著者
サラ•ルイーズ バーバー ローゼンバーグ 恵美
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.67, no.12, pp.845-849, 2020-12-15 (Released:2020-12-31)
参考文献数
27

世界保健機関健康開発総合研究センター(WHO神戸センター)は,兵庫県ならびに神戸市などによる国際保健への貢献として兵庫県神戸市に設立されてから,2020年で25年を迎えた。世界的な高齢化を考慮したユニバーサル・ヘルス・カバレッジの推進に資するべく,サービス提供モデル,持続可能な資金調達,イノベーション,指標と測定,災害・健康危機管理の各テーマに関して,保健医療制度や政策の観点から研究に取り組んでいる。
著者
木村 宣哉 小林 道
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.67, no.12, pp.871-880, 2020-12-15 (Released:2020-12-31)
参考文献数
34

目的 地域から層化無作為抽出した集団において,相互作用的・批判的ヘルスリテラシー(CCHL,Communicative and Critical Health Literacy)と高血圧・糖尿病・脂質異常症の関連を横断的に明らかにすることを目的とした。方法 2018年7~8月,北海道江別市の3,000人(20~75歳未満)を対象に自記式質問紙調査を実施した。江別市は大きく3地区に分かれており,参加者は各地区から1,000人を層化無作為抽出した。調査票は,市の職員によって配付・回収が行われた。調査終了後,市から匿名化されたデータを受け取り,分析を実施した。解析に当たって,結果が返送された1,630人から調査票のCCHLの項目が未記入の8人,疾患の有無の項目が未記入の43人を除外し,男性692人と女性887人でそれぞれ解析を行った。CCHLは,疾患および生活習慣等の要因の傾向性を観察するために四分位で群分けした。高血圧,糖尿病,脂質異常症の有無を目的変数とし,CCHLを説明変数とした。年代,世帯構成,配偶者,最終学歴,仕事の有無,肥満区分,定期的な運動,喫煙,朝食欠食を調整変数として,男女別に多重ロジスティック回帰分析を行った。結果 全体のCCHLスコアは3.58±0.67(平均値±標準偏差)だった。単変量回帰の結果では,CCHLスコアの第一分位群を参照群とした場合に第四分位群で,男性の高血圧の割合が有意に低下した(OR=0.49; 95%CI: 0.28-0.84)。一方で,調整変数を含めた多重ロジスティック回帰の結果では,男性の高血圧の調整済みオッズ比は0.62(95%CI: 0.32-1.22)となった。CCHLと疾患の関連について,男女ともすべての項目で有意差は認められなかった。結論 男性では,CCHLが高いほど高血圧の有病率が有意に低い傾向が認められたが,多変量解析による調整後では関連性が弱まり,その他の疾患についても関連は認められなかった。HLと生活習慣病の関連をより明確にするためには,縦断研究による検討を実施する必要がある。
著者
荒木田 美香子 松田 有子 青木 恵美子 竹中 香名子 山下 留理子 六路 恵子 山崎 衣津子 町田 恵子 船川 由香
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.67, no.12, pp.881-891, 2020-12-15 (Released:2020-12-31)
参考文献数
18

