著者
土谷 敏治
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.111-135, 2013

本稿では,地方鉄道が第三セクター化される際の課題や問題点について,ひたちなか海浜鉄道を事例として検討した.具体的には,利用者に対して,乗降駅と乗車券の種類を特定した旅客流動調査を実施するとともに,属性,利用目的・利用頻度などの特色,同鉄道に対する評価について,利用者アンケート調査を実施した.また,市民の認識・評価については,市域全体を対象に市民アンケート調査を実施した.その結果,同鉄道は,勝田・那珂湊間の利用者が全利用者の半数程度を占め,とくに勝田乗降客の半数以上はJR線乗り継ぎ利用者で,その最大の目的地が水戸であることから,JR線をはじめとする地域の交通機関の連携が必要である.とくに,施設などハード面だけでなく,運行ダイヤや運賃制度などソフト面も含めた連携が重要であり,ヨーロッパにみられる運輸連合の導入が将来的な課題である.利用の中心は,沿線居住者や沿線に立地する高校への通学者で,それら利用者の利便性向上が重要であるが,土・休日を中心に相当数の観光客の利用がみられ,地方鉄道にとっては観光利用促進も経営上の課題である.市民の評価では,沿線と沿線以外で地域差はあるものの,財政的支援,今後の存続ともに市民の支持がえられていることが明らかになった.その背景には,広報紙や一般紙を通じた市民に対する行政の積極的な広報活動があり,その継続が求められる.このようなひたちなか市の事例は,公共交通機関の存廃問題を抱える多くの地域で参考になるだろう.
著者
重川 敬三 Keizo SHIGEKAWA
出版者
日本赤十字秋田短期大学紀要編集委員会
雑誌
日本赤十字秋田短期大学紀要 (ISSN:13430033)
巻号頁・発行日
no.8, pp.47-51, 2003

20~21歳の健常な女性5名を対象に、空気動圧センサーを用いて音楽鑑賞時の呼吸周期の変動を調べ、リラックス感との関係について調査した。1.受動音楽により呼吸周期の変動が明らかとなり、呼吸変動係数とリラックスの感じ方では受動曲の違いにより変化が示された。2.呼吸変動係数とリラックスの感じ方は、個別性に影響されていることが示され、リラクゼーションを目的とした受動音楽では、個々のバックグラウンドや生活体験を考慮する必要性が示唆された。3.空気動圧センサーを用いることによって呼吸周期の変動を捉えることが可能となり、呼吸動態を基に音楽による生体反応について、今後、さらに解明されることが期待される。
著者
石川 宏之 高見沢 実 小林 重敬
出版者
日本都市計画学会
雑誌
都市計画. 別冊, 都市計画論文集 = City planning review. Special issue, Papers on city planning (ISSN:09131280)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.883-888, 2007-10-25
参考文献数
8
被引用文献数
4

本研究は、先進事例である英国において地域振興のためにミュージアム活動を通して地域遺産を活かす管理運営の仕組みと経営方法を明らかにすることを目的とする。事例研究としてアイアンブリッジ渓谷ミュージアムとテルフォード開発公社、民間非営利組織との関係について議論する。調査はアイアンブリッジ渓谷ミュージアム・トラスト職員と地方公共団体職員に対して聴取りを行った。結論として1)ミュージアムにより引き出された地域遺産の価値付けが、地元住民のアイデンティティや新たな共有意識を高める働きを持っている。2)ミュージアムは、地域社会の課題に寄与する新しいコミュニティや地方公共団体との協働関係を創り出す仕組みである。3)ミュージアムが地域社会への貢献と事業とのバランスを保つためには、一つの財源に依存しないことで安定した経営を可能にすることがわかった。以上のことから日本の地方都市においてミュージアム活動によるエリアマネジメントを展開するためにはNPOを中心とした民間組織を設立し、市民団体が活動に参加できる仕組みや、経営面で企業からの寄付金を得られる制度を設けることが必要である。
著者
大森 美佐
出版者
家族問題研究学会
雑誌
家族研究年報 (ISSN:02897415)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.109-127, 2014

