著者
平嶋 尚英
出版者
名古屋市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

マスト細胞は炎症性メディエーターを放出して、アレルギー反応において重要な役割を果たしている。このメディエーターの開口放出は細胞内Ca2+濃度上昇によって誘導される。Ca2+流入は主にCRACチャネルを介したストア作動性Ca2+流入である。CRACチャネルのひとつであるOraiには3つのアイソフォームがあるが、我々は、Orai-2が主に分泌顆粒に局在することを見出した。Ora-2をノックダウンすると、細胞内Ca2+ストアからのCa2+放出が抑制され、また脱顆粒も抑制された。マスト細胞では、Orai-2は細胞内Ca2+ストアからのCa2+放出に影響して、脱顆粒を制御している。
著者
橋本 佳明 山本 浩 岡野 節 梅田 芳郎 宮原 孝夫 小島 誠
出版者
名古屋市立大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1991

線型微分方程式のコ-シ-問題とグルサ-問題に対して、その係数とデ-タがあるジェブレ族に入るとき、どの様な条件があれば解がどのジェブレ族に入るかという問題について考えた。常微分方程式についてはマルグランジュ、ラミス、ジェラ-ル等が解いた。特にラミスはその条件を幾何学的な条件であるニュ-トン多角形の辺の傾きの条件で求めた。偏微分方程式に対しては米村氏、三宅紙の結果があるが、橋本はこの三宅氏の結果を三宅氏との共同研究で負のジェブレ指数をもつ族までこめた結果に拡張した。そしてそれを名古屋大学教養部数学教室で出しているプレプリントシリ-ズに出した。これらの文献調調査にあたり、名市大の岩橋、宮原、梅田、岡野の各氏に協力をお願いした。また論文を書くにあたり、数学論文清書用のソフトAMSーTEXとそのテキストファイルを作るためのワ-プロソフト一太郎を使うに当たり、名市大の小島、山本各氏に協力して頂いた。この研究の歴史的背景を詳しく調べるために3月12日、13日に名市大で研究集会を行ない、上智大の田原さん、東京大の石村さんに講師をお願いした。小人数の研究集会であったが、時間をゆったりとったため、有効に討議が出来た。田原氏は三宅ー橋本の結果との関連も深く、歴史特にジェラ-ル氏との共同研究の結果のマイエの定理について詳しく話してもらった。もう一人の石村氏はこの科研費のテ-マとの関連で、その方法が利用出来ないか、数値解析が出来ないかという点、参考となった。なおこの研究集会の記録はノ-トにまとめ、参加出来なかった近隣の方に配布する予定で、その資料整理、研究集会の補助にバイトを依頼した。
著者
藤澤 彰
出版者
芝浦工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

