著者
山田 久美子 近藤 貴子 飯沼 光生
出版者
名古屋女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

子宮内環境は胎児の発達だけでなく、出生後の子の健康障害発症の素因を胎児期に形成し、出生後の健康障害発症に影響を及ぼすことが示唆されている。妊娠期の腸内細菌叢は子へと伝えられ、離乳期には最初の細菌叢が完成すると考えられる。また、咀嚼運動のストレス緩和効果も解明されつつある。本研究では、摂食を開始する離乳期について、ストレス暴露とストレス下で棒を噛ませる咀嚼運動をさせた妊娠マウスから出生した仔マウスについて、肥満やストレスとの関連が示唆されている腸内細菌叢、間葉系幹細胞の脂肪への分化能および肥満関連因子の定量などを行うことにより、ストレスと肥満発症の素因形成および咀嚼運動の影響について検討する。
著者
鈴木 博人 河島 克久
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B1(水工学)
巻号頁・発行日
vol.74, no.5, pp.I_301-I_306, 2018

<p> 本研究では,新潟県とその周辺地域における鉄道駅構内の露場で観測された年最大積雪深の資料を整理することで,1927年冬期から2018年冬期における豪雪年の年最大積雪深の分布図を作成した.これらの分布図は,この期間の年最大積雪深の観測記録が残る地点のデータを基に豪雪年として抽出された1927年,1940年,1945年,1961年,1963年,1984年の各冬期について作成した.その上で,豪雪年における年最大積雪深の分布の地域的特徴を明らかにした.さらに,雪の降り方とそれが鉄道に与えた影響や,鉄道で行われてきた雪害対策について概観する.</p>
著者
岩坂 知治 江藤 正博 田中 創 副島 義久 森澤 佳三 西川 英夫 山田 実
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.37 Suppl. No.2 (第45回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.C4P2204, 2010 (Released:2010-05-25)

【目的】過去,座位姿勢に着目した重心動揺計を用いた研究は少なく,特に整形外科疾患に特化した研究は数少ない.しかし,臨床上腰部疾患を有する患者の多くは,座位姿勢において何らかの症状を訴えることが多い.これらの患者に対して,体幹機能を重視した評価・アプローチが行われるのが一般的であるが,これだけで症状軽減に繋がらないケースを多々経験する.そこで今回,座位時の重心動揺を,条件を規定して測定した結果,有用な知見が得られたので若干の考察を加えて報告する.【方法】対象は当院外来通院中の腰部疾患患者14名(男性5名,女性9名)で,平均年齢は63.2歳.病態の内訳は変形性腰椎症4名,腰椎圧迫骨折3名,椎間板ヘルニア4名,腰部脊柱管狭窄症3名である.対象群は腰痛の既往のない健常成人10名(男性6名、女性4名)とした.平均年齢は25.6歳.方法は重心動揺計を用いて総軌跡長,単位軌跡長,外周面積,単位面積軌跡長,矩形面積,実効値面積を測定した.計測条件として,昇降式治療ベッドに重心動揺計(アニマ社製グラビコーダGS-31)を置き,両足底が床面に接地した端座位(以下,足底接地),両足底が床面から浮いた端座位(以下,非接地)の2条件とした.計測肢位は,治療用昇降ベッドにて高さ調節を行い,両条件とも股・膝関節90°屈曲位,足底接地条件では足関節底背屈0°となるよう床面の高さを設定,両上肢は胸の前で組み,測定場所より5メートル離れた壁の一点を注視させた.計測は被検者が重心動揺計に座り,測定肢位を取った状態から20秒後に検者がスタートボタンを押し,安静座位の状態を60秒間計測した.なお,同群2条件間の解析はMann-Whitney検定,患者-健常者両群間の解析はWilcoxon検定を用いて検討した.【説明と同意】当院の倫理委員会にて本研究の目的を説明し,同意を得た上で実施した.また,それぞれの対象者に本研究の趣旨を十分に説明し,同意を得た上で実施した.【結果】非接地条件下では,外周面積,単位軌跡長,総軌跡長,矩形面積が患者群で有意に高値を示した(p<0.05).足接地条件下では,患者群において単位面積軌跡長で有意に低値を示した(p<0.05).患者群,健常者群の両群ともに,外周面積,単位面積軌跡長は足底接地条件下では有意に高値を示した(p<0.05).【考察】本結果より,患者群において足底非接地条件下では重心の動揺が顕著にみられたのに対し,足底接地においては重心の動揺が低値を示すことが分かった.通常,足底非接地の座位では,その制御に股関節より上位の体節が関与するとされている.この条件下では患者群において体幹での制御が不十分なことから,動揺が大きくなったものと考えられる.一方,足底接地においては,足部を接地したことによる支持面の増加,制御に関わる体節の増加,つまりは運動制御に関わる自由度が増加したことで,体幹での制御が軽減され,重心動揺が低値を示したものと考えられる.しかし,健常者群と比較して患者群の単位面積軌跡長が低値を示す結果となった.これは,患者群で足底が接地することで,固定化された座位姿勢が形成されたものと考えられる.足底非接地条件下では腰部疾患患者の既往に伴い,体幹の制御不良が露呈される結果になったが,腰部疾患患者においては足部接地の条件が加わるとで,足部を軸とした下肢の制御が大きく関与することが考えられる.これらより,腰部疾患患者に対して,体幹機能のみならず,下肢の影響も考慮して評価を行なっていく有用性が示唆された.【理学療法学研究としての意義】本研究より,過去研究数の少ない整形疾患の座位重心動揺に対する有用なデータが得られ,腰部疾患患者における評価の新たな視点となりうる結果となった.しかし,重心動揺計により得られた結果はあくまで二次元で示されたものであるため,床反力を考慮した研究を今後の課題としたい.
著者
及川 周
出版者
公益社団法人 日本雪氷学会
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.1-4, 1949

