著者
小谷 幸雄
出版者
日本印度学仏教学会
雑誌
印度學佛教學研究 (ISSN:00194344)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.1176-1182, 2007-03-25

本學曾・2002年度(於・ソウル)で發表者は,"The Symbolism of Hokke-Proper:Morphological Studies on Saddharma Pundarika Sutra by a Private Scholar"と題して民間學者・富永半次郎の,『蓮華展方--原述作者の法華經』(梵和對譯,大野達之助・千谷七郎・風間敏夫他編1952)で完成を見た「根本法華」Hokke-Properの成立事情,その源流,即ちCh.ウパニシャッド・ラーマーヤナ・數論哲學・僧伽分裂史・阿育王碑文と,一貫したドラマとしての文脈を紹介略説した.それは西紀前一世紀頃の無名の一比丘の作と目され,現行廿八品中,序・方便・見寳塔・(勸持)・涌出・壽量・囑累の諸品(それらも全部は採用されず)を除いて他は後世の添加挿入として削除され,その發想源にゲーテ流の形態學が適用される.今回は,この發表に先立つ二ヶ月前に為した口頭發表(國際法華經學會,於マールブルク大2002年5月)の原稿に加筆,訂正したものである.霊鷲山の説法の座で無量義處三昧から釋迦は立ち,佛智の深甚無量,方便を説くと舎利弗がその所以を三請する.「佛陀とは何か」の疑問が一會から起きるや,突如一會の眞中から高さ〈五〉百由旬の塔が涌出,「正法巻舒」(←阿育王法勅)+〈白蓮華〉(←ウパニシャッド)の合成語が善哉と讚へられるシャブダ(權威ある言)として發せられる.その中を見たいとの恵光菩薩の懇願で,十方分身が還集一處する.釋迦が中空に上り,右手もて二片(對立概念)を撤去して入塔,涅槃佛(多寳如來)と半座を分つ.佛威徳を以て一會が中空に上げられると,釋迦が自分の涅槃後に「誰が正法を付囑し得るか」との問に一會の代表と他方來の菩薩が名乘をあげる.「止善男子」の一喝と共に,地皆震裂,大地から六萬ボディサットヴァ(=〈覺〉の本質,六萬←六十タントラの千倍,サーンキヤ哲學とサガラ王神話の六萬王子の換骨奪胎)が涌出,透明のアーカーシャに包まれ一會は〈五〉十中劫一少時,黙念.壽量品の〈五〉百塵鮎劫と共に〈五〉は五蘊--その軸が〈行〉蘊--の象徴.rddhyabhisamskara(サンスカーラの完成)が鍵語.因みに副題の〈生中心〉とは〈ロゴス中心〉(意識・概念偏重)の反對で,有機的全一の在り方を表すL.クラーゲスの用語.(富永師は,天台學會の招聘により奇しくも本・大正大學の講堂(昭和12年10月14日)で「私の観たる法華經」を講演された.『一』誌・特輯 第七號 法華精要富永先生の會 昭和13年2月20日)
著者
川越 大輔
出版者
一般社団法人 日本応用数理学会
雑誌
応用数理 (ISSN:24321982)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.16-23, 2020-12-22 (Released:2021-03-31)
参考文献数
18

Optical tomography is a new medical imaging technique which makes use of near infrared light, and it is mathematically modeled as an inverse problem to determine a coefficient in the stationary transport equation from boundary measurements. In this paper, we show two results on regularity of solutions to the direct problem of the stationary transport equation. The first result is to describe discontinuity of the solution which arises from discontinuous points of the incoming boundary data, and we show the exponential decay of a jump of the solution on a discontinuous point. The decay gives an idea for solving the inverse problem. The second one is to give a W1, p estimate of the solution to the direct problem in two-dimensional cases. Here, the exponent p has an upper bound pm, which is a real number depending only on the shape of the domain. This estimate is crucial when we solve the direct problem numerically with the discrete-ordinate discon-tinuous Galerkin method.
著者
立入 哉 今井 香奈
出版者
一般社団法人 日本聴覚医学会
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.178-185, 2021-04-28 (Released:2021-05-19)
参考文献数
19
被引用文献数
1

