著者
掛川 直之
出版者
包摂型社会研究会
雑誌
関西都市学研究 (ISSN:24327239)
巻号頁・発行日
no.2, pp.66, 2018-03-20

1 出所者支援ネットワーク(@東海)の設立 : 刑罰を科されるようなことをした〈悪い奴〉に、支援など必要なのか。「犯罪者と一緒にするな」。刑罰の執行を終えてもなお「刑余者」と差別的なまなざしを注がれることの多い「出所者」といわれる人びと。しかしながら、かれらが罪に問われた原因を探っていくと、その背景には、深刻な貧困や社会的な排除が大きな要因として横たわっている驚くほどに多くの事例に直面する。現に、生活困窮者支援の現場では、福祉的な支援があれば、罪を犯さなくてもすんだ人たちの存在が多く確認されている。にもかかわらず、出所者の支援にとりくむソーシャルワーカーの数はごく少数の一部に限定されており、孤軍奮闘せざるを得ない実情がある。そこで、私たちは、ささしまサポートセンター事務局次長の橋本恵一さんたちと一緒に、一昨年度から少しずつ準備をはじめ、昨年度から本格的に「出所者支援ネットワーク(@東海)」というとりくみをはじめた。
出版者
関西大学法学研究所
雑誌
ノモス = Nomos (ISSN:09172599)
巻号頁・発行日
vol.48, 2021-06-30
著者
飯田 貴次 坂井 貴光 高野 倫一
出版者
日本魚病学会
雑誌
魚病研究 (ISSN:0388788X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.87-91, 2016 (Released:2016-10-07)
参考文献数
14
被引用文献数
4 12

Edwardsiellosis in fish caused by Edwardiella tarda and E. ictaluri is reviewed. Genus Edwardsiella belongs to the Enterobacteriaceae family, and E. tarda produces both hydrogen sulfide and indole, whereas E. ictaluri does neither. E. tarda was first isolated from diseased eel in Japan, and infects freshwater fish as well as marine fish. E. ictaluri has been detected in only freshwater fish after described as a new species from diseased channel catfish in the United States. The two pathogens survive in phagocytic cells, and hosts affected with edwardsiellosis die from septicemia. There were no reports about E. ictaluri infection in Japan before E. ictaluri was isolated from diseased wild ayu in 2007. Recently, the vaccine against edwardsiellosis of Japanese flounder was officially approved in Japan.
著者
今野 佳絵 茆原 弘光 松本 桃代 小笠原 加代子 永井 泰 福岡 秀興 渡邊 浩子 吉池 信男
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 = Maternal health (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.286-293, 2011-07-01
参考文献数
12

【目的】非妊娠時BMI別の推奨体重増加量と新生児の体格との関連,簡易型自記式食事歴法質問票(BDHQ)を用いた栄養素等摂取状況との関連について,妊娠各期を経時的に検討した。【研究方法】対象は基礎疾患のない197名の妊婦。妊娠12,20,32週にBDHQを実施,妊婦健診時に体重測定,分娩後に出生時体重,胎盤重量を測定した。対象者は非妊娠時BMI別にやせ,普通,肥満群の3群に分けた。さらに各群は妊娠推奨体重増加量別に過少,適切,過多群のサブグループに分け,サブグループ間での評価項目の差異を比較検討した。【結果】やせ群において,体重増加量が過少な群は適切または過多に増加した群と比較して,新生児の身長,胎盤重量が小さく,妊娠12週においては栄養素摂取量のn-3系脂肪酸,ナトリウム,亜鉛が少なかった(P<0.05)。【考察】非妊娠時にやせの妊婦が体重増加不良であると,新生児体格が小さくなること,有意に摂取量の少ない栄養素があることが明らかになった。今後は非妊娠時「やせ」の母体や体重増加量不良の妊婦も含めて管理していく必要性が示唆された。
著者
阿部 司
出版者
応用生態工学会
雑誌
応用生態工学 (ISSN:13443755)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.243-248, 2012
被引用文献数
2

