著者
橋本 修 須賀 良介
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.J107-C, no.1, pp.2-8, 2024-01-01

電波環境の悪化にともない,電波吸収体には吸収特性のみならず付加価値として,薄型化,軽量化,透明性,加工性などが要求されている.WPT (Wireless Power Transfer) 分野においても室内で,反射や透過を繰り返すことで多数の伝搬経路が形成されることから生じる室内の電波環境の悪化を良好にすることが要求されている.本論文では,このような目的で室内用の電波吸収体として,発泡剤を用いた軽量電波吸収体,分割導電膜(DCF: Divided Conductive Film)を用いた薄型電波吸収体,円形パッチを配列した超薄型電波吸収体,導電紙を用いた電波吸収体など代表的な研究例について解説する.
著者
森 晶子 清水 佑輔
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S47076, (Released:2023-07-21)
参考文献数
7

2021年4月に,東京大学先端科学技術研究センターの中に発足した「先端教育アウトリーチラボ(AEO)」では,主に高校生以下を対象に,多様な教育実践に取り組んでいる.その教育実践の一つに,全国の高校等による個別の希望に応じ,先端研で取り組まれている学際的な研究内容に関して,当該研究が行われている場で,研究者及び大学院生等と生徒が対話し学びを深める「先端研リサーチツアー」がある.本研究では,このような体験によって,高校生がどのような学びを得ているのか,アンケート結果から分析した.その結果,相当数の生徒が,教科や科目の枠組を超え,教科横断型で文理融合的な視座を得たことが示唆された.
著者
田嶋 晶子 鈴木 克明 戸田 真志 合田 美子
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S47118, (Released:2023-11-24)
参考文献数
7

本研究は,スイスの語学学校における旅行の日本語コースを,旅行の文脈を残しながら日本文化を中心に学ぶコースへと改善することを目的とした.コースはゴールベースシナリオ(GBS)理論に沿って設計・開発し,その妥当性と有用性を検証した.その結果,eラーニングの主教材であるストーリー型教材のみの文化学習では中程度の学習効果となり,ストーリー型教材と課題,授業への参加,振り返りを組み合わせたブレンド型学習では高度な学習効果があげられることが示唆された.また,ストーリー型教材による疑似体験は学習の魅力を向上させられることが示唆され,教材を続けることに対して積極的な態度を育てられたことも示唆された.
著者
上岡 伸 中藤 路子
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.47087, (Released:2024-01-09)
参考文献数
44

本研究の目的は,学校事務職員を対象に企画された研修プログラムによって,所属校の業務改善に向けた自己調整学習が促進されるかどうかを検証することである.研修プログラムには学習者中心のデザインが取り入れられ,研修のタスクは,事前学習・業務改善の取組・成果報告会で構成された.そして4か月の研修期間中,それぞれ異なる学校に勤務する受講者たちは,6・7名の研修チームとなって互いにメンタリングを行いながらタスクを遂行した.5時点の縦断的調査から有効な26名分の回答が得られ,分散分析の結果,研修期間を通じて職場における自己調整学習は大きく促進されていた.ただし,研修終了後2か月経過時点での有意な逆戻りも見られ,研修前時点と比較すると差の効果量は中程度であった.
著者
山口 剛司 高崎 恭輔 鈴木 俊明
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.37 Suppl. No.2 (第45回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.A3O2045, 2010 (Released:2010-05-25)

