著者
佐藤 忠信 山崎 文雄 睦好 宏史 東畑 郁生
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1995, no.507, pp.291-303, 1995

1993年8月8日にマグニチュード8.1の地震に襲われたグアム島の現地震害調査を行った. また断層の破壊過程から地盤加速度を予測した. グアム島の地盤は全般的に良好で, 液状化や崖崩れの発生は一部地域に限定され, 道路や橋梁の被害も軽微であった. しかし, 一部の鉄筋コンクリート建物や発電所が被害を受けた. このため島内の電力供給は2,3日間停止し, 上水道も揚水できなくなった. グアム島は頻繁に台風に襲われるため, 家屋の構造, ライフラインのバックアップ, 緊急対応などの面で備えがよく, 地震による影響を小さくした.
著者
太田 絵梨子
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.204-220, 2021-06-30 (Released:2021-07-21)
参考文献数
26
被引用文献数
5

高校数学では,基礎的な概念の理解や数学的表現力の育成が重視されており,テストなどの学習評価でもそうした観点での診断が求められている。一方,概念的理解やその表現を問うテストとは具体的にどのようなものであり,そうしたテストの実施が教育現場の課題の解決にどのように資するかについては十分検討されていない。そこで本研究では,研究者が心理学的な視点を生かして行なった学習評価に関する提案を高校数学の実践場面で検討した。具体的には,(1)高校数学における概念的理解を評価するテストの考案,(2)テストを受験した高校生のつまずきの分析,(3)高校生による概念的理解の実態に対する教師の認識の検討,の3点を行なった。分析の結果,基礎的な概念の理解や数学的表現に課題が見られ,教師が生徒の理解の実態を必ずしも把握できているとは言えないことが明らかになった。また,結果を教師にフィードバックした際のグループディスカッションの様子から,教師が学習者の理解状況に対する認識を修正し,日常的な評価や授業でも概念的理解を問う必要性を感じていたことが示された。最後に,数学における学習評価の研究及び教育実践に対する示唆と展望について論じた。
著者
上中 登紀子 花﨑 憲子
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.161-165, 2012-12-30 (Released:2013-02-02)
参考文献数
7

A survey about the preference, intake situation and consciousness of beans was conducted on female students. Regarding the taste of beans, the number of persons who especially or somewhat like beans was almost the same while the number of persons who dislike beans was less than 10% overall. The highest ingestion frequency of beans was about once a week while a 2-3 times ingestion per week followed. More kinds of beans were eaten by persons who like beans. The well-known beans were soybean, peanut, azuki bean, broad bean, pea and kidney bean. Whereas the ingestion frequency of soybean and azuki bean was higher, that of broad bean and kidney bean was lower. Bean dishes and bean products, which are often eaten occurred in the order of simmered dish, natto and Japanese sweets. The simmered dish of beans was the best one, often handmade at home, and the commercial product was purchased at a high rate. It is assumed that the person who likes beans cooks beans dishes at home more frequently and the preference of beans is influenced by the comprehension of bean dishes at home. Although almost all persons recognized that beans include much protein, the number of person who recognized that dietary fiber was rich in beans was less than half.
著者
田村 哲樹
出版者
日本政治学会
雑誌
年報政治学 (ISSN:05494192)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.2_289-2_311, 2019 (Released:2020-12-21)
参考文献数
43

現代民主主義理論には、様々な理論潮流が存在する。しかし、そうした様々な試みも、「自由民主主義」 を前提とし、その深化ないし徹底化を目指すという点では共通しているのではないだろうか。このような疑問に対して、本稿は、現代民主主義理論と自由民主主義との関係を再検討し、両者の関係が 「自由民主主義の深化・徹底化」 にとどまるものではないことを明らかにしようとする。その際、本稿は、自由民主主義における 「自由(リベラル)」 の多義性に注目する。すなわち、本稿は自由民主主義の 「自由 (リベラル)」 には少なくとも、資本主義、競争的な政党システム、公私二元論、そして立憲主義の4つの意味があり、かつ、それぞれの意味での 「自由 (リベラル)」 を乗り越えようとする現代民主主義理論が存在することを明らかにする。
著者
"わが国における実験動物の生産・調査・研究"班
出版者
Japanese Association for Laboratory Animal Science
雑誌
実験動物 (ISSN:00075124)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.307-340, 1973

