著者
百瀬 泰行
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.337-344, 2015-12-31 (Released:2016-01-26)
参考文献数
10
被引用文献数
1

気管支喘息,COPD(Chronic Obstructive Pulmonary Disease)の薬物治療において吸入薬は中心的な治療薬であり,治療効果をあげるには適切な吸入指導が必要となる.吸入指導は,単に吸入薬の操作や吸入動作を説明するのではなく,治療効果ならびにアドヒアランス向上を目指すことを念頭におき指導内容を考える必要がある.そのためには,少なくとも,吸入薬の重要性の説明,吸入操作指導,吸入動作指導,副作用防止についての説明は必須である.これら項目を適正に,かつ指導に関わる多くの医療職種間で連携しながら実施してくことが重要である.
著者
今堀 誠二
出版者
社会経済史学会
雑誌
社会経済史学 (ISSN:00380113)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.419-451, 1942
著者
三田村 仰 松見 淳子
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.257-270, 2009-09-30 (Released:2019-04-06)
被引用文献数
2

発達障害児の保護者は子どもが通う学校の教師に対し、しばしば子どものニーズに応じた支援について依頼・相談を行う。より円滑で効果的な教師とのコミュニケーションを目指し、5名の発達障害児の保護者を対象に機能的アサーション・トレーニング(以下、トレーニング)を行った。トレーニングは、間接表現をも丁寧な自己表現として教える機能的アサーションの枠組みに基づいていた。保護者から得たアセスメント結果をもとに、トレーニングでは、保護者から教師への機能的なコミュニケーションを目標として、参加者に丁寧な表現と具体的な表現のスキルをトレーニングした。トレーニング効果は、担任教師との面談場面をイメージしての面談ロールプレイ・アセスメントをもとにABデザインで評価された。その結果、5名の参加者いずれも介入期においてべ一スライン期よりも丁寧で具体的な依頼・相談を行っており、介入期の依頼・相談がべ一スライン期の依頼・相談よりも望ましいと現役教師によって評定された。
著者
山添 康 永田 清
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.103-112, 2002-03-10 (Released:2008-12-26)
参考文献数
11

Genetic polymorphism of drug metabolizing enzymes such as cytochrome P450 influences individual drug efficacy and safy through the alteration of pharmacokinetics and disposition of drugs. Considerable amounts of data are now accumulated for allelic differences of various enzymes. Here, current understanding of genotype information is summarized for their use on individual optimization of drug therapy.
著者
山崎 孝史
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Ser. A (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.74, no.9, pp.512-533, 2001-09-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
135
被引用文献数
2

本稿は, 1980年代以降の英語圏の研究動向に即して,グローバル化,国民国家,そしてナショナリズムの関係を理解するための地理学的視角について検討する.グローバル化に伴う昨今の動態的な政治・経済・社会的変化は,一方において国家の基盤である主権,領土,あるいは国民的均質性を問題化し,他方においてナショナリズムに喚起された新国家形成や国家分裂という事態を招いている.本稿はまず,こうした一見矛盾した世界政治の現状を最近の研究を通して把握し,国民国家とナショナリズムの今日的意味を理論的に検討する.次に,ナショナリズムの現代的諸理論を近代主義アプローチを中心に論評する.最後に,ナショナリズムを領域的視点から検討することの有効性を,中心-周辺関係,領域的アイデンティティ,地理的スケールの三つの空間的概念を基に考察する.これらの考察を通して,グローバル化時代における国民国家とナショナリズムに関する政治地理学的研究の方向性を提示する.
著者
蓮池 穣
出版者
北海道社会学会
雑誌
現代社会学研究 (ISSN:09151214)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.83-98, 1997-06-30 (Released:2010-07-30)
被引用文献数
1

戦後の北海道民の投票行動は,国政選挙についてみても,全国の平均値から大きくずれていた。自民党と社会党への投票がほぼ拮抗し,さらにこの二政党への投票が,全投票のなかできわめて大きな割合を占めていた。特に社会党の得票率では,1958年以降全国的に大きく下降したのに対し,北海道での下降は目立つほどのものではなかった。このため北海道は,「最後の社会党王国」ともいわれた。北海道に在住する大学関係者による投票行動調査は,1953年から断続的ながら続けられてきた。これらの調査では,それぞれ大なり小なりに,なぜ北海道が「社会党王国」であり続けているのかが,問題関心として共有されてきたといえる。1970年以降,コンピュータの利用も含めての調査技術の発達に加え,本州各地域での調査も活発に行われるようになり,「北海道の特殊性」もかなり具体的に検証が可能になったといえる。この課題のためには,自民,社会両党の支持者の政治的意見,所属団体,投票政党とその変動,支持の強さ,生活満足度,拒否政党などについて,多面的かつ継続的な調査・分析が必要であった。また,調査結果の解釈では,論者によって異なるところもあろう。筆者は,この「北海道の特異性」を,北海道における政党と政党支持者のかかわりのゆるさ(ルーズなかかわり)から説明した。これは,北海道における社会関係の特性ともかかわっていよう。
著者
鈴木 慎太郎 中村 陽一 西岡 清 足立 満
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.593-597, 2007-06-30 (Released:2017-02-10)
参考文献数
12

