著者
北浦 明人 岩井 誠人 笹岡 秀一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.90, no.3, pp.315-317, 2007-03-01
被引用文献数
6

本論文では,フェージング変動が緩やかに変化しているような環境での秘密鍵共有方式として,二つのアンテナの受信信号強度の大小比較により2値化を行う方式を提案する.また,提案方式の性能を計算機シミュレーションにより評価を行った.
著者
獅々堀正幹 大西 泰代 柘植 覚 北 研二
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.300-311, 2007-01-15
被引用文献数
1

近年,楽曲配信サービスの普及により,容易に音楽データをダウンロードして試聴できるようになった.しかし,サーバ側で蓄積している音楽データが膨大になるにつれ,音楽データに対する効率的な検索手法が必要になっている.特にハミングを入力とする検索手法が近年活発に研究されており,音楽特徴量間の類似度計算にDP マッチングやユークリッド距離を用いる手法が主流であった.本論文では,距離尺度としてEarth Mover's Distance(EMD)を用いたハミング検索手法を提案する.EMD は輸送問題における輸送コストの最適解であり,本手法では輸送問題における各供給地が有する資源量を各音符の音長,輸送コストを各音符の出現時間と音高情報から算出することで,リズムと音程との類似度を同じ距離尺度で計り,全体の曲調が類似した曲を検索する.さらに,EMD の計算量が音符数に対して指数関数的に増加することに着目し,検索精度を維持しつつ計算コストを低減可能な音楽特徴量を提案する.約500 曲の音楽データベースに対してハミングデータ40 曲を入力とした評価実験を行った結果,ユークリッド距離を用いる手法より検索結果上位10 位以内に正解データが出現する割合が約30%向上した.また,DP マッチングを用いる手法と比べて,極端に音高の外れた音符を含むハミングデータに対する柔軟性を確認した. 付録:<a href="http://www.ipsj.or.jp/08editt/contents/JNL4801/index.html#28"target="_brank">http://www.ipsj.or.jp/08editt/contents/JNL4801/index.html#28</a>Music retrieval systems are extremely useful for collecting digital music data from on-line music distribution sites. Especially, there is a great need to develop effective techniques for content-based music retrieval systems, which can retrieve by humming query. The main issues in this research is how to decide the similarity of each music features extracted from music data. In order to calculate the similarity, some conventional methods use Euclid distance or DP matching, but it is very hard to solve the problem of the vagueness of humming query. In this paper, we propose a new similar music retrieval method based on humming query using the Earth Mover's Distance as the distance measure. Computing the EMD is based on a solution to the transportation problem, and the EMD is applied as the distance measure on similar image retrieval systems. In addition, we focus that the time complexity of the EMD is exponential worst case toward the number of notes, the improved method to decrease the number of notes in the music feature is also proposed. Experimental results show that the proposed method can improve the retrieval precision of conventional systems.appendices:<a href="http://www.ipsj.or.jp/08editt/contents/JNL4801/index.html#28"target="_brank">http://www.ipsj.or.jp/08editt/contents/JNL4801/index.html#28</a>
著者
関 朋宏
出版者
千葉大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

申請者は過去3年間を通じて研究課題にあるペリレンビスイミドのJ会合体の構築・内部構造の解明、更にはその機能材料化に取り組んだ。残念ながら、見出したペリレンビスイミド分子の合成が非常に困難であり、内部の構造を詳細に調査できるだけのサンプル量が得られていなかった。しかしながら、これまでに得られた知見を最大限に活かして大量合成が可能な一つの合成経路を確立することに成功し、内部構造の解明および機能材料化を急ピッチで調査中である。一方昨年度までの研究を通じて、ペリレンビスイミド色素においては元来困難とされてきた「塗布法により薄膜形成が可能な二次元層状構造の創製」、および「最低ゲル化濃度が低く透明なゲル材料の構築」に成功した。これらの系の分子レベルでの集合構造を精査し、光学的・電子的特性、および材料特性との相関を明らかにした。前者に関しては、半導体有機エレクトロニクス材料としての応用展開を見出し、溶液塗布法により作成可能な有機薄膜トランジスターデバイスの活性層への適用に成功した。一方後者の系では、ゲルの分子レベルの配列とよりマクロな層構造との明確な相関関係を解明することに成功した。得られた成果は、機能性の色素分子から望みのゲル材料の形態を構築させるための重要な分子設計指針を与えた。本研究を通じて、ペリレンビスイミドの機能化を目指した合成の高収率化、分子レベルの集合構造と光学的・電子的特性との相関の解明、有機エレクトロニクス材料としての有用性の証明に成功した。更なる詳細な調査によって、他の色素材料の構築にも適用可能な分子設計指針の確立が期待される。
著者
佐藤 清隆
出版者
日本味と匂学会
雑誌
日本味と匂学会誌 (ISSN:13404806)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.147-156, 2004-08

