著者
皆川 昌広 黒崎 功
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

Auto-Fluorescence Imaging(AFI)は表層型の腫瘍描出に有効であることがわかった.特に血流の多い肝臓に関してはよいコントラストが得られることより,肝硬変など表面凹凸の強く腫瘍の触知が難しい臓器に対する鏡視下手術において有用な技術であることを確認できた.また,fluoroscein sodiumと呼ばれる蛍光剤を使うと,肝胆膵においける細径の脈管部を強く蛍光させることが可能であり,このシステムを使った術中ナビゲーションの可能性を示唆できた.
著者
松田 ひとみ 久野 譜也 檜澤 伸之 増田 元香 橋爪 祐美 奥野 純子 野村 明広
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

本研究は高齢者の睡眠の質を向上させる方法を明らかにするために、一日の生活活動と休息の状態を評価し、昼寝とナラティブ・ケアの有用性を導き出すことができた。また、その効果測定には、活動量計であるアクティウォッチによる睡眠効率と心拍変動パワースペクトル解析による日中の情動変動の評価が有効であると考えられた。
著者
山中 明
出版者
山口大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2002

1,ナミアゲハ休眠蛹に特有なオレンジ色蛹の発現調節に関わる基礎的な内分泌学知見を得るために、オレンジ色体色発現に関わる環境条件を検討し、オレンジ蛹が90%以上出現する環境要因を作り上げることに成功した。その環境条件をもとに、短日飼育個体の前蛹期を6段階に分け、胸腹部間での結紮実験により前蛹期の後半に頭胸部より分泌されるオレンジ色蛹誘導化因子の存在が示唆された。次に、オレンジ色蛹誘導化因子の生物検定方法を確立した。また、オレンジ色蛹誘導化因子の分泌時期や存在部位を明らかにした。続いて、ナミアゲハオレンジ色蛹誘導化因子の精製手順の検討および精製を行い、オレンジ色蛹誘導化因子を精製し、N末端アミノ酸配列決定をした(Yamanaka et al.,未発表)。2,ナミアゲハ夏型ホルモンの精製のため、ナミアゲハ蛹の脳を集め、粗抽出液を調整したのち、ゲル濾過・逆相液体クロマトグラフィーにより部分精製を進めた。現段階では、カイコガの夏型ホルモン活性物質と同じ挙動を示すことから、カイコガ成虫の脳を用いて、精製を進めている。キタテハを用いた生物検定では、ほぼ最終精製標品が得られ、N-末端アミノ酸シークエンス分析を試みた。N末端アミノ酸10残基を決定した(Inoue et al.,未発表)。3,ベニシジミでは蛹の体色と羽化する成虫の翅の色彩との問に密接な関係があることを見出し、蛹体色の決定と夏型ホルモンの関係について検討した。その結果、ベニシジミでは蛹の体色は、日長と温度によって調節されていることを明らかにした。
著者
阪田 弘一
出版者
大阪大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1997

非建築材特にコンテナや車両を用いた建築物(以下コンテナ建築とする)の実態について、事例調査により明らかになったのは以下のことである。1) 現行法規ではコンテナ建築を建設するには仮設建築物として認められたもの以外、多くの制約がある。2) コンテナ建築の使用者による評価は、コスト、工期、建設や撤去の容易さなどの面で優れているが、一方で居住性に問題があるという結果となっている。さらに居住性を向上させるために加工を施すことがコスト高を招くなど、本来のメリットが失われていくことも明らかとなっている。これをふまえ、コンテナ建築の利用可能性について分析・考察をおこなった。1) 通常の建築物と比較した場合、コンテナの持つ利点(1)高気密 (2)コンパクト (3)リサイクル (4)仮設性(5)初期コスト小 (6)工場生産 (7)規格化 (8)移動性2) 通常の建築物と比較した場合、コンテナの持つ欠点(1)居住性 (2)法的規制 (3)加工コスト大3) コンテナ建築利用の方向性利用の方向性として、(1)恒久的、(2)仮設的(平常時)、(3)仮設的(非常時)が考えられるが、特にコンテナ建築では(2)および(3)での利用がその特性を生かせると考えられる。具体的には、住宅系 :(1)(2)部屋増築、物置等 (3)応急的住宅・倉庫商業系 :(1)貸スペース (2)店舗、貸スペース、屋台 (3)応急的店舗・事務所農業・畜産系:(1)(2)倉庫、動物檻、温室等医療系 :(3)応急的診療所・救護所等公安系 :(2)(3)派出所、検問所、拘留施設等などが有効な利用法として挙げられるであろう。
著者
森村 成樹
出版者
京都大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

