著者
三船 毅 中村 隆
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.83-106, 2010

衆議院選挙投票率が1996年以降に低水準で推移してきた一因を究明する。戦後日本の衆議院選挙投票率は1993年から急激に低下して1996年に最低投票率を記録した。その後の2000年,2003年の選挙でも投票率は低水準で推移しており,2005年の郵政選挙では有権者の関心も高く投票率は若干上昇したが,この間の投票率は1990年以前の水準とは大きく乖離している。投票率が1996年以降に低水準で推移した一因として,有権者のコウホート効果の存在が考えられ,コウホート効果の析出を行った。分析方法はコウホート分析における識別問題を克服したベイズ型コウホートモデルを用いた。使用したデータは,1969年から2005年までの総務省(自治省)による「衆議院選挙結果調」における年齢別投票率と,明るい選挙推進協会の「衆議院議員総選挙の世論調査」から集計した年齢別投票率である。分析結果から,およそ1961年以降の出生コウホートから投票率を低下させるコウホート効果の存在が確認された。
著者
横手 慎二
出版者
慶應義塾大学法学研究会
雑誌
法学研究 (ISSN:03890538)
巻号頁・発行日
vol.75, no.5, pp.1-26, 2002-05

初めに : 問題の設定一 スターリンの日本についての学習二 独ソ戦期の日本に関する言動三 一九四五年の日本認識論説
著者
飯島 慈裕 堀 正岳 篠田 雅人
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2016, 2016

1. はじめに <br>ユーラシア大陸での冬季寒気形成は、モンゴルにおいて家畜が多大な被害を受ける寒害(ゾド:Dzud)を引き起こす主要な自然災害要因である。12~3月にかけての低温偏差の持続が、家畜被害と直結する。寒気形成は、継続した積雪面積の拡大と上空の強い低温偏差の維持が関係し、ユーラシアでの地上の低温偏差の強化は、上空に移流してくる北極由来の強い寒気が近年の要因の一つと考えられている(Hori et al., 2011)。特に、北極海の一部であるバレンツ海の海氷急減と対応して、北極の低気圧経路が変わり、それがシベリア高気圧の北偏を促して大陸上への寒気の移流を強めるパターンが提唱されている(Inoue et al. 2012)。 <br>本研究では、2000年代以降のユーラシアでの寒気流出・形成パターンの特徴をとらえるため、再解析データを用いた寒気流出事例の抽出と、その気候場の特徴を明らかにするとともに、高層気象、地上観測データと衛星による積雪被覆データから、ユーラシア中緯度地域での寒気形成について、近年の大規模なゾド年であった2009/2010年冬季を対象として事例解析を行った。<br><br>2. データならびに方法 <br>本研究では、はじめに長期的な寒気流出状況を明らかにするため、1979~2014年の欧州中期予報センター(ECMWF)の再解析データ(ERA-interim)を用いて、北極由来の寒気流出頻度を算定した。寒気流出は、冬季(12~2月)のバレンツ海領域(30-70˚E, 70-80˚N)とユーラシア中緯度領域(40-80˚E, 30-50˚N)との地上気温の15日移動相関が有意となり、かつバレンツ海領域で気温が正偏差の場合とした。 <br>また、2009/2010年冬季でのモンゴル国ウランバートルでの高層気象データ(NOAA/NCDC Integrated Global Radiosonde Archive)とウランバートル周辺でのJAMSTECによる地上気象観測データから、上空寒気移流と逆転層発達に伴う寒気形成過程を解析した。 &nbsp;<br><br> 3. 結果 <br>1979~2014年冬季の北極由来の寒気流出イベント数の時系列によると、2000年以前は、39事例であり、頻度は最大5回、平均1.8回であった。一方、2001~2014年は46回あり、最大7回(2006年)で、平均して3.3回であった。これは、毎月1度は北極由来の寒気移流が起きる状況が近年継続して現れていることになり、その頻度が増えていることを意味している。この長期変化傾向に対応して、2000年代以降は、バレンツ海領域では冬季の気温上昇、ユーラシア中緯度領域では低下傾向が有意に現れていた。 <br>続いて、2009年12月のウランバートルでの寒気形成事例を解析した。12月10~19日にかけて、地上気温が-30℃以下となる寒気が継続している(①期間)。この事例では、9日以降上空の寒気移流と対応して地上の下向き長波放射が急減している。2009年は11月からモンゴルの積雪が拡大しており、放射冷却が進みやすい条件となった。この間、地表から対流圏下層はシベリア高気圧の発達による弱風条件が継続したこともあり、接地逆転層が安定して維持・発達し、寒気が長期間にわたって形成・維持される環境となった。一方、12月24日以降も同様に上空の強い寒気移流があった(②期間)。しかし、対流圏中層から地上まで風速が10m/s以上に達する撹乱によって逆転層の形成が阻害され、-30℃以下の寒気継続は4日間程度と短かった。 <br>以上の結果から、ユーラシア中緯度上空には、北極気候変化に関連してもたらされる強い寒気移流、下向き長波放射量の減少、広域の積雪被覆状態、高気圧発達よる撹乱の減少、によって地表面放射冷却が強まり、逆転層の形成・維持によって異常低温が継続されたと考えられる。今後は、広域積雪をもたらす大気状態と、その後の寒気形成との関係などについて、さらに解析を進める予定である。
著者
斎藤 正也 井元 清哉 山口 類 宮野 悟 樋口 知之
出版者
日本学術会議 「機械工学委員会・土木工学・建築学委員会合同IUTAM分科会」
雑誌
理論応用力学講演会 講演論文集
巻号頁・発行日
vol.63, 2014