1.京都市東山区の長楽寺・安養寺を中心に近世期と近代の景観を比較し以下の点を明らかにした。(1)東山山麓に立地し、京都市街を一望におさめる景観を十分意識した建築が立てられていた。(2)すぐれた景観のため、古くから和歌・漢詩・連歌などに詠まれることがおおく、文人墨客の集うところであったこれが近世から近代にいたる、この地域の性格を方向づけることになった。(3)近世において、宗教施設としてではなく貸座敷・旅館などの遊興施設として機能した面があった。(4)明治期の神仏分離・廃仏毀釈・上知などにより、存続が危ぶまれたが、安養寺の一部は遊興施設としての性格を前面にだして、日本で最初の外人向け洋風ホテルに変貌した。(5)上知された境内は、京都初の近代的公園、円山公園に変貌をとげた。円山公園の発足に関しては、近世期の長楽寺・安養寺の遊興施設的側面がもたらしたこの地域の性格が大きく関与している。2.京都府城陽市内の神社の景観を調査し、以下の点を明らかにした。(1)城陽市内には常楽寺(荒見神社)・若王寺(久世神社)・薬師院(天満宮社)・神福寺(賀茂神社)などの宮寺があったが、明治の神仏分離・廃仏毀釈によって廃絶した。(2)荒見神社は近世期においては、常楽寺境内にまつられる天神社(天満宮)であり、明治になって常楽寺を廃し、仏教建築を撤去して、神社建築中心に境内を再構成し、社名も荒見神社と改称した。
著者
西垣内 泰介 郡司 隆男 松井 理直 松田 謙次郎
出版者
神戸松蔭女子学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、「焦点」とスコープに関わる言語現象を取り上げ,形式化の整った統語論・意味論・音韻論の方法で理論的に分析するとともに,音声実験や言語コーパス調査などによって理論的考察を実証することを目的とする。具体的には,主題文,(指定的)分裂文など,様々な構文にあらわれる,いわゆるWH(疑問)要素,量化表現,否定対極表現などスコープに関連する統語・意味的要素と,イントネーションなど「焦点」に関する多様な音韻的要因の間の相互関係を分析し,統語論・意味論と音韻論との密接な関係を明らかにする。また,理論的背景の下にデザインされた音声実験を用いて,その結果を文法的分析の中に組み込んでいく。関連する言語事象の方言などによる言語変異について考察する。
著者
安永 薫梨
出版者
福岡県立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究では精神疾患を持つ患者が看護師に暴力を振るってしまった状況や引き金,感情を明らかにし,暴力を振るってしまった患者に必要な看護ケア,また再び暴力を振るわないようにするための取組みについて検討することを目的して,質問紙調査と面接調査を実施した。質問紙の回収数は157部,回収率は87.7%であった。収集したデータについては,量的と質的に分析した。その結果,看護師に暴力を振るってしまった患者の体験については,精神疾患を持つ患者157名中,過去に看護師に暴力を振るったことが「ある」と答えた人は,29名(18.5%)であった。患者が看護師に暴力を振るった状況では,看護師の状況判断,接遇,注意や説明の技術,アセスメント能力の問題が明確になった。また,具体的な暴力の種類については,「にらむ」が29名中14名,患者が看護師に暴力を振るった引き金としては,「看護師の対応が気に入らなかった」が29名中9名,患者が看護師に暴力を振るった際の感情については,「悪いことをしたと後悔した」が29名中14名,その後に取った患者の行動については,「謝った」が29名中13名と最も多かった。看護師がどのように対応してくれれば,殴ったり,ひどいことを言わずにすんだと思うかという問いに対しては,「優しく接してくれる」が29名中10名,看護師に暴力を振るいたくなった時の対処法については,「いらいらしている自分に気づく」が29名中11名と最も多かった。以上より,暴力を看護師に振るってしまった患者に必要な看護ケア旨としては,患者に暴力を受けた看護師が辛い思いをしているのは当然だが,それと同時に暴力を振るってしまった患者も辛い思いをしていることを念頭におき,まずは患者一看護師関係の修復から始めることが大切と考える。また,再び患者が暴力を振るわないようにするための取組みとしては,患者を一人の人間として尊重し,優しく思いやりを持って接することが最も重要と考える。
著者
安川 智之
出版者
兵庫県立大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2006

