著者
細谷 幸恵 川崎 晋 前田 憲成 稲津 康弘
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.67, no.10, pp.376-383, 2020-10-15 (Released:2020-11-02)
参考文献数
21

味噌に混入させた大腸菌O157の消長を明らかにするために,市販味噌24検体を対象に複数の保存試験区(5,10,20,30 °C)における大腸菌O157生菌数の変動を寒天平板法およびMPN法により観察した.全保存試験区において,味噌混入下の大腸菌O157は増殖することなく段階的に死滅し,その死滅速度と味噌原料(米,麦,大豆)に関連は見られなかった.一方,味噌検体の水分活性値が大腸菌O157の死滅速度に影響を与える可能性を示した.本結果により,大腸菌O157が意図せず味噌に混入した場合であっても,常温での流通,保存の期間に死滅することから,そのリスクは実質的に無視しうるものであると推察された.
著者
山末 英嗣 光斎 翔貴 柏倉 俊介
出版者
日本LCA学会
雑誌
日本LCA学会誌 (ISSN:18802761)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.22-28, 2021 (Released:2021-01-27)
参考文献数
22

グリーンイノベーションは地球温暖化をはじめとする環境問題を解決する手段の一つとして期待されている。しかし、グリーンイノベーションの背後に過剰な資源利用が誘発される場合がある。著者らはこれを「資源パラドックス問題」と定義した。資源パラドックス問題は、多くの人が気付いていないか、気付いていたとしても定量化された例は少ない。本稿では、国レベル、素材レベル、製品レベルで資源パラドックス問題が起きていると思われる定量的な実例を紹介する。そして、資源パラドックス問題が起きているようなグリーンイノベーションの対応策について、資源消費パターンの類型化とそれに応じた戦略が重要であることを議論する。また、今後、再生可能エネルギーの導入や製品の使用形態が与える影響についても考察する。
著者
山中 望 藤森 亜希 南部 正人 阪 聡 櫻井 健治 守屋 利佳 東原 正明 鎌田 貢壽
出版者
The Japanese Society for Dialysis Therapy
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.97-107, 2002-02-28 (Released:2010-03-16)
参考文献数
29

【目的】CRIT-LINETMモニター (CLM) を用いたplasma refilling rate (PRR) の測定法は研究者毎に異なり, 確立された方法がない. そこで本研究では, 11通りのPRR測定法の有用性と限界について検討し, 臨床的に利用価値の高いPRR測定法を明らかにすることを目的とした. 【対象および方法】慢性腎不全患者で, 透析中の血圧が安定している患者を対象とした. 透析条件は, 除水速度以外は透析中一定とした. 除水は, 異なる3種類の除水方法 (UF-A, -B, -C) で行った. 透析開始時の有効循環血液量 (BV(0)) は, 生体計測法 (8%法) と回帰I法 (Hct I法, ΔBV% I法), UF-A, -B, -C法の組み合わせから推定した. PRRの測定は, 生体計測法と回帰I法, 回帰II法 (Hct II法, ΔBV% II法), UF-A, -B, -C法を組み合わせた11通りの方法を行い比較検討した.【結果】8%-A法で測定されたPRR値は, 8.7±1.6mL/minであった. 種々のBV(0)測定法とUF-C法との組み合わせで得られたPRRは, 8%-A法のPRRと有意差を認めなかった. UF-B法で測定したPRRは, UF-A, -C法で測定したPRRに比べ有意に低値 (p<0.01, n=13) であった. 【考察】UF-A法より得たPRRは, 除水施行中のPRR値であるといえる. UF-B法より得たPRRが低値を示した理由は, 除水が行われない条件下の測定であったためであるといえる. UF-C法は, PRR測定直前に大きな除水をかけるため, 適用できる患者が限られるという欠点があるが, 膠質とPRRの関係について検討することが可能である.【結論】透析中の除水を考慮したPRRを測定する場合には8%-A法が, 非除水時のPRRを測定する場合には8%-B法が臨床的に有用である. 8%-C法では, 膠質のPRRへの効果を検討することができる.
著者
新田 貴之
出版者
日本NPO学会
雑誌
ノンプロフィット・レビュー (ISSN:13464116)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1+2, pp.135-143, 2022 (Released:2022-04-01)
参考文献数
13