3か年計画の最終年度として、参加者が環境エンリッチメントをおこなう趣旨の教育プログラムを動物園3園(よこはま市動物園、野毛山動物園、熊本市動植物園)において実施した。環境エンリッチメントを教育プログラムとして活用することによって、プログラム参加者のみならず、一般来園者の滞在時間が延長される効果が得られた。一連の研究から、動物園来園者の滞在時間が1分以下という非常に短いことが明らかとなった。従って、通常の展示では環境教育に必要な情報を来園者が得ることは難しい。環境エンリッチメントは、一般来園者に見る上で注目すべき点(行動、生態など)を与える役割を果たすことで、来園者の滞在時間が引き延ばされたと考えられた。動物が、本来の行動レパートリーと時間配分を発現できるための環境エンリッチメントは、動物福祉の観点からだけでなく、効果的な環境教育の実践として普及に努めるべきとの結論を得た。加えて、GPSを用いた来園者行動調査から、休憩場所で54.1%を過ごすことが明らかとなった。夏暑く、冬寒く、休む場所が限られているという多くの動物園で見られる空間的特徴は、来園者にとって快適な空間とは言えない。入場口周辺での滞在も多く見られ、動物園の空間配置が来園者の行動、ひいては環境教育の効果に影響を与えうることが新たに分かった。本研究において日本で初めて実施されたGPSを用いた動物園での来園者行動調査は、様々な方面での活用が期待される技術でもある。展示される動物と来園者の行動をさらに詳細に検討することで、動物にも人間にも福祉的配慮のある、教育効果の高い動物園作りを推進するべきである。
著者
住吉 真帆 木村 善行 木村 善行
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

低濃度(10pgから100ng/mL)のツボクサ(Centellaasiatica)成分Asiaticosideおよび赤升麻(Astilbethunbergii)成分Eucryphinが、熱傷治癒促進作用をもつことを、マウス熱傷モデル用いて明らかにした。創傷部滲出液の分析、細胞を用いた分析を行い、これら天然物由来化合物が生体の再生能を向上させて創傷治癒を促進していることを明らかにした。
著者
鮫島 邦彦 NEUPANEY Dhanapati
出版者
酪農学園大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2002

ネパールの高山地帯でヤクのバターは、古くから打ち身、切り傷、腹痛、火傷、頭痛、日焼け、高山病などの緩和や防止に利用されているが、その根拠についてはほとんど知られていない。本研究はヤクバターの成分を分析してこれらの機能特性について明らかにすることを目的として実施した。ヤクバターは、ウシバターに比較して特有の風味を持っている。これは、ヤクバター中に含まれる多くの短鎖飽和脂肪酸によるものであること、またヤクバターはα-トコフェロール含量が多く酸化安定性に優れていることが明らかになった。さらに、ヤクバターには抗動脈効果、抗癌効果が示されている共役リノール酸が多いことも明らかとなった。また、チロシナーゼ活性の強いこと、不飽和脂肪酸を多く含有する植物油脂の酸化を抑制する効果のあることも明かとなり、これらの結果は、Milk ScienceとAnimal Science Journalの2誌にすでに公表されている。ヤクバターのこれらの特徴を決定する遺伝情報を調査するために、生体内の脂肪酸代謝の鍵となっている膜たんぱく質(CD36)の遺伝子分析も実施した。ヤクCD36は分子量86kDaで472個のアミノ酸残基からなり、cDNAのスタートコドンは390(ATG)で、終了は1808(TAA)であった。ヤクのcDNA遺伝子は、ホルスタインのそれと比較すると98%であった。CD36のアミノ酸組成はホルスタインの96.2%が類似していたが、ヤクCD36ではセリン、アラニン、ロイシンが多く、ホルスタインCD36ではイソロイシン、スレオニンが多いことが明らかになった。現在これらの特徴と薬効特性との関連について検討を加えているところであるが。これらの内容については、Animal Science Journal誌に投稿中である。
著者
土居 元紀
出版者
大阪電気通信大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2003