    日本では、晩婚・未婚化現象、それと連動して起こる少子化の傾向を問題視してか、人々に恋愛や結婚を意識させるような話題がメディアを媒介に世間を賑わせている。しかし、依然として結婚前の「恋愛」を中心的に扱った調査研究は少ない。本稿では、1983年から1993年生まれ、現在20歳代の未婚男女で異性愛者24名を対象にフォーカス・グループディスカッションと半構造化インタビュー調査を行い、若者たちが「恋愛」をどのように語るのかというレトリックに注目し、その論理構造をジェンダー視点から考察した。考察の結果、「付き合う」という契約関係は性関係を持つことの承認を意味するが、「付き合う」ことが必ずしも「恋愛」と同義ではないということがわかった。特に女性からは、結婚に結びつく恋愛を「恋愛」であるとする語りがみられ、ロマンティック・ラブを忠実に体現しようとすればするほど、「恋愛」から遠ざかるということが示唆された。

1 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1908年04月28日, 1908-04-28
著者
佐藤 英人 荒井 良雄
出版者
The Human Geographical Society of Japan
雑誌
人文地理 (ISSN:00187216)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.367-382, 2003-08-28 (Released:2009-04-28)
参考文献数
58
被引用文献数
2 3

In this paper, we try to focus the relationship between progress in information and communication technologies (ICTs) and the suburbanization of the office location.Information-related functions are located not only in the central business district (CBD) but also in the suburbs in Tokyo metropolitan area. Particularly conspicuous suburban locations are Yokohama area, Makuhari area and Tachikawa area, all of which are situated within some 30km from of the CBD.The Makuhari Shintoshin (new city) project has been successively promoted since 1989. To date, this new city is increasingly attracting information-related functions from the CBD, forming a new suburban office core. In terms of capital scale and business contents, these firms can be classified into the following three types. 1. Internet-related firms, 2. Back offices, 3. R&D sections of major firms.Taking into consideration factors of the suburbanization of internet-related firms and back offices, the push factor for internet-related firms have been a sharp rise in office overheads in the CBD, and the push factor for back offices an increase in the number of employees due to intensive investment by major firms in the information industry in the 1990s; the suburbanization has thus made headway in order to secure office space. The pull factor appears to be the same for both internet-related firms and for back offices; namely, an abundant supply of high-quality information infrastructure, specifically intelligent buildings in Makuhari Shintoshin, which has served as a significant pull.In cases where major firms have constructed their own buildings and established the R&D sector, in particular, it is necessary to introduce changes in the corporate organization, which is distinctly different from the situation where single business establishments are relocated. Firms have constructed in Makuhari Shintoshi, with existing offices using a large-volume broad-band communications network, smooth in-house electronic data exchange has become possible leading to the development of an environment in which telecommunications can be actively introduced. For this reason, it is assumed that the "R&D sector", the sector that necessitates relatively little direct contact with clients, has been relocated from the CBD to the suburbs.This paper considered that the relationship between new ICTs and the suburbanization of office location on the basis of practical case study. It is generally understood that new ICT represents one of the factors behind the suburbanization of office location. This conclusion is consistent with previous case studies in Europe and the United States.Future studies will focus on comparing with another suburban core cities, because we continue to discuss that the standardization of relationship between progress in ICTs and the suburbanization of the office location.
著者
東原 亜希子
出版者
埼玉県立大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2017-08-25

妊娠後期の妊婦および非妊婦女性を対象に、無煙棒灸実施前後にサーモグラフィーと血流計を用い下肢の温度変化を測定し、循環動態を客観的データとして収集し分析した。結果、灸を実施した経穴である至陰と大腿部の体温、血流が増加する傾向にあること、灸実施後の体温の経時的変化はおよそ20分までは上昇傾向であることが示された。実行可能性として実装においては、脱落者はおらずデータ全て解析可能であった。実用性において有害事象はなかった。受容性に関しては、「研究に参加してよかったか」の質問に対し、全員が参加してよかったと回答した。無煙棒灸による熱刺激量測定の実験プロトコールの実行可能性は確保された。
著者
秋元 圭人 森 直樹 松本 啓之亮
出版者
一般社団法人 システム制御情報学会
雑誌
システム制御情報学会 研究発表講演会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.8, pp.60, 2008

近年,U-Mart と呼ばれる人工市場研究のプロジェクトが注目されている.U-Mart プロジェクトでは 計算機上での実験環境として U-Mart システムを提供しており,多くの公開実験や教育イベントを実施してきた.本研究では,現実のデイトレードに着目し,ヒューマンエージェントを対象とした GUI の拡充及び現実的な挙動を示す市場を再現する板再現エージェントの構築方法について提案する.実市場データを用いた数値実験により提案手法の有効性を示す.
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1392, pp.96-99, 2007-05-21

