著者
李 秀鴻 朴 宣映
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.195, pp.1-55, 2015-03

本稿では,これまで調査された韓半島南部地域の青銅器~三韓時代の環濠遺跡48ヶ所を集成し,環濠の時期ごとの特徴や性格,変化の傾向を検討した。韓半島南部地域において環濠は,青銅器時代前期には登場しており,清原大栗里遺跡で確認できる。幅の狭い3列の溝が等高線方向に曲走する。出土遺物からみて遼寧地域から直接移住した集団が築造したものと判断できる。青銅器時代において環濠の成立および拡散が明瞭に確認できる時期は,青銅器時代後期である。この時期には,大部分の環濠が嶺南地域に集中的に分布し,その中で地域的な差異も看取できる。まず,蔚山圏ではすべて丘陵上に分布し,1列の環濠がムラの周りを取り囲む形態が多い。地形や立地の特徴から,儀礼空間を区画する性格があったと判断できる。本稿では,環濠自体と環濠が眺望できる集落からなる結合体を,拠点集落と把握した。一方で,晋州圏では主に沖積地の大規模な集落に環濠が備わっている。木柵をともなう場合もあり,防御もしくは境界という機能がより強かったようである。ただし,防御といっても必ずしも戦争の際の防御だけではなく,野生動物の脅威にも対応した施設であった可能性もある。環濠が大規模な集落に設置されているため,拠点集落の指標となることは蔚山圏と同様である。環濠の成立は,青銅器時代の前期と後期の画期と評価でき,大規模な土木工事である環濠の築造を可能にした有力な個人の登場を推測することができる。三韓時代の前期には,韓半島の広い範囲に環濠遺跡が分布する。この時期には儀礼遺構としての意味が極大化する。1列の主環濠の外部に同一方向の幅狭の溝が並行するものが一般的な形態である。山頂部に円形に設置する例が多い。三韓時代の後期には環濠遺跡の数が急減する。これらは木柵をともなったり,環濠の幅が広くなったりしており,社会的緊張による防御的性格が強くなるように見受けられる。三韓時代後期に環濠が急減するのは,中国や高句麗から土城が伝来し,各地の国々が統合する過程において,地域の小単位としてあった環濠集落もより大きな単位への統合されていくためと考えられる。
著者
西山 友貴
出版者
日本蘇生学会
雑誌
蘇生: 日本蘇生学会雑誌 (ISSN:02884348)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.19-20, 2018