本研究の目的は皮膚構造の光学的モデル化と質感の高い皮膚画像生成であり,平成16年度は特に皮膚の分光スペクトル推定手法の検証と,そのモデルに基づく人体部分の3次元CGの生成を行った.平成15年度にKubelka-Munk理論を用いて皮膚内に存在する色素数や皮膚の厚みのパラメータをコントロールして反射光の分光スペクトルを推定する手法を確立したが,この手法では補正関数を導入していた.今回,その補正関数なしで推定できるように改良した.また,推定結果を用いて,皮膚内色素のパラメータをコントロールすることにより,日焼けや炎症などの生じた皮膚や,色素の少ない皮膚などの分光スペクトルを推定した.そして,推定した皮膚の分光スペクトルを用いて,3次元計測した人体部分の3次元CGを生成した.人体部分としては,手を対象とした.光源色と推定した皮膚の色および光源位置と手の3次元形状から,2色性反射モデルに基づいて手の上の各点における光の反射スペクトルを計算し,CG生成を行った.2色性反射モデルには,実際の2色性反射に最も適合する,Torrance-Sparrowモデルを用いた.さらに,テクスチャについて,テクスチャが顕著に現れる手のひらについて成分を解析し,フォトリアリスティックな皮膚画像の生成を行った.また,化粧肌の色についても,Kubelka-Munk理論を用いて解析を行った.これらの成果について、学会等で研究報告を行った。また,皮膚の光学的モデルとそのモデルに基づく3次元CGの生成について,成果をまとめ,現在学術論文誌に投稿中である.
著者
前田 文彦
出版者
岩手医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

日光角化症は紫外線に慢性的にあたり続ける事によって誘発される皮膚病変で,日焼けをしやすい顔面,耳介,前腕手背部の皮膚に好発する。いわゆる日焼け(surbum)とは異なり慢性的な紫外線曝露で遺伝子に変異が生じ発症する。本症は表皮内癌であり、進行すると有棘細胞癌へ移行することが知られている。日光角化症患者の数は近年増数してきており,環境問題として世界的な話題となっている成層圏オゾン層の破壊による紫外線量の増加との関連が指摘されている。イミクイモッドは米国で尖圭コンジロームの治療に用いられている免疫調製剤で近年ボーエン病や悪性黒色腫に対する有効例が報告されている。我々は日光角化症患者に対し5%イミクイモッドクリームの外用を行いその有効性を臨床的に確認している。現在60症例に対して外用療法を行い臨床的に88パーセントの治癒率を認める良好な結果を得た。その症例は組織的にも腫瘍細胞の消失を確認している。腫瘍細胞の消失はKi S5の免疫染色でも確認している。また腫瘍が消失した症例では現在までの所再発を認めていない。またイミクイモッドが著効した症例で、同薬の外用前、外用中、外用後の組織を採取しそれぞれを比較検討した。結果リンパ球が誘導されアポトーシスが生じて腫瘍が攻撃されている所見が得られた。イミクイモッドはTLR-7のアゴニストといわれている。その治癒機序の一つとしてTLR-7に誘導されるアポトーシスを仮定し、それを免疫染色で証明できた。また誘導されたリンパ球はT cellであった。現在以上の所見をまとめ論文執筆中である。
著者
米田 守宏 大石 正 村松 加奈子 若村 智子
出版者
奈良女子大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

(1)屋外において、被験者を用いて背中を太陽光(紫外線)曝露する場合と衣服により紫外線防護する場合を比較することにより、紫外線の影響について検討した。3時間の紫外線曝露グループでは、NK細胞の活性が低下しIL-6が増加するなど免疫系への影響が認められた。太陽光曝露中では、交感神経を優位にさせ、曝露終了後には体温の放熱がより高くなり、紅斑が有意に高くなった。同様の実験を香港において香港人を被験者として実施し、日本人と香港人の結果を比較検討した。(2)人工的条件による紫外線の影響を知ることを目的として、被験者実験を行った。バイタライトを光源としてUVカットフイルムの有無による効果について免疫機能、自律神経系、主観的評価に関して計測した。本実験では、免疫系や自律神経活動には有意な差は認められなかったが、夜間の睡眠構造の分断化が認められ、生体への影響が伺われた。(3)ヘアレスマウスを用いて紫外線が動物の活動や体温リズム、免疫器官、内分泌器官へ与える影響について検討を行った。光強度が小さいため免疫器官や内分泌器官への影響は明瞭ではなかったが、活動リズムに関しては、紫外線が活動を抑制し、リズムが明瞭になる傾向が認められた。(4)日本(奈良)と香港において屋外の紫外線(UVB,UVA)量、全天日射量の経時的観測を行ない、取得データからその季節変動を調べた。UVB、UVA,全天日射量は1.7〜4,1.1〜1.7,1.2〜2.1倍だけ香港が高かった。これら放射量と緯度、オゾン量等との関係を調べた。(5)UV強度法測定装置を用いて衣料用布の紫外線防護性を評価した。UV透過率に及ぼす測定条件の検討、および、布構造の影響(厚さ、重さ、空隙率)に関する検討を行った。光ファイバ型紫外/可視分光器を用いた装置を試作し、各種繊維素材からなる白色布および染色布の分光透過率および分光反射率を測定した。
著者
横山 ハツミ 林 慎一郎 田中 秀樹 山崎 登志子 西川 まり子 白木 智子 糠信 憲明 廣川 聖子 片山 はるみ 矢田 幸博 吉田 伊織
出版者
広島国際大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

