著者
伊藤 千世
出版者
愛知淑徳大学国文学会
雑誌
愛知淑徳大学国語国文 (ISSN:03867307)
巻号頁・発行日
no.16, pp.91-105, 1993-03-20 (Released:2016-11-30)
著者
長谷川 大祐 坂口 顕 山田 哲 日高 正巳 川口 浩太郎
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.Fb0796-Fb0796, 2012

【はじめに、目的】 理学療法士が、整形外科疾患やその他外科手術後の症例を担当することは非常に多い。術後に生じる術創部周辺の「硬い浮腫」は、疼痛の遷延や関節可動域制限の原因となることが多い。一方、微弱電流刺激(MCR)は、生体に1mA以下の微弱な電流を流す電気刺激療法である。近年、急性外傷後の疼痛軽減効果、腫脹軽減効果や組織修復促進を目的に、主にスポーツ現場などで使用されている。同様に外科的処置によって生ずる術創も、その部位に組織の損傷が起きており、MCRが効果を発揮できる病態であると考える。MCRがこのような術創部周囲の腫脹を軽減できれば、その後の修復過程を促進することができるのではないかと考える。そこで本実験では、創部硬度の観点から検証するとともに、MCRによって、創部がどのように変化するかを検証することを目的とした。【方法】 Wistar系雌性ラット(8匹、6週齢)を無作為にControl群、Sham群、MCR群に分けた。Sham群、MCR群は背側を剃毛し、背側皮膚をメスにて2cmの長さに縦切開し、6針縫合した。翌日より、Control群、Sham群は、1日1回の麻酔のみを行った。MCR群は麻酔下にて、1日20分のMCRを行った。刺激は、交流電流を、刺激強度を500μA、周波数0.3Hzに設定し、電極配置は、創傷中央から左右に配置した。実験期間は10日間とし、毎日行った。創部の硬度は介入5日目より10日目まで測定した。創部硬度の測定方法は、歪みゲージ(協和電業社製、LTS-1KA)と、デジタルノギスを用いて、創部に対する圧迫力と創部の厚さを測定することで算出した。算出方法は、創部圧迫力と創部の厚さから回帰直線y=‐ax+bの関数式を導き出し、その傾き(回帰係数a)をもって創部硬度とした。創部硬度の群間比較は統計解析ソフト(PASW Ver.18.0)を用い、Kruskal-Wallis検定にての一元配置分散分析(ANOVA)を行った。【倫理的配慮、説明と同意】 兵庫医療大学動物実験委員会の承認(承認番号2010-18-1)を得て行った。【結果】 創部硬度では,Control群は5日目から10日目まで変化がなかった。一方、Sham群とMCR群は5日目の硬度ならびに厚さが増加していた。これら2群については、それぞれの日数では統計学的な有意差は認められなかったものの、日数によって硬度が変化する様式が異なる傾向を示した。Sham群は5日目に一度硬度が上昇した後、10日目には硬度が低下する傾向を示した。一方MCR群では、5日目よりも10日目の方が、硬度が上昇する傾向を示した。【考察】 術後創部周囲の「硬い浮腫」は、炎症反応後の組織修復期に、ヒアルロン酸等のムコ多糖類が増加することに由来するといわれている。これらのムコ多糖類は、保水性に優れることから、水分を吸収し、そのため術創部の周囲に「硬い浮腫」が生じる。本研究においても、創を作成したSham群、MCR群の組織修復期にあたる5日目以降において、Control群に比べて硬度が上昇し、「硬い浮腫」が存在していた。介入5日目の回帰係数はMCR群よりもSham群が高値を示していることから創部硬度はSham群が高い傾向にあると考えられる。介入10日目の回帰係数はMCR群が高値を示す傾向となり、創部硬度がMCR群とSham群で逆転した。結果からMCR群は他群と比較して創部硬度増加率が高い。この理由として、組織修復には多くの過程がオーバーラップしていることを考慮しなければならない。ムコ多糖類の合成が落ち着いた後には、線維芽細胞分泌が上昇する。これによりMCR群では、5日目のムコ多糖類や水分の蓄積が抑えられ、10日目ではコラーゲン線維が増加したことで、Sham群とは異なる組織硬度の変化を呈したのではないかと考える。坂口らは、足関節周囲の術後早期からMCRを使用することで、足部周囲の腫脹軽減や足関節関節可動域制限の進行抑制に対して、効果があると報告している。本実験結果から得られる仮説として、MCRの早期からの使用は炎症反応と修復過程が早められ「硬い浮腫」を軽減するとともに、線維芽細胞の増殖過程が早期に起こす可能性を示唆するものである。今後、それぞれの組織回復期に準じた検証と、組織学的あるいは生化学的な検証が必要であるとともに、長期的な検証が必要である。【理学療法学研究としての意義】 本研究は、例数も少ないため、この結果を持って、MCRの効果を絶対的に論じることはできない。しかしながら、MCRを術後早期から使用することにより、「硬い浮腫」軽減に対して何らかの影響を及ぼすことが考えられる。これは組織修復の進行速度に対して影響を及ぼしている可能性が示唆され、術後早期の理学療法を行う時の、創部そのものへのアプローチを考えるきっかけとして意義あるものである。
著者
大重 匡 村山 光史朗
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.48101204, 2013 (Released:2013-06-20)