症例は30歳の男性.アワビの貝殻に盛られた魚の刺身を食べた直後にアナフィラキシーショックを認めた.以前にもアナフィラキシーショックの既往があり,いずれも海産物を摂取した後に発症していた. CAP-FEIAでホタテと牡蟻で陽性を示し,貝類をアレルゲンとして疑った.そこで市販のアレルゲンエキスによる皮膚試験に加え,種々の貝類を用いたprick by prick testを施行した.その結果アワビのみで陽性を示し,貝殻に残っていたアワビの成分が付着した刺身の摂取が今回のアナフィラキシーショックの原因であると考えた.臨床検査に項目がない,あるいは皮膚試験用エキスが国内で販売されていない食材がアレルゲンとして疑わしい場合や,事情により負荷試験ができない場合にprick by prick testは外来診療で実施可能かつ有用な検査方法と考える.
著者
蓑田 和麻 阿内 宏武 川頭 信之 石川 信行
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

Webサイトを運営する企業にとって、サイトを訪れたユーザの状況に応じた適切なコミュニケーションが必須である。その戦略の1つとして、ユーザ行動のレコメンドが考えられる。しかし検索条件の選択のような、Webサイト上のコンバージョン(例:予約ページ、購入ページなど)と直接関連しないユーザ行動をレコメンドする場合、従来の教師あり学習を用いた最適なユーザ行動の導出は困難であった。本研究では、深層強化学習を用いて上記問題を解決し、実際のユーザのWebアクセスログを用いた実験によりその有効性を示す。
著者
植田 めぐ美 Megumi UEDA ウエダ メグミ
出版者
総合研究大学院大学文化科学研究科 / 葉山町(神奈川県)
雑誌
総研大文化科学研究 = Sokendai review of cultural and social studies (ISSN:1883096X)
巻号頁・発行日
no.15, pp.65-86, 2019-03-31

本稿では、16世紀ブラジルにおいて、イエズス会が行ったトゥピ語による宣教活動と先住民のシャーマンが先導した抵抗運動を取り上げ、両者を比較することで、シャーマンがどのようにキリスト教を解釈していたのかを再構成することを目的とする。ブラジルにおける宣教活動は1549年にイエズス会によって開始された。初期の活動はトゥピ語系諸語を話す先住民が暮らしていた沿岸地域で行われた。自文化とは全く異なる文化に属する人びとへの宣教は困難であり、宣教師は直面した現実に応じて新しい宣教方法を模索してゆかなくてはならなかった。困難のひとつはキリスト教の教義をトゥピ語へ翻訳する作業であった。この言語にはキリスト教的要素を表す語が欠如しており、その解決策として、宣教師は先住民の文化的要素を転用した。例えば、キリスト教の唯一神には雷を象徴する神話的英雄を指すトゥパンという語が転用された。ポルトガル人が砂糖産業を発展させてゆくと、強制労働や伝染病が先住民を苦しめた。さらに、宣教師によって先住民の文化や慣習は否定された。このような現実から解放されるため、先住民はシャーマンが先導する抵抗運動に加わるようになった。この運動はポルトガル人に「聖性」と呼ばれた。「聖性」運動に見られる特異性は、シャーマンが「教皇」や「神の母」といったキリスト教の人物を自称するなど、キリスト教を排除することが目的であるにもかかわらず、運動の基盤となっているシャーマニズムの儀式にキリスト教の要素が転用されていることである。宣教師は、「聖」の概念を表すため、シャーマニズムの能力を意味する「カライーバ」という語を用いたが、トゥピ語に翻訳されたキリスト教において、「カライーバ」はキリスト教的領域を指す「真の聖」もシャーマニズム的領域を指す「偽りの聖」も意味する語として使用された。その結果、トゥピ語のキリスト教からは完全にシャーマニズムが排除されずに、先住民がシャーマニズムに沿ってキリスト教を再解釈する可能性を与えてしまった。ゆえに、シャーマンは「教皇」や「神の母」から宣教師に打ち勝つことのできるシャーマニズムの力を見出し、これらを「聖性」運動に取り入れたと考えられるのである。
著者
市原 利彦 川瀬 正樹 長谷川 隆一 中島 義仁 丹羽 雄大 佐々木 通雄 西村 正士
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.7, pp.448-452, 2013-07-15 (Released:2013-10-16)
参考文献数
10