看護学生の老化の理解に役立つエイジングメイクの技法(メイク道具と手順)と教材(DVDとライフイベントCAIゲーム)を開発した。この教材を用いた演習により、学生が老ける、衰退するなどの加齢のプロセスを体験することで、いずれ訪れる老いを偏見なく受容することができる。高齢者のフィジカル・メンタルの両側面から理解が深められ、高齢社会の主人公である高齢者ケアニーズの核心に迫る、主体的な学習教材として役立つ。
著者
奥谷 昌之
出版者
静岡大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究は、資源量が豊富で強い毒性を持たない元素から構成される半導体薄膜を用いた新規紫外線センサーの開発を目的とする。目標とするセンサーの感度は、太陽光中で日焼け及び皮膚ガンの原因となるWB(280-320nm)域に高い感度を有するものとする。本研究で開発する紫外線センサーの構造は、基本的にpin接合太陽電池と同様である。予備実験として、CuO/TiO_2/SnO_2によるセンサーを既存のSPD製膜装置で試作したところ、予想通り350nm付近に感度を示したが、S/N比が10^8(一般si系で10^<10>)で微弱であり、精度をさらに上げていく必要がある。まず、SPD法によるp層のCuO、Cu_2O、SnS、Sn_2OS、CuI、i層のTiO2及びn層のIn_3O_3、SnO_2の最適形成条件を特定する。得られる膜の多くは数百nmの粒子から構成されているためピンホールが多数存在し、これを緻密化する必要がある。本年度はこれまでの低温膜形成技術及び結晶化抑制剤の利用により粒成長の抑制を図った。特に透明導電膜(SnO_2)層は原料の選択により形成膜の表面形態が大きく異なり、適切な条件設定により膜のヘイズ率を制御することが可能となった。これにより、センサーの感度のS/N比は試験的に作成していた従来品に比べ10^2倍大きくすることができ、有効なセンサーの作製に成功した。本研究結果はセンサーに限らず、様々な光学材料に応用することができ、太陽電池や紫外・赤外フィルター等の幅広い応用が期待される。
著者
宮地 良樹 松村 由美 椛島 健治
出版者
京都大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2004

紫外線は紅斑(日焼け)・皮膚老化・免疫抑制・発癌など多岐に渡る影響を生体に及ぼす。皮膚科領域では、紫外線による免疫抑制作用は重要で、様々な皮膚疾患に紫外線治療が応用されているが、その反面、腫瘍免疫機能の低下により、皮膚癌を誘発することが問題となっている。一方、プロスタグランジン(PG)E2は、各々異なるシグナル伝達系を持っ4種類のサブタイプ受容体EP1、EP2、EP3、EP4を有し、紫外線照射によりのPGE2産生が強く認められることが知られていた。ところが各受容体の発現レベルや分布の複雑さ故、紫外線照射におけるPGE2の機能解析は困難であった。そこで我々は研究目的をPGE2の紫外線照射における生体への役割の解明と治療への応用に定め、課題の実現を目指している。まず、紫外線照射による紅斑形成において、マウスに紫外線照射を行うと、耳介の腫脹が起こるが、この腫脹反応がNSAIDにより減弱し、プロスタノイドの関与を示唆させた。そこでPGE2受容体欠損マウスに紫外線を照射するとEP2、EP4欠損マウスにおいて耳介腫脹反応が減弱していることが確認された。また、皮膚局所の炎症細胞の浸潤、血管径の減少、ドップラー血流計による局所血流量の減少も認められた。したがって、紫外線紅斑の形成には、PGE2-EP2,EP4シグナルが重要であることが示唆された。さらに、紫外線の局所免疫挿制作用を検証するために、紫外線を腹部に3kJ/m2照射した3日後にハプテンであるDNFBを腹部に塗布して感作する。その5日後にDNFBを耳介に塗布し24時間における耳介腫脹変化を確認すると、紫外線を照射しなかったグループに比べ耳介腫脹が減弱し、局所の免疫抑制効果を検証できる。この局所免疫抑制作用がプロスタノイドの産生を阻害するNSAIDの投与により消失することをC57BL/6マウスで確認したのでプロスタノイドがこのメカニズムにおける重要な分子であることが強く推測される。今後も引き続きPGE2各受容体欠損マウスにこのモデルを行い各受容体の役割の解明を行い、紫外線誘発発癌との関連の関係の解明を目指す。
著者
邑田 仁 東馬 哲雄 田中 伸幸 秋山 弘之 林 蘇娟 米倉 浩司 菅原 敬 根本 智行 永益 英敏 遊川 知久
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