5月7日昼過ぎ、東京・五反田にある映像編集スタジオ。ひんやりと冷房の利いた薄暗い編集室から、トレードマークのカウボーイハットを目深にかぶった男が現れた。 中野裕之氏、49歳。映画やコマーシャル、歌手の今井美樹や布袋寅泰、DREAMS COME TRUEなどの音楽ビデオまで幅広い作品を手がける映像作家である。
著者
鈴木 光
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.55, no.8, pp.767-769, 2019 (Released:2019-08-01)
参考文献数
16

アスリートとして自分自身のパフォーマンス向上や身体ケアを行なってきた経験を基に。薬剤師がアスリートに対しどの様な支援できるかを考察した。食事管理とサプリメント、ウエイトトレーニングとサプリメント、安全な減量法とサプリメント、運動・休息と疲労回復サプリメントについて述べ、薬剤師の基本的知識をもってアスリートに支援できることは体づくりと健康維持についてであることを示した。
著者
臼井 敬太郎
巻号頁・発行日
2019-03-31

筆者は,前橋中心商店街協同組合の依頼を受け,地域\n活性化研究事業「中心市街地におけるアートプロジェク\nトによる空き家,空き店舗の利活用研究」として,街な\nかでデッドスペースとなった空き店舗について展示会場\nとして活用する展覧会(「つまずく石の縁 ? 地域に生ま\nれるアートの現場 ? 」 主催:アートによる文化交流推\n進実行委員会,前橋中心商店街協同組合,共催:アーツ\n前橋,2018 年10 月?11 月の土休日計12 日間開催)の\n企画に協力した.街なかを舞台にした展覧会の計画には\n次のような問題意識がある.前橋市の中心市街地におけ\nる通行量は1994 年をピークに減少の一途を辿っている.\n複数の県立高校の郊外への移転や郊外への大型商業施設\nの進出にその要因が求められるが,中心商店街店主の高\n齢化や後継者不足などを背景に,廃業や一時休業に陥る\n店舗が徐々に発生してきている現実もある.前橋中心商\n店街協同組合はアーツ前橋と協同でアートプロジェクト\nとして空き店舗を作品の展示空間として活用し,街なか\nの交流拠点を増やし,にぎわい創出に向けた可能性を見\n出そうとしていた.\nそこで,これまでに筆者が研究室主体となって前橋市\n中心市街地で行ってきた建築見学会や街歩きの経験を生\nかし,中心市街地の魅力を引き出すための周知活動を中\n心とした展覧会の企画に協力した.具体的には,中心市\n街地のリサーチを通して,空き店舗を活用した展示計画\nと運営に協力し,鑑賞者の回遊性をより高めるため街歩\nきを促すマップやサイン制作など展覧会周知ツール(グ\nラフィックデザインは寺澤由樹氏が担当)の提案を行っ\nた.会期中には,筆者が講師を務める街歩きツアーを開\n催するなど,展覧会を切り口にした人々のコミュニケー\nションのきっかけを作ることで地域活性化の端緒を作る\nことを目指した.ちなみに展覧会タイトル「つまずく石\nの縁」は,ことわざ「躓く石も縁の端 = 道でつまずい\nた石さえも,その人といくらかの因縁があるということ.\nどんなにつまらないことや関係でも大事にしなければな\nらないというたとえ」から命名されたもので,展覧会を\n通した小さな気づきから人や街,地域再発見の期待が込\nめられている.
著者
佐藤 暢彦
出版者
文林堂
雑誌
航空ファン (ISSN:04506650)
巻号頁・発行日
vol.68, no.7, pp.86-95, 2019-07
著者
竹内 知哉
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.157-164, 2018

<p>本研究解説では,非平滑凸最適化問題に対する proximal method of multiplier の基礎理論を考察する.この方法は,近接項およびFortin により導入された拡張ラグランジュ関数の和を目的関数とする部分問題の族を解くことで,最 適化問題の解に収束する近似列を生成する.生成した近似解の列が,( 通常の意味での) ラグランジュ関数の鞍点に収束することを示す.続いて部分問題に対する非平滑ニュートン法について考察する.Nonsmooth analysis の理論を用いて,ニュートン法が解の一つに大域的に収束することを示す.</p>
著者
伊藤 玲子
出版者
日本大学医学会
雑誌
日大医学雑誌 (ISSN:00290424)
巻号頁・発行日
vol.80, no.1, pp.21-25, 2021-02-01 (Released:2021-04-22)
参考文献数
16