ネガティブ誘電泳動を利用して様々な細胞のラインパターニングを行った.マウス繊維芽細胞(3T3swiss albino),マウス筋芽細胞(C2C12),ヒト白血病Tリンパ腫細胞(Jurkat),ヒト単球性白血病細胞(THP-1)および神経モデル細胞であるラット褐色細胞腫(PC-12)のパターニングが可能であった.この中で, 3T3およびC2C12細胞について詳細に誘電泳動特性を評価した.印加する交流電圧を変化させ交差周波数の溶媒導電率依存性を調査した.溶媒の導電率を増加させると交差周波数が増加することがわかった.これらの細胞の培地の導電率(2 S/m)の場合には計測に要する全ての周波数領域にてネガティブ誘電泳動が作用することがわかった.溶媒導電率の増加に伴い,パターニングに要する時間も増加した.しかし,パターニングに要する時間は最大で1-2分程度で,十分迅速性を保てた.また,印加電圧に対するパターン形成率および細胞の生存率を調べた.印加電圧の増加に伴い,パターン形成率も増加した.しかし,生存率は,12 Vp-pが最大でそれ以上の電圧を印加すると強い電場ストレスにより細胞が増殖できず死滅することがわかった.最適電圧(12 vp-p)を3-5分間程度印加し続けると細胞は,基板上に付着して配列パターンを保持したまま固定化された.この配列化微粒子上で細胞を培養すると細胞は配列化微粒子上に選択的に付着し成長した.また,直接固体基板上に配列化された細胞のほとんどが,増殖,伸展し,約1日後にはランダムな状態の戻った.このことから,誘電泳動による電場の印加が細胞のバイアビリティーにほとんど影響を及ぼさないことがわかった.4極独立型マイクロバンドアレイ電極を用いると,迅速で簡便な異種細胞の交互ラインパターンの構築が可能であった.ポジティブ誘電泳動を利用し,微粒子や細胞の海島状構造を作製することができた.
著者
池村 淑道 阿部 貴志
出版者
長浜バイオ大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

インフルエンザウイルスは人獣共通感染症ウイルスであり、トリ由来株のヒトでの大流行が危惧されている。このウイルスの全ゲノム配列を対象に、連続塩基組成のBLSOM解析を行い、この組成が宿主ごとに明確に異なることを見出した。直接にトリから、あるいはブタを経由してヒト集団へ侵入した株に注目すると、ヒトでの流行を繰り返す過程で、連続塩基組成が方向性のある変化をしていた。この知見を基に、トリ由来株のヒト集団での流行のリスク評価法を開発し、全トリ由来株についての危険株の予測を行った。昨年から西アフリカで流行しているエボラウイルスについても、週単位で観察出来る、方向性のある連続塩基組成の変化を見出した。
著者
村上 尚史
出版者
北海道大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

系外惑星の直接観測を目指し,すばる望遠鏡のための8分割位相マスクコロナグラフの開発を行った。まず,8分割位相マスクコロナグラフの性能を最大限引き出すため,望遠鏡瞳変換レンズを製作した。また,フォトニック結晶技術を利用した1.6μm波長帯用8分割位相マスクを設計,製作した。フォトニック結晶マスクは,地上観測だけでなく,将来のスペース系外惑星探査計璽においても利用できると期待される。さらに,低次の光波面乱れを高精度に測定するための低次波面センサの開発を行った。
著者
長濱 浩平
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

歯科矯正治療では、歯および骨の三次元的な形態・位置・方向を正確に把握することはきわめて重要であり治療結果に直結する。矯正歯科医の新しい目として歯および骨の位置情報をリアルタイム三次元ディスプレイで患者に重ね合わせて表示できれば、歯科矯正治療の操作性を著しく向上させると考えられる。本研究は、リアルタイム三次元ディスプレイを用いたコンピュータ・グラフィックスで作られた物体が現実に実在するかのように感じられる拡張現実感技術を矯正歯科領域に導入し、矯正歯科医が患者から目を離さず直接的に、三次元画像を患者に重ね合わせて立体的に視覚化できるシステムを開発し、未来の新しい治療環境を実現することが目的である。本研究では、立体画像表示システムを用いて歯の三次元拡張現実感表示に向けたシステムの構築を行った。CTや歯列を三次元スキャニングした画像データを収集し、高精度3Dプリンタを用いて歯・骨・歯肉を再現した実物大立体モデルを造形した。三次元画像を構築して客観的かつ定量的な予知性・安全性の高い治療計画を正確に実現するため、コンピュータシミュレーションにより最適設計を行なった。埋入矯正用アンカーインプラントの植立の際の埋入位置や方向の三次元的な位置関係を重畳提示してナビゲーションの精度を埋入目標と埋入位置の平均値と標準誤差を求め検証した。歯および骨を立体映像として実空間に立体表示し、空間的な位置関係を立体的に理解することが可能であった。
著者
松野 浩之 石崎 明
出版者
同志社女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

