著者
ルッケル瀬本 阿矢
出版者
映画英語教育学会
雑誌
映画英語教育研究 : 紀要 (ISSN:13429914)
巻号頁・発行日
vol.21, 2016

This practical report proposes one effective teaching method with movies to achieve the course goals of intercultural understanding based on the DMIS of Bennett (1986a, 1986b, 1993) and GIDC of Wilkinson (2007). In this study, the movie used was <i>As Good As It Gets</i> (1997), and the precise course goal was to address American social issues. Participants were 103 university students in four classes who watched the movie and wrote a summary while completing three types of worksheets related to the following: 1) racism, 2) the gap between the rich and the poor, or 3) both themes simultaneously. Many students who worked on the third worksheet noticed more than two social problems described in the movie, whereas the others concentrated only on the single point analyzed on their worksheet. The results suggest that educators should not only set a course goal according to where their students measure on the DMIS and GIDC, but should also indicate more than two issues in order to stimulate students' intellectual curiosity towards different cultures.
著者
雨宮 宏 小山 孝一郎 平尾 邦雄
出版者
宇宙科学研究所
雑誌
宇宙科学研究所報告 特集 (ISSN:02859920)
巻号頁・発行日
no.9, pp.p45-61, 1984-03

本報告は磁気共役点からの光電子降下による夜明前の大気光増量現象に関する総合観測を目的として打上げられたK-9M-76号ロケットに塔載された熱的電子エネルギー分布測定器による観測結果に関する。測定にはラングミュアプローブを用い, ドリベステン法を適用した。プローブ特性の二次微分を得るためには最近開発した高速掃引に適した遅延回路を用いた。上昇時は高度140kmから最高高度349kmまで, 下降時は最高高度から200kmまでと, 100kmから87kmにかけてのE層のデータが得られた。100kmから200kmに亘ってはE-F層の谷が存在し, ここでは低エネルギー部分が二つのピークに分れる傾向が見られた。240kmより上部では高エネルギー尾部に若干の凹凸があることと, 非常に低エネルギーの部分 (&lsim;0.15eV) における涸渇を除いてはマクスウェル分布からの大きいずれはなかった。得られた二次微分曲線をプローブ電圧に対しセミログプロットし, 最小二乗近似直線を計算機により決定し, その傾斜から電子温度を求めた結果, 高度90kmから350kmに亘って750°Kから1300°Kに至るまでの高度と共に増加の傾向を得た。また, 二次微分曲線の積分よりプラズマ密度を求めた結果, 100km附近で最大密度1.3×10^4cm^<-3>のE層, 300km附近で最大密度1.5×10^5cm^<-3>のF層, 100-200kmに亘るE-F層の谷が明らかとなった。これらの結果は酸素分子イオンと電子との解離再結合によるO(^1D)の生成率を評価すること, 光電子の直接励起によるO(^1D)生成率との比較を可能にする。資料番号: SA0166646000
著者
佐原 亮 遠藤 和博 五十嵐 絵美 浜田 純一郎 矢野 雄一郎
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.758-761, 2014 (Released:2014-11-21)
参考文献数
8
被引用文献数
1

肩疾患では屈曲と比べ外転しづらい.本研究の目的は屈曲と外転を比較することである.健常者11名22肩を対象とし,三次元動作解析を用い安静下垂位から屈曲・肩甲骨面挙上・外転し,上腕外旋角度,水平肩甲上腕角度,肩甲骨内旋角度を算出した.屈曲の上腕外旋角度は55°であり直線的に増加し,外転では挙上初期から外旋角度が大きく100°まで屈曲より多かった.屈曲では肩甲骨はまず内旋しその後外旋したが,外転は常に外旋した.水平肩甲上腕角度は外転で常に大きい.肩甲骨の外旋制限のある肩関節疾患では外転しづらい.屈曲では僧帽筋を弛緩し前鋸筋を収縮するが,外転では両筋を同時に収縮させる.棘下筋・小円筋も外転では筋長の短い状態での筋収縮が必要である.屈曲に対し外転は,(1)挙上初期から上腕外旋角度が大きく,(2)肩甲骨は常に外旋し,(3)水平肩甲上腕角度は常に大きい.
著者
雨宮 宏 小山 孝一郎 平尾 邦雄
出版者
宇宙科学研究所
雑誌
宇宙科学研究所報告 特集 (ISSN:02859920)
巻号頁・発行日
no.12, pp.p125-136, 1985-03
被引用文献数
1