要旨: 一側性難聴者用に有線式 CROS 補聴器 (EHIME) を開発し, 実耳測定, 音場での語音明瞭度検査, 質問紙調査を行い, EHIME の有用性を検討した。この結果, 実耳測定では頭部陰影効果を補償するゲインを与える周波数特性決定法が好まれる傾向が見られた。語音明瞭度検査では, EHIME の装用による逆効果より効果が高くなることを観察できた。クロス補聴器のゲインと語音明瞭度に対する効果と逆効果には関連があることが予想され, ゲインの設定には実耳での評価と語音明瞭度の測定が有用と思われた。質問紙調査では, 雑音下聴取と明瞭度では向上が見られたものの方向感・遠近感は逆に低下した。しかし, 中には音の違いを元に方向感をつかめた者もおり, 追加の検討が望まれた。最終的に, わずらわしさより, 快適さ・生活の質の向上について向上したとの回答が得られた。
著者
武田祐太 松井藤五郎 犬塚信博
雑誌
第75回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, no.1, pp.467-468, 2013-03-06

投資信託とは、販売会社を通じて多数の投資家から集めた資金を、資産運用の専門家が株や債券などの金融資産、あるいは不動産などに投資するよう指図し、運用成果を投資家に分配する金融商品のことである。この際、リスク低減のために分散投資を行うことが重要とされており、そのために投資信託の特徴に基づいた分類が必要となる。そこで本研究では、投資信託と投資先銘柄の情報からネットワークを作成し、その構造に基づいて投資信託の分類をする方法を提案する。
著者
宍戸 良洋 熊倉 裕史 堀 裕
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.95-102, 1993 (Released:2008-05-15)
参考文献数
16
被引用文献数
4 4

トマトのソース•シンク関係に及ぼすソース葉やシンク葉の摘除ならびに暗黒処理の影響を明らかにしようとした.その結果,8葉期のトマトでは第3および4葉はそれぞれ,全シンク器官に光合成産物を分配しており,独立したソース•シンク関係を持っていることが認められた.さらに,第3葉は第8葉とは強く,第7葉とは弱いソース•シンク関係があり,第4葉では第8葉とは弱く,第7葉とは強いソース•シンク関係を持っていることが認められた.それらの関係の中で,弱い関係のシンクを摘除してもソース葉からの分配パターンはあまり変化しないが,強い関係のシンクを摘除すると大きく変化するというように,シンクの摘除は二つのタイプの反応を引き起こすことが認められた.1枚のソース葉以外の全てのソース葉を摘除または暗黒処理すると,残ったソース葉からの光合成産物の転流は減少した.この場合,根への分配を減少させても,将来ソースになるべき若い葉への分配を増加させるような分配パターンを示し,シンク葉を暗黒下において光合成を抑制した場合には,この分配パターンの傾向が強まることが認められた.このような反応は光合成産物の転流分配現象における劣悪な条件に対する植物体のサバイバル反応と考えられる.
著者
山崎愛 岡本渉 河原敏宏 大場勝
雑誌
第76回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, no.1, pp.233-234, 2014-03-11

現在のソフトウェア開発は、新規開発よりも既存資産に追加・変更を行う派生開発が多くを占める。開発当初は、特定のモジュール間の依存を禁じる等設計ルールを設定することにより、保守性の高い設計が可能であるが、派生開発を重ねると設計ルールから逸脱した実装が発生し、保守性が低下するといった課題がある。設計書には設計結果だけを記載する場合があり、設計時に設けたルールを必ずしも記載するとは限らない。そこで、ソースコードから、当初の設計において適用されていたと考えられる設計ルールを推測し、設計ルールからの逸脱箇所を検出する手法を提案する。
著者
松本 美佐子 田中 笑子 篠原 亮次 渡辺 多恵子 冨崎 悦子 望月 由妃子 杉澤 悠圭 酒井 初恵 安梅 勅江
出版者
日本保健福祉学会
雑誌
日本保健福祉学会誌 (ISSN:13408194)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.3-13, 2014

