著者
中村 泰信
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.90, no.4, pp.209-220, 2021-04-05 (Released:2021-04-05)
参考文献数
158
被引用文献数
1

昨今,量子技術への関心が高まり,ニュースでもしばしば量子コンピュータや量子インターネットなどの話題が取り上げられる.中でも超伝導回路を用いた量子コンピュータの研究開発は,米国Google社やIBM社といった大企業が先頭を切って取り組んでいることもあり,大きな注目を集めている.その背景には,超伝導量子コンピュータの核となる要素回路であり,その誕生から20年を経てもなお進化し続けている超伝導量子ビット研究の進展がある.本稿では,超伝導量子ビット研究の最近の進展を紹介し,今後の課題について議論する.長い歴史をもつ電気回路工学やマイクロ波工学の研究分野も,「量子」という新しい視点で捉え直すと,また違った世界が開けてくる.
著者
清家 章
出版者
高知大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2002

縄文時代から古墳時代を通じて、女性の地位がどのように変化するかを墳墓と遺存人骨から調査した。その結果、全時代を通じて女性家長が存在し双系的親族構造の中で女性はヘッドウーマンの地位を保持していることが明らかとなった。しかし、首長層における女性の地位と権能は複雑であることが明らかとなっている。弥生時代中期と古墳時代中期以降は女性首長の存在が認められず、その間に存在する弥生時代終末期〜古墳時代前期には女性首長の存在が一般的に認められる。つまり、首長層においては首長権を行使するこどに対し、女性の活動が活発的な時期とそうでない時期があるのである。その原因は性別分業と大きな関わりがあると考えられる。特に戦争との関わりが重視される。女性には戦争に関わる権能がない、あるいは積極的には認められていなかったため、戦争あるいは軍事的緊張が高まる時期、もしくは政権の軍事化が行われる時期には女性は首長になり得なかったのではないかと考えられた。また古墳時代中期以降に臨時的な場合を除いて、女帝・女性首長は存在しないので、これ以降女性首長が登場することはなかった。また、古墳時代中期以降は一般層においても父系的編成が行われたと考えられる墳墓群が認めあられた。政権が軍事化するに伴い、首長は男性に限定され、下位層に対しても軍事的な理由から父系的な編成が行われたと考えられるが、それは貫徹せず、双系的基盤は後世に受け継がれた。
著者
松尾 雄二

二年間の研究によって、次の内容から成るデータベースが完成に近いものとなった。1.Leibnizの執筆物のクロノロジカルな項目は、Akademie版全集既刊38巻42分冊(2006.3現在)すべてを加えた。翻訳は英独仏和等を対照させた。2.書簡の交信相手の索引。3.全集版等の部・巻・章の標題を示したもの。所収箇所を示す`Ak2.1,239-'だけで、この(オルデンブルグにあてた)手紙がパリ滞在中の哲学書簡として分類されていることが分かる。4.Braunschweig-Luneburg家等の系図。5.その他このクロノロジーによって、調べたいテーマに関係する人物、例えばNewton,Bernoulli,Malebranche,Bossuet等々の名前を冠する書簡や執筆物が何件あるか、年月日とともに正確に検索できる。これを手がかりとして、図書館を介して、件のページのコピー依頼による研究が可能となる。また、図書館もしくは個人の所蔵が想像されるGerhardt版、Dutens版等との対照を網羅しているので、さらには英訳等もできるだけ対照させているので、ライプニッツ研究、それも多様な視点からの研究がいっそう容易になるであろう。まだこれは対照させるべき英訳等を尽くしているわけではない。またこれから先、アカデミー版全集はさらに巻数を増すことになる。今後、定期的に追加、修正を重ねてHPを更新していくことにより、益するところも大きくなると思われる。また、人名の解説については、17世紀のドイツ諸侯国のもつ役職名と、神聖ローマ帝国(諸侯国をある仕方で統括する)のもつ役職名は、聖俗共にきわめて複雑である。さらに、聖職の邦訳語がプロテスタントとローマ・カトリックでは異なることも、事態を複雑にしている。人名解説はまだまだ未完成である。なお、本研究の一環としての徳倫理学の訳書については、J・ピーパー著松尾訳『四枢要徳について-西洋の伝統に学ぶ-』(または『四つの枢要徳』)を知泉書館から出版予定である。
著者
杉浦 郁子
出版者
和光大学現代人間学部
雑誌
和光大学現代人間学部紀要 (ISSN:18827292)
巻号頁・発行日
no.8, pp.7-26, 2015-03

近代以降の日本社会は「女同士の親密な関係」「女を愛する女」に対してどのような意味を与えてきたのだろうか。「女性同性愛」言説の変容をたどる研究成果を「性欲」の視点から整理することが本論文の目的である。ここで「性欲」の視点とは、大正期に定着してから現在まで様々な仕方で構築されてきた「性欲」という領域が、女性同性愛に関する言説をどのように枠づけてきたのか、反対に、女性同性愛に関する言説が「性欲」をどのように枠づけてきたのか、という視点のことをいう。したがって、本論文が注目するのは、「性欲」が女同士の親密性をめぐる経験や理解の仕方に関わっていることを示し得ているような研究成果である。この「性欲」の視点を軸にして、「女性同性愛」言説をめぐる歴史研究の現在における到達点と今後の課題を明らかにしたい。
著者
源河 亨
出版者
美学会
雑誌
美学 (ISSN:05200962)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.13-24, 2016 (Released:2018-01-01)