【目的】足部不安定性に対する運動療法は、閉鎖性運動連鎖でのエクササイズが有用であると考える。なぜなら実際の動作と類似した肢位でのエクササイズは、安定した動作を遂行するための機能的な筋活動を獲得できるからである。我々は第44回本学会において、片脚立位での一側下肢の運動課題時に生じる支持脚足部内のCOP変化と足部周囲筋群、膝屈筋群の筋活動について報告した。その結果、運動課題に伴うCOP移動は一定の傾向を示し、COP移動方向と筋活動には、次のような傾向を認めた。足部周囲筋群では、COP移動方向により腓骨筋と後脛骨筋の筋活動が明確に切り換る場合や同時活動する場合を認め、膝屈筋群ではCOP移動方向により大腿二頭筋と半膜様筋は明確に切り換る場合を認めた。この結果から膝屈筋群は、主に膝関節の回旋運動の制御に機能することが考えられた。しかしながら一般的には膝伸筋群が、膝関節の安定性に関与すると考えられるため、同運動課題における膝伸筋群の機能を把握する必要があると考えられた。そこで今回は、同運動課題でのCOPと足部周囲筋群、膝屈筋群に加え、膝伸筋群の筋電図評価を実施したので報告する。【方法】対象は、整形外科的・神経学的に問題のない男女7名(平均年齢29.7±3.7歳)の支持脚7肢とした。方法は、被験者に重心計のプレート上で片脚立位をとらせ、非支持脚下肢での運動課題を行わせた時の支持脚の筋電図ならびにCOPを記録した。支持脚は、股関節・膝関節を各々30゜屈曲位と規定した。筋電図では、支持脚の腓骨筋、後脛骨筋、半膜様筋、大腿二頭筋、内側広筋、外側広筋の筋活動を記録した。運動課題の開始肢位は、立位の状態から非利き足側(以下、運動側)下肢の足底が接地しないよう前方で空間保持した状態とした。運動課題は、開始肢位より運動側股関節を内転する課題を内側運動、外転する運動を外側運動とした。なお下肢の運動と筋電図記録、COP記録を同期するためにフットスイッチを運動側の母趾と小趾に配置し、内側運動、外側運動の両端に台を設置してスイッチと接触させた。運動課題の施行は開始肢位より内側運動から行い、外側・内側の3回の運動を1施行として、各被検者で3施行測定した。分析方法は、運動課題中のCOP軌跡の時間的変化とそれに伴う導出筋の筋活動パターンを分析した。【説明と同意】各被験者には本研究目的と内容について十分に説明を行い、同意を得た後に測定を実施した。【結果】 運動課題時のCOPは、内側運動課題中は小趾側方向へ移動し、外側運動課題中は母趾側方向へ移動した。一方筋電図では、次のような傾向を認めた。まず足部周囲筋群では、COPの移動方向により腓骨筋と後脛骨筋の筋活動が明確に切り換る場合や、後脛骨筋が持続的に活動する場合が見られた。具体的には、COPの小趾側移動中には後脛骨筋が活動し、母趾側移動中には腓骨筋の活動を認めた。次に膝屈筋群は、COPの小趾側移動中には半膜様筋が活動し、母趾側移動中には大腿二頭筋の活動を認め、COPの移動方向により両筋の明確な切り換りを認めた。膝伸筋群では、外側広筋がCOPの移動方向に関わらず持続的な活動を認め、内側広筋はCOPが母趾側移動中に活動する傾向を認めた。【考察】本運動課題中の足部周囲筋群では、先行研究と同様に腓骨筋と後脛骨筋の活動が切り換ることによりCOPの移動を円滑にすると考えられる。この中でも後脛骨筋が持続的な活動を認める場合は、課題中にCOPの移動が不安定な場合に生じる傾向が見られた。この時後脛骨筋は、足部内側の剛性を形成し足部安定化作用を担うため、運動課題時の足部不安定性を補償する目的で持続的に活動したと考えられる。次に膝伸筋群では内側広筋がCOP母趾側移動中に活動を認めた。COP母趾側移動中は、下肢では股関節屈曲位での軽度内転、膝関節屈曲位での外反外旋運動が観察される。このアラインメントでは膝外反外旋運動により、膝蓋骨は外方へ移動する力が生じる。この時内側広筋は、外側広筋との同時活動により膝蓋骨の外方移動を制動すると考えられる。内側広筋は、この膝蓋骨の外方移動を制動し、膝蓋骨を介して間接的に膝外反外旋運動を制動するのに最も効率の良い筋走行であると考える。そのためCOP母趾側移動中には、内側広筋が活動したと考えられる。【理学療法学研究としての意義】 足部不安定性に対する運動療法は、閉鎖性運動連鎖でのエクササイズが有用であると考える。本運動課題では、安定した姿勢を保持し、支持脚のCOPが円滑に移動するには、足部周囲筋群に加え膝周囲筋群の筋活動により下肢アラインメントを制御することが必要となる。また本運動課題はサイドステップやクロスオーバーステップ動作の肢位と類似することから、これら動作練習の前段階のエクササイズとして有用であると考える。
著者
小川 萌日香 桃井 綾子
出版者
The Cetology Study Group of Japan
雑誌
日本セトロジー研究 (ISSN:18813445)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.15-23, 2023-11-20 (Released:2023-11-30)

