著者
Chuji TSUBOI
出版者
The Seismological Society of Japan, The Volcanological Society of Japan, The Geodetic Society of Japan
雑誌
Journal of Physics of the Earth (ISSN:00223743)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.63-66, 1956 (Released:2009-04-30)
参考文献数
7
被引用文献数
91 103

Various facts appear to suggest that one continuous field of mechanical stress developed in the earth's crust has a certain upper limit for its voluminal extent. The ultimate mechanical stress energy that can be stored up in this whole volume until a break-down takes place in it may be identified with the energy of the largest possible earthquake. The energy deduced on this hypothesis agrees well with those of the actual largest earthquakes. The area A in which aftershocks occur in association with a major earthquake has been found by UTSU and SEKI regularly to increase with the magnitude M of that main shock. This relation, when combined with the magnitude-energy relation due to GUTENBERG and RICHTER, yields a formulaE=6×102×A1·5.The numerical values of the coefficient and of the exponent of A in this formula can be well explained by the hypothesis stated above regarding the spatial distribution of the stress energy within the earth's crust.
著者
片岡 良介 樋野 励
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会誌 (ISSN:09120289)
巻号頁・発行日
vol.76, no.2, pp.207-213, 2010-02-05 (Released:2010-08-05)
参考文献数
6

This paper deals with a cyclic job shop scheduling problem in order to plan an appropriate production schedule corresponding to a change of product mix agilely. The product mix, which is defined as the total composite of products offered by a company, is generally changed to meet demand in a market. We propose a heuristic-based scheduling method for the cyclic job shop scheduling problem to plan the feasible schedules under the different product mix conditions. A re-scheduling method is also introduced in order to shift the production schedules as soon as possible. Numerical simulations are carried out to verify the proposed methods.
著者
保田 卓
出版者
The Japan Sociological Society
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.313-329, 1999-12-30 (Released:2009-10-19)
参考文献数
32

本稿は, これまでほとんどとりあげられなかったルーマンの高等教育論の全体像を, 散発的で数少ない著作から再構成する試みである。ルーマンによれば, 1960年代末以降のドイツの大学の民主化は, 大学の集団政治化と官僚制化を齎した。集団の挙動のみならず個人の行動をも各集団の利害によって統制する集団政治は一時, 大学を機能的脱-分化の方向に導いたが, やがて官僚制が, 一方で教育・研究の自律性, 他方で教育の相対的組織化容易性, さらに進学率の増大を梃子にして, 集団政治に反応し, これを圧倒するに至った。しかしそれで問題が解決したわけではない。大学システムが適応していかなければならない “環境問題” は, 進学率増大の他にも, 研究と教育の「威信の増幅」関係の崩壊・ライフコースの脱-制度化・相互作用における教養の利用価値の逓減, と山積している。そこでルーマンの提案する適応戦略は, 研究の「観察の観察」への機能分化, 教育における課程=システム分化である。かかる提案の背後にあるのは, ルーマン一流の機能分化史観である。こうしたルーマンの高等教育論の特質は, 大学における民主化が期せずして官僚制化を招来するという視点を示したこと, 研究と教育の機能分化にポジティヴな可能性を提示したことである。
著者
李 建志
出版者
学校法人 関西学院大学先端社会研究所
雑誌
関西学院大学先端社会研究所紀要 (ISSN:18837042)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.27-46, 2014 (Released:2021-05-15)