1970年度1年間の動物使用数についてのアンケート調査を行ない, つぎのような結果をえた。<BR>アンケートの回答率は67.4% (発送1310, 回答883) であったが, 主要な機関についてみると80%以上の回答率であり, ある程度満足できるものであった (表1) 。<BR>使用された動物種をみると, 原生動物のミドリムシから哺乳動物霊長目のチンパンジーまで, およそ442属585種ならびに12属 (種名不詳) が記録された (表2) 。<BR>これらの使用動物種のうち, 比較的広い分野でつかわれた動物種 (使用機関数10単位以上) をひろってみると, 無脊椎動物では11科 (表3) , 魚類では9種 (表4) , 両生類・は虫類では7種 (表5) , 鳥類では5種 (表6) , 哺乳動物では霊長目4種 (表7) , 実験動物・家畜あわせて12種 (表8・9) であった。<BR>一般的な実験用動物の使用数についてみると, 哺乳動物ではマウス11, 150, 143, ラット1, 600, 643, ウサギ152, 917, モルモット144, 936, イヌ68, 052, ゴールデンハムスター21, 549, ヤギ17, 392, ネコ13, 757, ブタ8, 821, ウシ5, 147, サル類3, 526 (内マカカ属サル3, 007) , ヒツジ1, 187, ウマ371で, その他の哺乳動物は5, 416であった。トリ類ではニワトリ407, 637, ウズラ69, 335, ハト3, 052, ニワトリタマゴ43, 569, 965+であった。なおトリ類の全数は482, 199であった。は虫類ではイシガメが352で, は虫類の全数は4, 676, また両生類ではトノサマガエル65, 286, ウシガエル23, 612, ニホンアカガエル14, 840, ヒキガエル11, 671, イモリ17, 638, アフリカッメガエル6, 489で, 両生類の全数は151, 304であった。魚類についてみると, メダカ135, 275, キンギョ45, 587+, コイ21, 532+, グッピー15, 500で, 魚類の全数は244, 661+であった。<BR>系統ならびに品種・内種についてみると, きわめて多数のものが記載されていたが, とくに広い分野でつかわれたものを数えてみるとつぎのとおりであった。<BR>系統として, マウス23 (表11・12) , ラット9 (表13) , モルモット1 (表14) , 品種・内種としてはニワトリ3, ウサギ2, イヌ1, その他であった (表14) 。<BR>それらのうちで, とくに多数つかわれた系統をみると, マウスではddグループ, ICR, CF#1, C3Hグループ, c57BL・c57BL/6グループ, swissがあげられるしラットではWistarグループ, SPrague-Dawley, Donryuがある。そのほか, モルモットのHartley, ニワトリの内種White Leghorn, ウサギの品種日本白色種も比較的多数つかわれている。<BR>過去2回の調査との比較をみると, 年ごとに使用数の増加がみられている。そして, マウス・ラット・ウサギ・モルモットの4者で全体の90%以上を占めている点は毎回の調査で同じである。なお, とくに増加の著しいものは, マウス, ラット, ゴールデンハムスター, ニワトリ, ウズラであり, その逆に, 1960年度にくらべて著しく減少したものとしてはサル類があげられる。
著者
中川 敏宏
出版者
専修大学法科大学院
雑誌
専修ロージャーナル (ISSN:18806708)
巻号頁・発行日
no.8, pp.153-166, 2013-01

2012年5月24日,韓国大法院は,日本による植民地統治下において三菱重工(旧三菱)・不二越により強制徴用を受けたとして,その被用者らが同会社を相手に損害賠償と未払賃金の支払いを請求した事件において,原審である釜山高等法院が同じ請求を棄却した日本における判決(最高裁で本件原告らが敗訴確定)を受け入れ原告らの請求を棄却したのに対して,その原判決を破棄し,釜山高等法院に事件を差し戻した。この日本企業に対する戦後補償の可能性を認めた大法院判決は,韓国のマスコミでも大きく取り上げられ,さらなる追加訴訟を提起する動きも伝えられている。その意味で,本判決は,韓国において,対日本企業のみならず対日本国の戦後賠償問題に関し象徴的な意味を有するものになるであろう。本判決については,今後わが国でも様々な観点からの検証・分析が求められるが,そのような多角的な検証・分析は訳者の能力の域を出ており,ここでは,本判決の重要性に鑑み,公表されている三菱重工に対する訴訟の大法院判決を取り上げ,判決文の翻訳を試みたい。翻訳に際して,できるかぎり原文のニュアンスを尊重したが,日本人読者への便宜から,日本における一般的呼称等に従っている箇所がある(例えば,韓国と日本を指す際,韓国語では「韓日」と表現されるところは「日韓」と訳出している)。
著者
竹内 努
出版者
名古屋大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2012-04-01