視覚機能には種ごとに異なった特徴があり,生息環境に適応していく中で独自に進化してきた.動物が視覚的に物体を弁別する際,形状や明度を総合的に使用する.本研究では,ゼニガタアザラシ(Phoca vitulina)5個体に対して実験を行い,水陸両棲のアザラシは2つの情報を使ってどのように物体を弁別しているのか明らかにした.アザラシはまず,暗い灰色の丸型オブジェクト(正解のオブジェクト)と明るい灰色の三角型オブジェクトを見分けるトレーニングに参加した.その後,トレーニングで使用したオブジェクトに2つの新規オブジェクトを追加し,計4つのオブジェクトを使用して実験を行った.実験では,4つのうち2つのオブジェクトをアザラシに対して同時に呈示し,どちらのオブジェクトを選択するかを調べた.その結果,ゼニガタアザラシは明度よりも形状の情報を用いてオブジェクトを弁別していることが示唆された.形状を頼りに弁別するアザラシの物体認知のプロセスは,光の少ない水中環境に適応した結果である可能性がある.
著者
水野 湧太 熊谷 正芳 田邉 晃弘 新部 純三
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
pp.23-00242, (Released:2024-01-11)
参考文献数
11

Since it is known that tensile strength and hardness are roughly proportional, a hardness test is often used as a simple and substitute test. However, it has been reported that the proportional relationship between tensile strength and hardness is broken above 595 HV (≈55 HRC). Besides, there are few examples of mechanical properties determined by compression tests despite the fact that high-hardness and high-strength materials subjected to significant compressive stress are used in machine element parts, e.g. bearings. Tensile strength is used instead of compressive strength for the design. Thus, the relationship between hardness and compressive strength in hard materials, quenched medium carbon steel, was revealed. The compressive strength at 8% plastic strain (compressive strength) was almost the same as the maximum compressive strength. The compressive strength and hardness were at their maximum in the as-quenched specimen and decreased with the increase in tempering temperature. The compressive strength and hardness had a linear relationship up to 2000 MPa similar to the relationship of tensile tests. However, the compressive strength increased slightly in relation to the hardness above 2000 MPa in contrast to tensile tests. Thus, the work-hardening index was introduced as a variation parameter to the function that expresses the relationship between compressive strength and hardness to obtain better estimation. The estimated compressive strengths using the work-hardening index are agreed well to the experimental results.
著者
金子 博和 江畑 智希 横山 幸浩 伊神 剛 山口 淳平 梛野 正人
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.77, no.8, pp.2048-2052, 2016 (Released:2017-02-28)
参考文献数
10

症例は65歳,男性.肝S6の限局性肝内胆管拡張を認め当院紹介.ERCPではB6の限局性胆管狭窄と末梢の胆管拡張を認めたが,CTでは腫瘤像を認めなかった.ENBDをB6に留置し,6回胆汁細胞診を提出したがいずれも悪性所見を認めなかった.PET-CTでも異常集積を認めなかったため,炎症性胆管狭窄と考え経過観察となった.その後,徐々にCA19-9が上昇し,腹部CTで肝S5/6の腫瘤性病変が顕在化してきたため,初回受診時から11カ月後,肝後区域切除を施行した.病理組織学的所見は中分化管状腺癌であった.肝内胆管拡張のフォローアップの重要性を改めて認識した1例を経験したので報告する.
著者
櫻谷 あすか 今村 幸太郎 川上 憲人
出版者
公益財団法人 産業医学振興財団
雑誌
産業医学レビュー (ISSN:13436805)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.188-212, 2024-01-01 (Released:2024-01-01)

