著者
山口 隆英
出版者
兵庫県立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

日本企業が海外進出する市場として新興国が重要になっている。新興国は、これまで生産拠点であったが、市場ではなかった。新興国の経済成長に合わせて、新興国の市場としての重要性が高まってきた。新興国を市場として利益を上げることが課題となっている。その課題に対して、日本企業にはどのような組織能力が必要とされるかを検討することが本稿の課題である。この課題のキーポイントは、従業員の長期的な雇用を実現することによって、現地でつくり販売するというビジネスモデルを構築することであった。長期雇用にむけて、将来のキャリアパスの明確化が必要であった。この点については、今回の研究では十分に議論されず、今後の課題である。
著者
近藤 宏
出版者
立命館大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2011

2012年度は、博士論文提出を目標に研究活動を進めた。博士論文の構成を踏まえ、学会発表、論文執筆ではそれぞれ異なる主題を取りあげた。またそれらの報告/論文は、これまでにおこなってきた現地調査に基づく研究成果でもある。申請者の成果は、大きく分けて二つの議論に分類できる。ひとつは、現地特有の植物・動物と人間の関係性の在り方に関する民族誌学的な考察である。こうした議論については、南米低地先住民に関する人類学という学問領域における近年の国際的な議論(主に英語、フランス語で書かれたもの)を参照しながら考察、記述を進めた。もうひとつは、をはじめとする中南米先住民の同時代的な状況に関する、開発学や政治学の領域における議論と現地の状況を結ぶ記述・考察である。先の民族詩学的な考察は、現地に特有の視点と関係性の記述するためのものだが、こちらは現地に特有な生活様式に由来しない様々な観念や実践を導入する枠組みと現地の生活との関係に焦点を当てるための議論である。こちらについてはスペイン語圏における政治学の議論等も参照する必要があった。人類学という領域に限定されず、異なる学問領域における、国際的な議論を参照しながら研究を進めた。これらの内容は、学会報告や論文の形式で発表した。
著者
松山 さと子
出版者
国立国際医療センター(研究所)
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2009

ヒトiPS細胞は、京都大学由来株(253G1)、国立成育医療センター由来株(#40)を用いて検討した。分化誘導のプロトコールは、内胚葉分化、肝細胞初期分化、肝細胞成熟の3段階からなる分化誘導法で、一貫して単層平面培養で、無血清・無フィーダー法である。すなわち、動物由来成分の排除が達成され形態観察などが容易な優れた分化誘導系である。分化の過程で、様々の肝細胞マーカー(αフェトプロテイン、アルブミン、α-1アンチトリプシン(AAT)、チロシンアミノトランスフェラーゼ(TAT)、トリプトファン2,3ジオキシゲナーゼ(TDO2)、シトクロムP450(Cyp3A4))が培養期間依存的に遺伝子発現していることが確認できた。次に、分化の過程を蛋白レベルで検討した。その結果、αフェトプロテイン、アルブミン、肝酵素(AAT)はヒト肝(癌)細胞株(HepaRG、HepG2、HC)と同等に誘導された。遺伝子発現レベル、蛋白レベルでの肝細胞分化が確認されたので、最後に、成熟肝細胞機能の検討を行った。ICG取込能、グリコーゲン産生能、シトクロムC代謝活性のいずれの機能も分化細胞において十分に認められた。これらの3種類の成熟肝機能においても、ヒトiPS由来肝細胞はヒト肝(癌)細胞株(HepaRG、HepG2、HC)と同等、もしくはそれ以上であった。本報告での実績に基づいて、ヒトES細胞から肝細胞を分化誘導する研究計画を機関内倫理委員会にはかり、文部科学省に届け出て、ヒトES細胞を使用する研究も次年度に開始する予定である。
著者
野村 晋太郎
出版者
筑波大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2013-04-01