ミャンマーに延べ6回18人を派遣し合計5282点の標本資料を採集した。その他地域から補足的に収集した標本、および従前の「南ヒマラヤの植物多様性」調査で収集した標本資料等を合わせて分子系統解析を含めた系統分類学的解析を行い、新分類群を含む多数のミャンマー新産植物を発見した。このうち45新産植物、1新属、6新種はすでに論文等で公表した。この結果南ヒマラヤ地域の植物相は日華区系の西端としての特徴を示すと同時にインド区系の東端やインドシナ区系の北西端としての性格をもっていることが再確認され, 区系地理学的境界領域としてのより精度の高い解析の必要があることが明らかとなった。
著者
石川 敬史
出版者
北海道大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2002

平成15年度科学研究費補助金(特別研究員奨励費)によって行った研究活動は以下である。1.本年度の研究を経て、以下の知見を得た。(1)18世紀の政府理論形成は、この時期英国で発達していたモラル・フィロソフィーを知的背景としていた。すなわち、教会秩序にたいする、世俗秩序を確立するという観点から、政府理論が発達し、アメリカ諸邦政府および連邦政府もこの流れの中に属していた。(2)アメリカの単独主義外交の起源は、第二代大統領ジョン・アダムズ政権期になされた、米仏同盟解消交渉にあった。この時期に、ヨーロッパ諸国の政治情勢に関与しながら、相互の国益を調整するアレクザンダー・ハミルトンの路線が、アダムズの単独主義外交の方針に破れたことが後のモンロー・ドクトリンにつながるアメリカ外交の基礎となった。(3)アメリカ政党制は、米仏同盟解消交渉の過程で明らかになった、外交方針の違いがきっかけとなって、構成されるようになった。すなわち、内政上の争点は政党分裂の根本要因ではなかった。2.調査旅行(1)神戸大学国際文化学部の図書館にて資料収集を行った。(平成15年5月29日〜平成15年6月2日)(2)東京大学大学院総合文化研究科附属アメリカ太平洋地域研究センターにて、資料の収集および、資料批判作業に従事した。(平成16年2月8日〜平成16年2月11日)3.関係資料の購入(1)18世紀英国における、財政軍事国家への変容過程を知るために、英国史関連の書籍を購入した。(2)アダムズ政権が対応したフランス総裁政府の政治史を理解するため、同時代のフランス政治史に関する文献をそろえた。4.博士論文の執筆平成15年度の研究活動は、博士論文の執筆を中心に進められた。公刊論文が無いのはこのためである。博士論文は、ほぼ完成に至り、教官の許可を得しだい提出予定である。
著者
三上 晴久 須村 みどり 川村 眞次
出版者
神戸芸術工科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

「住まい方を継承する」という視点から、建築計画学的に重要なキーワードを挙げ、それらが如何なるものか記述した。そして、それらを次代に伝え継承してゆくことが、集合住宅の保存たりうるとした。また、建築専門誌である新建築誌に掲載された戦後の集合住宅に注目し、そこで試行された住まい方に言及するとともにそれらの現況に言及した。
著者
板木 拓也
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2004