本報告は1983年9月16日, 日没時, 中層大気観測器と共にS-310-14号機ロケットに搭載された熱的電子エネルギー分布観測器による測定結果に関する。測定はラングミュアプローブを用いるドリベステン法によっており, 高度90から218kmに亘り正常なデータを得た。観測の結果, 高度90から160kmにかけて高エネルギー尾部に非熱的電子の存在を示す凸部が見られ, その密度は熱的電子の約10_<-2>倍, 熱的電子とのエネルギー間隔は約0.3eVであった。一方, 170km以上(F層)ではその様な凸部は現われなかったが, 分布はマクスウェル分布から若干ずれた形を示した。熱的電子の温度は高度と共にゆるやかな上昇を示しF層で約900°Kとなった。非熱的電子の発生機構として振動励起されたN_2と熱的電子間の非弾性衝突が考えられる。資料番号: SA0166676000
著者
村田 敏彰 青山 眞二
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.35-45, 2016
被引用文献数
1

本研究では、特別支援教育コーディネーターによる連絡調整上の工夫の具体的方法を明らかにするため、関係者間の連絡調整に苦慮した30事例を、修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(M-GTA)を用いて分析した。その結果、認識のずれや感情トラブル等の現状を認識したコーディネーターはさまざまな葛藤を経て、対象児童や保護者、担任の言動の意図を言語化したり、誤解の可能性がある表現を理解・受容しやすい言葉に変換するなど、伝達方法を工夫することで、関係性を改善させたり対象児童を向上させるなどの成果をもたらす、というプロセスが示された。苦慮の背景には、関係者間の齟齬や支援の行き詰まりなど、切迫・混沌とした状況があった。これらの事態を打開するキーポイントとして、「苦慮する原因や背景の本質を見極めながら、それに応じた具体的な伝達方法を選択すること」を挙げることができる。M-GTAにおけるコアカテゴリー生成にあたり、この伝達方法の工夫をコーディネーターによる「翻訳」と命名した。
著者
浜田 宏
出版者
社会学研究会
雑誌
ソシオロジ (ISSN:05841380)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.127-137, 2013-02-28 (Released:2015-05-13)
参考文献数
10
被引用文献数
2
著者
歳藤 利行
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.81, no.4, pp.372-377, 2019

<p>粒子線治療は高エネルギー荷電粒子線を用いた放射線治療であり,腫瘍への集中性のよい線量分布を形成することができる.近年,良好な治療効果が実証され,一部では日本国内で保険適用が始まっている.原子核乾板は粒子線治療の黎明期から要所要所で研究に用いられてきた.粒子線治療のさらなる高精度化に向けても大きく進化した今日の原子核乾板技術が大いに活躍することが期待できる.</p>
著者
松浦 隆幸
出版者
日経BP
雑誌
日経アーキテクチュア = Nikkei architecture (ISSN:03850870)
巻号頁・発行日
no.1162, pp.52-61, 2020-02-27

「大屋根で覆った吹き抜けの大空間に、各フロアを段状に重ねた構成は、大幅な省エネを意図したものでもある」。そう話すのは、佐藤総合計画東京第1オフィス第1設計室長の渡辺猛氏だ。この建物は、アーケードの商店街や、その先にある大村湾に向けて西に開い…
著者
塩見 大輔
出版者
大阪市立大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

DNAの塩基配列を使えば,何らかの機能性を持った分子を望みの配列様式で並べて,分子集合機能系を構築することが可能になる.本研究では,一本鎖DNAと小分子の核酸塩基誘導体との組み合わせで,分子スピン集合系を構築することを提案した.いくつかのモデル系について,分子力場計算による配座探索と構造最適化の計算により,最安定構造を明らかにした.アデニンとシトシンの代わりにそれぞれ,ジアミノトリアジンとイソシトシンを導入(置換)したニトロニルニトロキシドラジカル誘導体を用いた系では,一本鎖DNAと小分子の組み合わせであっても,擬似的な二重鎖構造は保たれることがわかった.
著者
鳥羽 光晴
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.83, no.6, pp.914-941, 2017 (Released:2017-12-22)
参考文献数
267
被引用文献数
15 18