目的 本研究は保育園で気がつく3歳時の気になる行動の推移、および2年後の社会能力を予測する行動の抽出を目的とした。方法 対象は全国32か所の認可保育園に在籍する幼児である。すでに障害の診断がついている児を除外した2007年、2008年の3歳児(485人、509人)を2年間追跡し主要な項目に欠損のない276人、243人をパネル化した519人を分析対象とした。調査内容は「気になる行動チェックリスト」と「就学前児用社会的スキル尺度」の記入を担当保育士に依頼した。対象者の内訳は男児274名(52.8%)、女児245名(47.2%)、きょうだいは無200名(38.8%)、有315名(61.2%)不明4名であった。5歳時の社会性を目的変数、3歳時の気になる行動を説明変数、性別ときょうだいの有無を調整変数としてロジスティック回帰分析を実施した。結果 5歳の社会能力の低さは3歳時の気になる行動で「音に対する反応の異常」が見られる場合Odds比38.86(95%信頼区間4.21-358.85)(以下同様)、「光に対する反応の異常」が見られる場合14.21(2.69-75.10)、「不自然な関係性」がみられる場合14.10(3.99-49.78)、「無関心」がみられる場合4.06(1.64-10.03)、「こだわり」がみられる場合5.53(2.33-13.12)、「激しいかんしゃく」がみられる場合2.44(1.10-5.40)、「多動」がみられる場合3.46(1.75-6.86)、「けんかが多い」がみられる場合2.47(1.02-5.98)「反抗がひどい」がみられる場合6.00(2.13-16.95)、「言葉に関する問題」がみられる場合6.34(2.97-13.53)、「ルール逸脱行動」がみられる場合9.10(3.73-22.22)、「年齢相応の生活習慣の遅れ」がみられる場合4.93(2.11-11.51)と有意に高くなる傾向が示された。結論 3歳時に音や光に関する反応の異常、不自然な関係性、無関心、こだわり、激しいかんしゃく、多動、けんかが多い、反抗がひどい、言葉に関する問題、ルールの逸脱行動、年齢相応の生活習慣の遅れなどの行動がみられた際は、後の社会能力の獲得に困難を示す可能性があり、幼児期早期から社会能力を育むための支援が求められる。
著者
佐々木 高明
出版者
The Human Geographical Society of Japan
雑誌
人文地理 (ISSN:00187216)
巻号頁・発行日
vol.17, no.6, pp.630-656, 1965-12-28 (Released:2009-04-28)
参考文献数
102
被引用文献数
1 1

以上,焼畑農業についての最近の研究の動向とその問題点にふれ,あわせて焼畑の比較地理学への若干の展望を行ってきたが,最近の焼畑農業研究には,大別して二つの方向がみとめられる。その第1はmicro-scopic studyとでもいうべきもので,community或はfamilyのレベルで焼畑農業の経営形態を捉え,その特色を詳しく調査・研究するとともに,その地域の自然条件や文化や社会の構造と焼畑農業組織との関連を精細に追究する方向である。この場合にはとくに,作物栽培技術や輪作形態が詳しく分析され,焼畑の生産性や人口支持力の問題、或は焼畑農業とその社会の変容過程が興味ある問題としてとりあげられている。他方,第2の研究方向は,macro-scopicなもので,焼畑農業の比較研究をめざすものである。ここでは焼畑農業の地域的特色の類型的把握が問題になり,その歴史的・文化生態学的特徴の解明が重要な研究課題になっている。そうして,この場合には,《根栽型焼畑農業》と《雑穀栽培型焼畑農業》の二つの大類型の設定とその特徴の把握が,比較研究上のきわめて有効なメルクマールになるのではないかと考えられるのである。
著者
木村 修三
出版者
JAPAN ASSOCIATION OF INTERNATIONAL RELATIONS
雑誌
国際政治 (ISSN:04542215)
巻号頁・発行日
vol.1979, no.63, pp.55-68,L3, 1979-10-15 (Released:2010-09-01)
参考文献数
39