未分化間葉系細胞は、再生医療に置いて多種多様な可能性を秘めている。分化誘導を制御する因子は、PPARγなど見いだされているが細胞間隙を構築する因子について明確な関わりを示したものはない。本研究では、細胞間隙(Collagen, Vitronectinなど)やタンパク質を溶解する因子として生体内の恒常的に発現しているPlasminogenに注目し研究計画を立案した。その結果、本研究機関にいくつかの点か解明された。1:細胞レベルでの線溶系因子の関与病態における線溶系因子の活性化は、細胞表面にアンカーされている生理活性物質を瞬時に切り離すことで生理学的、生化学的反応を遂行することが見いだされた。2:サイトカインの制御機構の可能性分化誘導・増殖という過程においてサイトカインは重要な機構を担っている。TGF-β、TNF-α、VEGFなどの急激な反応について細胞表面からの切り出しに関与している事が見いだされた。3:α2-antiplasminの機能線溶系の中心であるplasminは、生体内で特的阻害因子であるα2-antiplasminによって瞬時に非活性化される。遺伝的にα2-antiplasminの欠損状態を形成したマウスでは、これらの作用が消失しサイトカインなどの誘導が増幅される事が確認された。4:uPARの特異性本研究期間において、最終的に結論に至らなかった大きなテーマにuPARが挙げられる。脂肪細胞の分化誘導に深く関与し、その生理学的特異性が注目される。すなわち、可溶性受容体であり細胞膜アンカー型で膜貫通生を持たずplasminによって切り離された部分はリガンドとして機能する可能性を示している。これらについて継続的な研究が、19年度の文部省科学研究費基盤研究C(脂肪細胞の分化・誘導における線溶系因子の機能解明と治療戦略的ストラテジーの確立)として承認された。本研究成果を元に、さらに発展していくものと考えられる。
著者
岸岡 歩
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

恐怖条件付け学習では、音と電気ショックは視床の異なる核を経由してそれぞれ扁桃核に入力し、この領域で連合され、記憶として保持されるという単純な神経回路が考えられていた(Le Doux.2000,Annu.Rev.Neurosci.23:155-184)一方で、これまでの研究から線条体は弱い電気ショックを与えたときの恐怖条件付けに関与することが示唆された(Kishioka et al., 2009)。そこで本年度は、線条体と扁桃体の機能の違い、および両者の関係を明確にすることを目的とし、以下の検討をおこなった。(1)C57BL/6系統のマウスの扁桃体Lateral Amygdala(LA)の両側にMuscimol(MUS)を投与し、神経活動を抑制した。このマウスを用いて0.3mAの弱い刺激条件で恐怖条件付けを行ったところ、3時間後(STM)と24時間後(LTM)ではいずれも有意に学習が障害された。これにより、弱い刺激条件での恐怖条件付けの記憶獲得には扁桃体が関与することが明らかとなった。(2)次に、あらかじめ0.3mAの弱い刺激条件で条件付けをしたC57BL/6系統マウスの扁桃体LAの両側にMUSを投与することで神経活動を誘導し、扁桃体の長期記憶への寄与を検討した。3時間後のSTMと24時間後のLTMを計測した結果、いずれも有意に学習が障害された。これより、扁桃体の神経活動は学習後の記憶の固定の過程にも重要であることが示唆された。(3)さらに、線条体神経細胞除去マウスを用い、0.3mAで恐怖条件付けをおこない、24時間後の長期記憶のtestの前にMUSを両側の扁桃体LAに投与した。LTMを計測した結果、有意な差は見られなかった。続いて、このマウスの線条体をRU投与により除去したところ、RU投与群の学習は障害される傾向にあった。このことから、長期記憶の表出には扁桃体は関与しない一方で線条体は関与する可能性が示唆され、それぞれの部位の恐怖記憶への関与の違いが明らかになった。
著者
武田 敬 佐々木 道子
出版者
広島大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