1980年代以降の我が国のアサリ漁獲量の減少について,主要5海域の実態と原因に関する議論を再点検した。減少には埋め立てと乱獲が関与した可能性があったが,貧酸素,河川出水,冬季の波浪減耗,食害生物,病虫害,餌料環境等の関与が指摘され,最終的に原因が特定されている海域はなかった。漁獲量に影響する要因は時間とともに変化しているため,過去の減少と現在の回復不全の要因は異なる可能性があり,減少時期を特定した議論が重要と思われた。原因の特定には各要因の影響を定量的に評価した上での比較検討が必要であろう。
著者
荒井 健二郎
出版者
文化女子大学
雑誌
文化女子大学紀要 人文・社会科学研究 (ISSN:09197796)
巻号頁・発行日
no.1, pp.p135-145, 1993-01

黒人として生まれついたジェイムズ・ボールドウィンは,白人との比較において,満たされないものを紙面にひたすら叩きつけた感じがする。彼の小説に登場する人物達は,ボールドウィンの代弁者という役割を与えられて窮状を訴え,悪態をつき,なじり,わめき,という自己主張に終始し,セックスも暴力的である。更に,相手を暖かく包みこむとか,相手の欠点についても糾弾することはあっても受け容れようとすることは,全くない。その底には,欲求不満を吐き出すことによって満足感を得ようとする「歪な平衡感覚」が作用しているように思われる。『もう1つの国』 (Another Country, 1962)の主要人物達もその例にもれることはない。しかし,唯一の例外として提示されるのが,エリックである。彼は最初向性愛者として登場し,後に両性愛者であることがわかって驚かされるのだが,最初のうち,自らの性的志向をなかなか受け容れることができず,苦悩する。しかし,最後には,その長い苦悩のトンネルを抜け,認識と受容に至る。その点をポールドウィンは賞賛してやまないのだ。それ故,エリックに同性愛者という「もう1つの国」を与えたのだと思われてならない。
著者
山崎 裕美
出版者
東京都立大学法学部
雑誌
東京都立大学法学会雑誌 (ISSN:03868745)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.89-149, 2005-01-14
著者
伊東 栄志郎
雑誌
総合政策 = Journal of policy studies (ISSN:13446347)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.277-288, 2006-03-01

多くの批評家たちが論じてきたように、オットー・ヴァイニンガーの『性と性格』(1903)は、ジェイムズ・ジョイスに『ユリシーズ』を書く刺激を与えたようである。ヴァイニンガーの見解は、マリリン・ライツバウムにより、次のように要約される:「ヴァイニンガーによれば、あらゆる人間存在にあって、女性が負の勢力であるように、ユダヤ人もそうである」。本稿は、ヴァイニンガーの視点より、『ジアコモ・ジョイス』における反ユダヤ主義および反フェミニズムを論じたものである。ジョイスがトリエステでおそらく1912年から1914年の間に書いた『ジアコモ・ジョイス』は、ユダヤ的要素への言及がほとんど見られない『若い芸術家の肖像』と、ユダヤ人の名前やユダヤ的要素への言及が満載の『ユリシーズ』を結ぶ習作に位置づけられる。トリエステは、ジョイスの時代には、西欧と東欧の境界に位置していた。エドワード・サイードの「オリエント」の定義を適用すれば、ジョイスに馴染みのあるヨーロッパと、馴染みのない「オリエント」の間にトリエステはあったのである。『ジアコモ・ジョイス』は、官能的な空想を描いたスケッチブックで、ジアコモは「謎の女性」に対する自分の欲望をたどる。作品には、性的な、あるいは反フェミニズム的な含蓄が響きわたるが、「意図的な」反ユダヤ主義的・反フェミニズム的調子ではない。ジアコモあるいはジョイスにとって、その生徒は魅力的でエキゾチックな女性なのだが、たまたま彼女がユダヤ人だというにすぎないのである。この心象スケッチを描きながら、ジョイスはユダヤ的視点から書くことを学んでいたはずである。かくして、ジョイスは、2つの作品、『ジアコモ・ジョイス』と『ユリシーズ』の創作のためにヴァイニンガーから2つの概念、「女性的なユダヤ人男性」と「自己嫌悪に陥ったユダヤ人」を借り受けたのである。