著者
白鳥 貴亮 中澤 篤志 池内 克史
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.90, no.8, pp.2242-2252, 2007-08-01
被引用文献数
6

近年コンピュータグラフィックスの分野では,自然なキャラクタのアニメーションを生成する手法が数多く提案されてきている.しかし,人間の振舞いの印象を大きく左右する表現を考慮した手法はほとんど提案されていない.そこで本論文では,表現が重要な要因となる舞踊動作を対象として,入力される音楽信号から舞踊の表現に関係する音楽情景を解析し,その結果に合った舞踊動作を生成する手法を提案する.これにより従来手法では不可能であった,音楽に合った豊かな表現をもつ舞踊動作を生成することを目的とする.動きデータからは動きのリズムと盛り上がりの特徴量を,音楽データからは楽曲構造解析によってセグメント分割し,特徴量としてリズム,盛り上がりを抽出する.舞踊動作生成時は,まず構造解析によって得られる音楽セグメント内のリズム成分と高い相関を示す動きの候補セグメントをすべて抽出する.そして最後に盛り上がり成分の相関を求めることで最適な動きセグメントを選択し,連結することで舞踊動作が生成される.様々な楽曲や動きデータに適用して実験を行い,その有効性を示す.
著者
森勢将雅 河原 英紀 片寄 晴弘
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.50, pp.117-122, 2008-05-21

STRAIGHT を用いた音声モーフィング技術の拡張として,スペクトル包絡,基本周波数を個別にモーフィングできる,部分モーフィングが提案された.さらに,部分モーフィングを用い,歌唱の特徴を声質・歌い回しに分離し,それぞれを個別にモーフィングできる歌唱デザインインタフェースが提案されている.今回,声質・歌い回しについて様々なモーフィング率で合成した歌唱をあらかじめデータとして蓄積し,波形を接続することで擬似的にリアルタイムでモーフィング率を変化させることが可能なインタフェースを実装した.本報告では,再生中にリアルタイムでモーフィング率を変化させる方法,停止中にモーフィング率の時系列を編集し,編集されたモーフィング率の時系列に基づいて再生を行う方法について説明する.また,リアルタイムにモーフィング率を変化させた歌唱の品質や問題点について述べる.Partial morphing by using STRAIGHT was proposed for independent processing in spectral and source parameters. Moreover, an extension of partial morphing, which enables individual control of voice identity and singing style, was implemented to design the singers' voice identity and their singing style. We describe the implementation of the real-time application in STRAIGHT-based morphing system. This morphing system enables us to control two (voice identity and singing style) morphing-rate during reproducing. This paper shows how to achieve the "real-time" morphing by using a lot of synthesized voices. The quality of real-time morphed singing is also discussed.
著者
加藤 稚人
雑誌
関西大学哲学 (ISSN:0910531X)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.A1-A16, 2011-03-19
著者
加藤 雅人
出版者
関西大学
雑誌
関西大学哲学 (ISSN:0910531X)
巻号頁・発行日
no.29, pp.1-16, 2011-03
著者
七條 達弘
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.87-103, 2007 (Released:2007-08-03)
参考文献数
9
被引用文献数
1

囚人のジレンマゲームは、社会的ジレンマ状況を説明する単純化されたモデルとして、多くの研究がなされてきた。長期的な付き合い関係などで、協力が発生することが知れている。しかし、この結論を導くためには、強制的に同じ相手とゲームを継続するという仮定が必要である。現実には、パートナーの変更が可能であり、これにより協力の発生が阻害される可能性がある。そこで、本研究では、パートナー変更がある場合でも、協力が発生する事が可能であることを示す理論モデルを構築する。さらに、パートナーの分布変化がある場合を考慮すると、非協力の集団からの協力の発生という、協力の初期進化を説明することができることを示す。
著者
吉田 将人 福原 知宏 増田 英孝
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告デジタルドキュメント(DD)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.35, pp.37-44, 2009-03-18

ブログ記事と Web ページを利用したイベント情報抽出手法を提案する.提案手法は,ブログ記事からイベント名抽出パターンを構築し, Web ページからイベント名を抽出する.本研究では,ブログ記事と Web ページを利用したイベント情報抽出手法を提案する.ブログ記事を用いることにより,記事の書かれた日付が分かり,イベント名抽出パターンとイベント開催日の関係を把握できる.Web ページを用いることにより,イベント名検索の網羅性を広げることができる.提案手法では,まず,いくつかのイベント名に対してブログ記事を収集し,そこからイベント名の前後に連接しやすいパターンを抽出する.次に,抽出したパターンを用いて Web 全体からイベント名を収集する.提案手法のイベント名収集適合率と将来構想について報告する.An extraction method of event names appeared on the Web using blog and Web articles is described. Proposed method extracts event names from Web pages by finding extraction patterns of event names from blog articles. The method finds extraction patterns from blog articles that contain event names given by a user. Because different names for the same event can be appeared on the Web, the method identifies the same event using a string kernel that can measure similarities of event names. Then, the method finds event names by using extracted patterns. Preliminary results of an experiment are described.
著者
吉川 厚 斉藤康己
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告知能と複雑系(ICS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1993, no.103, pp.41-53, 1993-11-24
被引用文献数
1