It is expected that knowledge on the relationship between respiration and sports is beneficial for promoting both physical and mental health. With that knowledge, we can learn to exercise effectively every day. We supply oxygen to tissues by breathing. During exercise, respiration and circulation work closely together to carry oxygen to the mitochondria in muscles to generate energy. Exercise increases oxygen demand and carbon dioxide emissions. We increase the minute ventilation volume (MVV), thereby increasing V̇ O2 (oxygen consumption) as the exercise intensity increases. Endurance athletes exhibit higher levels of these parameters. MVV (maximum voluntary ventilation), which is a parameter used for evaluating the strength and endurance of inspiratory and expiratory muscles, improves after strength training. Strength training is thought to be effective in increasing the strength of the respiratory muscles. The combination of endurance training and strength training can improve lung function. Not only strengthening the respiratory muscles but also increasing the elastic contraction force of the lungs by training can improve respiratory ability. There are diseases in which sports affect lung function. Attention should be paid to exercise-induced asthma, vocal cord dysfunction, and COPD (chronic obstructive disease).
著者
酒井 洋 鈴木 文直 小林 国彦 後藤 功
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.15, no.7, pp.671-676, 1993
被引用文献数
2

症例は, 結核性瘢痕性左主気管支狭窄と思われる62歳の女性。労作時呼吸困難で発症し, 左無気肺が進行したため, バルーン拡張術にて狭窄部を拡張し, 直径10mm, 全長30mm, 2連のGianturco-Rosch型self-expandable metallic stentを留置した。無気肺は直ちに改善し, 6カ月後の現在経過は良好であり, 本法の有用性を示した。本法の良性気管・気管支狭窄に対する適応としては, 0.035インチのガイドワイヤーと先端径3mmの拡張用バルーンカテーテルが狭窄部を通過でき, 局所に活動性の感染が無い例であると思われた。また, metallic stent挿入時には, 挿入用シースが咽喉頭部で屈曲することがあり, 最初から挿管チューブを併用すべきであると思われた。
出版者
日本重症心身障害学会
雑誌
日本重症心身障害学会誌 (ISSN:13431439)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, 2017