従来の走査型近接場光学顕微鏡では、通常の光ファイバーを使うことによる円偏光の乱れ、近接場プローブのわずかな引っぱり歪みやねじれによって、円偏光が不規則な向きに乱されていた。そこで、本研究では集束イオンビームを用いて先端部と開口部の形状が軸対称に近い近接場プローブを開発した。さらにベレク補償子を用いて外部から光の偏光状態を補正する独自の手法を開発し、近接場プローブから出射される光の偏光状態を制御した。これらの手法により円偏光を近接場プローブから出射することに成功した。この円偏光走査型近接場光学顕微鏡を希釈冷凍機中に設置し、極低温・強磁場下において、GaAs/AlGaAs高移動度ヘテロ接合構造試料を局所光励起し、試料の電極間に生じるホール電圧を空間マッピングして調べた。その結果、ナノメートルスケールの領域へスピン偏極した電子を光学的に注入にすることが可能であることを実証した。さらに強磁場中でヘテロ接合構造試料中に生じる量子ホールカイラル端状態にスピン分裂した非圧縮性液体領域があることを初めて実空間で観察することに成功した。この空間マッピング測定によって得られた試料の電極間に生じるホール電圧の符号と大きさの位置依存性は局所スピン密度汎関数法に基づく計算によって説明され、最も内側の非圧縮性液体状態のスピン状態が大きな役割を果たしていることが示された。本研究で得られた成果は、例えば、消費電力を極限まで低減させるとされるスピントロニクス素子、トポロジカル素子の開発や、光学活性をもつ生体分子の研究の進展に貢献するものと期待される。
著者
笹渕 龍介
出版者
福岡県教育庁南筑後教育事務所
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2009

学級活動や総合的な学習の時間と関連させた連続的な道徳学習活動をつくり、人の内面的資質や外面的行為を問い直す活動を創造する。そして、社会的視点の発達を促し、自他の違いを意識したり、他者の感情や思考の心の内面を推測したり、自分の役割行動を決定したりできるようにする。道徳的価値の自覚(A型)と子どもの主体的な価値表現や価値判断の受容(B型)を組み合わせ、社会的視点の発達をうながす学習過程を仕組む。そして、よりよく生きようとする姿として共感的な態度・合理的な判断・自己効力が獲得されるのではないかと考え、道徳的価値を構成する内容項目の広がりの分析を行う。実践例としては、[Table]第一次の学級活動で学びについての考えを出し合い、学ぶ意義を学級の共通の課題として取り出す。そして、B型の道徳を仕組み、学びについて子どもそれぞれが持つ考えにについて班で話し合い、学ぶ意義の価値を広げる。第二次では、A型の道徳を行ない、学ぶ意義の価値を自覚させ、道徳的価値判断の基準を持たせる。そして、連続的にB型の道徳を行い、役割演技などを仕組み、第三者的に学ぶ意義を見つめ直す。第三次は、学習の仕方や高校進学などについて、悩みの解決を行ない、B型の道徳で、悩み解決のために生じる価値葛に気づかせ、学ぶ意義を自ら見出し、自ら解決することの価値付けを行なう。本実践後の評価基準B以上(おおむね満足)の子どもの割合は、共感的な態度(83%)・合理的な判断(75%)・自己効力(60%)であった。合理的な判断をするように仕組むためには、道徳的価値の自覚(A型)と子どもの主体的な価値表現や価値判断の受容(B型)を組み合わせ、価値基準の形成が大切であることがわかった。共感的な態度を育成するには、資料活用の方法が大切である。そして、(B型)の授業を行うには、批判だけに終わらないように、価値判断の受容まで活動を仕組む必要がある。また、(B型)の授業は、価値判断の受容を促すため、社会的視点を高ることができる。
著者
田崎 和江 赤坂 正秀 石田 秀樹 三瓶 良和 石賀 裕明
出版者
金沢大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1992

汚染された環境を浄化する方法として,物理学的に取り除く方法,化学反応により無害化する方法,そしてバクテリアなどの生物機能を活用して回復する方法がある.特に,生物機能を利用して浄化するバイオレメデイエーションは,浄化に長期間を要する汚染に対して二次汚染のない有効な方法である.単純な組織構造を有しているバクテリアは,汚染環境から有害物質を細胞内に取り込み,固定して,各種の生体鉱物を細胞内外に生成する働きがある.この生体鉱物化作用のメカニズムを解明し,汚染された環境の浄化に役立てることが本研究の目的であった.本研究補助金で購入した位相差偏光顕微鏡や低真空走査型電子顕微鏡を用いて,地球上の様々な環境(鉱山,鉱床,温泉,間欠泉,汚染土壌,湖沼堆積物,風化花崗岩,活性汚泥など)からFe,Mn,Zn,Cu,U,Cdなどの元素を持つバクテリアが細胞内に生体鉱物を生成している例を数多く発見した.特に,室内実験からMnやFe,イオンがバクテリアの細胞に取り込まれ,マンガンノジュールを形成する過程を透過型電子顕微鏡観察により明らかにすることができた.また,XRD,XRF,EDX,FT‐IR,ESCAなどの方法も用い,この生体鉱物化作用を総合的にとらえそのメカニズムを明かにした.3年間の研究成果は,国内および国際学会で発表し,論文も学術誌に多数公表した.
著者
佐藤 健
出版者
東京大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2013-04-01