【はじめに・目的】 スポーツ競技の前には軽度ないし中等度の運動でウォーミングアップをおこなう。ウォーミングアップの目的の一つは体温を上昇させる事にある。体温の上昇は骨格筋温を上昇させ筋収縮の粘性抵抗を減少させる。粘性抵抗減少は筋収縮の機械的効率を高めることになる。そこで、運動前にウォーミングアップではなく、手軽に行える部分浴が体温を上昇させ運動効率向上効果を示すことができるのかについて検討した。【方法】 対象者は健康な若年男性9名(内訳:年齢22.3±1.0歳、身長174.0±3.8cm、体重63.6±10.3kg(Mean±SD)) である。部分浴は下腿浴とした。下腿浴は十分な安静後、室温21℃前後の環境で、41℃の部分浴を10分間施行後エルゴメータによる運動負荷を実施した。同一被験者にはcontrol群としてランダムに1日以上の間隔を空け部分浴を施行せず運動負荷のみ行った。湯温はTERUMO社製MODEL CTM205を使用し、41℃に保つよう設定した。下腿浴時の測定項目は舌下温、呼吸数、心拍数、血圧とした。測定は安静時と部分浴10分経過時に測定した。舌下温はTERUMO社製MODEL CTM-205、呼吸数・心拍数は日本光電社製BSM-2401、血圧は水銀血圧計を使用した。運動負荷はCOMBI社製エアロバイク75XLを使用し十分な安静後ウォーミングアップ程度の運動を考慮し75W3分間施行した。安静時および運動負荷中はアニマ社製携帯型酸素消費量計 AT-1100を用い酸素消費量、分時換気量、呼吸数を測定した。血圧は水銀血圧計で測定した。また運動負荷終了時には主観的作業強度Borg Scaleを用い測定した。統計処理は主観的温感強度以外対応のあるt検定で行った。主観的作業強度についてはノンパラメトリック検定(Wilcoxon検定)を行った。【倫理的配慮 説明と同意】 本研究は当国立大学医学部の倫理審査会において、審査を受け承認されたのち行った研究である。なお、被験者に対して本研究の説明を行い、同意文書を得て行った。【結果】 下腿浴後舌下温は安静時より有意に0.22±0.14℃上昇した(P<0.01)。呼吸・循環反応は呼吸数が2.8±4.4回/分に有意に増加し、心拍数も有意に5.3±7.7bpm増加した(P<0.05)。血圧は収縮期血圧、拡張期血圧ともに一桁程度低下したが有意差は認めなかった。運動負荷時の心拍数はcontrol群127.0±15.4(bpm)、下腿浴群123.4±15.1(bpm)となり有意に低下した(P<0.05)。酸素消費量はcontrol群15.8±1.4(ml/min・kg)、下腿浴群14.5±1.9(ml/min・kg)となり有意に低下した(P<0.01)。分時換気量はcontrol群29.5±2.8(ml/min)、下腿浴群27.5±2.7(ml/min)となり有意に低下した(P<0.05)。呼吸数・血圧は、control群より下腿浴群で減少したが有意差は認めなかった。主観的作業強度のcontrol群の平均は13±1.8点、下腿浴群の平均は12.4±.9点となり有意差は認めなかったが、運動強度はおおよそややきつい程度の運動強度であった。【考察】 ウォーミングアップを行わなくても下腿浴のみ施行することで、舌下温が0.2℃程度上昇し、下腿筋へ加温によって運動に対する準備が行えたと考える。下腿浴群とcontrol群と比較すると心拍数、酸素摂取量、分時換気量において75Wの運度強度で有意に減少したことは、温熱効果によって筋の柔軟性の向上、筋へ血流促進、運動時の内呼吸効率向上、さらに安静時の心拍出量の円滑化が全身の呼吸循環機能を円滑にしたため運動負荷強度が減少したと考えられる。また確認は出来ていないが温熱刺激によるHeat Shock Protein(HSP70)作用も一因となっていると考える。【まとめ】1.本研究では健常若年者に対して運動前に下腿浴を施行し運動負荷強度に変化がみられるか検討した。2.下腿浴施行により体温が上昇し、呼吸数・心拍数がわずかに増加した。3.下腿浴後に運動を行った群と下腿浴を行わずに運動を行った群と比較して同一運動時の酸素消費量、分時換気量、心拍数が下腿浴後に運動を行った群で有意に減少した。【理学療法学研究としての意義】下腿浴でも深部体温を上昇させることができ、中等度(ややきつい)負荷強度において身体かかる負荷強度が減少できることが明らかになった。これにより循環障害により運動強度に制限のある者に対して運動前の下腿浴施行で運動強度を減少させることができ、運動の施行がより安全に運動がおこなえることに役立つと考える。
著者
森 正人 モリ マサト MORI Masato
出版者
三重大学人文学部文化学科
雑誌
人文論叢 : 三重大学人文学部文化学科研究紀要 (ISSN:02897253)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.A65-A80, 2005-03-31