ナイフによる穿通性外傷の中で内胸動脈損傷は鋭的損傷の多い欧米では少なくないが,国内の報告は少ない。今回受傷機転が刺創の21歳の男性が独歩で来院し,救急外来(emergency room: ER)でショックとなり,primary surveyのみでCT等の検査を施行することなく手術に踏み切った。肺損傷を伴った内胸動脈損傷(完全断裂)による左側の大量血胸であり,胸骨正中切開のアプローチにて緊急手術を行い,救命できた症例を経験した。内胸動脈損傷によるショックに対する治療法は種々なものがあり,手術治療,血管内治療(塞栓術),保存的など施設により対応は異なる。本症例に対し,二次救急医療施設における外傷対応の一貫として,JATECの概念の導入により適切な初期治療を行い,preventable trauma deathを回避できたことからその意義は大きいと考えられる。
著者
廣岡 守穂
雑誌
中央大学政策文化総合研究所年報 (ISSN:13442902)
巻号頁・発行日
no.21, pp.133-148, 2018-08-23

The world of Edo Chinese poetry did not expect poets will change himself or poets will challenge to change the society. The new-style poetry movement which began in 1880's was a movement aiming at a change of form and substance of poetry. But their original purpose was not achieved. In 1880's The Freedom and People's Rights Movement was going on simultaneousuly. The Freedom and People's Rights Movement was not only a political movement but also a cultural movement. They introduced public speeches, newspapers, songs of political argument, political novels and political epic poetry. Under the indirect influence of the movement naniwa-busi reciting appeared in 1900's and it became the most popular art of entertainment in the pre-World War Ⅱ period.
著者
日比野 友亮 中村 亨 木村 清志
出版者
日本動物分類学会
雑誌
タクサ:日本動物分類学会誌 (ISSN:13422367)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.48-53, 2017-02-28 (Released:2017-02-28)
参考文献数
9

A specimen of the tilefsh, Hoplolatilus fourmanoiri Smith, 1964 was collected from off Amitori Bay, Iriomote Island, Yaeyama Islands of the Ryukyu Islands, Japan. It represents the northernmost record for the species and the first record of the species from Japan. Hoplolatilus fourmanoiri can be distinguished from its congeners by the following combination of characters: caudal fin not forked; pointed spines located at corner of the preopercle and the mid-posterior margin of the opercle; maxillary broad, its maximum depth almost equal to diameter of pupil; ctenii of scales prominent; a large dark blotch located at posterior tail to caudal fin; a yellow band running from head to shoulder. The present specimen has a slightly deeper head (69.7% of head length vs. 62–68%) and more scales below lateral line (42 vs. 34–41) than other specimens, but these differences are insignificant. The dark posterior blotch of the present specimen is paler and more yellowish than the previous report, however the body coloration of the Japanese specimen is paler, which we feel is due to the condition of the specimen. The shape of the caudal fin of H. fourmanoiri was formerly described as truncate with dorsal produced. We described it as shallow double truncate. A new standard Japanese name “Hotarubi-sango-amadai” is proposed for the species.
著者
吉野 樹
出版者
公益社団法人 日本義肢装具士協会
雑誌
POアカデミージャーナル (ISSN:09198776)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.193-196, 2018 (Released:2019-02-15)
参考文献数
20

我が国における義肢装具の黎明期を支えるなど、奥村済世館の功績は非常に大きい。しかし、その命名者については、川村一郎の文献に「明治36 年に当時の陸軍第4 師団軍医部長の命名により「済世館」を公稱する。」との記述があるものの、その詳しい人物像については当該の文献にも他の先行研究にも記載がなかった。筆者はこの点に注目し、命名者の氏名や経歴などの詳しい人物像を明らかにすることを目的に調査した。文献調査の結果、命名者は谷口謙であろうことが導かれた。谷口についても調査し、記載した。同館に関する情報の混乱を整理しなければならないことが今後の課題であり、調査を継続する必要がある。