著者
加藤 浩 神宮司 誠也 岩本 幸英 新小田 幸一 吉村 理
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.31, no.7, pp.426-432, 2004-12-20 (Released:2018-09-25)
参考文献数
11
被引用文献数
4

本研究の目的は股関節疾患患者の歩行時における骨盤の動揺性について,中殿筋の動的EMG周波数特性(MPFR),筋組織形態,最大外転筋力からその関連性を検討することである。手術治療目的で入院した股関節疾患患者13症例と健常者10例を対象とした。手術直前に等尺性の最大外転筋力の計測,次に中殿筋筋腹部に電極,上前腸骨棘に反射マーカーをそれぞれ貼付し,10 m自由歩行を行わせた時の表面筋電図計測(wavelet周波数解析)と,三次元動作解析装置を用いた骨盤傾斜角,骨盤回旋角,骨盤側方移動距離の計測を行った。手術中に中殿筋筋生検を行いATPase染色による筋線維タイプの分類を行った。さらに画像解析ソフトによりtype I,type II線維の筋線維径の計測を行った。結果,MPFRとtype II筋線維径,日整会歩行能力点数の間には正の相関関係が認められた。骨盤傾斜角,骨盤回旋角は健常群と比較して有意に正常から逸脱していた。重回帰分析の結果,前額面での骨盤傾斜角に関して,量的側面から外転筋力,質的側面からMPFRがその規定因子として重要であることが示され,MPFRは前額面での正常からの逸脱をより強く反映するパラメータであることが示された。
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1865, pp.33-37, 2016-11-07

普通のロールパンには1個当たり約14gの糖質が含まれているが、ブランパンは2.2g(ロールパンタイプ)。糖質制限中でもあまり気にせずに食べられる。その商品力の高さはリピーター率(購入者に占める再購入者の比率)を見れば一目瞭然だ。
著者
今井 直 堤 康央 長野 一也 杉田 敏樹 吉田 康伸 向 洋平 吉川 友章 鎌田 春彦 角田 慎一 中川 晋作
出版者
日本プロテオーム学会(日本ヒトプロテオーム機構)
雑誌
日本プロテオーム学会大会要旨集
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.151, 2007

現状のプロテオーム解析では、疾患組織あるいは対照となる健常組織由来の蛋白質サンプルを二次元ディファレンシャル電気泳動(2D-DIGE)法で分離した後に、質量分析計を用いて個々の発現変動蛋白質を同定することにとどまっている。そのため、同定された膨大な数の変動蛋白質の中から、発現や変動を詳細に機能解析することで、病態の発症や悪化に中心的な役割を果たしている創薬ターゲット・蛋白質を効率よく絞り込むこが次のステップとして期待されている。その点において、ELISAなどの抗原-抗体反応を利用した解析手法は、特定蛋白質を特異的かつ高感度に検出できることから、プロテオミクス研究においても蛋白質の機能解析を進める上で極めて有用である。しかし、従来のように数十g以上の蛋白質を動物個体に免疫する必要があるハイブリドーマ法では、上述の2D-DIGEによって得られる極微量(数十ng程度)かつ多種類の蛋白質サンプルに対する抗体作製に対応することは不可能である上、この方法ではプロテオミクスの最大の利点である網羅性を著しく損なってしまう。そこで我々は、これらの課題を克服するために、ファージ抗体ライブラリと2D-DIGE法を組み合わせた新しいモノクローナル抗体(Mab)作製技術の確立を試みた。一般に、ファージ抗体ライブラリからのMabのセレクションは、プラスチックプレートなどに固定化した数g~数百g程度の標的抗原に対してファージ抗体ライブラリを反応させ、抗原に結合するファージのみを選択・増幅する、という方法(パンニング法)を用いる。既に我々は、ニトロセルロースメンブランを固相化担体として利用することで蛋白量がわずか0.5 ng程度であっても効率よくMabを選別できるパンニング法の開発に成功している。今回は、ヒト乳癌・乳腺細胞株の2D-DIGE解析により得られた発現変動スポットから蛋白質を抽出し、この蛋白質をダイレクトに抗原として用い、メンブランパンニングを行った。その結果、メンブランパンニング法を適用することで、今回得られた全てのスポットに対してMAbを単離することが出来た。以上、2D-DIGEによる変動蛋白質の同定と抗体作製を一挙に達成できる本手法は、プロテオミクスによる創薬ターゲットや疾患の早期診断・治療マーカーの同定に大きく貢献するものと期待される。
著者
西田 裕紀 徳光 幸生 新藤 芳太郎 松井 洋人 松隈 聰 永野 浩昭
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.80, no.11, pp.2055-2060, 2019 (Released:2020-05-31)
参考文献数
11