本稿は一九三七年に大阪で南海電鉄会社が行った「四国八十八ヶ所霊場出開帳」に注目し、それがどのような社会的過程で生産されたのかを詳述する。これまでの四国遍路史上、たった一度だけ成功を収めたのが一九三七年の出開帳である。この出開帳は宗数団体が主催したものでも四国内で行われたわけでもなかったため、従来の研究ではほとんど取り上げられることはなかった。またこれは、鉄道・出版資本、国家政策、仏教寺院がそれぞれの思惑を交差させながら重層的に生産されたのである。したがって、この出開帳を取り上げることにより、四国遍路自体の複雑性を示すことができる。また従来の研究における静的な巡礼空間モデルに対して、巡礼空間が社会的構築物であること、さらに、生産された空間が社会的構成を行う社会-空間弁証法が見られることを示すこともできると考える。
著者
児島 完二 内田 幸夫
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.74-74, 2008

eコマースの進展とともにWebサイトでの消費者による意見や評価データが活発化している。特に、顔が見えない相手との取引には、ネット上での口コミが大きな影響を与えるものと考えられる。AmazonやSNSでのレビュー例を見るまでもなく、その評価方法は多岐にわたる。ユーザからサイトに寄せられる情報の量と質が運営するサイトの価値を高めており、これらを収集するために運営サイト側はインセンティブを与える工夫をしている。本稿では、不特定対数の意見が実態を正確に表現しているかに着目し、その活用方法について考察する。まず、Webでのレビュー評価の分類・調査をし、従来の記述式アンケート調査に代わるものとして、ネットでのアンケート調査は可能であるかどうかを論ずる。また、多くのユーザの意見をできるだけ正確に反映させる方法について考察する。特に、ベイジアンフィルターや「市場経済法」として評価者のインセンティブとの関連性に注目する。
著者
佐藤 英雄
出版者
和歌山大学教育学部
雑誌
和歌山大学教育学部紀要 教育科学 (ISSN:13425331)
巻号頁・発行日
vol.58, pp.67-73, 2008-02