コロナ禍においてホームレス支援は,いかにして可能か.本稿は,ホームレス支援NPO仙台夜まわりグループが行ったホームレス支援活動を事例として,感染症拡大を避けなければならないという,これまで経験したことのない状況にあって,仙台夜まわりグループが,どのような決定を行ったのか,その決定に基づいてどのようにホームレス支援活動を行ったのかについて検討し,コロナ禍によって顕となったNPOの脆弱性と課題について考察した.その結果,万が一,ホームレスがコロナ感染症に罹患したとしても,また,「NPOスタッフ」やボランティアがコロナに感染したとしても,自己責任とされてしまい,感染症拡大において最もケアしなければならない社会的弱者に対する,そのケアの基盤は脆弱であることが明らかになった.
著者
朝岡 誠 林 正治 藤原 一毅 岩井 紀子 船守 美穂 山地 一禎
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.168-175, 2020-05-23 (Released:2020-06-26)
参考文献数
18

研究データの再利用を促進するためには,単純な公開だけではなく,条件付き公開(制限公開)に対するニーズを満たしたシステム基盤の整備が不可欠である.本研究では,制限公開データを提供している機関のワークフローを調査し,研究データを提供するフローの類型化を行った.さらに,汎用的なリポジトリシステムWEKO にその機能を実装し,JGSS 研究センターの制限公開ワークフローをシミュレートすることでその運用を検討した.
著者
青木 純一
出版者
文教大学
雑誌
生活科学研究 = Bulletin of Living Science (ISSN:02852454)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.227-237, 2017-03-30

本稿は学校で宿日直が始まる明治中期と、廃止へと向かう終戦後の一時期を中心に、その目的や背景を明らかにした。学校に宿日直制度が成立するきっかけは天皇の写真、御真影の「奉護」が目的である。1890(明治23)年頃になって国家主義的な風潮が強まる中、学校に御真影が「下賜」されその「奉護」を目的に各地の学校で宿日直が始まった。宿日直が定着すると、学校は夜間や休日でも比較的訪れやすい場所となる。宿日直を通して教員同士や児童生徒、地域住民との交流もしだいに増える。戦後になって御真影や教育勅語がなくなると、学校施設の管理のみが宿日直の目的となる。時代の変化もあって、しだいに廃止を要望する声が高まり、宿日直教員に対する殺人事件や暴行事件をきっかけに宿日直廃止の動きは大きく広がる。宿日直問題は国会でも取り上げられ、警備員配置のための国の予算が付く1960年代後半になると、宿日直の実施率は急速に低下し、1980年代の初頭にはほぼ全国の学校で廃止された。
著者
時実 象一
出版者
日本薬学図書館協議会
雑誌
薬学図書館 (ISSN:03862062)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.115-120, 2020-07-30 (Released:2022-04-09)
参考文献数
18

学術情報分野で用いられる永続的識別子(Perpetual Identifier : PID)は,ある対象物に固有で,かつ永続的な識別子である。よく知られている識別子は研究論文を識別するDOIで,ウェブの発展,電子ジャーナルの発展とともに利用が広がり,学術情報に欠かせないものとなった。DOIは研究論文だけでなく,研究データや研究助成プロジェクトなどにも使われるようになっている。本稿前編では,このDOIに加え,研究者を識別するORCID,大学など研究機関を識別するRORについて解説する。
著者
鈴木 理加
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.219-223, 2006-05-01 (Released:2017-05-19)
参考文献数
6

