recovered following administration of antibiotics and steroids. The genes encoding for staphylococcal enterotoxin E and staphylococcal toxic shock syndrome toxin-1 were detected on the pathogen. Staphylococcal enterotoxins might have been involved in the pathogenesis of IgA vasculitis. Clinicians should bear IgA vasculitis in mind if patients with S. aureus infection develop abdominal pain, urine abnormality, and purpura.