真核細胞内の小胞輸送において、小胞体(ER)からの輸送小胞(COPII小胞)の形成は、小胞体出口部位(ER exit site)と呼ばれる小胞体上の特定のサブコンパートメントで行われると考えられており、このコンパートメントの動態が、小胞体からの小胞輸送を時空間的に制御していると考えられている。このコンパートメントの形成機序、およびこのコンパートメントが受ける高度な時空間的制御のメカニズムについて解析を行った。平成26年度は、小胞体出口部位形成のダイナミクスを解析するために、前年度までに構築したCOPII小胞形成反応を人工脂質平面膜系で可視化する実験系を用いて、人工脂質平面膜上に形成されるクラスターの形成をCOPIIコートのアセンブリーの指標にして解析を行ったところ、Sec12 はクラスターから排除され、またSar1が局在するクラスターの辺縁部にも局在しないことが明らかとなった。また、COPIIコートのサブユニットであるSec13/31は、GTP存在下においてもクラスター上に留まっていることから、この実験条件下では脱コートは起こっていないことが示された。これらの結果から、COPIIコートのアセンブリー過程の新たなモデルを提唱した。また、これまでにER exit siteの形成に関与することが示唆されているSec16について機能ドメインの解析を行ったところ、Sec16のN末端領域は、Sar1のGTPase活性を調節することにより、小胞体膜上におけるCOPIIコートのアセンブリーを促進することを明らかにし、Sec16はCOPII小胞形成の単なる足場としてだけではなく、COPIIコートのアセンブリーにも積極的に関わっている可能性が示唆された。
著者
鎌田 元一 吉川 真司
出版者
京都大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1993

1)陰影ある古文書原本の調査寺社・図書館・博物館などに所蔵される古文書原本を調査し、詳細な調書を作成した。また調査した古文書については陰影の写真を収集した。これにより東大寺文書・東寺文書・栄山寺文書の大多数の調査を終了した。2)古代官印制度に関する検討律令を中心とする官印制度を検討した。大宝令制の内印が諸国への下達文書、外印がその案文に捺される印章で、養老令制と異なっていたこと、大宝元年に内印の様が諸国に領下されたことなどが明らかとなった。3)諸国印の変遷に関する検討諸国印の印影を広く収集・検討し、その変遷を探った。その結果、天平年間の諸国印が大宝四年鋳造のものと考えられること、大宝四年の国印鋳造が律令制国名表記の公定と一体の作業として行なわれたと見られること、国印の改鋳は八世紀中期を初発とするも国によって差があったこと、などが明らかになった。4)外印請印に関する検討主として儀式書を用い、外印請印の作法を検討した。外印請印は律令の「監印」に淵源したこと、曹司における文書行政の一環として平安時代中期まで政務空間を移すことなく行なわれたこと、などが明らかになった。5)平安時代の倉印に関する検討平安時代の倉印について、文献史料・印影の双方から検討を加えた。10〜11世紀の大和倉印の変遷が明瞭になり、また倉印は畿内近国の受領が京にあって執務する際に用いられたことが推定されるに至った。
著者
高梨 弘毅 YANG Fujun
出版者
東北大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