人間がいかに状況を認識し,それを使って行動を決めるかのモデルをつくるために,囲碁を題材として認知実験を行い,いくつかの現象を見いだした。実験は被験者を非対峙状況において自手を決定するまでの一連の思考を内省しながら対局してもらうことにした。また,片方にはアイカメラを装着し視線データをとった.このような方法で様々な角度からのプロトコルを入手し,それを分析した結果,境界の認識,先読み時の注目点や深さなどにいくつかの知見を得たのでこれを報告する。加えて、今後解明すべき認知的な課題を列挙する。We present an experimental analysis of several phenomena when subjects are playing Go, in order to investigate how people recognize the situation of a game and decide what to do next. Subjects were asked to reflect by themselves while playing a game. One subject wore an eye camera, and we recorded the eye movement data. We analysed those protocols, such as verbal protocol, eye movement, the record of the game and so on. We found out some interesting phenomena and a lot of future research directions.
著者
大島 真 山田 孝治 遠藤 聡志
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2011論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.6, pp.84-87, 2011-10-28

本研究では囲碁のヒューリスティックとして碁石をポテンシャルと見なした静的解析手法の実験を行っている.囲碁の解法に物理モデルを用いた研究は幾つか成されているが、従来研究では群や領域や石の影響度といった局所を構成する要素の評価を目的としているのに対し,本研究では対局序盤での勝敗に関わる碁盤の重要な領域の直接的な抽出を目標としている.実験では計算機同士の対局に提案手法を適用した場合の勝率の変化傾向や,モンテカルロ碁による評価と提案手法が抽出する領域との一致率などを求め,碁盤上の石の配置と勝敗に関わる重要な領域との間に幾何学的な規則性がある事を例証した.
著者
北島 滋
出版者
宇都宮大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

本調査報告書は,調査対象とした非成長型中小都市を東北・北海道地区に限定している。北海道深川市,ニセコ町は,典型的非成長型の小都市であり,岩手県北上市は中枢・中核都市の臨接地域でないにもかかわらず,極めて例外的な成長型の小都市である。この3つの小都市の変動を構造分析の方法で分析し,それらを「街づくり」の視点から比較的に考察してみた。それらの分析結果については本文を参照していただきたいが,ニセコ町は,現在全国の街づくりで最も注目されているそれである。本報告書では,ニセコ町のまちづくり条例,情報公開条例に至る経緯を分析し,結論的には,町民の知恵が行政を変え,行政のリーダーばかりでなく,市民サイドのリーダーをも生み出したということである。言い換えれば,市民サイドのリーダーの輩出及びそのリーダーシップの在り方が行政に先行したということである。これに対して,深川市は従来見られてきた典型的な行政主導型の街づくりである。しかしこれとても,駅前再開発までであり,これからの街づくりは市民の創意でという方向に行政のスタンスが変化してきている。但し,創意を引き出す仕掛けづくりが必ずしも双方から提起されていないというのが現状である。深川市の街づくりはまさに転換期にある。北上市は,中枢・中核都市以外の中都市でありながら成長型に属する稀有な事例である。但し,工業化それ自体が街づくり(=職の確保)というその域から未だ脱することができていない。したがって,NPOを含む市民参加,行政との協働の街づくりが現在進行形で模索されている。この意味でも市民参加への転換期にある。
著者
Toshihide NISHIMURA
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
Food Science and Technology International, Tokyo (ISSN:13417592)
巻号頁・発行日
vol.4, no.4, pp.241-249, 1998-11-25 (Released:2009-08-14)
参考文献数
81
被引用文献数
18 42

It is well known that muscle is converted to meat as food during postmortem aging. Meat flavor as well as texture are improved during postmortem aging. The improvement of meat taste in flavor is involved in the increase in free amino acids and peptides in meats during postmortem aging. Especially, the increase in free amino acids is thought to contribute to the enhancement of brothy taste including umami, while the increase in peptides is responsible for giving mildness. The increase in peptides is caused by the action of cathepsins B and L, and calpains on muscle proteins, while the increase in free amino acids is caused by the action of aminopeptidases C, H and P on the peptides during postmortem aging.
著者
島田 淳子 綿貫 美奈子 谷澤 容子 畑江 敬子
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.199-206, 1992-03-15
被引用文献数
2

1cm厚さの牛肉のサーロイン肉(胸最長筋)を0℃で2日から14日間熟成した. 熟成した生肉および,これを209℃で90秒焼いた肉の物理的特性(剪断力価,硬さ,凝集性,針入載,保水性), 5'-IMP含量, 有機酸量および遊離アミノ酸とオリゴペプチド態アミノ酸の量と組成を測定した. また,官能検査により, 加熱した熟成肉の軟らかさ, うま味の強ち, 総合的好ましさなどが評価された. この結果, 熟成により軟らかさは, 官能評価においても, 客観測定においても顕著に増加した. うま味に関与するグルタミン酸量および5'-IMP量は熟成により,前者は増加,後者は減少した. 両者の量より算出した呈味強度は熟成により増加したが, 官能評価におけるうま味の強さには熟成による有意の増加が認められなかった. 以上より官能評価におけるうま味の強さにはGlu, 5'-IMP以外の成分の寄与が示唆された.
著者
大東 俊博 白石 善明 森井 昌克
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IT, 情報理論 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.729, pp.43-48, 2005-03-10