(1) Israel is not a militaristic state although she is a model of ‘nation-in- arms’ in the sense that military defense occupies the center of her people's life.(2) The reason why Israel is ‘nation-in-arms’ is due to the fact that she was surrounded by hostile countries which do not recognize her legitimacy as a state, and that she has actually fought four times with them in the past. In addition to this, holocaust analogy and ‘Masada complex’ which are latent in the psychology of Israelis, highten terror in their heart.(3) But, up to now, Israel has never faced the critical situation in which she could be actually annihilated. Rather, she has always won overwhelming victory in the past wars, with the only exception of the Yom Kippur War. At the same time, it is an undeniable fact that the terror of annihilation has been utilized for the justification of her intransigent policy.(4) Israel has tried to persuade the Arab states for their recognition of Israeli's legitimacy as a state, while totally rejecting the wish of Palestinians for the establishment of their independent state. After the end of Six-Day-War, Israel has made every efforts to secure her security on the basis of tei ritorialism by bringing out the conception of ‘defensible borders’.(5) If Israel wishes to secure the true security, it might be indispensable for her to recognize the Palestinians' legitimate rights of self-determination through peaceful settlement, in stead of insisting the conception of security on the basis of territorialism.
著者
石川 洋明
出版者
名古屋市立大学
雑誌
名古屋市立大学大学院人間文化研究科人間文化研究 (ISSN:13480308)
巻号頁・発行日
no.5, pp.37-49, 2006-06

男性の「男らしさ」について、調査データ(N=218、非無作為抽出、回答者は男女双方)の二次分析により検討した。多変量解析の結果、「男らしさ」は、行動様式で6つ、意識でも6つ、配偶者とのコミュニケーションで3つの成分が抽出された。成分得点の回答者属性による差から、50代既婚男性が性暴力問題に最も懐疑的で家庭外達成志向が強く、20代男性が最も感情表現や子のケアに積極的であることがわかった。また、男性の回答から、「男らしくない」と言われるのは、配偶者への期待が低く、仕事を断れる人、「男らしくありたい」と思う人は、近所づきあいがよく、仕事を断ることができず、男は経済力・忍耐が必要で家事には向かないと思っている人であることがわかった。総じて、ワークライフバランスのうちではワークに特化することが男らしさである、と考えられていることが確認された。ただし、40代と既婚者に、それにとどまらない傾向も見られた。
著者
田中 久稔
出版者
一般社団法人 日本応用数理学会
雑誌
日本応用数理学会年会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2002, pp.120, 2002

株価や為替レートなどの資産価値の変化分率が、正規分布に比べてより厚い裾野(Fat Tail)を持つことは古くから指摘されている。(Manderbrot 1963, Fema 1965)。この性質を説明するために、いままでにもいくつかのモデルが提案されてきた。それらはいずれもエージェントの行動あるいは市場の構造に特殊な仮定を追加することにより、モデルを大数の法則や中心極限定理から解放するという方針を採っているように見受けられる。<br>この論文では、非線形や局所的相互作用を持ち込まないシンプルなモデルであっても、Fat Tail 分布の再現が可能であることを示す。このモデルの本質的な仮定は、以下の二つである。:〈投資決定の独立性)多数の投資家が存在し、それぞれが他の投資家や前期の自分の決定から独立に投資決定を行う、(ワルラス型価格調整〉資産価値は、その資産に対する超過需要に比例して変化する。すなわち、t期における価格変化を&Delta;S<sub>t</sub>,超過需要ED<sub>t</sub>をとれば、Pを調整パラメーターとして&Delta;S<sub>t</sub>=<sub>P</sub>ED<sub>t</sub>となることを仮定する。したがって、この仮定から導かれるモデルは中心極限定理の支配下にあり、そのダイナミックはガウス仮定によって記述されることになる。しかしそれにもかかわらず、比較的ゆるい条件のもとで、このモデルを用いて変化率の Fat Tail分布を再現することが可能である。まず、導かれたモデルを Fokker-Plank 方程式と呼ばれる線形編微分方程式に変換することにより、価格の調整速度パラメーターがある水準を越えると価格過程の定常分布が単峰形へと変化することが証明される。次に、具体例の計算機シミュレーションにより、双峰形定常分布を持つ価格過程が、定常分布の一方の峰から他方へと頻繁に飛び移ることを観察する。ある定常状態からもう一方の定常状態へと遷移する過程において、資産価値の大きな変化率が生じ得るのである。
著者
Mai Inoue Masaya Sasaki Azusa Takaoka Mika Kurihara Hiromi Iwakawa Shigeki Bamba Hiromitsu Ban Akira Andoh
出版者
SOCIETY FOR FREE RADICAL RESEARCH JAPAN
雑誌
Journal of Clinical Biochemistry and Nutrition (ISSN:09120009)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.215-219, 2015 (Released:2015-05-01)
参考文献数
26
被引用文献数
9 10