本年度は,学振特別研究員の採用最終年度として,これまでの成果をまとめつつある.論文発表としては,第一著者,共著ふくめて7編の原稿を学会誌に投稿し,そのうち4編が受理された(3編については現在審査中).6月に島根で行われた古生物学会では,シンポジウム「日本海の生物相の変遷と環境変動〜過去,現在そして未来へ向けて」を共同企画し,その成果を特集号として学会の邦文誌「化石」に掲載予定である.このシンポジウムでは,これまでに十分に整理されていなかった鮮新世から更新世における日本海の生物相変化を総括し,新たな研究の発展性が期待された.また,まだ不足している試料およびデータの収集を行った.5月に秋田の男鹿半島で行った野外調査では,これまでデータが得られていなかった中新世および鮮新世の微化石(放散中・珪藻)試料を採取した.10月下旬〜11月上旬には,日本海と東シナ海の間にある対馬海峡からプランクトン(放散中・有孔虫)の試料を採取した.これらの調査で採取された試料の処理はほぼ終了し,現在データの解析を行っている.近い将来,これらの成果について論文を執筆する予定である.この他,6月には熊本大学で共同研究者との研究の打ち合わせを行い,また,熊本大学所有の最新の顕微鏡画像解析システムを用いて,微化石標本の写真撮影を行った.この顕微鏡写真は,学会発表などで既に用いられ,また現在執筆中の論文にも掲載される予定である.
著者
田淵 隆一 藤本 潔 持田 幸良 平出 政和 小野 賢二 平田 泰雅 菊池 多賀夫 倉本 恵生
出版者
独立行政法人森林総合研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2002

ポンペイ島マングローブ林はI.Rhizophora stylosa群落、II.sonneratia alba群落、III.rhizophora apiculata・Bruguiera gymnorrhiza群落の3タイプに大別され、I、II群落は高密度の支柱根や呼吸根で特徴づけられる。泥炭層厚と^<14>C年代値とから主要群落の泥炭層厚と形成に要する期間を推定した。海側前縁部に成立するI、II型群落が深さ0〜0.5mで400年以内、最も分布面積が広いIII型では1〜2mで850〜1700年、ほとんどで1700年前後の時間が経過している。地上部現存量は、サンゴ礁原上の成熟林は2004年時点で566ton/ha、エスチュアリ域の発達した林で2005年に704ton/haと推定されなお旺盛に成長中であり、成熟林での炭素蓄積はポンペイ島で160〜300ton/ha程度、炭素蓄積速度は年当りおよそ0〜3ton/ha/yr程度と非常に高い。炭素貯留はほとんど泥炭によるものであり、年間15ton/ha程度供給される小型リターの貢献度は低い。また年平均で3〜4ton/ha程度の大型リターが枯死個体として供給される。泥炭としての炭素量は高く、2000ton/ha程度にも達する林がある。森林の更新は成熟林分下では大型ギャップができない限り暗く困難である。材分解特性を明らかにし、分離された木材腐朽担子菌Fomitopsisi pinicolaからいくつかの機能性遺伝子を単離し、厳しい環境条件を許容する能力をみとめた。高分解能衛星データを同島におけるマングローブ林域を抽出、種組成によるゾーニングと個体サイズからの林分タイプのマッピングを行ない炭素蓄積量の面的評価を行なった。
著者
丸山 喜久
出版者
千葉大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

アンケート調査に基づき実地震下での高速道路運転者の地震時の行動特性を評価すると,震度5以上の強震域を走行中であっても地震発生に気付かない運転者が見られるなど,震動の影響で路面の段差や陥没が発生すると衝突事故が発生する可能性が否定できないことが分かった.新潟県中越地震における盛土の段差などの被害と地震動強さの関係を精査したところ計測震度が5.1〜5.2に達すると通行に支障のある被害が発生することが分かった.これらのことから,交通量の多い都市部では地震直後に多数の事故が発生することが懸念される.橋梁などの道路構造物の地震応答特性が,走行車両の地震応答量に与える影響を検討した.地表面地震動を入力地震動とした場合と構造物の応答加速度を入力地震動とした場合の車両の応答を比較すると,車体のロール運動のための荷重移動量やヨー角が構造物応答を入力したときに大きくなり,その結果車両の横変位量も地表面地震動の場合と比べて大きくなることが明らかとなった.さらに,緊急地震速報が高速道路運転者に与える影響を,サーバーで連動された2台のドライビングシミュレータを用いた地震時走行実験で検討した.自動車交通に緊急地震速報を導入するためには,速報を受け取った場合のハザードランプを点灯させるなどの対応方法を共通化することが必要であるという課題が得られた.また,速報を受信した際や前方車がハザードランプを点灯したことを視認した際の行動の統一化を急ぐ必要があることが結論づけられた.