インフルエンザに対する効果的な介入や注意喚起を行うためには、数理モデルを活用した流行予測が欠かせない。感染伝播ダイナミクスを考慮した日本全国の流行モデルを構成する場合、都市間相互の影響を取り入れるのは自然と考えられるが、定点動向調査結果に見られる複数地域での同期した感染者急増はそのことを支持している。そこで、本研究では都市間相互の影響を考慮したモデルの候補として、確率的に要素(地域)間の結合を取り入れた、連結SIRモデルを候補モデルとし、47都道府県での週毎の定点当感染者数を同化することで連結の強さを決めるパラメータを推定する。パラメータ推定にはMCMCを用い、各パラメータ設定での尤度評価を軽量に保つために、カルマンフィルタを適用可能にする近似を行った。また、地域毎の感染者数時系列は、連結強度の推定に十分な情報を持たないと考えられるため、地域間の人の移動件数の統計である都道府県間流動表を推定の事前分布の設計に用いた。
著者
胡 仁[ユウ]
出版者
札幌大学
雑誌
産研論集 (ISSN:09169121)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.15-20, 2012-03

情報技術の発展につれて,企業における会計処理のモードが徐々に手動記帳から電子化に,また電子化から情報化に発展してきた。財務報告も紙ベースから電子ベースに移行してきた。情報技術の発展は会計データの集計,加工,処理,開示と分析方法を変更しただけでなく,伝統的な監督とリスク制御方法も変更し,財務報告の適時性や信頼性やセキュリティに対してより高い要求を出した。本文は情報技術をもとに,中国の監督やリスク管理におけるチャレンジ及びXBRL技術が会計処理のモードとプロセス,監督とリスク管理にもたらした変革を研究し,XBRLが監督駆動の属性を持っているか,どのように監督とリスク制御をもっと効率化するかを分析する。情報技術の発展につれて,企業における会計処理のモードが徐々に手動記帳から電子化に,また電子化から情報化に発展してきた。財務報告も紙ベースからインターネット財務報告に移行してきた。情報技術の発展は会計データの集計,加工,処理,開示と分析方法,財務報告の作成方法を変更しただけでなく,伝統的な監督とリスク制御方法も変更し,財務報告の適時性や信頼性やセキュリティに対してより高い要求を出した。この文章は情報技術が監督分野のリスク制御にもたらした影響及びインターネット財務報告のXBRL技術が監督駆動属性を持っているか,監督とリスク制御をよりよく効率化できるかを研究する。
著者
張 慶在
出版者
Center for Advanced Tourism Studies = 北海道大学観光学高等研究センター
雑誌
International Journal of Contents Tourism (ISSN:24327557)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.45-52, 2017-03-01