「兵隊やくざ」は、1960年代に大映で制作された娯楽映画だ。その原作は、有馬頼義によって書かれた「貴三郎一代」であるが、原作小説と映画は並行してつくられており、日本陸軍の内務班について描かれているのが特徴といっていい。この軍隊内の生活を描く小説は、1952年に野間宏によって発表された「真空地帯」以降、1960年から80年にかけて書き継がれた大西巨人の「神聖喜劇」など、いくつかあげられる。この文脈の中に「貴三郎一代」および「兵隊やくざ」を位置づけると、内務班という非民主的な社会を打破するヒーローとして、「貴三郎一代」および「兵隊やくざ」の主人公である大宮貴三郎の存在の意味が見えてくる。また、「兵隊やくざ」と「貴三郎一代」に登場する歌も分析する。当時軍隊で好んで歌われていたのは軍歌ではなく、「満期操典」や「軍隊数え唄」といったものであった。このような兵隊の唄を知ることで、当時の日本軍の生活を知ることができるようになることだろう。また、「貴三郎一代」では、大宮と「私」は朝鮮人女性を連れてきてP屋(慰安所)を経営するのだが、日本の敗戦で彼女たちと別れるとき、「私」は朝鮮人女性から「アリラン」と「蛍の光」を歌ってもらい、感動しているという場面がある。しかし、当時の朝鮮では韓国の国歌である「愛国家」にはまだメロディがなく、「蛍の光」のメロディで歌われていたことを考えると、彼女たちが「私」に歌ったのは別れの歌ではなく、朝鮮独立の歌としての国家だったと考えられる。このような認識のギャップは、現在までも続いているのではないかと考えるのだ。
著者
福田 亮子 原田 文雄 奥村 太作
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.259-278, 2018-09-01 (Released:2019-02-28)
参考文献数
113

Frequent traffic accidents caused by older adults became a serious social problem in Japan. In order to decrease the number of traffic accidents and victims, older adults are now encouraged to give up their driver’s license, when they become anxious about their driving ability or are diagnosed as dementia. However, it poses problems for their social lives, and even takes away their fun or something to live for. In worst cases, not only quality of life (QOL), but also activities of daily living (ADL) may deteriorate. Technologies such as driver assistance systems or automated driving system compensate declined functions of human beings and secure their mobility. Especially full automation driving system is expected to secure higher safety. However, their fun and something to live for are not brought back by such a full automation system. To ensure both safety and fun, the idea of “person-centered care” would be a good reference. Within person-centered care, the care recipient is considered as an independent and capable individual with his/her own abilities to make informed decisions. Caregivers take the whole person into account including one’s abilities, or resources,wishes, health and well-being as well as social and cultural factors. Advanced driving assistance system in near future is expected to sense the “driver” continuously, to give some suggestions or to support discreetly regarding both his/her condition and moods at the right time, so that the person can drive safely with fun.
著者
丹保 健一 Tanbo Ken-ichi
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要. 人文・社会科学 (ISSN:03899241)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.1-12, 1999-03-01

ヨウダが表すとされる「様態」「推量」「伝聞」「婉曲」の意味について考察し、「様態」的なものと「推量」的なものの比重が「時間的空間的心理的」遠近によっていること、「伝聞」に擬似的なものがあること、「婉曲」と呼ばれるものに推量的なものが混在していること等についての指摘をした。
著者
松田 俊介 酒井 貴広
出版者
日本生活学会
雑誌
生活学論叢 (ISSN:24332933)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.1-14, 2016 (Released:2021-05-14)
参考文献数
23

Since 2001, a characteristic ritual called Goran-shiki has been conducted at Tsuga-cho Ienaka, Tochigi City. Hard drinking and the food taboo on eggs are features of this ritual. Although Goran-shiki is relatively new, both the citizens of Ienaka city and visitors to it are accepting it as a tradition. We think that Goran-shiki acts as an identity symbol for people in Ienaka city. We analyzed the acceptance process and identified three points regarding this ritual.(1) Various people are involved in the management of Goran-shiki, for example, the chief priest of a Shinto shrine, event consultants, and the kagura preservation meeting. Moreover, Goran-shiki is conducted only after considering various expectations.(2) In spite of the various expectations from it, Goran-shiki has been strongly appealing for a food taboo on eggs. This phenomenon is the paradoxical effect of a ritual that strongly appeals to people’s traditional consciousness.(3) Goran-shiki is based on the Nikko-zeme constitution at the Rinno-ji temple. The management introduced the unique feature of forbidding the eating of eggs in this ritual. This characteristic has made Goran-shiki an accepted ritual.
著者
上野 聡
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.67, no.6, pp.268-269, 2019-06-20 (Released:2020-06-01)
参考文献数
5