無線LAN用の暗号化プロトコルであるWEPは2001年にFMS攻撃によって破られた.FMS攻撃に対して耐性を持たせるために, FMS攻撃で用いられるweak IVを取り除く実装が現在のWEPではなされている.既に我々は, 現在使われているバージョンのWEPに対して既知IV攻撃を提案し, ほぼ全てのIVがweak IVになることを指摘している.提案した既知IV攻撃は64ビットのセッションキーを用いるWEPに対しては現実的な解読の脅威を増大させ, 128ビットのセッションキーを用いるWEPに対しては計算量を実行可能な値まで削減している.本稿では, 我々は全てのweak IVの中で特に偏差の大きなIVを選別する方法を与えることで更に効果的な鍵復元攻撃を実現する.提案手法は128ビットのセッションキーを用いるWEPに対して現実的な時間での解読を可能にする.したがって, FMS攻撃のweak IVを取り除いたWEP実装はもはや安全とはいえない.
著者
古居 敬大 三輪 誠 近山 隆
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2011論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.6, pp.46-53, 2011-10-28

ナッシュ均衡的な戦略は多人数ゲームでは有効な戦略であるが,非合理的なプレイヤが存在する場合には必ずしも最適な行動であるとは言えない.本稿では多人数ポーカーゲームにおいて,より搾取が可能であると予想されるナッシュ均衡戦略を取っていないプレイヤを判別し,そのプレイヤのみに応じた戦略を取るプレイヤについての提案する.実験を行ったところ,特定の単純な行動を取るプレイヤに対しては大きく搾取することができ,結果としてナッシュ均衡的な戦略をとったプレイヤより報酬が大きくなる場合があることを確認した.
著者
小林 盾
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.183-194, 2002-10-31 (Released:2009-02-10)
参考文献数
57
被引用文献数
2

数理社会学は,社会規範の発生メカニズムを扱うことができるし,むしろ積極的に扱っていくことが期待されている.社会規範は社会のセメントとして役立っているが,これまで社会学は「すでにあるもの」と仮定することが多かった.しかし,もし社会規範がどう生まれて変化していくのかをあきらかにできないと,ひとびとの行動や社会現象を理解するときに誤解する危険がある.いっぽうもし解明すれば,秩序問題という社会学の根本問題を解決できるであろう.そこで,1つの有望な戦略として,社会規範の発生を「選好形成」と捉えて,社会規範の内面化をモデル化することを提案する.そうすることで,理論的には合理的選択理論やゲーム理論の成果を継承できるし,方法論的にはマイクロな行動をマクロな構造へと架橋できる.そのとき,「ピンポイントの数理モデル」を立てて,研究対象を狭く深く限定することがふさわしい.こうした検討をとおして,「望ましい社会とはなにか」という問いにも,貢献できる可能性がある.
著者
角田 延之
出版者
筑波大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

今年一年間の研究を通して、明らかになったのは以下のことである。まずフランス革命におけるフェデラリスムのディスクール分析を行う上で当然重要となる「フェデラリスム」という語そのものは、研究対象地域であるマルセイユの各革命勢力によっては、ほぼ使用されていない。「フェデラリスム」はマルセイユにとっては他者の言葉であった。次に、先行研究は、いわゆる「フェデラリストの反乱」を起こした諸セクション集会にとっての重要な理念は「人民主権」であるとしているため、諸セクションのみならず、対抗勢力であるクラブについても「人民主権」および「国民主権」の理念についての調査を行ったが、双方の勢力による語使用に顕著な差異を見出すことはできず、反乱を起こした諸セクションのみに「人民主権」の理念を負わせることは正当ではないことが明らかとなった。そこで、両勢力の地域意識を調査するために、「マルセイユ」、「マルセイユ人」、「パリ」、「パリ人」、「フランス」、「フランス人」の6つの語彙について、詳細に使用状況の調査を行った。その結果、地域主義は存在したが、それは即座に反乱に結びつくものではなかったことがわかった。現地で収集した一次史料の調査は以上であるが、この分析を導くにあたっては、既存の革命史研究が大いに参考になった。例えば、解説付きの国王裁判議論集は、人民への判決の委託、いわゆる「人民上訴」が、敵対勢力に抵抗するための戦術的方便であるという認識を与えてくれた。ゆえにマルセイユのジャコバン・クラブの、「人民上訴派」への態度は硬化したのである。また逆に、リン・ハントの『人権を創造する』からは、革命期には様々な対立がありながらも、各勢力は絶えず融和の道を探っていたことへの着想を得た。地方史を研究する上では、地方ごとの差異、中央との敵対、という側面が強調されがちであるが、共通点も踏まえて考察しなければ一面的なものになるのであり、そのような認識を導くのは常に様々な先人による諸研究の読解であることを改めて認識することができた。