本リサーチノートでは、コンテンツツーリズムとイベントツーリズムの側面から、コンテンツをテーマにするイベントの特徴について明らかにする。具体的には、北海道洞爺湖町で行われる 「TOYAKO マンガ・アニメフェスタ」(TMAF)に対する参与観察をもとに、参加者の参加形態を分析する。TMAF は、ポップカルチャーコンテンツをテーマとするイベントであり、2010年からはじまった。初年度の3千人から年々参加者が増え、2015年には約6万人が参加した。TMAF では、ポップカルチャーコンテンツが観光を誘発する要素の一つであり、そういう意味でTMAF に対する観光はコンテンツツーリズムと言うことができる。一方、TMAF はフェスティバル形式のイベントであり、イベントが観光を誘発するイベントツーリズムの特徴も見られる。TMAF に参加する観光客の実際の観光パターンからは、既存のコンテンツツーリズムとイベントツーリズムとは少々異なる特徴が見られる。TMAF において参加者は、観光客であると同時に、場の雰囲気を作るホストのような役割をする。また、伝統的にはホストに属する地域住民がゲストのような役割をすることもある。TMAF の事例を通して、コンテンツツーリズム、イベントツーリズムなどポップカルチャーイベントをめぐるダイナミックな観光の在り方が見られる。This research note analyses pop-culture-related festivals as contents tourism based on participant observation at the Toyako Manga Anime Festa (TMAF).TMAF began in 2010 and is an annual festival on the theme of manga and anime. There were 3,000 participants in the first year. Numbers have increased year by year and in 2015 there were almost 60,000 participants during the two days of the festival.Pop culture contents help to induce visitation to Toyako town, therefore participation in TMAF can be called a form of contents tourism. Conversely, TMAF has a festival format which includes many exhibitions, therefore participation in TMAF can also be called event tourism. Meanwhile, the behaviour of participants at TMAF consists of various travel patterns which belong to neither contents tourism nor event tourism. Attendees participate simultaneously as festival performers and as visitors to the event. Also, residents of Toyako town, who do not treat participants as tourists as in the traditional host/guest theory of tourism studies, tend to behave like tourists at TMAF. As a result, the dynamic patterns of tourism related to pop culture as seen atTMAF constitute a synergistic blend of contents tourism and event tourism.
著者
細川 護熙
出版者
中央公論新社
雑誌
中央公論 (ISSN:05296838)
巻号頁・発行日
vol.129, no.11, pp.62-65, 2015-11
著者
大賀 郁夫 Ikuo OHGA 宮崎公立大学人文学部 Miyazaki Municipal University Faculty of Humanities
雑誌
宮崎公立大学人文学部紀要 = Bulletin of Miyazaki Municipal University Faculty of Humanities (ISSN:13403613)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.1-31, 2021-03-10

幕末期、諸藩にとって他藩の動向を正確に掌握することは、自藩の取るべき道を決定する指針になる最重要課題であった。 本稿では日向延岡藩を対象に、同藩が作成した文久二年の「風聞書 乾坤」の内容分析を通して、藩の探索システムを明らかにした。延岡藩では城附西方の高千穂・飛地宮崎郡・豊後にそれぞれ役所(代官所)が置かれ、そこを拠点に周辺諸藩の探索が行われた。各役所から届く風聞書の内容は多岐にわたり、情報提供者も上級武士階級から一般庶民に至るまでさまざまであった。 延岡藩が特に重視した探索対象藩は、薩摩藩・熊本藩それに豊後岡藩であった。「風聞書 坤」には九州諸藩の諸侯の評価が記されているが、評価が高いのは唐津藩世子小笠原長行・蓮池藩主鍋島直紀であり、岡藩主中川久昭や熊本藩主細川韶邦・久留米藩主有馬頼咸の評価は低い。この時期藩主の資質が求められていたことがわかる。文久二年という限定した期間の風聞書ではあるが、当時の民衆が諸侯や藩のあり方をどのように捉え評価していたかは、幕末期の地域社会を知る上でも重要である。
著者
陳 玉雄
出版者
慶應義塾経済学会
雑誌
三田学会雑誌 (ISSN:00266760)
巻号頁・発行日
vol.96, no.4, pp.611(149)-632(170), 2004-01