現代宇宙論はビッグバン宇宙論の骨子をほぼ確立し, ビッグバンに先行する急激な膨張期であるインフレーションの検証へと向かっている. インフレーション理論は第一原理から完全に決定することは難しく, 宇宙マイクロ波背景放射(CMB)の偏光のBモード成分を精密に解析することによって初めてシナリオを絞り込むことができる. しかし, 現実的には銀河系や系外銀河などのCMBの前景放射が重なるため, CMBゆらぎの抽出は極めて困難である. CMBゆらぎの観測は飛躍的進歩を遂げたが, 観測精度の向上, 特に偏光ゆらぎの精密化に伴って, CMBと前景成分を分離するための本質的に新しい統計的解析方法が必要になってきている. これが領域A04のメインテーマである。本研究では、これまで天文学分野ではほとんど用いられていなかった自己組織化状態空間モデルという統計的方法を発展させ、Planck衛星のデータをCMBのゆらぎ、銀河系外前景放射、銀河系前景放射、ノイズの4成分に分解し、CMBゆらぎを精密に解析することで初期宇宙の情報を抽出する方法を構築する。前年度はまずこの状態空間モデルで用いる前景放射の各成分の統計的性質を明らかにするため、独立成分分析(ICA)を用いた成分分離法を確立し、分子輝線成分、連続波成分のパワースペクトルを求めた。この成果は学術論文として公表済みである。この統計的性質を仮定することで、状態空間の決定ができる。前年度末にPlanckのデータが公表され、本年度にかけて関連論文も出版されているが、現時点では前景放射の様々な不確定要素が決定していない状態である。このため、H25年度は不定性を含んだ状態で統計的推定を行う自由度を残した解析コードを準備した。新しい観測的制限がつき次第完成できる。当初の目的は達成したと考えているが、新しい銀河系星間物質観測をインプットとし、Planck, BICEP2など次世代データへの応用を引き続き試みていく。
著者
坂本 恋 和田 勇気 大島 登志一
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2017論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, pp.435-438, 2017-09-09

本研究では,多数の小さな仮想生物によるバーチャル生態系を構成し,3種が循環的な捕食連鎖をなすシミュレータを試作した.生物学への興味を引き出す教材に供することを目的とし,システムの実現にあたっては,ガラス製の実験器具をデバイスに組み込むなど,実際の実験のような体験を楽しめることを目指した.第2報では、「消費者」のみによる循環的食物連鎖モデルに「生産者」「分解者」を加えた生態系モデルの改良を試みる。
著者
城 潤一郎 三島 史人 武田 真一 山本 雅哉 村垣 善浩 伊関 洋 佐保 典英 窪田 純 佐々木 明 西嶋 茂宏 田畑 泰彦
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.22, no.5, pp.558-568, 2007 (Released:2007-12-13)
参考文献数
5
被引用文献数
7 6

次世代DDS型治療システムとは,従来のDDS治療効果をさらに向上させるために,外部エネルギーをDDS技術と融合させる新しい技術・方法論である.この新治療システムによって,体内の深部にある病気を治療できるであろう.本稿では,磁場とDDSとを組み合わせた,磁気誘導DDSによる次世代治療システムを実現させるために必要となる技術要素を概説するとともに,その治療ポテンシャルについて述べる.
著者
鈴木 隆文
出版者
日本神経回路学会
雑誌
日本神経回路学会誌 (ISSN:1340766X)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.112-117, 2012-09-05 (Released:2012-10-29)
参考文献数
22

運動出力型のブレインマシンインタフェース(BMI)研究の技術革新が進んでいる.臨床応用を考える場合,その信号源として皮質脳波信号が有望視されている.本稿では運動出力型BMIに関する研究の流れを概観するとともに,閉ループBMI,FESとの統合,人工神経接続,DecNef,デバイス技術などのいくつかの新しい研究潮流について紹介する.
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.952, pp.73-76, 1998-08-03

今年6月14日の夜、すかいらーくが展開するファミリーレストラン「ガスト」の宮前店(東京・杉並区)は、客が入りきらないほどの盛況だった。この日はサッカーのワールドカップの予選リーグ、「日本対アルゼンチン戦」が行われ、宮前店に設置してある大型の壁掛けテレビでその試合が生中継されていたのだ。