文献情報をインターネット上で無料で検索できるデータベースが増えてきている。その中から,Google Scholar,Scirus,CrossRef Search,IngentaConnect,CiNiiについて,データベースの概要と検索例を紹介する。これらのデータベースは,検索エンジン,収録対象誌,検索対象範囲などが異なり,単純に比較することはできないが,各々の特徴を知れば,原文が入手できる場合もあり,有効に活用できるデータベースと考えられる。
著者
近藤 直 大場 隆之 伊藤 浩之 鹿島 光司 深水 克郎 Kondo Naoshi Oba Takayuki Ito Hiroyuki Kashima Koji Fukozu Katsuro
出版者
宇宙航空研究開発機構(JAXA)
雑誌
宇宙航空研究開発機構特別資料 = JAXA Special Publication (ISSN:24332232)
巻号頁・発行日
vol.JAXA-SP-19-001, pp.53-63, 2019-06-19

月面農場にて栽培する8品目(イネ、ダイズ、サツマイモ、ジャガイモ、トマト、レタス、キュウリ、イチゴ)を、居住人数6人および100人を想定し、特に100人の場合において効率的に生産可能と考えられる方法を提案する。本提案では、まず栽培8品目すべてに共通して適用する技術を示す。次にそれぞれの生産品目ごとに栽培スタイル(栽培様式)を定める。そしてその様式を実現するために最適な栽培方式、例えばバッチ式の栽培か栽培部分が移動することによる連続式かに大まかに大別した。作物の生産過程は、播種(定植)、生育、収穫などの工程に区分され、各工程において可能な限り自動作業を導入するために必要な生育・環境モニタリング項目、具体的なセンシング方法および機械化方法を提案する。それら要素技術の中には、既存の技術を応用することで達成可能と考えられるものもあるが、ドローン、ロボットの開発やセンシング方法の確立など、今後さらなる技術向上が必要と考えられる方法も含む。

1 0 0 0 光山押形

著者
本阿弥光山 著
出版者
雄山閣出版
巻号頁・発行日
vol.乾, 1967
著者
芹沢 勝助
出版者
一般社団法人 日本温泉気候物理医学会
雑誌
日本温泉気候学会雑誌 (ISSN:03694240)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.389-459, 1960 (Released:2010-08-06)
参考文献数
53

The ideas of “Keiraku” and “Keiketsu” are fundamental principle in acupuncture and moxibustion which have been developed in the East since ancient times. The system of “Keiraku” derives from a philosophical idea of the East and is the result of analysis and synthesis of many years experiences by Chinese medical men. “Keiraku” are the lines of reaction points, while “Keiketsu” are the points on “Keiraku” determined upon human body surface where therapeutic stimuli are to apply.“Keiraku” and “Keiketsu” are functional reaction zone and points, which are projected upon the surface of the body corresponding to the disorders of the internal organs. They are supposed to be located not only planely upon the skin but also expand three-dimensionally so deeply as far as into the subcutaneous tissues. It has been scarcely discussed, whether they should really exist or not, and whether they might have or not such special meaning as is believed in the field of practical therapists.In order to clarify the special characters of “Keiraku” and “Keiketsu” the author measured the cutaneous electric resistance in relation to the changes of the superficial structure of the skin and detected subcutaneous induration objectively with a massagekymograph corresponding to the changes in the deeper structure. And then the existence of “Keiraku” and “Keiketsu” was discussed through experimental researches and consequently following results were obtained:To measure the electric resistance of a minute area of the skin an apparatus with a small sharp electric pole, devised by Professor Ishikawa of the Kanazawa University, was used and the distribution of the cutaneous points with markedly decreased electric resistance was investigated in healthy and diseased subjects.It was revealed that there are several localized spots on the skin (with dimension of about 1×1mm2) which showed a distinguished decrease in the electric resistance. In some cases these “points of decreased cutaneous electric resistance” (P. d. c. e. r.) coincided with the sites of “Keiketsu”. The relative values of electric resistance at these points and the surrounding skin area are about one to hundred.And these P. d. c. e. r. changed their sites and degree of decrease by hours, clays, and weeks. Namely they showed daily or weekly changes in their distribution and character.In the dorsal region of 3 cases out of 5 subjects (60%) the zone of P. d. c. e. r. appeared paravertebrally 4cm both sides of the spinal column and on the middle line between the proc. spinosi. In 4 out of the 5 cases groupings of the P. d. c. e. r. were recognized between the mammae, in the mesogastric area, hvpochondrium, and on the abdominal middle line. This finding corresponds with “Keiraku” (reflected line) of “Yu” points and “Bo” points which are highly estimated in the diagnostic examination on dorsal and ventral regions in the Eastern Medicine.In 85 cases of healthy subjects it was discovered that the distribution of the P. d. c. e. r. appeared densely in the neck, upper abdominal regions, hypochondrium, loins, and cubital regions. This dense distribution of the P. d. c. e. r. coincides also with clinically important “Keiketsu” (reflected or reaction point) in the Eastern Medicine. And in these areas a dense distribution of the subcutaneous indurated nodules was detected too. The distribution of the P. d. c. e. r. on the upper and lower limbs indicated the existence of longitudinally line shaping distribution of reaction points, e. g. “Keiraku”. Especially in 9 cases of 85 subjects a distribution of P. d. c. e. r. was found which closely resembles with “Keiraku” and “Keiketsu”.Throughout the whole experiments th
著者
粟生田 友子 長谷川 真澄 太田 喜久子 南川 雅子 橋爪 淳子 山田 恵子
出版者
一般社団法人 日本老年看護学会
雑誌
老年看護学 (ISSN:13469665)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.21-31, 2007-11-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
20
被引用文献数
4