出演 阿部未音 高橋幸太郎 牧野刻世 大友志空 赤間 愛 郷内星菜 髙橋桃子 協力 ファッション文化専門学校DOREME、陽光福祉会エコー療育園 重症心身障がいの方々は病気や障がいのために生きづらさを抱えていますが、日々携わる私たちはその幸せをいつも願っています。そして、その笑顔が実は私たちの幸せでもあることに気づきます。お互いに支え支えられる関係から、うまれてきてよかったと思える社会を作りたいですね。 障がいの重い方々も私たちと同じようにファッションを楽しみたいと思っています。しかし、身体の不自由さから衣服の着脱が簡単でないことや、デザインよりも機能的である(例えばおむつ替えが楽にできる)など介助する側の利便性が優先され選択肢も少ないと思います。また、成長して大人になっても、その体格に合う市販の服はこども用のものしかなく、年齢相当の色彩やデザインを選ぶことができません。そこで、7人の方にモデルさんになってもらい、着てみたいファッション(スーツ、ドレス、着物など)をファッション文化専門学校DOREMEの学生さんや先生と一緒になって考え作りました。輝く笑顔に会いに来てくださいね。(モデルの氏名の掲載はご本人・保護者の了解を得ています) 阿部未音さん 小さな頃から小鳥のさえずりや枝葉の揺れる音、そして動物とのふれあいが大好きな女の子でした。小中学校では、ジャニーズやおしゃれにも興味を持ち、特に創作活動では独特な色彩感覚やセンスで周りの大人たちを驚かせていました。女の子はだれでもおしゃれが大好き、お年頃ならなおさらです。今日は「究極の普段着」をテーマにしたファッションを披露しますね。 高橋幸太郎さん 光明支援学校高等部3年訪問生です。脳性麻痺で気管切開胃瘻で寝たきりですが、イベントには全力で参加して楽しむ、恋をして音楽聞いてゲーセンに行って学校で居眠りするという、17歳の男子高校生として青春の日々を過ごしています。男子高校生といえば制服とジャージがあればいい!でも社会人になるにはスーツも必要だし、というわけで三つ揃えのスーツをお願いしました。手作りの靴にもご注目ください。 牧野刻世さん 新生児仮死で産まれ、NICUで重い障がいが残ることを告知されたあの日から6年。生後7日目に初めて抱っこできた時の温もりと感動を今でも鮮明に覚えています。トキセのために、お洋服をデザインから作ってもらうなんて、初めてのこと!とっても嬉しいし、それを着た姿をみんなに見てもらえるなんて、ドキドキワクワク。しいあちゃんとペアの袴姿をお楽しみくださいね。 大友志空さん 通園とデイに行き、楽しいお友達、優しい先生に囲まれ毎日楽しく過ごしています。昨年までは入退院をたくさん繰り返し、辛いことも苦しいことも乗り越え、お家では一番の頑張り屋さんです!チャームポイントはくるんとした長〜いまつげ。重い障がいがあってもこんなに素敵な服を着られるなんて幸せ♡ ふわふわ素敵な袴でとびきり可愛くなったしいあを温かく見守ってください。 赤間 愛さん 23歳には喉頭気管分離手術を受けてかわいい声を失いましたが、今は口からもりもり食べてこんなに元気です。手術をしてくれた先生が「前の笑顔に戻してあげるね」っていってくれた言葉が忘れられません。小さい頃からファッションショーに出演するのが夢でした。DOREMEの先生、学生さん、ショーの演出をしてくれたスタッフのみなさんありがとう。 郷内星菜さん 私は仮死状態で産まれ、よく尻もちをついていましたが段々筋肉がついて上手に歩けるようになりました。中学生の今では、自分の名前を漢字で真似をしてかけるようになりました。私の夢は看護師になる事、人の役に立てるよう私は夢に向かってがんばります。ファッションショーに出てみない?と言われてずっとこの日を心待ちにしていました。今日はピンクのウェディングドレスをご覧くださいね。 髙橋桃子さん おしゃれ番長。20歳のお誕生日を迎えてお酒を解禁、当面の目標は国分町に行く事です。人生と梅酒はやっぱり'ロック'じゃないと!今回の着物の製作は言葉でのコミュニケーションが難しい私にとって、自分の想いをどう伝えていけるかチャレンジでもありました。学生の皆さんの愛情が細部にまでたくさん詰まった'世界に1つだけ'の着物です。ありがとう!
著者
秋月 百合 藤村 一美
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.30-39, 2007
被引用文献数
9

<B>目 的</B><br> 本研究の目的は,わが国における病院勤務助産師のバーンアウトの実態を明らかにすることである。<br><B>対象と方法</B><br> 全国の産科診療を行う72病院に勤務する839人を対象に,自記式質問紙を用いた量的横断的調査を実施した。バーンアウトの測定にはMaslach Burnout Inventry(MBI)尺度を用いた。MBI下位尺度と基本的属性,助産師特性,勤務特性,勤務施設特性,職務満足,仕事継続意向,勤務病棟での働きやすさの認識との関連をみるために,一元配置分散分析,t検定ならびに相関分析を行った。<br><B>結 果</B><br> 回収率は87.2%,有効回答数はn=708であった。対象者の平均年齢は35.2歳であった。各下位尺度の平均得点は,「情緒的消耗感」15.67±4.50,「脱人格化」11.89±4.32,「個人的達成感の後退」20.61±4.30であった。婚姻歴,助産・産科看護経験年数,1日勤務時間,月残業時間ならびに有休消化等と情緒的消耗感ならびに脱人格化との間に有意な関連が見られた。職位ならびに勤務形態と個人的達成感の後退との間に有意な関連が見られた。職務満足と個人的達成感の後退の間に,仕事継続意向と情緒的消耗感ならびに個人的達成感の後退との間に負の相関関係があることが明らかになった。<br><B>結 論</B><br> わが国における病院勤務助産師のバーンアウトは,看護師を対象とした先行研究と比較して情緒的消耗感,脱人格化は同様もしくは低い傾向に,個人的達成感の後退においては低い傾向にある可能性が示唆された。因果関係は明確ではないが,仕事満足ならびに仕事継続意向とバーンアウトとの間に関連があることが示唆された。今後,各医療機関において事業場内産業保健スタッフ等による病院勤務助産師へのサポート体制を整備すること,助産師の配置を拡大すること,新人助産師への卒後教育を充実させることの重要性が示唆された。