著者
金﨑 茂樹
出版者
大阪産業大学学会
雑誌
大阪産業大学論集 人文・社会科学編 = JOURNAL OF OSAKA SANGYO UNIVERSITY Humanities & Social Sciences (ISSN:18825966)
巻号頁・発行日
no.37, pp.55-71, 2019-10-31

No other period has seen more popularity of mummy fiction than the late Victorian and Edwardian era. What is remarkable is that quite a few mummy stories are set in the love romance genre. This is especially the case with works published from the 1880s to 1910s, when British political and imperial power prevailed in Egypt. The stories feature a male character falling in love with a perfectly preserved and fascinating female mummy. In other words, unlike current images of decaying grotesque mummies seeking revenge against those who disturbed their tombs, some mummies in fiction at the turn of the twentieth century were considered as beloved brides in both the literal and metaphorical sense. This paper examines these“ mummy brides” motifs found in several works of the period and consider their characteristics.
著者
宮崎 弦太 池上 知子
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.194-204, 2011 (Released:2011-03-08)
参考文献数
21
被引用文献数
6 1

本研究は関係へのコミットメントと関係相手からの受容予期が社会的拒絶への対処行動に及ぼす影響を検討した。219名の大学生が質問紙調査に参加した。参加者は,親友または知人との関係におけるコミットメントと相手からの受容予期の程度,そして,その相手からの拒絶場面における感情状態と行動傾向を評定した。その結果,知人よりも親友のほうが,関係相手からの受容予期は強く,関係へのコミットメントが強いことが明らかとなった。また,知人よりも親友のほうが,拒絶に対する関係志向的行動が促進され,関係破壊的行動は抑制されることが示された。媒介分析とパス解析の結果,コミットメントと受容予期はそれぞれ直接,拒絶への関係志向的行動を促進し,関係破壊的行動を抑制すること,そして,受容予期はコミットメントを強めることで間接的にも拒絶への対処行動に影響することが明らかとなった。これらの結果は,拒絶への対処行動を規定する要因は,相互依存理論とリスク制御システム理論という観点から統合的に理解する必要があることを示唆している。
著者
鎌田 光宣
出版者
千葉商科大学経済研究所
雑誌
国府台経済研究 (ISSN:0916281X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.9-28, 2021-03-31
著者
由良 亮 浜野 純 萩原 勇人 楠瀬 千春
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.29, 2017

【目的】包丁技術の育成は、栄養士養成において必須の課題である。この技術は調理経験によって、比較的誰でも習得できるものである。しかし、近年、入学までの調理経験が少ない学生が増加している。そのために、卒業までに十分に期待されるだけの練度を積むことができない状況にある。<br />こうした、練度を要する技術は、無意識・無自覚で行う所作に違いがあると考えられる。しかし、無意識・無自覚であるために、熟練者も学習者もその違いに気がつくことは難しい。そのため、技術向上につながる的確なアドバイスが難しいと考えられる。そこで、包丁操作を詳細に記録する方法を検討した。これにより、その人の包丁操作の特徴を見出すことができれば、それを熟練者との違いを明確にすることできると考えられる。そして、その人の上達を促すアドバイスが可能となる。<br />【方法】本研究では、その方法として6軸モーションセンサー(3軸加速度,3軸角速度)を利用した。近年これらのセンサーは非常に小型化しており、包丁操作を妨げることなく、その状況を記録することができる。<br />このセンサーを、包丁の柄の両端に取り付けて、キュウリの小口切り,人参と大根のイチョウ切り,大根の桂むきの動作を記録した(サンプリングレート 200 Hz)。その記録を高速フーリエ変換にかけ、周波数解析を行った。そして、切り方および被験者について比較を行った。<br />【結果】どの切り方および被験者においても、包丁操作のパワースペクトルは概ね15 Hz 未満の周波数領域に集中していた。また、両端のセンサーが検出した加速度は、信号強度に差異が認められた。しかし、角速度ではわずかな違いしか認められなかった。<br />それぞれの材料・切り方において、パワースペクトルに明確な違いが認められた。キュウリの小口切りでは,加速度・角速度のパワースペクトルに明確な倍音成分が認められた。人参のイチョウ切りでは,包丁の切断動作に伴う軸方向で,加速度・角速度スペクトルに特徴的なピークが確認された。大根のイチョウ切りでは一定の傾向は認められなかった。<br />また、被験者間においても明確な違いが認められた。違いについては、解釈を検討する必要があるものの、特徴点を見出すことが可能と考えられる。
著者
伊藤 しげ子 井後 一夫 水野 章 諦乗 正 河内 嘉文 伊藤 恭子 伊藤 雅彦 川瀬 朋子 小寺 久子 三和 静代
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.56, pp.27, 2007