雪の多い地方の生活には, 他では見られない特殊な様式が衣食住の各方面に亘つてあらわれて居り, それば降雪期には勿論のこと, 雪の無い時期に於ても, 直接間接に多かれ少かれ雪と云うものに支配され影響をうけて居ることが多い。<BR>單に住まいの點から丈け見ても, 家の構造は雪につぶされない様にがつちりしたものになり, 雪の吹つ込みを防ぐ爲に窓口が少くなる。一面そのために家の中が暗くなるし, 換氣の具合も惡くなる。家の外側を藁や莚で雪圍することも他には見られないことである。住まい方の點から云つても, 雪國の冬はどうしても蟄居の生活になり勝ちだし, 雪下ろしと云う余分な特殊の勢働るある。炉と云うものも雪國に於ては特別の趣がある。<BR>ここには主として保温, 防濕乃至雪國の人の温感などと云う立場から, 雪圍や炉邊や就眠のことに就いで調べた成績を述べで見たいと思う。
著者
中川 昌彦
出版者
森林計画学会
雑誌
森林計画学会誌 (ISSN:09172017)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.33-35, 2018
被引用文献数
2

北海道の十勝平野は春耕期に風害を受けやすい地帯であり,カラマツを中心とした耕地防風林が発達した。春耕期におけるカラマツの耕地防風林の防風効果については,開葉前や開葉直後のため充分ではないという意見があり,赤間らは,「防風林の多面的機能と造成管理のための解説書」の中で,防風林の適樹種としてトドマツまたはアカエゾマツと思われる常緑針葉樹の写真を掲載し「春先の十勝風に効果を発揮する針葉樹(鹿追町)」と解説している。一方で,大島らや北海道立林業試験場は,冬季に耕地防風林の調査を行い,落葉期のカラマツ耕地防風林の周囲にもトドマツと同程度の雪丘がみられることから,落葉期のカラマツにも常緑樹であるトドマツと同程度の防風効果があるとしている。このような相反する見解がある中,最近になって中川は,十勝平野の郷土資料におけるカラマツ耕地防風林に対する防風効果の認識についての記述を収集し,十勝平野の農家や農業関係者は春耕期におけるカラマツの耕地防風林の防風効果を高く評価していたことを明らかにした。耕地防風林の土地所有者はそれぞれの農家であるが,その普及指導は北海道十勝支庁(現十勝総合振興局)林務課職員が担ってきた。このため,林務課職員が春耕期におけるカラマツの耕地防風林の防風効果についてどのように認識していたのかは,非常に興味のあるところである。そこで本調査では,1998年に北海道十勝支庁が発行したパンフレット「防風林を見直そう」)と,1994年度に十勝支庁林務課が北海道農林土木コンサルタント(株)に委託して実施した防風林実態調査の結果から,20年前の十勝支庁林務課職員の認識を明らかにした。
著者
Tomonari Hirano Yuka Matsuyama Anna Hanada Yoriko Hayashi Tomoko Abe Hisato Kunitake
出版者
Japan Mendel Society, International Society of Cytology
雑誌
CYTOLOGIA (ISSN:00114545)
巻号頁・発行日
vol.86, no.4, pp.311-315, 2021-12-25 (Released:2021-12-24)
参考文献数
23
被引用文献数
2