食べ物のおいしさは、5つの基本味や匂いという化学的要因にくわえて、物理的要因としての「食感」、さらには生理的・心理的要因や、記憶・経験、社会環境などが複合的に作用して決まる。したがって「食べ物のおいしさ」は、総合的な観点から研究する必要がある。本稿では食品の物理的特性とおいしさとの関係を考察したのちに、油脂性食品、とくにチョコレートを例に取り上げて、食感に及ぼす物性の重要性を考察する。
著者
坂野 慎哉
出版者
早稲田商学同攻会
雑誌
早稲田商學 (ISSN:03873404)
巻号頁・発行日
vol.418/419, pp.93-114, 2009-03-15
著者
鹿島 央 橋本 慎吾
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

本研究の目的は、以下の2点である。(1)リズムの契機は、日本語話者と日本語学習者ではどのように異なるか。そのときの呼気圧、呼気流量はどのようであるか。(2)持続時間が特徴的な学習者の発音は、日本語話者とは呼気圧、呼気流量にどのような違いがあるか。実験1では、リズム契機とユニット長の関係を調べるため、日本語母語話者と日本語学習者(中国語)を対象とし特殊拍を含む音節を組み合わせた6語(たーたん、たーだん、たんたん、たんだん、たったん、さったん)を分析した。発話はメトロノームにあわせ1語につき10回収録し、呼気圧、呼気流量について分析した。結果は、全体長では日本語話者の方が長く、語中の破裂音の外破からメトロノームまでの時間は学習者の方が長いという特徴がみられた。特に呼気圧がより強いことが観察されたが、語頭の破裂音にはそのような傾向はなかった。このことは、呼気圧の影響がリズム契機を形成する違いに何らかの役割を果たしていることを示唆する。実験2では、リズム配置の異なる18語を選定し、単独発話と「これは...です」というフレームに入れたものを発話資料とし、呼気圧、呼気流量の側面から分析した。発話者は中国語(北京語)話者2名、スペイン語話者1名、日本語話者2名で、KAY社製の「エアロホン」を用いて収録した。この研究の特徴は、生理的な要因である呼気流量と呼気圧のピーク値が学習者では各語の特徴的な持続時間の開始点とどのような関係であるか、また日本語話者とどのように異なるかを分析する点にある。分析の結果、中国語話者では呼気圧のピーク時点が第3ユニットにきていること、流量は調音法によっても異なることが判明した。しかしながら、これまでの結果では、特に呼気圧、呼気流量の違いが持続時間の違いとなるという結論には至っていない。ただ、破裂音の閉鎖時間や発声の違いに影響を与えていることを示す結果となっている。
著者
今井 友裕 小川 恭孝 大鐘 武雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.368, pp.15-21, 2001-10-13
被引用文献数
16

本報告では、OFDM通信系におけるアダプティブアレーの提案を行っている。このアレーはFFT後の各搬送波毎にウェイトの乗算を行っており、ガードインターバル内の干渉波のマルチパス波全てを一つのアレー自由度で抑圧し、希望波のマルチパスのエネルギーを取り込むように動作する。希望波と干渉波それぞれのトレーニング区間の信号が既知である条件のもとで、受信側でスライディング相関器を用いて自己相関系列を求め、それぞれのマルチパス波の遅延時間推定を行う。更に、その複素振幅をMMSE基準に従って精度良く推定する。その結果にFFT処理を行い、希望波と干渉波の各搬送波毎にアレー応答ベクトルを求める。それらを用いてウェイトの決定を行う。計算機シミュレーションの結果、従来のウェイト制御アルゴリズムに比べて、出力SINR、ビット誤り率ともに優れた特性を示すことが分かった。
著者
伊藤 太一郎 中村 孝 神澤 公 藤村 紀文
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1996