_I_、はじめにいなべ総合病院は三重県最北に位置する220床の病院です。診療圏人口は約71,000人で地域の中核病院としての役割をもっている。当院は平成14年9月、新築移転をした。しかし、移転当初最新の医療設備、優秀なスタッフが揃っているのにも関わらず、地域の中では病院機能の理解はなかなかなされず、病院の活性化はならなかった。そこで、以前より活躍していた院内ボランティアの方にまず病院の機能を理解してもらうために「ボランティア委員会」を立ち上げ、年間2回の研修会と3回の委員会の開催をした。また、病院祭の際には、餅つきやアンケートの手伝いをしてもらい、職員と一体となって地域の人へのアピールを行ってきた。地域の人で作るボランティアの方の地域への宣伝効果は大きなものがあり、現在外来患者数880人(移転当初750人)、入院稼働率92%(移転当初88%)と活気ある病院になってきた。その経過を報告したいと思う。_II_方法1、ボランティアグループ1)ほほえみの会 100名登録 (玄関患者介助)2)ほほえみの会ひまわりグループ8名 (小児科外来絵本読み聞かせ)3)敷地内草取りボランティア130名 (シルバー)4)敷地内草取りボランティア5)小児科病棟絵本読み聞かせ 1名2、活動内容1)毎日2~3名が玄関で患者介助2)第1月曜日に2名が実施3)毎月1日と10日に敷地内の草取り実施4)年1回敷地内の草取り実施5)毎月第_I_土曜日に実施3、病院祭毎年開催する病院祭に、餅つき、アンケート聴取の手伝いやイベントコーナーへの参加など病院行事への自発的な参加を行っている。4、研修会年2回実施_III_、結論最初は20名ほどから始まったボランティア活動は、現在230名を超える大きな輪になった。ボランティアの人が「自分たちが支えている病院」という気持ちを持ってもらうことこそが病院活性化につながると考え、研修会、委員会、病院祭の参加とまずは病院へ足を運んでもらうこと。もう1つはボランティアの方が地域住民の代表者となり、病院への要望・意見を言ってもらい病院改善を行ってきた。年2回開催する研修会には、院長、事務部長、看護部長、外来師長が必ず出席して、常に病院の方針を話し理解していただき、考えを共有するようにした。また、ボランティアからの要望は最大限取り入れた。そうしたことで徐々に「自分たちの病院」という思いが広がっていき、その思いは地域の人にも広がっていった。移転後5年目を迎えた現在、救急車搬送率、外来患者数、入院患者数、健康診断受診者数等全てにおいて右肩上がりの成績を収めており、まさしく地域とあゆむ中で病院の活性化はなされてきたと感じている。
著者
小野 恭靖
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要 1 人文科学 (ISSN:03893448)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.141-145, 2011-02

『当麻中将姫和讃』は現在大阪教育大学小野恭靖研究室所蔵の和讃資料一冊である。この和讃は大和国当麻寺伝来の曼荼羅の縁起にかかわるもので、中将姫伝説に基づいて創作されている。この和讚が注目されるのは、従来紹介されていた中将姫関連の和讃とは内容を異にしている点である。本文には中将姫伝説を収録した一部の江戸期文献と共通する登場人物名が見え、この和讃の成立時期や成立背景をおよそ推定することが可能である。 本稿では従来未紹介の『当麻中将姫和讃』一冊を翻刻し、位置付けを行うことを目的とする。Wasan is the songs that praise Buddism. Among those wasan there are the songs which theme is the legend of Chujou-hime. Five kinds of wasan related to Chujou-hime have been known so far."Taima Chujou-hime Wasan(当麻中将姫和讃)"is introduced in this report. This wasan, which treats the legend of Chujou-hime, was not found.
著者
鈴木 洋子
出版者
日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 = Journal of home economics of Japan (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.55, no.9, pp.733-741, 2004-09-15
参考文献数
14
被引用文献数
3

学校教育の限られた時間内に効率よく安全に包丁技能を習得させることを目的に,「きざみ:被切断物を包丁を手にしていない手指で押さえ,包丁の刃を押し出す様に切る切り方」練習に用いる披切断物の高さと幅を,寒天ゲルを用いたモデル実験により検討するとともに,参考として「包丁指導の際に用いる教材の配列」を家庭科担当者への調査を通して検討した結果,以下のことが明らかになった.1)「きざみ」時の包丁操作には,被切断物の高さよりも幅の影響がみられ,切断後の被切断物の状態については若干ではあるが幅より高さに影響がみられた.2)非熟練者の場合は,幅の広い被切断物を切断した際に,包丁を振り上げてから切断を開始するまでの時間が熟練者に比べると長いことがわかった.3)包丁操作の「きざみ」練習を行う際の披切断物の高さは包丁の刃幅の半分程度で,幅は2.5cm程度がよく,小学校家庭科における「きざみ」練習の教材に長年に渡り採用されてきたきゅうりのうす切り(輪切り)とキャベツのせん切りを比較すると,幅が狭いきゅうりの方が適している.4)現行の小学校家庭科第5学年の教材として広く取り人れられているきゅうりのうす切り(輪切り)やキャベツのせん切りは難易度が高いことから,低・中学年期に包丁練習の初期段階として厚めの「小口切り」や「イチョウ切り」の練習を積極的に取り人れるとよい.
著者
梶原 智之 西原 大貴 小平 知範 小町 守
出版者
一般社団法人 言語処理学会
雑誌
自然言語処理 (ISSN:13407619)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.801-824, 2020-12-15 (Released:2021-03-15)
参考文献数
50
被引用文献数
1

