著者
Shyuichiro Inagaki Hiroka Fujimoto
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
Food Science and Technology Research (ISSN:13446606)
巻号頁・発行日
pp.FSTR-D-23-00165, (Released:2023-12-21)

The isoflavone aglycone (IA) content in commercial fermented soybean products in Korea, such as cheonggukjang and doenjang, and the IA-producing ability of the Bacillus subtilis strains isolated from the products were examined. Among three commercial products, product C (doenjang), which is produced using a long fermentation method, showed the highest conversion rate of isoflavone glucosides to aglycones. Of all eight B. subtilis strains isolated from the products, four strains had the same or higher level of IA production than B. subtilis (natto), with the C-3 strain showing the highest level. Hence, the difference in the conversion rate among the products might be attributed not only to fermentation time during the manufacturing process, but also the IA-producing ability of the B. subtilis strains. Moreover, the C-3 strain produced IAs during the early stage of culture with soybean liquid medium, and the IA-producing ability of the C-3 strain in the fermentation with soybean solid medium was higher than that of B. subtilis (natto). Thus, the rapid IA production by the B. subtilis C-3 strain might contribute to the high IA content of product C.
著者
麓 弘道
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.68, no.9, pp.631-642, 2019-09-15 (Released:2019-09-15)
参考文献数
21
被引用文献数
1

自然放射性核種については,IAEAが1962年の国際基本安全基準(BSS)で記載した10 nCi/g (370 Bq/g)が広く判断の目安として取り入れられている。同様に10 nCi/g (370 Bq/g)が超ウラン元素を含む放射性廃棄物を浅地中処分する場合の目安となっていることを本資料では明らかとする。時は冷戦の真っただ中で,兵器用の核分裂性物質の大量生産が国を挙げて進められていた中で,いくつかの偶然により,当時の米国原子力委員会(AEC)がどうしても浅地中処分の基準を設定しなければならない状況に陥った。そこで,自然環境における,鉱石中のラジウム濃度の比較的高い領域から10 nCi/g (370 Bq/g)を選んで閾値としたものである。一見乱暴なようであるが,公衆に受け入れられる基準の引き方として大いに参考にすべきと考え,本資料ではそこに至る背景を詳細に説明することとした。
著者
高月 公博 古川 裕之 宮本 謙一
出版者
一般社団法人 日本臨床薬理学会
雑誌
臨床薬理 (ISSN:03881601)
巻号頁・発行日
vol.39, no.5, pp.173-179, 2008 (Released:2009-02-05)
参考文献数
18
被引用文献数
1 1

The purpose of this study was to determine the items necessary for causality assessment in order to improve the usefulness of the individual case safety report (ICSR) from medical institutions as adverse drug reaction (ADR) information. Thus, we evaluated the standard items for causality assessment by surveying the items used in pharmaceutical manufacturers of generic drugs. The number of respondents was 35, which was 89.7% of the member companies of Japan Generic Pharmaceutical Manufacturers Association. The use of algorithms for causality assessment, terms for causal relation, and criteria for assessing whether or not ADR were varied among the companies. These findings were similar to the previous results in a survey of pharmaceutical companies of original drug. The variety of assessment criteria is inconvenient for reporters to judge and also lowers the validity of judgment. Additionally, it will be inappropriate to assess ADR information all together. And these variations may cause wide differences in the frequency measurement of ADR. Therefore, it is crucial to immediately derive consensus on international assessment criteria for causality assessment.
著者
相田 直樹 印南 一路
出版者
一般社団法人 レギュラトリーサイエンス学会
雑誌
レギュラトリーサイエンス学会誌 (ISSN:21857113)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.193-210, 2023 (Released:2023-09-30)
参考文献数
11

わが国の薬剤費の推計は,国民医療費と社会医療診療行為別調査に依拠しており,その手法上の限界が指摘されてきた.本研究は,IQVIAソリューションズジャパン社の2012年度より2021年度までの全医療用医薬品のデータと,株式会社医薬情報研究所のデータをYJコードで結合して分析する手法を用い,わが国の薬剤費の推移を種別ごとに把握し,医薬品に関連する政策目標が達成されているか否かを定量的に評価した.第一に,先発品,長期収載品,後発医薬品ごとの市場規模の推移を記述した結果,昨今わが国が目指してきた長期収載品依存の体質からの脱却,後発医薬品の使用促進といった政策目標はおおむね達成されていた.第二に,抗ウイルス剤,抗PD-1抗体薬の再算定による適正化効果,各種再算定の適正化効果,通常薬価改定の適正化効果,新薬創出加算対象品の市場規模の推移,安定確保医薬品の市場規模の推移,通常薬価改定および各種再算定がなかった場合のシミュレーション分析などの分析の結果,全体として,薬価改定や各種再算定は薬剤費のコントロールに寄与していることが示された.これは2016年の「薬価制度の抜本改革に向けた基本方針」に沿っている.
著者
神崎 保 溝口 志真子
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.66, no.5, pp.490-493, 2004 (Released:2005-10-21)
参考文献数
16