本研究の目的は,(1)せん妄発生因子を患者へのケア実践過程にしたがって構造化し,(2)その発生因子とせん妄発症との関連を明らかにすることである.せん妄発生因子は,【背景・準備因子】【身体・治療因子】【患者因子】【周辺因子】の4領域102項目と,薬剤104種類について,せん妄発症との関連を検証した.研究の場は一般病院1施設の,産科,小児科,脳神経外科病棟を除く7病棟であり,2005年1〜3月の3か月間に,基点となる週から2週間ごとに等間隔時系列データ収集法を用いて,6クールのデータ収集を行い,75歳以上の入院患者の全数を調査した.その結果,対象はのベ461名得られ,DRS-Nによってせん妄発症の有無を判定したところ,せん妄発生群96名(DRS-N平均得点16.16点),非せん妄発生群365名(2.44点)となった(発症率20.8%,t=37.687,p=.000).【背景・準備因子】では,「年齢」「入院ルート」「認知症または認知障害」「脳血管障害」「せん妄の既往」の5項目で両群に有意差が認められ,【身体因子・治療因子】で,身体因子の「せん妄を起こしやすい薬物の投与数」「高血圧の既往」「脳血管疾患の既往」「消化器疾患の既往」「感染症徴候(CRP,発熱)」「低血糖/高血糖」「肝機能障害(LDH)」の7項目,治療因子の「緊急手術」「緊急入院」の2項目に有意な差があった.【患者因子】では,日常生活変化の「陸眠障害(夜間不眠,昼夜逆転)」「排尿トラブル(尿失禁,おむつ使用)」「排便トラブル(下痢)」「脱水徴候」「低酸素血症(O2 sat)」「ライン本数」「可動制限(生活自由度)」「視覚障害(眼鏡使用)」の8項目,【周辺因子】では,物理的環境の「部屋移動」,物理的環境への認識/反応の「日にちの確認(カレンダーで確認)」「時間の確認(時計で確認)」「点滴瓶やルートが気になる」の4項目に有意差を認めた.今回抽出できた因子は,せん妄の発症リスクの判断指標となりうるもの,あるいは看護介入によって発症を予防できる可能性をもつものであり,看護職が日々のケアの中で介入可能なものに対して介入方法とその効果を明確にしていくことが今後必要であると考えられた.