Japanese kissing loach <i>Parabotia curta</i> (Cypriniformes, Botiidae) is one of the most endangered freshwater fishes in Japan. This species inhabits in a narrow region of western Honshu Island. The loach inhabits rivers and irrigation channels with gravel substrates hiding in crevices or holes, and spawns for a few days in the early rainy season at temporarily submerged, flooded grounds, which were originally very common lowland environments in monsoon Asia. However, recent artificial environmental changes, especially river improvements and farm land consolidation, have destroyed such environments and resulted in many local population extinction. Volunteers and Japanese/local governments are performing restoration and maintenance of artificial floodplains for the spawning as well as surveillance of poaching, but this loach is still critically endangered with some serious problems. In the agricultural area which has many restrictions, conservation techniques cannot be fully put to practical use. Although the technique of the ecology and civil engineering is effective for the restoration of floodplain environment and improvement of habitat, the sociological approach is crucial to utilize the technique in the local community.
著者
樋口 匡貴 荒井 弘和 伊藤 拓 中村 菜々子 甲斐 裕子
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.68, no.9, pp.597-607, 2021-09-15 (Released:2021-09-07)
参考文献数
21

目的 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は2020年前半に世界規模に広がった。日本においても同年4月7日に緊急事態宣言が発出され,国民生活に大きな影響を与えた。本研究では,COVID-19の感染予防および感染拡大予防行動として個人が行う外出・対人接触の回避行動および手洗い行動を取り上げ,東京都在住者を対象に緊急事態宣言中のこれらの行動の関連要因について検討した。方法 2020年4月26~29日に,東京都在住の20~69歳の男女を対象としたインターネット調査を行った。検討の枠組みとして,リスク低減行動を説明する防護動機理論と,他者による行動が自身の行動実施へ与える影響を説明する規範焦点理論を組み合わせて用いた。最近1週間での外出・対人接触の回避行動および手洗い行動の頻度,COVID-19へのリスク認知に加え,各行動の評価として,どの程度効果があるのか(反応効果性認知),どの程度実行できるのか(実行可能性認知),必要なコスト(反応コスト),どの程度すべきかの認識(命令的規範),他者がどの程度実行しているかの認識(記述的規範)について測定した。各行動を目的変数とする階層的回帰分析を行った。結果 分析対象は1,034人(男性520人,女性514人,平均年齢44.82歳,標準偏差14.00歳)であった。外出・対人接触回避行動については,命令的規範が高いほど行動をとる傾向にある(標準化偏回帰係数(β)=0.343, P<0.001)一方で,記述的規範が高いほど行動をとらない傾向にある(β=−0.074, P=0.010)ことが示された。さらにリスク認知・反応効果性認知・実行可能性認知の交互作用が有意であり(β=0.129, P<0.001),反応効果性認知および実行可能性認知のいずれかが低い場合にのみリスク認知と外出・対人接触回避行動に正の関連が見られた。また手洗い行動については,命令的規範(β=0.256, P<0.001)および実行可能性認知(β=0.132, P<0.001)が高いほど行動をとる傾向にあり,一方で反応コスト(β=−0.193, P<0.001)が高いほど行動をとらない傾向にあることが示された。結論 防護動機理論および規範焦点理論の変数がCOVID-19の予防行動と関連していた。予防行動の関連要因を検討する上で,これらの理論の適用が有用であることが示唆された。
著者
加藤 浩樹 池田 奈由 杉山 雄大 野村 真利香 由田 克士 西 信雄
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.68, no.9, pp.631-643, 2021-09-15 (Released:2021-09-07)
参考文献数
82