We investigated the changes in energy expenditure during induction therapy in patients with severe or moderate ulcerative colitis. Thirteen patients (10 men, 3 women; mean age, 36.5 years) with ulcerative colitis admitted to the Shiga University Hospital were enrolled in this study. We measured the resting energy expenditure and respiratory quotients of these patients before and after induction therapy with indirect calorimetry. We analyzed the changes of nutritional status and serum inflammatory cytokine levels and also evaluated the relationship between energy metabolism and disease activity by using the Seo index and Lichtiger index. The resting energy expenditure was 26.3 ± 3.8 kcal/kg/day in the active stage and significantly decreased to 23.5 ± 2.4 kcal/kg/day after induction therapy (p<0.01). The resting energy expenditure changed in parallel with the disease activity index and C-reactive protein and inflammatory cytokine levels. The respiratory quotient significantly increased after induction therapy. Thus, moderate to severe ulcerative colitis patients had a hyper-metabolic status, and the energy metabolism of these patients significantly changed after induction therapy. Therefore, we recommend that nutritional management with 30–34 kcal/kg/day (calculated as measured resting energy expenditure × activity factor, 1.3) may be optimal for hospitalized ulcerative colitis patients.
著者
Masaya Sasaki Tomoko Johtatsu Mika Kurihara Hiromi Iwakawa Toshihiro Tanaka Shigeki Bamba Tomoyuki Tsujikawa Yoshihide Fujiyama Akira Andoh
出版者
SOCIETY FOR FREE RADICAL RESEARCH JAPAN
雑誌
Journal of Clinical Biochemistry and Nutrition (ISSN:09120009)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.32-36, 2010 (Released:2010-07-01)
参考文献数
28
被引用文献数
19 21

We investigated the energy expenditure in hospitalized patients with severe or moderate ulcerative colitis (UC), and compared them to healthy controls. Thirteen patients (5 women and 8 men; mean age 31.8 years; mean BMI 19.0 kg/m2) and 10 healthy volunteers were enrolled in this study. The resting energy expenditure (mREE) levels were determined by indirect calorimetry. The mREEs of the UC patients were significantly higher than those of healthy controls (26.4 ± 3.6 vs 21.8 ± 1.7 kcal/kg/day), although the mREEs of the UC patients were almost the same as the predicted REEs (pREEs) calculated by the Harris-Benedict equation (26.4 ± 2.4 kcal/kg/day vs 26.5 ± 2.6 kcal/kg/day). The mREE/pREE ratio, which reflects stress, was 1.0 ± 0.15. In the UC patients, a significant correlation was observed between the mREEs and the clinical activity index. In conclusion, UC patients showed a hyper-metabolic status as evaluated by their mREE/body weight. Energy expenditure was significantly correlated with disease activity. From our observations, we recommend that nutritional management with more than 30–35 kcal/ideal body weight/day (calculated by the mREE × activity factor) may be optimal for active severe or moderate ulcerative colitis.
著者
近藤 明雅 山田 健太郎 小野 彰之
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A (ISSN:18806023)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.434-443, 2007 (Released:2007-07-20)
参考文献数
12

繰返し荷重を受ける耐候性鋼無塗装橋では,その疲労挙動が問題になる.本研究では,約25年間大気暴露した十字すみ肉溶接継手32体と面外ガセット溶接継手8体を疲労試験し,筆者らが,過去に行った無暴露材,2, 4, 10年大気暴露材の試験結果と比較した.十字すみ肉溶接継手のうち15体は,暴露前に疲労寿命の約25%の繰返し荷重を載荷した後に暴露したものである.その試験体で,比較的大きい疲労き裂が発生していたものは,無暴露材,2, 4, 10年暴露材の疲労強度から低下したが,疲労き裂が小さいか認められない場合には,疲労強度の低下はみられなかった.溶接したままで約25年間大気暴露した十字すみ肉試験体17体と面外ガセット溶接継手では,疲労強度の低下は見られなかった.