次世代の強誘電体不揮発性メモリーとして嘱望されている、MFS型FETの実用化に向けた検討を行った.現在我々が提唱しているMFS型FETのための物質は、YMnO_3であるが、実用化に向けていくつかの問題点が生じていた.大きなリ-ク電流、小さな残留分極である.この原因を探るために、様々な角度から検討を行った.単結晶上やPt基板上に作成されたYMnO_3薄膜はデバイスとして十分に機能する0.2μC/cm^2程度の残留分極値を示すが、Si直上に成長させた試料においては結晶性が悪く残留分極を示さなかった.いくつかの界面修飾を検討した結果、還元のY-Mn-OやY_2O_3が界面層として結晶性の向上に効果があることがわかった.これらの界面層を付加することによって、Si表面のキャリアを制御できることが確認された.そのときのメモリーウインドウ幅は1.1Vであった.これらの試料を用いて詳細なC-V特性、パルス特性等の電気特性の検討を行った結果、MFS型FETの基本的な動作は確認されたもののいくつかの問題点を明らかにすることができた.一番大きな問題点は保持特性が悪いことである.リ-ク電流が原因と考えられる.そこでパルク試料を用いてリ-ク電流の原因を探った.その結果、リ-ク電流はMnの価数揺動に起因しており、またそれはAサイトをYbと置換すること、Zrのド-ピングによって低減することが明らかにされた.また、AサイトのYB置換によってプロセス温度の低下が確認された.YbMnO_3Zrの薄膜化の検討を始めたところであるが、RMnO_3を用いたMFS型FETデバイスは実用化へ大きく前進した.
著者
貴堂 高徳 辻川 茂男
出版者
社団法人日本鉄鋼協会
雑誌
鐵と鋼 : 日本鐡鋼協會々誌 (ISSN:00211575)
巻号頁・発行日
vol.75, no.8, pp.1332-1337, 1989-08-01
被引用文献数
1

Critical conditions to repassivate growing crevice corrosion in terms of electrode potential, E_R, temperature, T_R, and NaCl concentration, C_<NaCl, R>, were determined for metal/metal-crevice of ASTM Grade 12 (G 12 Ti) and Ti-x(=0&acd;2%)Ni-y(=0&acd;0.4%) Mo alloys. G 12 Ti with 0.8%Ni and 0.3% Mo has more noble E_R values than commercially pure Titanium (C.P. Ti) and this tendency is more enhanced in lower concentrations of NaCl solutions. G 12 Ti is predicted to be resistant to crevice corrosion in solutions containing as high as 9% NaCl at 100℃, which is markedly higher than 1% NaCl or less as the highest concentration for C.P. Ti to be resistant at the temperature. E_R value for Ti-xNi-yMo alloy depends almost on Ni content. Sufficiently noble value of E_R is attained for the alloys with Ni contents over 0.2%. The beneficial effect of Ni could be explained from formation of Ti_2Ni which works as Pd does in Ti-0.15 Pd alloy. C_<NaCl, R> depends not only on Ni content but also on Mo content. It decreases with increasing Mo content in the range from 0 to 0.1&acd;0.2%, above which C_<NaCl, R> increases with increasing Mo content. This shows beneficial effect of Mo combined with Ni. Based on the results of Ti-xNi-yMo alloy, characteristics of G 12 Ti are found to be accounted for approximately through its contents of Ni and Mo.
著者
井出 吉信
出版者
東京歯科大学学会
雑誌
齒科學報 (ISSN:00373710)
巻号頁・発行日
vol.109, no.3, pp.324-330, 2009-06-30
著者
日向 進
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会論文報告集 (ISSN:03871185)
巻号頁・発行日
no.325, pp.144-154, 1983-03-30
被引用文献数
2

寛政2年から同3年にかけての普請記録である大工近江屋吉兵衛の『注文帳』を主な拠り所として, 天明大火直後の京都における町屋普請について考察した。その結果明らかになったのは次の諸点である。(i)大火後に普請された町屋の建築構成は, 規模や各部の高さなどの点において大火前との異同は認められない。しかし, 用材は一般的には松と杉とに限られ, 坪当り工費, 坪当り大工工数は平常時の水準値を下廻っており, いわゆる「仮家建て」として普請されていたところに, 大火直後の普請という特殊な建築事情がうかがえる。(ii)町屋普請の見積り・積算に際しては, 大工工数については「〜人掛」, 工費については「〜匁坪」という表記に示される標準化が成立しており, 一定の規模・質を有する町屋に対応する指標とされていた。(iii)このような生産技術の整備が町屋の量産の上で不可欠であり, そのような生産技術の前提となる建築的類型の成立する時期は享保年間頃と考えられる。
著者
早見 洋平
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.73, no.626, pp.883-890, 2008-04-30

This paper deals with price formation of house and lot in Kyoto of the early Edo period. (1) The place, (2) frontage, (3) depth, (4) price, and (5) the date about deal in the house and lot were written in title deeds of the 17th century. The difference of the ratio of the price of the house and lot to the frontage by dealings is large. It can hardly explain the deciding factor of the unit price in case of basing on items written in title deeds. The reason is that the house has not been described though title deeds has described lot.