チョコレートのおいしさを醸しだすものには,甘味・苦味・酸味などの味覚が主として思い起こされる。しかし,チョコレートのおいしさを語る際には味覚だけでなく,口中でのとろけ感(口どけの良さ)や歯ごたえの良さなどのテクスチャーや,融点や硬さなどの物理的な性質(物性)が挙げられる。この物性には,チョコレートの主要成分であるカカオ脂(ココアバター)の結晶が密接に関わっている。本稿では,ココアバターの結晶とおいしさとの関わりについて簡潔に解説する。
著者
中山 祐一郎 保田 謙太郎 下村 泰彦
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

西日本の一級河川に生育するアブラナ属植物はカラシナかアブラナであり、セイヨウアブラナはほとんどないことを明らかにした。また、ツユクサ科の外来植物が河川によって分布を広げる可能性が示唆された。アブラナ属の優占度は土壌の可給態リン酸が多いほど高まり、都市緑地でも土壌環境の違いが植生の違いに大きく影響していることが示された。一方で、都市河川では、外来植物が河川景観を構成する大きな要素となっており、外来植物の花が咲いた景が好まれることが示されたので、河川の植生管理においては外来種を駆除するだけでなく、在来植物の花咲く景を回復の指標にすることが望ましいと考えられた。
著者
冨永 章
出版者
一般社団法人 情報システム学会
雑誌
情報システム学会 全国大会論文集 第2回全国大会・研究発表大会論文集 (ISSN:24339318)
巻号頁・発行日
pp.7-01, 2006 (Released:2021-01-04)

ソフトウェア規模の増大に伴い,ちょっとした間違い(グリッチ)が大事故に繋がるリスクが高まっている。組込み分野の欠陥は意外な結果となり目立ち易い。しかし,大企業の情報システムはもっと複雑な場合が多く,また機器のように比較的閉じた世界にはない。ソフトウェアの複雑化はグリッチを招き,社会問題ともなり得る。設計までの考慮漏れの場合はテストもされないため,防止策の立案は容易ではない。保険制度等はあるが,予防ではなく賠償策である。本稿ではグリッチの予防に必要な事を整理し,最近のプロジェクトで効果のあった策を示す。
著者
樫田 陽子 町田 登 山本 剛 桐生 啓治
出版者
日本獣医循環器学会
雑誌
動物の循環器 (ISSN:09106537)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.6-11, 1999 (Released:2005-11-11)
参考文献数
18

レースにおいて突然1着馬から大差で遅れて入線し,その直後の心電図(ECG)検査で発作性心房細動(AF)が認められた2例の所見について報告した。症例1ではレース終了10分後にAFが確認され,頻発性多源性心室性期外収縮(VPC)を伴っていた。本例は24時間後には正常洞調律に復帰していたが,その後の調教で状態不良のため競走馬から除籍された。症例2ではAF発症時にVPCは認められず,洞調律復帰後の成績は良好であった。運動直後に発作性AFが起こりVPCが併発した場合,予後は不良となる可能性が示唆された。
著者
青木武助編
出版者
弘文館
巻号頁・発行日
1903
著者
野原 信 廣田 栄子
出版者
日本音声言語医学会
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.305-311, 2014 (Released:2015-02-05)
参考文献数
20
被引用文献数
1