目的 日本では高齢化の進展とともに,循環器疾患に関連する医療と介護に要する社会保障費への国民負担がより一層増大すると予想されている。栄養政策は,国民の食生活改善を通じて循環器疾患を予防する効果が期待される。しかしその費用対効果の評価は,日本ではこれまでに行われていない。本研究は,減塩政策による循環器疾患予防に関する海外の医療経済的評価研究を概括し,日本の栄養政策の公衆衛生学的効果と社会保障費抑制効果の評価手法を構築するための基礎資料とすることを目的とした。方法 循環器疾患予防介入の医療経済的評価に関する代表的なシミュレーションモデルとして,循環器疾患政策モデル(Cardiovascular Disease Policy Model),IMPACTモデル(IMPACT Coronary Heart Disease Policy and Prevention Model),米国IMPACT食料政策モデル(US IMPACT Food Policy Model),ACEアプローチ(Assessing Cost-Effectiveness approach to priority-setting)およびPRISM(Prevention Impacts Simulation Model)を抽出した。各モデルを応用してポピュレーションアプローチによる国レベルでの減塩政策の費用と効果を評価した海外の原著論文を収集し,モデルの概要,構造および応用研究を概括した。結果 5つのモデルの構造としてマルコフ・コホートシミュレーション,マイクロシミュレーション,比例多相生命表,システム・ダイナミクスに基づき,減塩政策による食塩摂取量と血圧の低下を通じて循環器疾患の予防に至る過程がモデルに組み込まれていた。これらのモデルを応用した豪州,英国および米国の研究では,食品業界による義務または任意の市販加工食品中の食塩含有量の低減を中心に,健康増進キャンペーン,容器包装前面の食塩量表示等の減塩政策の費用と効果について,10~30年または生涯にわたる長期のシミュレーションによる評価が行われていた。考察 海外では国の減塩政策による循環器疾患予防の費用と効果について,シミュレーションモデルに基づく医療経済的評価から得た科学的根拠を発信している。日本も減塩政策を中心にシミュレーションモデルを活用し,栄養政策の立案・評価に役立てることが期待される。
著者
林 芙美 武見 ゆかり 赤岩 友紀 石川 ひろの 福田 吉治
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.68, no.9, pp.618-630, 2021-09-15 (Released:2021-09-07)
参考文献数
42

目的 本研究の目的は,食生活関心度を評価する尺度の作成および信頼性・妥当性の検討と,新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大の影響下において人々の食生活を左右し得る心理的な側面の変化とその関連要因を明らかにすることである。方法 2020年7月1~3日,調査会社を通じてインターネット調査を実施した。調査対象者は,同年4~5月の緊急事態宣言期間中に特定警戒都道府県に指定された13都道府県に在住し,調査時に普段の食料品の購入頻度または調理頻度が週2日以上の20~69歳の男女約2,000人とした。最終的に2,299人を解析対象者とした。食生活関心度は12項目にて把握し,信頼性の検討では内的整合性としてクロンバックα係数を確認し,妥当性の検討では構成概念妥当性と基準関連妥当性を確認した。基準関連妥当性の検討には行動変容ステージを用い,Kruskal-Wallis検定を用いて得点を比較した。COVID-19の影響を受ける前と調査時を比べた食生活関心度の変化は,12項目について「変化なし」0点,「改善」+1点,「悪化」−1点で合計得点を算出し,「変化なし」「改善傾向」「悪化傾向」の3群間で属性および社会経済的状況をχ2検定および残差分析を用いて比較した。結果 探索的因子分析,確証的因子分析を行った結果,2因子から成るモデルで適合度が良いことが示された(モデル適合度指標:GFI=0.958,AGFI=0.938,CFI=0.931,RMSEA=0.066)。クロンバックα係数は,第1因子(食生活の重要度)0.838,第2因子(食生活の優先度)0.734であり,尺度全体でも0.828で信頼性が確認された。また,基準関連妥当性の検討では,行動変容ステージが高いほど尺度の合計得点は高く有意差が認められた(P<0.001)。食生活関心度の変化は,重要度に比べ優先度が悪化した者が多かった。食生活の重要度・優先度ともに,性別,年齢層,婚姻状況,就業形態,過去1年間の世帯収入,コロナの影響による世帯収入の変化に有意差がみられ,男性,20~29歳,未婚,正社員,過去1年間の世帯収入400~600万円未満で「悪化傾向」が有意に多かった。結論 COVID-19影響下では,食生活の重要度に比べ優先度が悪化した者が多く,男性や若年層,未婚者などは食生活関心度が悪化する者が多かった。
著者
金子 格 白井 克彦 阪本 秀樹
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.43, no.9, pp.981-987, 2002-09-15
参考文献数
14
被引用文献数
1

本稿ではMPEG-21国際標準化プロジェクトの現状を報告する.同標準は各国のコンテンツサービス技術全般に関係する企業,研究機関が参加し,メディア・地域横断型のマルチメディア・フレームワークの実現を目指している.現在パート7までの標準化が計画され,パート6までの委員会原案が完成している.