小特集 : 移行期・中国における市場形成・制度改革・産業発展 : 「温州モデル」を中心にV 資金供給中国では民間金融が行われているが, 特に温州に代表される東南沿海部において盛んである。民間金融は, 民間貸借, 闇為替市場, 「民間集資」などの諸形態がある。私営・個人企業の発展で有名となる温州における民間金融は, 発生, 発展, 一時的な低調と更なる発展の段階を経て, 成熟段階に入っている。民間金融はこれまで主に, 資金面での地域経済の支援, 金融アクセス手段の提供およびフォーマルな金融機関の改革の促進という役割を果たしてきた。While informal finance is prevalent in China, it is more actively utilized along the southeastern shore in general, represented by Wenzhou in particular. Informal finance takes forms such as private lending/borrowing, black exchange markets, and "private capital market." Informal finance in Wenzhou, wherein the development of privately run/individual firms is well known, has undergone stages such as the rise, development, temporary slump, and further development, and finally now entering the mature stage.Informal finance has thus far played the role of supporting the regional economy with capital, offering services to help access financing, and promoting the reformation of formal financial institutions.
著者
五十嵐 中 福田 敬 後藤 励
出版者
国立保健医療科学院
雑誌
保健医療科学 (ISSN:13476459)
巻号頁・発行日
vol.64, pp.426-432, 2015-10

FCTC第 6 条は,税収の確保ではなく公衆衛生の観点からの喫煙率低下を目指し,たばこ税の値上げを提言している.もっとも,2010年のような大幅値上げの可能性を評価するには,税収と喫煙率双方への影響評価が必要である.コンジョイント分析や価格弾力性を用いた研究では,大幅値上げを実施しても一箱あたりの税収増効果が総需要の減少効果を上回り,総税収は増加することが示唆されている.実際過去の値上げ前後の税収変動を見ると,値上げ後の方が税収は増加している.喫煙率低下を達成するには,たばこ税値上げ以外の禁煙政策を同時に実施することも効果的で,とくに公共空間での喫煙への罰金が有効であることが,コンジョイント分析によって示されている.禁煙治療や禁煙支援のように,総費用が減少してかつ健康アウトカムが改善する "dominant(優位)" 介入は,予防介入に限定しても極めてまれである.今回示したような定量的データは,合理的な政策決定にとっても有用である.
著者
伊原恵司
雑誌
普請研究
巻号頁・発行日
1990
被引用文献数
1
著者
保髙 隆之
出版者
NHK放送文化研究所
雑誌
放送研究と調査 (ISSN:02880008)
巻号頁・発行日
vol.68, no.12, pp.20-45, 2019

インターネット上の真偽不明な情報「フェイクニュース」の拡散や、検索履歴などから自分の好みに合った情報ばかりに囲まれる「フィルターバブル」など、インターネットやSNSの普及によって、情報の選択的接触が社会の分断を生じさせている可能性が指摘されている。人々はいま、どのように世の中の動きを伝えるニュースや情報に接し、何を重視しているのだろうか。ネット系メディアの利用と、人々の意識や価値観はどのように関係しているのだろうか。また、社会に何らかの「分断」は存在しているのだろうか。2018年6月に実施した「情報とメディア利用」調査の結果では、若年層と高年層の間で、日常的に利用するメディアが大きく異なっており、情報への意識では、「今の社会は情報が多すぎる」という人が、全体で8割を超えていた。一方、「自分が知りたいことだけ知っておけばいい」という人は、全体で3割だが、SNS利用が多い若年層では4割前後と多かった。さらに、関心のある情報のジャンルについて尋ねたところ、若年層では、政治・経済・社会の情報に対する関心が低く、そもそも関心のある情報のジャンルも少なかった。情報過多時代に、人々は、インターネットで「知りたいことだけ」に合理的に接触している一方、そうした選択的接触が、これまでマスメディアが形成してきた情報基盤の「分断」につながっていることが垣間見える結果となった。