症例は75歳,男性.膵管内乳頭粘液性腫瘍フォローのため施行された造影CTで,肝鎌状間膜内に20mm大の腫瘤を指摘された.超音波ガイド下生検を施行されたが,病理学的診断は困難であった.腫瘤は緩徐に増大傾向であり,FDG-PETで腫瘤にSUVmax=4.4の軽度集積を認めた.外科的診断目的で当科紹介となり,肝鎌状間膜由来の平滑筋肉腫や間葉系腫瘍を疑い,腹腔鏡下腫瘤切除術を施行した.腫瘤は肝円索の肝流入部に存在しており,腫瘤に近接していたG4を処理し,阻血域となった肝S4を部分切除した後に腫瘤を摘出した.切除標本の病理組織学的所見では,肝円索に多数のIgG4陽性形質細胞浸潤および線維化を認めた.血液検査で高IgG4血症を認めたため,IgG4関連疾患と診断した.肝円索病変を呈するIgG4関連疾患はこれまでに報告を認めない,稀な病態であると考えられた.
著者
高山 秀則
出版者
社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.77, no.11, pp.1840-1850, 1986-11-20 (Released:2010-07-23)
参考文献数
32

ヒトおよびラットの精巣内毛細血管の透過性および精巣, 血液関門の構造を硝酸ランタンを動脈側より注入灌流するか, 精巣組織を直接に硝酸ランタン液内に浸透させ電子顕微鏡的に観察した. また, 精巣毛細血管の通常電子顕微鏡観察をすることによって血液関門としての微細構造につき検討した.ヒト精巣毛細血管ではすべての毛細血管にランタンの透過性を認めるのではなく, 一部のものに限られた. しかも, 毛細血管を透過したランタンは間質組織を通過し, 精細管内に達するものはみられなかった. ITCとPTCとでは透過性の相違は認められなかった.ラット精巣毛細血管はITC, PTCの区別なくランタン透過性は良好で, 血管外に透過したランタンは間質, 精細管壁を透過し, 精細管内のセルトリ細胞間の特殊結合部位で停止した.ヒト, ラットの精巣毛細血管の微細構造は本質的には同様であるが, 内皮細胞間の結合様式に相違が認められた. つまり, ヒトの場合には tight junction や desmosome 様の結合様式をとることが多いが, ラットの場合には gap junction の形態をとることが多い. ここにランタン透過性に相違が認められる根拠があると考えられる.ラットの精巣毛細血管は精巣・血液関門としての機能を有しないが, ヒトの場合に不完全ながら関門としての機能を有し, 能動的な物質交換の場となり得ると考えられる.
著者
羽生 能行 牧川 方昭 石原 謙
出版者
The Society of Instrument and Control Engineers
雑誌
計測自動制御学会論文集 (ISSN:04534654)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.628-636, 1996-05-31 (Released:2009-03-27)
参考文献数
19

In this paper, we have tried to measure physiological responses under mental stress in some daily scenes with a portable digital biosignal memory device. The aim of this study is to search for the method to evaluate objectively the mental stress in daily life. Here we chose the heart rate and the respiratory rate as non-invasive measuring objects and have developed an ambulatory mental stress monitoring system. Daily life stress scenes used here was the graduation thesis presentation, an unexpected police checkup during a car driving and the getting on a roller coaster, and in addition the calculation experiment under the laboratory was done for the comparison with other previous results reported.As a result, the heart rate and the respiratory rate were getting higher, and the respiration was getting irregular under strong mental stress, that is, getting on a jet coaster, presenting a graduation thesis, and a police checkup while driving. Under weak stress, like the calculation in the laboratory and the car driving, the respiratory rate was getting higher and irregular, but the heart rate wasn't remarkably high. From these results, it was suggested that the heart rate, the respiratory rate, and the respiratory irregularity are effective to evaluate the mental stress in daily life.
著者
栗崎 由貴子 能登谷 晶子 小山 善子 鈴木 重忠 藤井 博之
出版者
日本失語症学会 (現 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会)
雑誌
失語症研究 (ISSN:02859513)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.308-313, 1996 (Released:2006-05-24)
参考文献数
10

右被殻出血により,失語症と左片麻痺を呈した生来右利きの一症例を報告した。症例は発症時 49歳,男性。当科初診の発症から 16ヵ月経過時の言語症状は,軽度の言語理解障害および音韻性錯語を中心とした表出面の障害であった。とくに復唱障害が著しかった。発症から 40ヵ月経過時には,表出面で自発語や音読の改善は良好であったが,復唱の際に文レベルで,助詞が他の助詞に置換される障害が認められた。この傾向は発症から 55ヵ月時も同様であった。本例の復唱障害の誤り方は,波多野(1991)の錯文法性錯語を主症状とした伝導失語例に類似していた。
著者
萩原 富司 諸澤 崇裕 熊谷 正裕 野原 精一
出版者
日本陸水学会
雑誌
陸水学雑誌 (ISSN:00215104)
巻号頁・発行日
vol.78, no.2, pp.157-167, 2016-09-26 (Released:2018-06-11)
参考文献数
36
被引用文献数
2