前年に引き続き、B_4Cにスピン注入するための高スピン注入源としてのハーフメタルホイスラー合金薄膜の作製を行った。通常、強磁性材料のスピン偏極率を評価するためには、トンネル磁気抵抗素子などの磁気抵抗から評価するか、アンドレーフ反射やトンネル分光を用いる方法や光電子分光などの方法が用いられる。本研究では、強磁性体の一般的な磁気抵抗効果として知られる異方性磁気抵抗効果(AMR)を用いて、スピン偏極についての情報が得られるのかについて評価した。Co_2MnSiやCo_2FeSi等のホイスラー合金を合金組成や熱処理温度を変化させて作製し、そのAMR効果を系統的に調べた。その結果、Co_2Fe_xMn_<1-x>Si合金薄膜では、x<0.6以下のときにAMR比の符号が負となり、それ以上では正となることを見いだした。古門らによる理論モデルによれば、AMR効果の起源となるsd散乱がs↑からd↑の場合はAMRの符号が負になるが、s↑からd↓だと正になることが報告されている。すなわち、Co_2Fe_xMn_<1-x>Si合金においてはx>0.6において、ハーフメタルギャップ中のフェルミ準位上にd状態が現れるために、AMR効果が正に変わったと推測される。この結果は、第一原理による状態密度計算とも非常に良く一致するものであり、AMR効果からハーフメタル性を検証できる可能性を示唆する成果である。AMR効果は面倒な微細加工プロセスや高度な評価技術が不用な簡便な電気測定で評価できることから、新たなハーフメタル材料探索に応用されることが期待される。

1 0 0 0 OA 聴覚記憶認証

著者
薗田 光太郎
出版者
長崎大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

認証者が,ユーザに対し,予め設定された音Xを含む音群を聴取させ,Xについて回答させ,照合されれば認証を通過する「聴覚記憶認証」方式を検討した.検討の結果は2つにまとめられる.(1)個人または特定のグループだけが探索することなく即座に反応できるような刺激音として,被認証者への呼びかけ音声と,被認証者本人による自声聴取音声との二種類を試みた.被認証者への呼びかけ音声は発声される単語(苗字+さん)の違いの統制が困難であり現実的ではなかった.自声聴取音は元来発声者本人のみが聴取できるものであり,自ずから本人以外とで親密度が異なると考えられる.実際に本人は自身の自声聴取音声が,外部マイクロホンで採られた音声よりも親密度が高く,他人による評価では低い傾向があった.ただし個人差があり,本人と他人とで評価される親密度に大きな差のない場合もあった.(2)自声聴取音声の取り込みと再提示の方法について検討した.自声聴取音声は,外気を経由して鼓膜を敲く経路に加え,外字や中耳を経由せず頭蓋内を通って内耳にはたらく経路とが合成される.そこで,自成長主音声を外部マイクロホン及び肉伝導マイクロホンの2チャンネルの合成音で作成した.また自成長主音声を提示する場合は,通常のヘッドフォン提示より,骨伝導ヘッドフォンで提示した場合がより自声聴取音声の忠実な再現ができていたようだった.ただしこれにも個人差があった.
著者
志賀 勉
出版者
九州大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2002

本研究は、居住収縮が進む戸建て住宅地における住宅・宅地ストックの社会的管理のあり方を検討するための基礎として、空宅地の用途転換と飛び地利用の実態を調査し、その特性を分析することを目的としている。本研究では、郊外戸建て住宅地と斜面住宅地を対象に行った調査結果をもとに、空宅地の用途転換の傾向と菜園利用における飛び地利用の特性について分析を行い、以下を明らかにした。1.空宅地の用途転換について:空宅地の用途転換では、空宅地の規模や立地条件等の物的属性が新たな用途を制約する。特に駐車場や農園への用途転換にはこの制約が大きく、戸建て住宅地の平均的な画地規模では用途転換のメリットが小さい。これに比べて、菜園は空宅地の物的属性の制約が小さく、小さな画地の用途転換にも向いている。2.菜園利用における飛び地利用の特性について:空宅地の菜園利用は、利用者数と土地所有の関係から利用型が分けられ、また、利用者の自宅から菜園までの経路距離と利用面積との関連が認められた。さらに、自宅庭の使い方と空宅地菜園の使い方は相互に関連しており、空宅地が自宅庭の延長として利用者に認識されていることが理解された。3.戸建て住宅地管理のあり方について:居住収縮の進む戸建て住宅地の全体的な管理を行うためには、地区住民のニーズや空宅地の属性等の詳細な情報を把握した上で、住宅・宅地ストックの管理方策を検討する必要がある。本研究で分析した飛び地利用は、点在する空宅地の管理方策として、所有者の管理負担を軽減し、かつ地区住民のニーズにマッチした有効な手段のひとつと考えられる。
著者
大久保 隆志
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