目的 全国健康保険協会(協会けんぽ)は保健師の保健指導能力の向上のための研修を各支部で実施している。そこで,協会けんぽの本部保健師と研究者らが都道府県支部のリーダー的保健師等を対象に,各支部でのロールプレイを活用した研修の企画とファシリテーション技術の獲得に向けた研修を実施した。本報告はその研修の効果を検討することを目的とした。方法 研修はインストラクショナルデザインを参考に構成し,対象者の分析,研修プログラムの開発,実施,評価を行った。研修の目標は,①ロールプレイの振り返りにおけるファシリテーションとファシリテーターの役割を理解する,②ファシリテーションの技法を理解する,③振り返りにおいてファシリテーターを行う自信ができる,④ファシリテーションの技法を用いた振り返りを行うことができるとした。研修の評価はKirkpatrick Modelに基づき,研修への反応,学習,行動の観点で質問紙による評価を行った。評価は研修開始前,研修直後,研修3か月後の3回実施した。研修は2016年8月に約4.5時間の1日研修を実施した。研修スタッフは3人であった。活動内容 研修の参加者は79人であった。知識・自信(0~10点)は,研修前の平均点は2.6~3.6であったが,研修直後は6.3~7.9,3か月後は6.0~6.9であった。研修内容への興味(0~10点)を3項目で尋ねたところ,平均点は8.1~8.6と高い評価であった。また,研修会終了後3か月間でロールプレイ研修会を支部内で開催した者は64.6%であった。ロールプレイのルールの周知やねらいの説明はそれぞれ96.1%,98.0%が実施していた。知識・自信は研修前にファシリテーション研修の受講経験のあった者のほうが,事前および3か月後で得点が高かった。研修3か月後の「ロールプレイにおいて,ファシリテーターの役割にはどのようなものがあるか」という自由記載は「ロールプレイ研修の基本と企画に関する意見」と「振り返りにおける役割に関する意見」に分類された。結論 参加者は本研修会での内容や使用した教材を概ね妥当と評価しており,研修後のファシリテーションの知識や自信が向上した。また,約65%が研修後にロールプレイを活用した研修を実施していた。これまでの学習経験の検討から,ファシリテーション技術の維持向上には繰り返しの研修が必要であることが示唆された。
著者
西城戸 誠
出版者
北海道社会学会
雑誌
現代社会学研究 (ISSN:09151214)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.119-136, 2003-06-20 (Released:2009-11-16)
参考文献数
11
被引用文献数
1

最近の社会運動研究において,人々の不満などの運動にかかわる認知的な側面の議論には,「文化的フレーミング」という概念が広く使われている。運動がどのようにすれば拡大するのかという実践的な関心を伴い,運動体とその指導者側が提示する「フレーム」の戦略的優位性についての議論が多くなされてきた。しかしながらこれらの議論は,フレームの受け手側の分析を欠いた議論であり,結果として動員された事象を対象とし,運動体とその指導者側の「効果的なフレーミング」の結果,支持者の動員が可能になったという説明をしている。本稿では,このようなトートロジカルな議論を回避するために,運動体側から投企されるフレームと,そのフレームの受け手の「文化的基盤」との「提携」という図式を用いる。北海道札幌市・江別市における都市近郊の環境運動を事例にして,投企されたフレームと,受け手の集合的記憶,組織文化,集合的アイデンティティといった運動の「文化的基盤」との関係を実証的に検証することによって,なぜ複数の人々が抗議活動に参加したのかという問いに対して文化的な説明を試みる。
著者
中田 耕太郎 新谷 篤彦 伊藤 智博 中川 智皓
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
関西支部講演会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, 2019

<p>This paper deals with response behavior and rollover resistance of heavy duty truck in cornering. We focus on the connection type vehicle that consists of one tractor and one trailer. The vehicle is expressed by 7 nonlinear equations of motion and 2 constraint conditions of connecting point. The equations include the nonlinear property of the tire lateral force. We use the rate of decrease of wheel load as the index for judging rollover. We perform parameter study about the eccentric distance of center of gravity, the running speed and so on, and investigate the degree of the risk of rollover.</p>
著者
萩原 一郎
出版者
公益社団法人 日本表面科学会
雑誌
表面科学 (ISSN:03885321)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.134-136, 2016