<p>麻酔導入時や緊急気道確保時にはマスクで用手換気する必要があるが,患者が義歯を外した場合や,患者の顔の形状1)によっては,漏れが生じて換気困難となる場合がある。特に顔面の手術後の場合は換気困難となりやすい2)。さらに患者の体格によってマスクのサイズを使い分けなければならない。近年,麻酔用マスクはクッション部分に空気を注入して顔面に密着させる形状のものが主流となっている。これらはクッション部分の材質,形状などが異なり密着性に差がある3, 4, 5)。Nandalanら3)は歴史が長い再利用可能な黒いゴム製の空気注入クッション部分を有するマスク(従来のゴム製マスク)がクッション部分にポリ塩化ビニルなどを使用した使い捨てマスクより漏れが少なく換気しやすいと報告している。一方,使い捨てのマスク,再利用可能なマスク4種類の間でインターサージカル社製使い捨てマスクが最も漏れが少ないという報告もある4)。Ballら5)も従来のゴム製マスクよりインターサージカル社製使い捨てマスクで漏れが少ない結果を得ている。今回,クッション部分を空気注入するカフ状から空気を入れない一枚ものの形状にしたマスク(クアドラライト麻酔用マスクTM,インターサージカル社,英国,図1)を使用する機会を得た。これは以前用いていた黒いゴム製の硬いクッション部分を有するマスクに近い形状であるが,このクッション部分にI-gelTMの先端部分と同じ熱可塑性エラストマーを用いている。クアドラライト麻酔用マスクTMは他のマスク同様1(最小)から4(最大)まで4サイズあり,今回,サイズ3(幅約108mm,縦約81mm,高さ約70mm)のマスクを2017年3月1日から5月31日まで著者自身が行った全身麻酔症例全症例に連続使用した。すべて整形外科症例で,年齢平均71歳(範囲15歳-89歳),男21例,女45例の計66例,身長156cm(134cm-182cm),体重58歳(37.4kg-89kg),Body Mass Indexは24.1 kg・m-2(15.9kg・m-2-42.7kg・m-2),総義歯15例(全例術前に取り外し),部分入義歯24例(2例以外は術前に取り外し),義歯なし27例であった。マスクは市販品であり,介入研究は行っておらず,当院倫理委員会の承認を得ており,患者のデータ使用に関する承諾は麻酔の承諾時に得ている。今回の連続した66例すべて酸素6L/分で換気を行ったが,漏れ(マスクと顔の間からの漏れ,バックのふくらみの減少)によりマスク換気が困難であった症例は1例もなく,すべてサイズ3のマスクで顔面の形によく合い換気は容易だった。従来のクッションに空気注入するタイプのマスクでは多くが女性にサイズ3,男性にサイズ4を用い,さらに漏れが生じて換気困難になる症例を経験していた。今回用いたクアドラライト麻酔用マスクTMではサイズ3のみで漏れを生じず,女性,男性を含め幅広い患者に適応できると考えられた。このため,特に緊急時の気道確保で,患者によってマスクを選択する時間が省け,とりあえずサイズ3のマスクを用意しておけば幅広い症例に緊急対応可能となるので有用と考えられた。従来の黒いゴム製の硬いクッション部分を有するマスクはクッション部分が硬く顔面の形状に合わないことも多かった。クアドラライト麻酔用マスクTMは形状がそのマスクに似ていることから敬遠されがちであるが,クッション部分の材質が熱可塑性エラストマーであるために,顔面の形に合いやすい。今回の使用経験から,クアドラライト麻酔用マスクは麻酔導入時の換気,緊急時の気道確保時に,1サイズのマスクで幅広い症例に対応でき,漏れを生じることが少なく,有用である可能性が考えられた。</p>
著者
角丸 歩 井上 健 篠崎 和弘 西山 等
出版者
関西学院大学
雑誌
臨床教育心理学研究
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.15-28, 2006-03-25

WHO(2002)によると,全世界のどこの国においても自殺は10位以内の死因であり,日本においても1998年に自殺者数が一挙に年間3万2千人を越えた。自殺の危険因子については,自殺者の90%以上が最期の行動に及ぶ前になんらかの精神疾患に罹患していたことが示されており,そのうち30.2%が気分障害と診断されている。自殺行為に至るまでには,必ずといっていいほど抑うつやうつ病を合併していると考えられ,うつ病は自殺行為と非常に密接な関係があると言える。そこで,本調査ではうつ病患者46名(男性17名,女性29名,平均年齢55.2歳(26〜93歳))を対象とし,執着気質と死に関する概念に着目し,自殺企図歴の有無により比較することで自殺企図歴を有する者に特有な性格傾向を検討した。なお,本研究の最終的な目的は,将来的に「近い未来に起こるであろう自殺を予測・予防するためのスケール」を作成することであり,その基礎的研究として本調査を行った。結果,死観では死の意味,HAM-Dでは罪悪感と病識,執着気質においては極端なことをするかどうかに自殺企図歴の有無を判別できる可能性が認められた。そして企図有,つまり自殺企図のリスクが高い者に見られる傾向としては,社会における自分の生死に意味を持たせるが,それが苦しみの解放につながるとは捉えておらず,死を怖れ回避する傾向があることがわかった。また,極端なことをしない性格であり,自身の病識を持ち,罪悪感が他の人よりも生じやすいような出来事を経験しているのではないかと見受けられた。また企図有は,病識や罪悪感などから生じる,死ぬしかないといった絶望感や,死んでも苦しみからは解放されないといった絶望感をもっているとともに,生きたいと願うアンビバレントな気持ちがあり,それが死への恐怖につながっていたり,自分の生死に価値があると思ったりする傾向に結びついていると考えられた。これらの結果は,自殺企図歴のある患者に限らず自殺のハイリスク者にも適用可能であると考えられ,このようなハイリスク者に特有の不変的な性格傾向や概念を把握することは,表面化しにくい自殺のサインを治療者や家族など周囲の人々が的確に捉える一助となり,自殺者を行為に及ぶ前に予防することが可能となるのではないかと考えられる。本研究のように,まずは医療機関において対処可能である患者から自殺予防を心掛けていくことは,たいへん意義のあることと思われ,ひいては社会全体の自殺予防につながると考えられる。
著者
荒木 李彩 貴志 倫子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.66, 2014