現在の中学校は第二次大戦後に義務教育化されたが、それ以前は、高等小学校と旧制中等学校が並立していて、そこでの数学のカリキュラムを単純に対比して言えば、高等小学校では実用的色彩が濃く、旧制中等学校では学問的色彩が濃かった。新制中学校の数学のカリキュラムは基本的には旧制中学校のそれを受け継いだ。大戦後の小学・中学の新義務教育体制のもとでは、さらに、小学校算数科と中学校数学科のカリキュラムを、それ自体としてどのように位置づけるかということとともに、それらの連接関係をどのように捉えるべきかが問題となる。現在に至るまで、カリキュラムの改編は続いている。特に注意すべきは、ある内容が小学校算数に移されたり、中学校数学に移されたりしている。これは算数は数学の前段階、あるいは、数学は算数の発展段階とする考えに基いている。換言すれば、算数と数学は難易度は異なるものの、同質のものであると看做されている。著者は算数と数学は連接関係はあるが、必ずしも同質ではなく、そこにおける思考の型が異なると考える。ここで思考の型と言って、思考の質という言葉を避けたのは、そう言うと数学が算数の上位にあると解されかねないからである。それゆえ、中学校数学の指導に当たってば、思考の型の変換を教師の側が十分に意識しなければならないと考える。本稿では、このような視点で、本稿は中学校数学の「数と式」と「図形」領域について論ずる。なお、本稿は和歌山大学教育学部での講義「数学科教育法A」の概要である。
著者
堀井 俊宏
出版者
一般社団法人 日本臨床薬理学会
雑誌
臨床薬理 (ISSN:03881601)
巻号頁・発行日
vol.38, no.6, pp.413-415, 2007-11-30 (Released:2008-10-31)
参考文献数
2
被引用文献数
1 1
著者
東岸 任弘 石井 健 堀井 俊宏
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.37-45, 2010 (Released:2010-04-28)
参考文献数
12

熱帯熱マラリアは熱帯・亜熱帯地域を中心に流行し,抜本的な対策としてマラリアワクチンの開発に期待が寄せられているが,いまだ著効を示すワクチン実用化の目処はたっていない.本稿では,世界で実施されてきたマラリアワクチン開発のレヴューとともに,筆者らが発見したマラリア原虫のアキレス腱と考えられるSERA5抗原から開発したSE36マラリアワクチン臨床開発の現状を報告する.また,最近筆者らが見いだした防御エピトープと自然免疫アジュバントの一つであるCpGを組み合わせることにより,より抗原性を改良した第二世代SE36マラリアワクチンの展望について述べる.
著者
石丸 みどり
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
デザイン学研究作品集 (ISSN:13418475)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.1_138-1_143, 2015

2012年、愛知県高浜市で市民映画「タカハマ物語」を製作した。地域活性化を目的とした映画で、出演者、エキストラ、ボランティアスタッフはすべて高浜市民及び関係者によるものである。筆者は、この映画の脚本と監督を務め、地域に密着し、地域の新たな価値を発見した。高浜市民の情熱に感動した経験と、伝統産業の鬼瓦からヒントを得て「熱い鬼たちが住む町」というコンセプトで物語を作った。<br> 筆者は、地域に密着し、地域の新たな価値を発見した。これを、映画にすることの意義の一つ目は、わが町の価値を理解しやすくなることであり、二つ目は、この非日常的な創造行為に市民が様々な形で参加できることだろう。<br> メインキャストをはじめこの製作に関わっていた人々は、この製作を通して大きく成長し、確実に変化した。この結果を見て、映画製作は、地域の魅力を再発見し、人を育てることで地域を活性化する方法として効果的であると考えている。
著者
佐藤 政良
出版者
筑波大学
雑誌
筑波フォーラム (ISSN:03851850)
巻号頁・発行日
no.70, pp.70-73, 2005-06

生物資源学類では、平成6年に農林学類を生物資源学類に改称した時以来、10年ぶりにカリキュラムの大幅改革を行った。学類に設置された将来検討委員会の3年間にわたる検討の結果である。平成16年度入学生(現2年次)が初年生であるから、その評価は早すぎるが、新カリキュラム導入の経緯と考え方について紹介したい。 ...