これまでの捜査の行き詰まりを打破し,新たな展望を見出すためには,従来の捜査手法を超えた新たな捜査を検討すべきであると言われている。しかし,これを我が国の刑訴法と整合的に接合するためには,新たな捜査と従来の捜査の適法性の共通基盤を見出す必要があるところ,その基盤は,結局のところ,従来から議論のあった「自己決定」と「利益衡量」の在り方に収斂されるように思われる。そうすると,新たな捜査は,自由な「自己決定」を害することなく,適正な「利益衡量」に支えられた捜査であることが前提となる。その意味において,「自己決定」と「利益衡量」とが,捜査を支える「指導理念」の中核的概念であると考えられる。
著者
森 光昭
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

統一後、ドイツ人の外国人に対する寛容さが減ったと言われる。本研究では様々な極右事件に関する資料を収集し、極右暴力事件の実態を解明しながら、この最終的な目標に関する分析を行った。1998年のフランクフルト書籍見本市におけるマルティン・ヴァルザーの演説は、統一後のドイツの変化を象徴する事例であると言える。極右暴力事件そのものに関しては、統一後、劇的に増えた。統一前の1980年代と比較すると何倍にも増加している。しかし、1993年をピークにして1994年には、劇的に減少した。その結果、ボンのドイツ連邦政府を始め関係当局は一過性の減少であると胸をなでおろした。連邦憲法擁護庁の「憲法擁護報告」は、その後も、全体として減少傾向が続いているとしている。しかし、子細に憲法擁護報告書を検討すると、違った結果に到達する。憲法擁護報告書は器物損壊事件を1996年まで暴力事件に分類してきた。ところが、1997年の報告書からは別の方式を採用している。つまり、もはや器物損壊を暴力事件として取り扱っていない。従来方式で、つまり一貫性のある統計処理にもどると、暴力事件は減少傾向にあるとはいえない。特に、1998年は大副に増えていることが分かる。極右暴力を含め、ドイツの状況は関係者が安堵できる状況からは程遠いのである。
著者
和田 友香
出版者
国立成育医療センター(研究所)
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

INSL3の多型であるAla24Ala (72G>A)とSF-1 (Steroidogenic factor-1)の多型であるGly146Alaは停留精巣に劣性効果をもたらしていることが判明した。
著者
扇原 淳
出版者
早稲田大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

カザフスタン共和国アラル海周辺地域における学校保健プログラム開発のための第一歩として,学校保健プログラムの中心である学校健康教育の現状について把握するために,学校健康教育に関する教科の開発の動向とその課題を明らかにすることを目的とした.現行の学校健康教育教科 Валеология Программа (Алматы, 2005),新しく開発された学校健康教育教科Здоровье и жизненные навыки(2007),同国における学習指導要領にあたるГосударственный общеобязательный стандарт среднего общего образования Республики Казахстан(Алматы, 2002)等の分析に加え,教育科学省及び保健省関係者にインタビューを行った.結果としては以下の5点が明らかになった.1)カザフスタン共和国における初等中等教育は現在11年制であるが,12年制に移行する準備が行われていた.2)同国では,「Валеолoгия(健康科学)」という学校健康教育教科が1998年に設立された.3)この教科の成立に主導的な役割を果たしたのが,National Center for Problems of Healthy Lifestyle Developmentであり,当時所長であったAdilhanov Almuhamed氏であった.4)Валеолoгия(健康科学)の教員はスポーツ大学,医科大学,教育大学で養成されている.5)多数の教科に散在する学校健康教育に関連する内容を統合する形で「Здоровье и жизненные навыки(健康とライフスキル)」が2005年に開発された.同国のが学校保健プログラム開発および学校健康教育の課題として,必要な教育内容の範囲(Scope)と,各年齢段階でどのように学ばせていくかの配列(Sequence)を明確にする作業が不可欠であることが明らかとなった.
著者
吉村 仁 曽田 貞滋
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本課題では、理論研究と実証研究を同時に進めたが、とくに周期ゼミ全7種のほぼ全ブルード(発生年の異なる集団)の系統解析を実施、アレキサンダーらが提唱していたdecim, cassini, deculaの3系統で17年と13年が独立に進化したという仮説が正しいことを明らかにした。さらに、理論研究では、decim系統で13年が2種確認された問題で、新種記載されたM. neotredecimが17年の個体群に13年のM. tredecimが少数飛来して混入することにより13年周期にシフトする可能性をシミュレーションで示した。さらに人間の経済活動を含む様々な事例で環境変化・変動への適応研究を展開した。
著者
熊谷 龍一
出版者
東北大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究では,テストの公平性を担保するアプローチの一つとして,DIF(differential itemfunctioning:特異項目機能)分析を利用した方法について検討を進めた。従来のDIF分析に対して,対象集団数や順序付き多値型項目への対応といった理論的拡張が進められ,分析を実行するためのコンピュータプログラムの開発,公開を行った。さらに,性格検査やうつ評価尺度といった心理尺度,英語教育や日本語教育の現場で広く利用されているcan do statement尺度への適用例を示し,その方法の妥当性を示すことができた。
著者
吉田 一彦 上島 享 脊古 真哉 佐藤 文子
出版者
名古屋市立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009-04-01