<b>目的</b> キャリア教育は生活キャリアと職業キャリアの両方を統合した多様な人生役割を形成するものである。家庭科はキャリア発達に関係深い教科であり、中でも生活設計教育は、仕事と生活の調和を考えさせながら学習していくことが求められている。新学習指導要領では、生涯を見通す視点が強調されており、人生経験の少ない生徒に生涯を見通す視点を持たせる工夫が必要である。そこで、本研究では、生活設計において高校生が人の一生を多様な視点を持って展望できる教材の開発を行うことを目的とする。<br><b>方法</b> 1)平成23年度検定の家庭総合・家庭基礎の教科書16冊より生活設計に関する教材を分析する。2)NHKで放映された「7年ごとの記録:イギリス56歳になりました」を素材として教材を作成し、模擬授業による評価を行う。<br><b>結果</b> 1)家庭基礎の教科書10冊中5冊は家庭総合と同一の内容であり、家庭基礎であっても生活設計の立案を行う内容が多数存在した。2)教科書には、生涯の見通しを持たせる工夫として「生活設計の立案」「人物モデルの事例」「年齢別データ」がみられた。3)人の一生を7歳から56歳まで追った映像からライフイベントを見出す教材を作成し、模擬実践を行ったところ、生活設計への関心を呼び起こすなどの効果と授業実践に向けての課題が明らかとなった。
著者
吉村 麻美 塚谷 裕一
出版者
一般社団法人 植物化学調節学会
雑誌
植物の生長調節 (ISSN:13465406)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.60-66, 2013
参考文献数
19

ROTUNDIFOLIA4 (ROT4) is a peptide unique to land plants. Angiosperm species have more than 10 paralogs (RTFL/DVLs) in their genome and the high redundancy is an obstacle to know the detailed function of this peptide family. The discovery of this peptide family was based on two indepdendent activation-tagging screenings in Arabidopsis thaliana for two different aims. First it was thought that the RTFL/DVL is involved in cell proliferative activity along the longitudinal axis of leaves because the over-expression of the members of RTFL/DVL causes stunted leaves. Our recent detailed analysis suggested that the ROT4 is involved in determination of longitudinal positional cues in lateral organs/tissues. Curiously, GFP-fused version of the ROT4 is localized on the plasma membrane, although the ROT4 itself has no special known motif. Here we overview the history of our understanding of the enigmatic RTFL/DVL family.
著者
寺田 康彦 中尾 愛 中込 真優
出版者
日本磁気共鳴医学会
雑誌
日本磁気共鳴医学会雑誌 (ISSN:09149457)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.61-75, 2018-08-15 (Released:2018-10-03)
参考文献数
62
被引用文献数
1 1