聴覚特別支援学校小学部2~3年生の高度聴覚障害児(HH児)21名と同学齢の聴力正常な典型発達児(TD児)60名を対象にし,向社会的および反社会的な動作主の行為の意図と受け手の反応が,通常と一致した条件と矛盾した条件を設定して,他者の行為意図説明能力の発達について検討した.その結果,両群ともに,一致した条件に比べ矛盾した条件で行為意図に関する説明の正答率が低下した.HH児はTD児に比べ,両条件で成績の低下を認め,矛盾した条件における動作主の行為意図説明では,語彙や説明内容が乏しい叙述傾向を認めた.行為意図説明の正答率は,基礎的言語能力としての読書力と相関が高いが個人差を認め,発達の評価に基づいた個に応じた指導が必要と考えられた.高度聴覚障害児では,社会的経験に基づいて密接なコミュニケーションを配慮した言語学習の重要性が示唆された.
著者
植村 邦彦
出版者
関西大学経済・政治研究所
雑誌
多元的経済社会の展開
巻号頁・発行日
pp.19-48, 2003-03-31

一つの妖怪が世界をうろついている。「帝国」という妖怪が。すでに1997年には、極東の片隅でもこう言われていた。「帝国の到来をめぐる予言が今日ほどさかんだったことはない。しかもそれは、一地域における帝国の誕生ではなく、世界帝国とも言うべきものの出現である(1)」。この「世界帝国」の表象について、『帝国とは何か』の編者の一人である増田一夫は、次のように説明している。「われわれの目前で成立しつつあるかもしれないとされる帝国は、武力制覇によって成立するのでもなく、中心的な核もなく、あくまで匿名であり続けると言われている。このイメージは政治よりも経済、経済よりもコミュニケーションの分野で実際に起こっている事態を想起させる。ピラミッドや樹[ツリー]状の組織ではなく、無限に接続し合い絡み合うウェブもしくはネットワーク。あらゆる地点からのランダム・アクセスの可能性を備えた開かれたシステム。根茎[リゾーム]状の組織。これはドゥルーズとガタリの著作『資本主義と分裂症』において提示されたイメージにほかならない(2)」。そのように述べたうえで、増田は次のように結論を保留している。「そして『帝国』。その到来の予感は、一部の人々の期待を代弁しているにすぎないのかもしれない。……しかし『帝国』は、たんに、国民国家が弱体化してゆくなか、その崩壊の後に来る事態を『混沌』と呼ぶのを忌避して用いられる名にすぎないのかもしれない(3)」。このような叙述からわかるように、最近現れた「帝国」という言説は、イマニュエル・ウォーラーステインによって提起された資本主義「世界システム」論やその上部構造としての「インターステイト・システム」論に取って代わる、新しい世界認識の概念として論じられているのであって、従来の「帝国主義」論や「帝国主義の問題を『意識』に即して見ること(4)」をテーマとする「帝国意識」論とは問題関心が基本的に異なると考えるべきであろう。本論文は、このような意味での「帝国」論の最新の成果であり、2000年にアメリカで出版されるとすぐに大きな話題を呼んだマイケル・ハートとアントニオ・ネグリの共著『帝国(5)』を取り上げ、その内容を紹介したうえで、その理論的な有効性について考えようとするものである。
著者
妹尾 武治 徳永 康祐 浦底 利千花
出版者
日本視覚学会
雑誌
VISION (ISSN:09171142)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.95-102, 2018-07-20 (Released:2018-09-05)
参考文献数
8

We interviewed seven professional creators of visual images, on “vection.” Vection is an illusion of a visually induced self-motion perception. In Seno-Lab, previously we conducted three approaches to bridge between scientific psychologists and creators of visual images, i.e., vection-scene-database in Japanese animations, movies of vection stimuli used in the previous scientific articles and the movie of a scientific introduction of vection. Seven professional creators evaluated our approaches. We got a lot of hints for the further developments of our approaches from the results of these interviews. In the seven, three contemporary artists, one movie director, two designers and one photographer were included. They suggested the future tasks for our approaches to bridge the two different business fields.