霞ヶ浦には,在来種のヤリタナゴ,ゼニタナゴ,タナゴおよびアカヒレタビラの4種が同所的に生息する。近年,これら個体群の減少が著しく,地域絶滅が危惧されるものの,種ごとの個体数変動の要因はよく分かっていない。そこで,本湖におけるタナゴ亜科魚類群集の変遷とその要因を明らかにするため,1999年から2011年まで,タナゴ亜科魚類およびその産卵基質として利用されるイシガイ科二枚貝類の生息状況調査を実施した。調査の結果,在来タナゴ類の内,ゼニタナゴとヤリタナゴは採集されず,アカヒレタビラとタナゴは湖内全域で徐々に減少し,2010年頃にはほとんど採集されなくなった。外来種のオオタナゴは2000年頃に初確認され,その後徐々に増加し,2005年以降は毎年採集された。外来種のタイリクバラタナゴは減少傾向にあり,国内外来種のカネヒラも全調査期間を通して数個体しか採集されなかった。一般化混合加法モデルを用いて種ごとにタナゴ類個体数の時系列変化を解析した結果,在来タナゴ類が激減した要因として,オオタナゴの影響は検出できなかった。在来タナゴ類が利用するイシガイ科二枚貝類は,2006年の調査時点において,湖内全域で個体数が著しく減少していたことから,産卵基質の減少が影響している可能性が示唆された。一方,オオタナゴは,他のタナゴ類が激減した2010年以降も比較的多数採集された。これは,本種が産卵母貝として外来種のヒレイケチョウガイ交雑種を主に利用し,その産卵基質が淡水真珠養殖用に毎年供給されているためと考えられた。
著者
小原 格
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.161-166, 2019-01-15

高等学校情報科における問題解決学習と,その具体的な授業内容の一部について簡単に報告する.情報科では,2003年の設置当初より問題解決学習が重視されており,特に,現行学習指導要領「情報の科学」においては,問題解決そのものや進め方についても学習対象としている.高等学校における具体的な問題の捉え方,問題の発見方法,発想を広げたり,思考を掘り下げたりする具体的な学習活動,また,それを可視化させるシンキングツール「IE図」について紹介する.さらに,総合的な問題解決学習の進め方や指導のポイント,また,プログラミングによる問題解決学習についての実践報告も簡単に行いながら,次期学習指導要領「情報I」を見据える.
著者
西浦 博
出版者
東京大学
雑誌
戦略的な研究開発の推進 戦略的創造研究推進事業 CREST
巻号頁・発行日
2014

本研究は病原体のゲノム情報や実験データを含む大規模な生物情報を利用したパンデミック予兆の捕捉と流行予測を実現し、それに基づいて最も望ましい感染症対策を明らかにします。具体的には、(1)大規模生物学的情報を取り込んだ流行予測モデルの構築、(2)パンデミックの予兆の探知、(3)これら2つのモデルに基づく感染症対策の改善を行います。大規模データを効率的に分析することで、パンデミックの予兆捕捉と流行拡大の予測を世界で初めて日常的に実現します。
著者
向坂 幸雄 雨甲斐 広康 吉村 仁
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会大会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.51, pp.253, 2004

季節的に出生性比を調節する生物の存在はいくつか知られているが、その適応的意義を解明する上では数理的アプローチが重要である。特に、体サイズも小さく、一回の産仔数が多い両生類では、成長後の繁殖参加の雌雄差を出生時期毎に実際に追跡するのは非常に困難であり、数理的解析によって、調べるべきポイントを明らかにすることは特に重要である。演者らはツチガエル(<i>Rana rugosa</i>)では長期に渡る繁殖期中で季節の進行と共に出生性比の変化が起きていることを明らかにした。また、その傾向が地域集団間で逆転していることも明らかにした(第49回大会発表)。我々はツチガエルの生活史を念頭に置き、シミュレーションのような確率的要素に依らない解析的ESSモデルを構築し、繁殖機会が年に2回あるモデル生物での季節的性比調節の可能性を、雌雄で異なる成長速度などを考慮して検討した。これまでに我々が構築してきたモデルでは、性比を集団内の出生性比とは独立にとれる突然変異個体の侵入条件を考察する際に、出生年とその前後1年づつの非突然変異個体しか背景集団として考えていなかった。しかし、繁殖機会が最大2年に及ぶモデルでは、各年次での背景集団を考慮しなければ正確なESSの解析はできない。今回その範囲を前後それぞれ2年ずつ計5年分を考慮し、さらに突然変異個体が前期と後期のいずれの場合に生まれるかについても分離して考えることで、より詳細な条件推定をすることを可能にした。年2回の繁殖機会相互での出生性比の適応的パターンは8通りでき、大まかに分けると4通りに区別できた。このことから、雌雄間でその後に経験する繁殖機会の数に差ができ、またその違いのでき方が出生時期によって異なるような場合には繁殖時期によって性比を1:1からずらすような形質がESSとなり得ることがわかった。