Compressed sensing (CS) is a rapidly developing technique for reducing scanning times while maintaining image contrast and quality. CS theory affirms that certain images can be recovered from highly compressed k-space data with an appropriate reconstruction algorithm. This article reviews the fundamentals of CS, its methods, pulse sequence designs, the reconstruction algorithm, and potential artifacts and their causes, which are important for implementing the CS technique in clinical practice.
著者
池内 桃子 山口 貴大 堀口 吾朗 塚谷 裕一
出版者
日本植物生理学会
雑誌
日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.181, 2008

シロイヌナズナの優性変異体<I>rotundifolia4-1D</I>では、細胞数が長さ方向特異的に減少して葉が短くなる。この仕組みを明らかにするために、我々は原因遺伝子である<I>ROT4</I>遺伝子の機能を調べている。<I>ROT4</I>は、6.2kDaの低分子タンパク質をコードしている。その機能領域が、C末端側のROTUNDIFOLIA4-LIKE/DEVILファミリーに共通の領域付近にあることは既に判明していたが、詳細な機能領域は同定されていなかった。また、その領域が切り出されているのか否かを示す知見は、今までに得られていなかった。今回我々は、まず<I>ROT4</I>のコード領域をN末端側およびC末端側から削り込んだものを過剰発現させ、その表現型を調べることにより、機能に必要十分な領域の絞り込みを行った。また、生体内における分子内プロセシングの有無を調べるために、まずROT4:GFPおよびGFP:ROT4融合タンパク質を過剰発現させ、表現型からその機能を評価した。その上で、免疫ブロッティング法を用いて、発現したタンパク質のサイズを調べている。上記の解析およびタグを用いた他の解析に基づき、ROT4の分子機能について議論する。
著者
寺地 徹
雑誌
京都産業大学先端科学技術研究所所報 = The bulletin of the Research Institute of Advanced Technology Kyoto Sangyo University (ISSN:13473980)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.71-86, 2016-07

植物ゲノム科学研究センターでは、「核と細胞質のゲノム情報を活用した新しいバイオ技術の開発と細胞質ゲノムの構造解析」と題する5カ年計画のプロジェクトを実施している。このプロジェクトに含まれる実験課題は多岐にわたるが、大きくは、1)葉緑体の遺伝子組換え、2)ミトコンドリアゲノムの構造解析、3)その他、の3つに分けられる。また、それぞれのカテゴリーの中で、基盤的な研究、さらには萌芽的な研究がなされている。本稿では、今年度に実施した、以下の7つの課題について報告する。1.有用遺伝子を葉緑体ゲノムに持つ組換えレタスならびにトマトの作出2.パンコムギにおける葉緑体形質転換系の開発3.斑入りを示す組換えタバコの葉緑体ゲノムの構造変異4.イネ科植物のミトコンドリアゲノムの解読5.タマネギのミトコンドリアゲノムの解読6.ナスの稔性回復遺伝子の単離7.ゲノム編集による新しい遺伝子改変技術の検討
著者
千馬 智子 中島 豊 Tomoko SEMBA Yutaka NAKAJIMA
雑誌
国際交流基金日本語教育紀要 = The Japan Foundation Japanese-Language Education Bulletin (ISSN:13495658)
巻号頁・発行日
no.12, pp.73-88, 2016-03-01

国際交流基金シドニー日本文化センターでは、従来教師研修や学習者奨励活動などの事業を行ってきた。しかし近年は全豪日本語教育シンポジウムの実施などを契機としアドボカシーの重要性にも目を向けており、そのパイロット事業として、タスマニア州においてアドボカシー活動を試みた。本稿では、従来当センターが個別に行ってきた教師研修、学習者奨励活動などの事業をアドボカシーの観点から複合型事業として発展統合した、タスマニア州におけるNihongo Roadshowの概要を報告する。また、参加した教師から得られたフィードバックの分析を通じて、本企画がもたらした効果について考察する。さらに事業全体から得られた示唆や今回の試みによって見えてきた課題について述べる。
著者
池内 桃子 山口 貴大 堀口 吾朗 塚谷 裕一
出版者
日本植物生理学会
雑誌
日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.108, 2009