労働者を対象としたデジタル技術を用いた精神健康の測定、予測、介入に関する研究およびサービスの質保証について文献レビューにより現状と課題を整理した。デジタルメンタルヘルスに関する研究は増えており、デジタル技術による介入の精神健康への効果が明らかになっていた。一方、精神健康の予測および介入の実装に関する研究は不足していた。またサービスの情報開示や質保証の枠組みを整えることが必要と考えられた。
著者
村山 良之 黒田 輝 田村 彩
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2018年度日本地理学会秋季学術大会
巻号頁・発行日
pp.68, 2018 (Released:2018-12-01)

自然災害は地域的現象であるので,学校の防災教育(および防災管理)の前提として学区内やその周辺で想定すべきハザードや当該地域の土地条件と社会的条件を踏まえることが必要である。災害というまれなことを現実感を持って理解できるという教育的効果も期待できる。福和(2013)の「わがこと感」の醸成にもつながる。 学校教育において,児童生徒に身近な地域の具体例を示したりこれを導入に用いたりすることは,ごく日常的である。しかし,山形県庄内地方では,新潟地震(1964年6月16日,M7.5)で大きな被害を経験したが,多くの教員がこのことを知らず,学校でほとんど教えられていない。発災から約50年が経ち,直接経験の記憶を持つ教員が定年を迎えており,教材開発が急務であると判断された。そこで,既存の調査記録(なかでも教師や児童生徒,地域住民が記した作文等)および経験者への聞き取り調査を基に,当時の災害を復元し,それをもとに教材化することを目指した。庄内地方における1964年新潟地震災害の復元 鶴岡市においては,被害が大きい①京田地区②大山地区③西郷地区④上郷地区について調査した。①と②について記す。 ①京田地区は,鶴岡駅の北西に位置し,集落とその周辺は後背湿地である。小学校の校舎を利用して運営されていた京田幼児園では,園児がグラウンドへ避難する際に園舎二階が倒壊し,保母と園児16名が下敷きとなった。学校職員をはじめ,地域住民やちょうどプール建設工事を行っていた従業員によって13名が救出されたが,3名の園児が亡くなった。当時の園児Sさんは,倒壊部分の下敷きとなったうちの1人である。逃げる途中に机やいすから出ていた釘で左の頬を切った。自分もグラウンドに逃げたかったが,体が倒壊した建物にはさまれて動かず,「お父さん!お母さん!」と叫んで助けを求めるしかなかった。その後泣き疲れて眠ってしまい,気付いた時にはすでに救出されていたそうだ。 ②大山地区は,鶴岡市西部に位置する。地区の西部は丘陵地,東部は低地である。町を横断するように大戸川と大山川が流れており,当時の市街地は大戸川の自然堤防上にあった。ここは家屋被害が鶴岡市でもっともひどく,道路に家が倒壊したものもあった。家を失った人々は公民館や寺の竹藪,旧大山高校などで数日間生活した。大山は酒造業が盛んで,醤油作りも行われていたが,これらの被害も大きかった。酒造会社のWさんによると,町中を流れる水路に酒が流れ込み,酒と醤油の混ざり合った異臭が数日間消えなかったそうだ。大山小学校においては,明治時代に造られた木造校舎の被害が大きかった。当時3年生だったOさんの話によれば,教室後方の柱が倒れてきたとのことだった。大山小学校ではちょうど3日前の避難訓練の成果がでて,職員と児童全員がけがすることなく避難することができた。 酒田市においては,既存文献で被害の大きい①旧市街地②袖浦・宮野浦地区の2地域について調査した。うち①について記す。 ①旧市街地は最上川右岸の砂丘とその周辺に位置する。水道被害が深刻でとくに上水道の被害が大きく,6月17~19日にかけて完全断水となった。その間は自衛隊の給水車で水を賄っていた。酒田第三中学校で2年生の女生徒がグラウンドに避難する途中に,地割れに落ちて圧迫死した。グラウンドには,何本もの地割れが走り,そこから水が噴き上げため,落ちた生徒の発見が遅れた。犠牲者と同学年のIさんの話によると,校庭でバレーボールをしている際に地震が起こった。先生の指示で最上川の堤防に逃げようとした時,グラウンドにはすでに地割れが起こっていた。地割れが自分に向かって走ってきた恐怖は,今でも地震の際に思い出すそうだ。水道管の被害,グランドの地割れや憤水から,酒田では広域にわたって激しい液状化が発生したことがわかる。新潟地震の教材化 現行の小学校社会科学習指導要領では,3年「市の様子」,「飲料水・電気・ガス」,4年「安全なくらしを守る」,「地域の古いもの探し」,5年「国土と自然」,6年「暮らしと政治」の各単元で,上記結果を用いた授業展開が考えられる。このうち3,4年社会科では地元教育委員会作成の副読本を用いることが一般的である。鶴岡市と酒田市の現行副読本には新潟地震災害は含まれていないため,これに追加可能な頁を,上記の研究成果を基に試作した。 鶴岡市教育委員会では,次期改訂で新潟地震を取り上げることとし,2018年度から検討を開始した。以上の研究成果が次期副読本に活用される見通しである。
著者
安藤 明美 今井 鉄平 田中 千恵美 富田 さつき 鈴木 富雄
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.162-164, 2023-12-20 (Released:2023-12-27)
参考文献数
5