健常人ボランティア8人 (n=8), 悪性黒色腫 (MM) 患者 (n=5) 及び成人T細胞白血病 (ATL) 患者 (n=11) にヨクイニン (18錠/日) を2カ月以上内服させ, 末梢血中のnatural killer (NK) 細胞活性とIFN-γレベルを測定した。その結果, 健常人のNK活性は49.6±7.50から58.4±7.32と有意 (p<0.05) に上昇した。しかし, IFN-γレベルは不変であった。一方, MM及びATLの患者では強力な化学療法と疾患自体による免疫力低下が起こると予測されたにもかかわらず, NK活性の顕著な低下はみられなかった。両者ともIFN-γレベルは初めから測定限界以下であった。以上の結果から, ヨクイニンが健常人ではNK活性を高めることより, 疣贅の病巣部位に免疫反応を惹起させ消退させていることが推察された。また担癌患者へのヨクイニン投与ではNK活性の低下をある程度防御し, ヨクイニンが癌治療補助への有用な薬剤である可能性を示唆すると考えた。
著者
丹羽 俊朗 本田 真司 白川 清治 今村 靖 大崎 定行 高木 明
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.128, no.2, pp.93-103, 2006 (Released:2006-08-31)
参考文献数
144
被引用文献数
2 2

選択的セロトニン再取り込み阻害薬フルボキサミンの薬物相互作用に関するin vitro阻害試験および臨床試験の報告を総説としてまとめた.まず,各cytochrome P450(CYP)の代表的な基質であることが知られている薬物に対するin vitro阻害試験および臨床試験結果を整理した.In vitro阻害試験において,フルボキサミンはCYP2A6,CYP2C9,CYP2D6,CYP2E1およびCYP3A4に比べCYP1A2およびCYP2C19を強く阻害し,臨床試験での阻害効果はCYP1A2>CYP2C19>CYP3A4>CYP2C9>CYP2D6(阻害無し)の順である.次に,国内にてフルボキサミンと併用される約80種の薬物(特に血糖降下薬および高血圧治療薬)とフルボキサミンとの薬物相互作用のin vitro阻害試験および臨床試験の報告を調査したが,いずれも一部の薬物で検討されているのみであった.そこで,それぞれの薬物の代謝に関与する薬物代謝酵素および尿中未変化体排泄率を調査したが,主にフルボキサミンにより阻害されるCYP(特にCYP1A2およびCYP2C19)で代謝される薬物ではフルボキサミンとの併用の際には注意を要し,代謝を受けにくく尿中未変化体排泄率が高い薬物ではフルボキサミンによる薬物相互作用を受けにくいことが推察される.したがって,フルボキサミンとの併用治療を行う際には,併用薬の薬物動態を考慮し,CYP阻害による薬物相互作用を起こしにくい併用薬を選択する必要があると考えられる.
著者
大西 一功
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.37-45, 2004-01-25 (Released:2018-01-31)

微細加工技術の進展とともに,半導体素子の高密度高集積化が進み,パーソナルコンピュータから携帯電話,デジタルカメラと,今や社会のあらゆるところで当然のように使われるようになった.これは低消費電力,小型,高機能というだけでなく,非常に高い信頼性(故障し難い)を有しているためである.地球上のあらゆる環境で高信頼性を発揮する半導体素子であるが,原子炉周辺や宇宙放射線環境では非常に故障しやすい.本稿では,半導体素子の放射線から受ける影響について,物質との相互作用として,電離と変位損傷があり,これらが素子内部でどのようなメカニズムで故障や劣化を引き起こすのかを概説した.また半導体素子は宇宙応用には欠かせない部品であり,地上とは異なり故障すれぱボードを取り替えればよいというわけにいかないため,半導体素子の耐放射線性が如何に重要であるかを広く認識していただければとの願いを込めた.
著者
大川 孔明
出版者
計量国語学会
雑誌
計量国語学 (ISSN:04534611)
巻号頁・発行日
vol.33, no.7, pp.510-525, 2022-12-20 (Released:2023-12-20)
参考文献数
11

本稿では,叙述語を指標に,コレスポンデンス分析,クラスター分析を用いて鎌倉時代の和文作品,並びに和漢混淆文の一種とされる軍記物作品の文体が類型的にどのように位置づけられるのかについて,大川(2020)の結果との比較から考察した.その結果,鎌倉和文は紀行文和歌集型と強紀行文和歌集-和文体型に分けられ,さらに大川(2020)にて強紀行文和歌集型とされた『海道記』は強紀行文和歌集-漢文訓読文寄りの文体型に位置づけられること,軍記物は物語日記-漢文訓読文寄りの文体型に位置づけられ,『今昔物語集』などの作品と,和漢の文体対立から見たときにも,ジャンル文体から見たときにも概ね同様の文体的特徴を有することが明らかとなった.
著者
田中 彌太郎
出版者
日本水産増殖学会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.165-170, 1980-12-25 (Released:2010-03-09)
参考文献数
10

ホッキガイ稚貝の耐高温性に関する実験観察の結果から, 本州中部暖海砂浜域に放流されたホッキガイ稚貝生存の可能性が示唆された。福島県産母貝から採卵し, 水温20℃下で人工飼育して得た平均殻長1~3mmのホッキガイ稚貝は水温25℃の10l水槽内で正常に生活し, 生長する。生長度は22.5℃において最も大であった。また, 夏季屋外流水タンクに収容された3mmサイズ稚貝の3週後における生残率は88%であった。一定条件下で得られた材料およびその温度条件の範囲内で, ホッキガイ種苗の現地試験が望まれる。
著者
大野 正夫 山本 裕二 畠山 唯達 田尻 義了 渋谷 秀敏 加藤 千恵 足立 達朗 齋藤 武士 桑原 義博
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究では、地磁気の強さの「永年変化」を用いた過去3500年間(縄文時代後晩期以降)の遺跡・遺物の年代の決定方法を確立する。そのため、従来あまり利用されてこなかった土器片・甕棺・瓦などを主な資料とし、新手法である「綱川―ショー法」を用いて地磁気強度の推定を行い、地磁気強度変化の標準曲線を構築する。この地磁気強度永年変化曲線は東アジアの遺物・遺跡の新たな年代指標となると考えられる。