Heavy-ion beams have been applied as effective mutagens to various plant materials. Pollen has been used as material for mutant induction and genetic analysis. However, our knowledge of the DNA damage response of plant male gametes remains limited. In the present study, we irradiated Cyrtanthus mackenii pollen with an argon ion beam, which induced complex DNA damage, and investigated the DNA damage response of male gametes during pollen tube growth. Male gametes derived from the irradiated pollen grains were isolated from pollen tubes after 12 and 24 h of culture and subjected to cell cycle analysis. After 12 h of culture, the irradiated generative cells were frequently arrested at metaphase during pollen mitosis II (PMII), and the proportion of metaphase cells increased with increasing absorbed dose. These results suggest that the genomic lesions induced by the argon ion beam caused spindle assembly checkpoint (SAC)-dependent arrest. After 24 h of culture, the irradiated male gametes completed PMII, albeit forming sperm cells with abnormalities in chromosome separation, and chromosomal bridges were often formed between these cells. Moreover, phosphorylated H2AX foci, an indicator of DNA double-strand breaks, were detected in the irradiated male gametes after 24 h of culture, regardless of passing through the SAC. Taken together, these results indicate that male gametes activate functions to cope with radiation-induced complex DNA damage during pollen tube growth.
著者
Yoichi Sato Tomonari Hirano Yoriko Hayashi Nobuhisa Fukunishi Tomoko Abe Shigeyuki Kawano
出版者
Japan Mendel Society, International Society of Cytology
雑誌
CYTOLOGIA (ISSN:00114545)
巻号頁・発行日
vol.86, no.4, pp.291-295, 2021-12-25 (Released:2021-12-24)
参考文献数
29
被引用文献数
3

In Undaria pinnatifida, an effective method for mutant screening in sporophytes has not been established. The present study developed a novel mutant screening method for Undaria sporophyte by combining gametophyte mutagenesis with heavy-ion beam and land-based tank culture system. When we irradiated gametophytes and sporophytes with carbon- and argon-ion beams, survival rates of the female gametophytes and the sporophytes decreased with increasing dose. However, those of the male gametophyte did not decrease after both of the irradiations. Mutant screening during the sporophyte development was performed by using a land-based tank culture system. High-growth plants were selected in the first mutant (M1) population derived from the irradiated materials. We successfully obtained mutant candidates with higher growth than the wild type in the M2 generation obtained from brother-sister inbreeding of selected M1 plants. Four high-growth mutant candidate lines were selected from M2 populations of 48 lines. The mutant candidates were derived from 3 lines of the gametophyte irradiation and 1 line of the sporophyte irradiation, suggesting that the materials for the irradiation are applicable for mutant induction. The mutant screening method and the selected mutant candidates would advance the breeding and molecular biology in U. pinnatifida.
著者
千葉 晃
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2020, 2020

<p>2011年3月11日の東日本大震災当日・避難時に、どこで降雪があったのかを、動画投稿サイトYouTubeの動画と生徒の作文集を用いて特定した。本研究は、先行災害の復旧途中で別の災害が加わる複合災害を意識し、今後の減災への情報提供としたい。津波襲来時に最も激しく雪が降っていたのは、宮城県東松島市である。YouTube上に投稿されている「震災を忘れない」の番組配信動画からである。そのなかで宮城県多賀城市では河川への津波遡上時に、うっすらと積雪があることを確認した。宮城県石巻市では、日和山公園において住民の避難時に降雪がみられた動画が存在する。宮城県仙台市宮城野区南蒲生浄化センター、夢メッセみやぎでも降雪が確認できた。特筆すべきは仙台沖15海里の海上で大粒の雪が降っている動画もあった。前述の「つなみ」作文集でそれを補った。一例として宮城県気仙沼市立大谷(おおや)小学校3年生(当時)、同名取市にある宮城県農業高校1年生(当時)の証言から、これら行政域内で降雪があったことが証明された。以上のように大震災当日に降雪が確認できた範囲は、連続的ではないものの最も北は宮城県気仙沼市、南は同県岩沼市まで直線距離で約110kmにわたっていた。</p>
著者
堀川 修平
出版者
ジェンダー史学会
雑誌
ジェンダー史学 (ISSN:18804357)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.51-67, 2016