In daily life, we judge various things aesthetically. For example: “this picture is graceful”, “this landscape is dynamic”, and “his clothes are old-fashioned”. One aspect of our ordinary practices concerning aesthetic judgement seems to support objectivism, according to which, aesthetic judgment can be assessed as right or wrong based on some objective ground. However, another aspect of our practices seems to support subjectivism (or extreme relativism), according to which, aesthetic judgement is a mere expression of subjective impressions and cannot be assessed as right or wrong. In this study, I survey the dispute between objectivism and subjectivism in recent analytic aesthetics, and present an approach that supports objectivism. I argue that some aesthetic judgement is based on “evaluative perception”. It is a special class of perceptual experience affected by evaluative component of emotion and has Gestalt-like “parts-whole structure”. Furthermore, I claim that evaluative perceptions and aesthetic judgement based on it can be assessed as right or wrong in a similar way as ordinary perception and judgement based on it (e.g. colour perception and colour judgement) can be assessed.
著者
井上 直哉
出版者
国際忍者学会
雑誌
忍者研究 (ISSN:24338990)
巻号頁・発行日
vol.2019, no.2, pp.1-13, 2019 (Released:2020-09-01)
参考文献数
20
被引用文献数
1

本稿は、近世大名家に召し抱えられた忍びの事例として、徳島藩蜂須賀家の伊賀者について取り上げる。まずその成立過程として、天正伊賀の乱で伊賀国を追われた後、浜松城主の堀尾家に鉄砲部隊として仕え、大坂の陣などに参加した。堀尾家が改易となると、その一部は高松藩の生駒家へと仕え、生駒家改易後、徳島藩蜂須賀家に仕えた。蜂須賀家では伊賀者を中心に「伊賀役」という役職が設けられ、藩主の参勤交代の道中警備や、城や家老宅での番を勤めた。寛延2 年(1749)には、姫路藩の百姓一揆について、現地で調査を行っている。伊賀者の家格は「徒士格」で家督相続 の許された身分であった。これは、同じく堀尾家伊賀者にも由来を持つ、岡山藩の伊賀者と同様である。他藩の忍びと比較すると、藩主の護衛や他国の探索といった、職務の共通点が見られる。その一方で、待遇は藩によって大きく異なり、徳島藩の同じ伊賀者の中でも大きな差が見られた。

11 0 0 0 OA 土屋押形

著者
土屋温直 編著
出版者
中央刀剣会
巻号頁・発行日
vol.中編, 1926

11 0 0 0 OA 文章の計量分析

著者
村上 征勝
出版者
公益社団法人 計測自動制御学会
雑誌
計測と制御 (ISSN:04534662)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.216-222, 2000-03-10 (Released:2009-11-26)
参考文献数
16
被引用文献数
1
著者
大津 尚志 Takashi OTSU
出版者
武庫川女子大学
雑誌
武庫川女子大学紀要 = The bulletin of Mukogawa Women's University (ISSN:24354848)
巻号頁・発行日
vol.70, pp.65-73, 2023-03-08

In Japanese schools, school rules are not created based on laws and orders of Ministry of Education, but the contents of the rules are to be determined by principals of each school. School rules have a great influence on the everyday lives of high school students. Recently, the content of school rules has come to be seen as a problem. Rules on hairstyles and clothing remain particularly problematic. It is often pointed out that there may be many unnecessary provisions. A nationwide review of school rules is taking place. This paper analyzes the trend of “review of school rules” in Hokkaido prefecture. And this paper also analyzes the contents of the school rules. I will divide public high schools in Hokkaido into three categories: urban areas, intermediate areas, and depopulated areas, and analyze the regional characteristics of each. We learned that depopulated areas are not always “conservative” and that school rules in Hokkaido have many provisions regarding life outside the school. It must be said that the 2019 Hokkaido Board of Educationʼs “review” instructions were incomplete.
著者
白 亜寧
出版者
東京海洋大学
巻号頁・発行日
2019

東京海洋大学博士学位論文 2019年度(2020年3月) 応用環境システム学 課程博士 甲第553号
著者
苫米地 英人
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.33, no.7, 1992-07-15
著者
佐々木 春喜
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.191-197, 2013 (Released:2013-10-04)
参考文献数
17

臨床検査において感度・特異度などベイズの定理が利用されていた. 近年, 病歴や身体所見の尤度比が報告されるようになり, ベイズの定理を用いたベッドサイドで確率的推論が可能になってきた. ベイズの定理の意味を再確認し, ベッドサイドで加法と乗法を用いた簡便な実用的2段階法を示した.
著者
佐田久 真貴
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
認知行動療法研究 (ISSN:24339075)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.159-169, 2018-09-30 (Released:2019-04-05)
参考文献数
19

本研究は、心理教育とセルフモニタリングを用いて皮膚むしり行動への介入を行い、約3カ月で奏効した症例研究である。皮膚むしり行動は、その症状が重篤になると精神疾患の皮膚むしり症と診断され、その決定的なエビデンスのある治療はいまだ確立していない。本報告では、皮膚むしりをやめたいと訴えるクライエントへ1回30分、計9回のセッションが実施された。心理教育では、習癖(くせ)のメカニズムと対策案、爪かみや皮膚むしり体験者の情報などのオリジナル資料を用いた。ホームワークでは、皮膚むしり行動に拮抗する適応的な代替行動の試行とセルフモニタリングが導入された。その結果、皮膚むしり行動を制御できる自分自身に気づき、複数の代替行動が増加、皮膚むしり行動も減少した。効果は半年後にも維持されていることが確認された。

11 0 0 0 OA 電気事業要覧

著者
逓信省電気局 編
出版者
電気協会
巻号頁・発行日
vol.第11回, 1919