日本では産業保健へのアクセスが困難な人たちへの産業保健の提供は不十分だが,健康問題の最初の相談先となり得るプライマリ・ケア医から産業保健サービスが提供されることは,解決策の一つとして期待される.しかし,プライマリ・ケア医の産業保健に対する意識は十分とはいえない.このため,我々は各種教育・啓発活動を2021年4月より行ってきた.今回の報告でプライマリ・ケア医の産業保健への意識が高まることを願っている.
著者
奥迫 優 岡 浩平
出版者
日本ベントス学会
雑誌
日本ベントス学会誌 (ISSN:1345112X)
巻号頁・発行日
vol.78, no.1, pp.1-12, 2023-12-25 (Released:2024-01-06)
参考文献数
37

Shoreline topography is believed to affect the physical environment of tidal flats and composition of benthic animals. Different degrees of topographic openness on tidal flats are expected to alter the feeding modes and life forms of the benthic organisms that inhabit them. We investigated the distribution of tidal flat benthos, blow-off distance(Fetch)as topographical openness, grain size, and the elevation on tidal flats on islands in the Seto Inland Sea. In total, 135 macroscopic benthic animals were identified. Fetch was weakly correlated with the silt-clay content and elevation. Nonmetric multi-dimensional scaling(NMDS)ordering of species compositions with a frequency of occurrence of 5% enabled the construction of a two-dimensional plot of the NMDS related to with the fetch and the elevation. The median grain size, silt clay contents, and ignition loss also showed relationships with the plot, although the effective directions on the plot were different from those of the fetch and elevation. Deposit & Filter-feeding and epifaunal species were positively and negatively correlated, respectively, with the first axis. Filter-feeding and infaunal species were also positively and negatively correlated, respectively, with the first axis and were also correlated with the second axis. These relationships suggested that the Deposit & Filter-feeding and epifaunal species are more likely to occur on closed tidal flats characterized by finer grain sizes and higher organic contents. In addition, filter-feeding and infaunal species became more abundant as the grain size increased. Therefore, the topographic openness of tidal flats allowed us to predict the environments of tidal flats and the functional taxonomy type of dominant macrozoobenthos in their habitats.