阪神大震災(1995)では大規模な市街地火災,東日本大震災(2011)では津波火災による広範囲の被害が注目されたが,火災は毎年約5万件,2千人近くの死者をもたらす日常的な災害である。最近では,老人ホームや病院のように避難が困難な人が多い建築物や,個室ビデオやカラオケボックス,メイド喫茶といった新しい用途の建築物で発生した火災で多くの死傷者が発生し,社会の注目を集めている。技術の発展により人々の生活が変わり,建築物や都市の環境も大きく変化してきているが,火災による被害は様相を変えながら一定の大きさを保っていると言える。防火の研究者は,このような火災による被害を軽減するために,建築物が備えるべき火災安全を明らかにし,火災に関する現象の解明や被害軽減に有効な防火対策について研究を進めてきた。本稿では,これまでの防火研究の流れと,今後取り組むべき課題について紹介する。
著者
川谷 茂樹
出版者
日本体育・スポーツ哲学会
雑誌
体育・スポーツ哲学研究 (ISSN:09155104)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.1-11, 2004

This study begins with the following questions. Why should athletes keep rules of sport? What occurs in sport when cheaters break the rules?<br>In relation to these questions, which explore basis or foundation of the rules, there are some precedent theories. Those are 1) rule absolutism or game formalism, 2) contextual contractualism, 3) externalism. Through my research on 1) and 2), a very important issue, namely, the ethos of the game rose. That is, an internal purpose of the game achieved as a result of realization of the game, and at the same time the basis of the rules. Furthermore, with regard to 3), it is not able to point out the basis of the rules because of denying the existence of this ethos: &ldquo;internal purpose of sport&rdquo;.<br>All things considered, the ethos of game is to make a decision of victory or defeat. Therefore, a norm &ldquo;Keep rules&rdquo; itself is not always an absolute command, a categorical imperative, but a relative one, a hypothetical imperative. Consequently, all cheating, rule breaking, doesn't act on the game destructively. The rules of sport is fundamentally restricted by the ethos of sport under all circumstances. In other words, only this ethos: &ldquo;the spirit of the sport&rdquo;, forms the basis or foundation of the rules of sport.
著者
横田 孝義 玉川 大
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学)
巻号頁・発行日
vol.67, no.5, pp.67_I_643-67_I_656, 2011

本稿では貨物車両の高速道路の利用実態を明確にするために必要となる高架道や並走路の正確な分離を可能とするプローブ情報の新たなオフラインマップマッチングアルゴリズムを提案する.次に,本アルゴリズムを京阪神地域の300台の貨物車両から取得したプローブ情報に適用して明らかになった旅行速度の現状などを述べる.また,貨物車両が高速道路を利用する際の一般道路と高速道路間のアクセス,イグレスの距離の特性について分析し,このアクセス長,イグレス長の短縮が貨物車交通の高速道路利用を増やし効率向上を図るための一つの大きな課題であることを示す.
著者
小倉 弘毅 CHANDHAKET Srawouth AHMED Tarek 中岡 睦雄
出版者
一般社団法人 電気設備学会
雑誌
電気設備学会誌 (ISSN:09100350)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.71-72, 2005-01-10
参考文献数
1

This paper presents an effective edge resonant snubber to suppress parasitic ringing oscillation due to the auxiliary switch which operates under a condition of zero current soft switching (ZCS)turn-off commutation with the aid of an additional voltage clamping diode loop. The conducted EMI noise performances of the boost chopper-fed DC-DC converter with improved auxiliary edge resonant snubber is evaluated and discuss from an experimental point of view.
著者
川村 軍蔵 北村 也寸志
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.161-164, 1981-02-25 (Released:2008-02-29)
参考文献数
15
被引用文献数
1

The observations and analyses of eye movements on three groupers, Epinephelus moara, Epinephelus sp., and E. septemfasciatus which were resting motionless on the bottom of anaquarium revealed that these fishes move their eyes vertically only with saccadic movement, and the maximum degree of their vertical saccade was measured at 65°, 50°, and 30° for respective species. Four restrained fishes, Cyprinus carpio, Carassius auratus langsdorfi, Sarotherodon mossambicus. and Lepomis machrochirus did not show any vertical pursuit eye movement to vertically moving horizontal stripes in their visual field. The results were considered to suggest that it is difficult to stabilize the retinal image of vertically moving object in these fishes, or a posibility of some nerve system which specially analyzes a vertically moving image.