<I>ROT4 (ROTUNDIFOLIA4)</I>は、陸上植物に広く保存された、機能未知の低分子タンパク質をコードする遺伝子である。シロイヌナズナにおいては、<I>ROT4</I>単一の機能欠損変異体は表現型を示さないが、その過剰発現体では、側生器官を構成する細胞が長さ方向特異的に減少するほか、背丈の矮小化、花柄基部やトライコーム基部の組織が突出するといった多面的な表現型を示す。また,根の短小化が今回新たに見出された。このように、<I>ROT4</I>は植物の発生において重要な機能を担っていると示唆されるが、その分子機能はほとんど明らかになっていない。<br> そこで我々は、まず<I>ROT4</I>の各種deletionシリーズの過剰発現体を作出し、その表現型を調べた結果、 32残基からなる領域が機能に必要かつ十分であることを同定した。この領域は、分子内プロセシングを受けて切り出されることなく機能しているということが、GFPとの融合タンパク質を用いたこれまでの実験から示唆されており、現在その確認を進めている。また、HSP-Cre/Lox系を用いてGFP:ROT4をキメラ状に発現する形質転換体を作成したところ、GFP:ROT4が発現しているセクターにおいて自律的な表現型が観察された。さらに、葉柄-葉身境界の位置がずれる興味深い表現型も見出された。これらの解析の結果を総合し、ROT4の植物の形態形成における機能について議論したい。
著者
田中 芳一 東 敬子 平田 孝
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.32, no.7, pp.457-462, 1985-07-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
19
被引用文献数
1

保存中の市販無菌調製豆乳の品質評価指標を設定するために,各種生菌数,官能検査,色調変化,pH,酸化還元電位(ORP),化学発光量,遊離アミノ酸含量等について検討した。工場で入手した製造直後の豆乳を5, 25,37℃の各温度区で0~2カ月保存し,各実験に供した。菌数測定の結果,微生物汚染は観察されなかった。官能検査では25℃2カ月保存のもの,37℃半月保存のものは明らかな変質(P<0.01)が認められた。色調変化として黄色から白色,または退色への移行傾向があった。pHは保存直後にわずかに酸性側に変化した。高温に保存したものはORPが低下し,また化学発光量が増加した。遊離アミノ酸の組成や含量は変化しなかったが,アンモニアの生成が観察された。アンモニア含量は保存温度,保存期間に高い相関性をもっており,アンモニアが豆乳の品質評価指標として有効であると思われた。
著者
新井 礼子
出版者
日経BP社
雑誌
日経バイオビジネス (ISSN:13464426)
巻号頁・発行日
no.17, pp.161-163, 2002-10

日本人研究者が経済スパイ罪で、米国から訴えられる事件が起こった。同様の事件は技術競争激化により今後も続くかも知れない。研究者といえど、英文契約書を理解することが重要だ。 米国で日本人研究員が研究試料などを無断で持ち出した事件が"経済スパイ"として、新聞紙面をにぎわせた。
著者
栗林 和彦 山本 成志 後藤 昌司
出版者
応用統計学会
雑誌
応用統計学 (ISSN:02850370)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.35-46, 1994

ロジスティック・モデルのあてはめには,通常,最尤法が用いられるが,小標本での解析結果の信憑性が問われていた.この場合の代替法として正確推測法があり,最近のコンピュータならびに計算アルゴリズムの発展によって実行可能性の問題に解消の兆しが見えてきた.<BR>本稿では,多変量シフト・アルゴリズムに基づく正確推測法の手続きを明らかにして,そのプログラムを開発し,正確推測法の適用可能性を吟味した.その結果,正確推測法は,小標本で説明変数がカテゴリー個数の少ないカテゴリー変数(2値変数も含む)である場合の最尤法の対照あるいは代替として利用できることを明らかにした.