本研究では,日本語の語彙平易化のために,評価用データセット・辞書・実装や評価を支援するツールキットの 3 種類の言語資源を整備する.我々は既存の小規模な単語難易度辞書をもとに単語難易度の推定器を訓練し,大規模な日本語の単語難易度辞書および難解な単語から平易な単語への言い換え辞書を自動構築する.本研究で構築する評価用データセットを用いた評価実験によって,この辞書に基づく語彙平易化システムが高い性能を達成することを示す.我々のツールキットは,辞書の他,語彙平易化パイプラインにおける主要な手法を実装しており,これらの手法を組み合わせたシステムの構築および構築したシステムの自動評価の機能を提供する.
著者
古賀 絢子
出版者
慶應義塾大学法学研究会
雑誌
法学研究 = Journal of law, politics and sociology (ISSN:03890538)
巻号頁・発行日
vol.91, no.2, pp.309-346, 2018-02

一 はじめに二 平成二七年判決法廷意見における夫婦同氏制による「子の利益」論 1 法廷意見による合憲論と夫婦同氏制による「子の利益」 2 法廷意見が示す夫婦同氏制による「子の利益」 3 夫婦同氏制による「子の利益」論に対する批判三 ステップファミリーにおける夫婦同氏制による「子の利益」 : 実態調査をもとに 1 ステップファミリー : 標準的な婚姻家族と「例外」家族のあいだ 2 ステップファミリーにおける家族と子の氏の仕組みと実情 3 継父子間の養子縁組による継父子同氏の持つ意味 4 ステップファミリーにおける両親双方との同氏による「子の不利益」四 ステップファミリーにおける子の氏の問題を手がかりとした平成二七年判決への反論 1 ステップファミリーにおける子の氏の問題による示唆 2 夫婦同氏制による「子の利益」の創出 3 夫婦同氏制による「子の利益」と「子の不利益」 4 夫婦同氏制による「子の利益」と婚姻家族モデル五 おわりに : 夫婦・家族の氏に関する制度の改革へ向けて犬伏由子教授退職記念号
著者
諸星 一信 難波 喬司 磯部 雅彦 大下 英治 杉浦 幸彦 木俣 順
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
海岸工学論文集 (ISSN:09167897)
巻号頁・発行日
no.50, pp.346-350, 2003
被引用文献数
1

津波浸水ハザードマップの作成に際して設定される諸条件には不確実なものが数多く, これらの考慮なしには有効性の高いハザードマップとはなり得ない. 本研究では, 津波浸水区域を予測する際の不確実性要素が津波浸水区域の予測に及ぼす影響度について検討した. その結果, モデル地区では, 地震断層モデル, 地盤変位, 計算格子間隔, 地盤高および潮位の条件設定が浸水予測結果に大きな影響を及ぼすことを明らかにした.また, 人命被害の最小化に資する津波ハザードマップ作成を念頭に置き, 不確実性要素の合理的な取扱い方法についても考察した.
著者
松谷 定 竹下 千尋 五十嵐 健祐 阿部 真也 吉町 昌子 後藤 輝明 山城 海渡 川﨑 直人
出版者
一般社団法人 日本薬局学会
雑誌
薬局薬学 (ISSN:18843077)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.115-121, 2020 (Released:2020-10-26)
参考文献数
8

近年,保険薬剤師は業務の多角化が求められている.そのためストレスが増大し,インシデントにつながる危険性がある.しかし,保険薬剤師の職業性ストレスとインシデントの関連性については明らかにされていない.そこで本研究では,保険薬剤師の職業性ストレスとインシデントの関連性について調査した.2016 年12 月,(株)ツルハ(212店舗)の保険薬剤師を対象に勤務状況,職業性ストレス,離職願望およびインシデントに関するアンケートを実施した.回答が得られた 397 名のデータを解析した結果,職業性ストレス因子の「心理的な仕事の負担(量)」「仕事の適性度」「働きがい」と「離職願望」がインシデントと関連することが明らかとなった.本研究で明らかとなったインシデント関連因子を早期に把握できる環境を整える必要性が示唆された.
著者
栗林 佳代
出版者
佐賀大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

まず、フランス訪問権に関する法理論および立法過程に関する検討を行った。1970年の訪問権の立法は判例および学説を承認するかたちでなされた。それゆえ、フランスの訪問権は実社会に要請にそうものであり、訪問権の主体は父母・祖父母・第三者と広い。さらに、特に父母の訪問権は、1987年および1993年の法改正により離婚後の共同親権制度が導入されたことにより、訪問権は例外的に単独親権となった場合にのみ機能するものとして変化した。そして、フランス法の検討をもとに、わが国の面接交渉権について批判的に検討し、法理論の再構築をした。