(1) これまで立体化学的に極めて不安定なため発生が不可能と考えられてきた鎖状ニトリルのα-キラルカルバニオンの発生および炭素求電子剤による捕捉 (er = 90:10)に成功した.(2) ヒドロキシアリルシランの Brook 転位を経る SE2'型のプロトン化反応を利用し,電子求引性置換基 X が隣接位のキラルカルバニオンのラセミ化に及ぼす影響を半定量的に評価する方法を開発した
著者
山下 博司
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

本研究の期間内に、タミル・ヒンドゥー教の聖徒列伝『ティルットンダル・プラーナム』(通称『ペリヤ・プラーナム』)の核心部分(重要聖者にまつわる中心的説話等)に対し批判的な日本語訳を施し、翻訳出版の基礎を整えた。さらに、上記作業に関わる副産物として、専門研究者向けの英語による共著 A Concise History of South India: Issues and Interpretations(Delhi: Oxford University Press, 2014)、及び一般向けの単著『古代インドの思想-自然・文明・宗教-』(ちくま新書、2014年)等も執筆・公刊し、成果を広く発信し得た。
著者
石川 達也 三浦 清一 横濱 勝司 亀山 修一 川端 伸一郎 小野 丘 安倍 隆二 関根 悦夫 八谷 好高
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、凍結融解作用を受ける粒状路盤の力学特性の試験方法を提案するとともに、凍結時及び凍結融解後の粒状路盤の力学挙動を把握し、舗装構造の理論的設計方法を用いて、凍結融解に伴う粒状路盤の性能変化が道路舗装の疲労寿命に及ぼす影響を検討した。この結果、粒状路盤が凍結融解作用を受けた場合、支持力特性のような力学的な性能が変化し、疲労寿命のような走行路構造の長期性能に強く影響を及ぼすことを明らかにした。
著者
牧平 清超 二川 浩樹 里田 隆博 弓削 類 寺田 善博 篠原 義憲
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

抗NHA2モノクローナル抗体を用いて破骨細胞におけるNHA2の機能解析を行った。その結果、NHA2は未成熟な破骨細胞同士の融合に深く関与していることを見いだした。また、顎骨は咬合力をはじめとした様々な外的刺激を受けることから、メカニカルストレスを負荷した状況をシミュレートし、この刺激下での抗NHA2モノクローナル抗体の破骨細胞と骨芽細胞への影響について検討したが、結論に至るまでの十分なデータを得ることはできなかった
著者
はしもと じょーじ
出版者
神戸大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

多様な条件下にある惑星大気について鉛直1次元の放射対流平衡の大気構造を計算するコードを新規開発した.また放射輸送計算に必要とされる大気成分の吸収線パラメタ、断熱温度勾配の計算に必要な熱力学データ、雲その他の粒子による散乱特性を計算するのに必要な凝結成分の複素屈折率など、大気構造計算に必要なデータの収集をおこなってデータベースを構築した.
著者
鞍谷 文保
出版者
福井大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究では,スポット溶接位置のばらつきの影響を受けにくい振動特性を有する溶接構造を構築するための溶接位置について検討する.最初に,有限要素解析に適したスポット溶接部の有限要素モデルを明らかにし,その特性に影響を及ぼす溶接部鋼板の適切な要素分割指針を示す.次に,溶接位置のばらつきが溶接構造の振動特性に及ぼす影響を明らかにし,それを基に振動特性の変動の小さい溶接構造を構築するための溶接位置指針を示す.
著者
分藤 大翼
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究の目的は、アフリカ狩猟採集社会における文化変容を、仮面儀礼や音楽舞踊の実践といった人々の社会的相互行為の実態に即して解明することである。また調査地域の現状を記録し、後年、文化変容の比較研究がおこなえるようにビデオによる撮影を行い、民族誌映画(記録映画)を作成することも目的としている。本年度は、カメルーン共和国において仮面儀礼や音楽舞踊、集落の人口動態や歴史に関する聞き取り調査をおこない、あわせて撮影もおこなった。また、映像による記録とその活用について知見を深めるため、ニューヨーク(USA)で開催された世界屈指の民族誌映画祭(Margaret Mead Film and Video Festival)に参加し、情報の収集と関係者との情報交換をおこなった。また、報告者の制作した民族誌映画を国内外の上映会、映画祭で上映し、専門家、一般の観衆とともに討議を重ねた。本年度の成果としては、「カメルーン東部州、バカ・ピグミー社会における音楽の実践と継承」という題目で、ポスト狩猟採集社会の文化変容の一面を仮面儀礼や音楽舞踊の実践の分析から明らかにした論文を発表した。また、バカ・ピグミー社会において最も重要視されている「ジェンギ」という精霊儀礼と音楽舞踊に関する民族誌映画『Jengi』を制作し、日本アフリカ学会、日本文化人類学会の学術大会において上映し討議した。同作品は、2008年3月に沖縄大学で開催された日本映像民俗学の会でも上映され、5月にはドイツのゲッティンゲンで開催される国際民族誌映画祭でも上映されることになっている。また、その後ヨーロッパ諸国で上映される予定である。
著者
堺 健司
出版者
同志社大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