<p>本稿の目的は、日本のセクシュアル・マイノリティ〈運動〉における「学習会」活動の役割とその限界を明らかにすることである。IGA/ILGA日本を設立し、〈運動〉を牽引してきた南定四郎によって1984年から1994年まで断続的になされていた活動である「学習会」は、今日に続く〈運動〉の「出発点」であったと考えられるが、IGA/ILGA日本初期の活動ならびに南の〈運動〉理論に着目した研究は十分になされていない。よって、南が関わった〈運動〉の機関誌や〈運動〉に関わる論稿などの「記録」と、南への半構造化インタビューで得られた「記憶」を対象に分析する。</p><p>「記憶」と「記録」から見えてきたのは、南の当事者性が、青年期に読書などの「学び」を通して、「同性愛者である」というものから「被抑圧者である同性愛者」というものへと変化していき、それが〈運動〉理論に深く結びついていることであった。生きづらさを理由の一つとして上京した南は、鶴見俊輔、「声なき声の会」と出会い、〈運動〉観を築く。その後IGA/ILGA日本を設立した際に、「日常的なコミュニケーションの場をつくる」という〈運動〉の手法を取り入れて、学習会活動を始めたのである。</p><p>学習会は、参加者が「同性愛者である」ということに「自覚的」になれるような「学び」の場として構成され、「被抑圧者である同性愛者」としての当事者性を獲得することが目指された。しかし、南の〈運動〉は、参加者である若者のニーズや〈運動〉観に必ずしも一致せず、「分裂」という結果を導いている。ただし、「分裂」したものの、南の〈運動〉理論は、アカー(動くゲイとレズビアンの会)などの次世代団体にも伝播していった。次世代の〈運動〉の原動力となる人びとを育てることが出来た学習会によって、その後〈運動〉が次の時代を迎えることになったのである。本研究の意義は、十分な評価がされてこなかった〈運動〉初期の南の役割を再評価できた点に見出せる。</p>
著者
橘 智子
出版者
川崎医療福祉大学
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.49-56, 1993

「選ばれし女性たち」は, やや怪気的な幻想風の物語詩である.主人公の回想によって過去に五人の女性との不毛の恋愛を匂わせながら,実は唯一人の理想の女性を希求しての観念的な愛の遍歴である.つまり女性に対する自我理想の投影と追求であり, 永遠に満たされない結果的ドンファンの物語である.この小論では, 五人の女性の顔が融合して変容する六番目の「理想の女性」が現実のものではなく, 男性のidealizationによる幻影であるとして捉え, 五人が合体して初めて「究極の女性」になりうるとの比喩の観点からこの詩を論じる.
著者
嶋津 武
出版者
長野県短期大学
雑誌
長野県短期大学紀要 (ISSN:02861178)
巻号頁・発行日
no.50, pp.33-50, 1995-12

Parasite collection of Dr. Yoshimasa Ozaki has been deposited in the Meguro Parasitological Museum (MPM), Tokyo. Information on the platyhelminth parasites (turbellarians, monogeneans, and digeneans) reported in Dr. Ozaki's publications from 1923 to 1966 is assembled in a host-parasite list. The list includes: (1) for each parasite species, data adopted from corresponding publication(s), namely, the year(s) of publication(s), page number(s), figure number(s), table number(s), location(s), within the host(s), developmental stage(s), main field(s), of study, and locality(ies); (2) the holotype depository, if known; and (3) the MPM Collection Number(s) of the specimen(s) found in the collection. No note is given on taxonomy and nomenclature of host and parasite species. A bibliography, parasite-host index, and Japanese host name index are presented.
著者
谷川 力
出版者
日本家屋害虫学会
雑誌
家屋害虫 (ISSN:0912974X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.125-127, 2009-12-28
著者
嶋津 武
出版者
長野県短期大学
雑誌
長野県短期大学紀要 = Journal of Nagano Prefectural College (ISSN:02861178)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.33-50, 1995-12

Parasite collection of Dr. Yoshimasa Ozaki has been deposited in the Meguro Parasitological Museum (MPM), Tokyo. Information on the platyhelminth parasites (turbellarians, monogeneans, and digeneans) reported in Dr. Ozaki’s publications from 1923 to 1966 is assembled in a host-parasite list. The list includes: (1) for each parasite species, data adopted from corresponding publication(s), namely, the year(s) of publication(s), page number(s), figure number(s), table number(s), location(s), within the host(s), developmental stage(s), main field(s), of study, and locality(ies); (2) the holotype depository, if known; and (3) the MPM Collection Number(s) of the specimen(s) found in the collection. No note is given on taxonomy and nomenclature of host and parasite species. A bibliography, parasite-host index, and Japanese host name index are presented.