本研究では、日本の神仏習合の成立と展開について考察し、それを日本一国史の中で内在的に理解するのではなく、アジア東部における仏教と神信仰の融合の中で考え、この地域の宗教文化の中に日本の神仏習合を位置づける作業を行なった。この視座から以下の点を明らかにした。①『日本書紀』に記される仏教と神信仰の対立の話は創作性が高く、歴史的事実を伝えるものとは評価できない。②比叡山、白山などの神仏習合の聖山は、中国の神仏融合の聖山である天台山や五臺山の強い影響を受けて成立した。③「本地」の思想は真言宗の護持僧によって考え出されたもので、日本の「本地垂迹説」は11世紀前半に成立した。
著者
吉田 正志
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

近世国家の犯罪処理は、決して国家のみによって担われれているのでなく、領民の経済的・労力的諸負担がその不可欠の一環として構成されている。従来の刑事法研究では、このような観点が希薄であった。本研究は、その具体的あり方を仙台藩を素材にして考究し、それらが領民の「役」としての性格をもっていたことを指摘した。1.捜査及び被疑者の逮捕段階城下及び村方それぞれの捜査機関につき新たな知見を得るとともに、同心や目明しが村方に於いて捜査することにより、彼らの宿泊や被疑者の暫定的拘禁が領民に対し負担を強いるものであることを明らかにした。2.評定所への護送段階村方で逮捕した被疑者を審理のため城下の評定所へ護送する際、その宿泊や見張り人、さらには護送人をその道中の宿駅が負担する場合があり、この点も無視できない。3.審理段階藩・領民双方にとって最も関心のある問題は、被疑者を牢に拘禁している間の諸費用を誰が負担するかである。仙台藩で「牢米」と呼ばれるこの制度をはじめて本格的に追究し、さらに五人組の負担の大きさを実証的に示した。また、関係者召喚費用についても検討し、とくに村役人の場合は村の負担として現れることを指摘した。4.刑の執行段階死刑及び晒刑の検討はかつて行ったので、ここでは流刑について考察し、とくに流刑地までの陸路輸送において、その道中宿駅の負担が深刻であったため、天保期に海上輸送に変更されたことを確認した。
著者
田中 茂穂 徳山 薫平 藤井 久雄 田中 千晶 緑川 泰史 二見 順
出版者
独立行政法人国立健康・栄養研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

エネルギー消費量を評価するヒューマンカロリメーターの分析精度を向上させ、食事によるエネルギー消費量の評価法を提案した。また、エネルギー消費量に対する身体組成の影響や食習慣・運動習慣の影響について明らかにした。さらに、身体活動の種類と強度が評価できる3次元加速度計を用いて、歩数が中高強度の身体活動量をかなり反映するが、歩・走行以外の身体活動も重要であること、1日の身体活動量に対する歩・走行以外の身体活動の相対的な寄与が職業間で異なっていることを明らかにした。