電磁波吸収体は,無線通信機器が使用される環境で通信障害などの問題を解決する重要なデバイスである。無線通信機器が数GHz~数十GHzの電磁波を使用し,使用周波数の変化も激しいため,高周波化,周波数の変化に対応した電磁波吸収体が求められている。また,実用化を考えると低コスト化,量産可能なことも重要となる。電磁波の吸収は,吸収体材料の複素比透磁率と複素比誘電率により決定されるが,本研究ではこれらの値を人工的に制御でき,しかも汎用材料のみで構成可能なメタマテリアルを電磁波吸収体に応用することを試みた。メタマテリアルは導体などの周期配列により実現できるが,本研究では樹脂中に磁性体粒子を均一分散して粒子の周期配列によりメタマテリアルを実現した.また,立体構造を容易に作製できる光造形法を用いて,樹脂の周期構造を作製し,金属を蒸着して導体の周期配列を作製して電磁波吸収体へ応用することも試みた.樹脂を溶解し磁性体粒子と混合することで,粒子間に樹脂の層が形成され,個々の粒子が孤立して樹脂中に分散した.この方法で作製した試料は,数GHz~数十GHzで市販の吸収体よりも良好な吸収特性を示し,粒子の分散方法により吸収特性が改善できることを明らかにした.この成果は,特殊な材料を必要とせず材料の構造のみで特性を改善できるため,低コスト化など吸収体の設計において有用な技術となる.また,電磁波の吸収に有効であるコイルの周期配列を,光造形法と金属の蒸着を組み合わせ容易に作製できることを示した.作製したコイルの周期配列に対して10~20GHzの電磁波を入射し,透過波と反射波を調べた結果,金属を蒸着しなかった試料の特性と異なる結果が得られた.従って,最適な周期配列や形状を選択することで高機能な吸収体の作製が期待でき,光造形法を用いて実用的な電磁波吸収体を容易に設計できることを明らかにした。
著者
高井 直樹
出版者
横浜市立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

シアノバクテリアの概日時計は KaiA, KaiB, KaiC を用いて試験管内で再構成できる.中でも KaiC の ATPase 活性は概日リズムの周期を規定しており,温度補償されている.本研究では KaiC の ATPase 活性が広い温度レンジの下でも安定的にリズムを生み出すメカニズムを明らかにするため,温度ジャンプ時の ATPase 活性の挙動を調べると共に,概日リズム異常型のKaiC 蛋白質を精製し,野生型 KaiC 蛋白質との挙動の差異を生化学的に解析した.その結果,温度ジャンプ時の ATPase 活性は一過的に上昇するが,即座に抑制される過渡応答が見られた.また,温度補償異常型では過渡応答が見られなかったことから,KaiC は ATPase 活性を用いた分子内フィードバックにより,周期の温度補償性を獲得し,その機能には C2 ドメインが重要な働きを担うと考えられた.